「田舎の土地を売却したいけど、売れないと不動産屋に断られた…」
いらない田舎の土地が売れずにお困りですね。
大丈夫です!
不動産会社に断られた土地でも、手放せます。
確かに田舎の土地は売れにくく、不動産会社によっては「売れない」と断ることも。
しかし田舎の土地でも扱う不動産会社はありますし、不動産会社の他にもいくつか売却ルートはあります。
土地を売れば売却代金が手に入り、子や孫に迷惑をかけずに済みますね。
この記事では、田舎の土地を売る方法を詳しく解説。
さらに売却が難しい土地を手放す『寄付』と『相続放棄』についても解説しました。
あなたの土地をスムーズに手放すために、この記事がお役に立てば幸いです。
売れない土地でも放棄は難しい
基本的に、土地の権利は放棄できません。
誰かに譲渡(売却か寄付)しない限り、土地の所有権から解放されないのです。
民法239条2項では「所有者のいない不動産は国の所有に属する」とあり、権利を放棄できるようにも思えます。
しかしこれ以外に土地の権利の放棄について書かれた条文はありません。
どんな場合に国庫に帰属するのかはあいまいで、具体的な手続き方法はなく、土地の権利は放棄できないのが現実です。
過去の裁判でも、所有者が放棄することは認められませんでした。
【参考】国民生活センター・暮らしの判例
誰かに売るか譲るかしないと、土地は手放せないんだね。
2023年4月から相続した土地を放棄できる制度が始まったけど、ハードルは高いね。
2023年4月から手放せるがハードルは高い
要件と費用負担が問題
2023年4月から始まった「相続土地国庫帰属制度」で、相続した土地を放棄できるようになりました。
しかし放棄には厳しい要件とそれを満たすための費用負担があり、ハードルは高いのが現実です。
厳しい2つの要件
要件は2つあります。
要件1. 却下要件
まず申請するために「却下要件」をクリアしなくてはいけません。
- 建物のある土地→建物は解体する
- ローンの担保権などが設定されている土地→抵当権や使用権など登記は解除する
- 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池など)が含まれる土地→私道などは不可
- 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地→土壌汚染調査が必要
- 境界が明らかでない土地。その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地→隣地との境界確定が必要
【出典】法務省・帰属の承認ができない土地
建物は解体して更地かぁ。
隣地との境界確定も厳しいね。測量費用がかかるし、隣地の所有者が見つからない恐れもある。
要件2. 不承認要件
また申請しても「不承認要件」をクリアしなくては承認されません。
- 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの→古い擁壁や崖があると厳しい
- 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地→木や庭石・外構などが残っていると不可
- 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地→埋設物がないか確認が必要
- 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地→私道に面する土地は掘削通行許可などが必要
- 通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地→土砂崩れや地割れの恐れがある土地、間伐されず放置された山林、鳥獣や害虫の恐れがある土地、その他費用がかかる土地は全て不可
【出典】法務省・帰属の承認ができない土地
なんだかよく分からないけど、お金がかかりそうな土地はダメってことかな?
せっかく建物を解体しても、承認されない恐れがあるから、事前に相談した方が良いね。
それに要件をクリアする費用も見積しておこう。
要件クリアに必要な費用負担が大きい
土地を放棄するためには、次の費用がかかります。
- 審査手数料(14,000円)
- 負担金(20万円〜)
- 要件を満たすための費用→これが問題
審査手数料と負担金は大きな金額ではない
審査手数料は1.4万円、負担金は20万円〜と大きな金額ではありません。
問題は要件を満たすためにかかる費用
現状で要件を満たす土地であれば問題ありません。
しかし多くの土地は、要件を満たすために多額の費用がかかるでしょう。
具体的には次のような費用があります。
- 建物の解体費用(80万円〜)
- 外構や埋設物の撤去費用(20万円〜)
- 敷地の境界確定費用(40万円〜)
- 古い擁壁の再構築(100万円〜数百万円)
- 登記の手続き(10万円〜)
- 土壌汚染の調査(10万円〜)
- 私道や隣地所有者のハンコ代(10万円〜)
- 森林の間伐・整備(数十万円〜)
なんか色々あるね。
国は簡単に認めない方針だから、ハードルを高くしてるんだ。
国は簡単に認めない方針
国は管理コストの負担を警戒しており、簡単には認めないと明言しています。
管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件を設定し、法務大臣が要件について審査を実施。
引用元: 国土交通省・制度の概要(簡略版)
放棄するには、そもそも条件が厳しいし、費用負担もツラいね。
簡単に放棄できると、多くの人が放棄して、国の管理負担が増えるからね。
結局、土地の放棄が難しいことに変わりないんだ。
でも田舎の土地でも意外と売れるものだよ。
「売れない」でなく「売りたくない」
不動産会社に田舎の土地の売却を相談して「売れない」と断られても、話半分に聞きましょう。
なぜなら「売れない」のではなく、不動産会社が「売りたくない」ことが多いから。
不動産会社は田舎の土地を売りたくない
田舎の土地は、不動産会社にとって「扱いたくない物件」です。
なぜなら田舎の土地は、手間がかかる割に仲介手数料が安く、赤字になる恐れがあるため。
売却価格が安いと仲介手数料はわずか
不動産会社の仲介手数料は、宅建法で上限が決められており、不動産の売買価格が安いほど仲介手数料も安くなります。
(※売買価格400万円以上の場合)
売買価格 | 仲介手数料上限 (税込) |
---|---|
800万円以下 | 330,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
田舎の土地は売買価格が安いため、仲介手数料も最低レベル。
しかし買い手を見つけるのは、都会の土地より大変で、長期間かかります。
価格が安いと仲介手数料も安くなるんだね。
2024年7月の改正で、売買価格800万円以下は仲介手数料上限が一律30万円+消費税に増えた。
それでも安いからね。
不動産売買の仲介手数料の相場と値引きについて、必要な知識をまとめました。上手く値引きするコツと裏技も解説しています。
手間がかかる土地はなおさら避けられる
さらに売却に手間がかかる土地は、なおさら不動産会社に避けられます。
例えば次のような土地です。
- 所有権が複雑
- 隣地境界で調整が必要
- 市街化調整区域にある
- 不法投棄などで荒れている
共有名義の土地は、所有権者全員の同意がなければ売却できません。
所有権者全員と連絡が取れて、すんなり同意が得られたら良いのですが、そうでなければ不動産会社の手間は増えます。
隣地境界が不明確だと、隣地所有者と調整が必要で、不動産会社の手間がかかります。
市街化調整区域の土地も様々な制限があるため、売却には工夫が必要。
不法投棄では廃液などが地中に浸透して、土壌が汚染されている恐れがあります。
こういった土地は、膨大な手間の割に報酬はわずかなため、不動産会社はますます扱うことを嫌がります。
扱いたくないから「売れない」と言うだけで、本当に売れないとは限らないんだ。
田舎でも価格を下げれば、売れる土地は多いよ
土地が売れるか、自分で確かめる方法はあるの?
国土交通省のサイトで売買実績を確認できる。
まず過去の売買実績を確認してみよう
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産の大まかな売買実績を確認できます。
物件が特定されないように詳しい情報は隠されていますが、参考情報としては十分でしょう。
田舎でも土地は売れている
例えば長野県の中央にある山間の村では、2022年の1年間に6件の土地取引がありました。
人口およそ1,700人の小さな村で、過疎地に指定されています。
いずれも住宅地ですが不整形がほとんど。
接道のない土地も2件売買されており、価格は53万円(面積270m2、m2単価2,000円)、110万円(面積1,100m2、m2単価1,000円)でした。
最寄駅からも1時間〜2時間以上とアクセスは悪いものの、実際に取引されています。
まずは売りたい土地がある地域の売買実績を確認してみると良いでしょう。
【参考】国土交通省・不動産情報ライブラリ
よし! 頑張って売るぞ!
売却事例があればやる気もでるね。
田舎の土地を手放すには3つの方法があるよ。
売れない土地を手放す3つの方法
売れない土地を手放す方法として、次の3つがあります。
それぞれ詳しく解説します。
方法1.売却する
田舎の売れない土地でも、まず売ることを考えましょう。
ただし売るためには、次の5つの工夫が必要です。
それぞれ解説します。
売る工夫1. 複数の不動産会社にあたる
積極的に扱ってくれる不動産会社もある
不動産会社1社に断られても、簡単にあきらめず他の不動産会社にあたってみましょう。
田舎の土地は売却が難しく手数料も少ないため、不動産会社は敬遠しがち。
しかし根気よく探せば、積極的に扱ってくれる不動産会社もあります。
もし不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを利用すると楽だよ。
全国対応の一括査定サイトとして主要なものは、
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
不動産会社を探す4つのポイント
不動産会社を探すときは次の4つのポイントを知っておきましょう。
ポイント1. 買取でなく仲介
田舎の売れない土地は、業者の買取でなく、普通に仲介で一般の買主に売るのが基本。
不動産会社には、普通に売却の仲介を依頼しましょう。
買取は相場価格で転売できることが必須条件なので、田舎の土地はまず買取りできません。
買取業者は、確実に売れる物件を相場より2割以上安く買い、相場価格で転売するのが一般的です。
不動産の買取は最短1週間で売れますが価格は安くなりがち。しかし今なら高値で買取できるかもしれません。買取で高く売る4つのコツ、失敗しないための注意点を解説します。
ポイント2. 専任か専属専任媒介で1社だけに依頼
田舎の売れない土地の売却を不動産会社に依頼するときは、専任媒介か専属専任媒介で1社だけに依頼しましょう。
他に一般媒介契約で複数に依頼する方法もありますが、不動産会社にますます断られるだけです。
なぜなら一般媒介は、次の2つの理由から不動産会社に不利な契約だから。
- 仲介手数料を他社にとられて赤字になるリスクがある。
- 不動産会社が買主も担当する「両手仲介」をしにくくなる。
一般媒介は、都市部の人気マンションなどに向いていますが、ただでさえ不動産会社にメリットが少ない田舎の土地には不向きです。
家を売るときには、不動産会社と媒介契約を結びます。この時に、最低限知っておきたい媒介契約の種類と選び方、そして注意点についてまとめました。
ポイント3. 売出し価格と売却期間は柔軟に
田舎の売れない土地を売るときは、売出し価格と売却期間について、不動産会社の提案に柔軟に対応しましょう。
不動産会社に対して「理解のある売主」と印象付けた方が、売却を扱ってもらいやすくなります。
また不動産会社と良好な関係を築いた方が、結果として売却はスムーズに進み、高く早く売れやすいでしょう。
ポイント4. 地元密着の不動産会社
田舎の売れない土地を売るときは、地元の不動産を中心に扱う「地元密着の不動産会社」を中心に探しましょう。
大手より地元の不動産会社の方が、意外な買主や裏技的な売り方を知っている可能性があります。
地元で土地を探している人を知っていれば、数日で売れるかもしれません。
でも誰がそんな田舎の土地を買ってくれるの
実は色々な可能性があるんだ。
土地を買うのはこんな人
田舎の土地でも、例えば次の目的なら買う人がいます。
- ●太陽光発電
- 売電単価が安くなり需要は減りましたが、設備単価も安くなっているため、まだ一定の取引はあります。
- ●農地・物置・作業場
- 農業関連では、農地や機械などを置く物置場、加工などをする作業場。貸し農園なども運営できます。
- ●宅地
- 家を建てる目的の購入もあります。子供の結婚や親の介護で近所に土地を探す人、新型コロナで都市から田舎へ移住を検討する人も増えています。
- ●介護施設
- 高齢化で介護施設も増えています。特にサ高住(サービス付高齢者向け住宅)は、助成金があり建設が急増しています。
- ●物流施設・店舗・工場
- 幹線道路に近ければ物流施設や店舗のニーズもあります。また地下水の豊富な地域では、地下水を汲み上げてボトリングする水工場などもあります。
いろんなニーズがあるんだね!
並行して土地の活用方法を考えるのもあり
売却と平行して、自分で土地の活用方法を検討してみるのも良いでしょう。
もし収益が得られそうなら自分で活用しても良いですし、収益プランを提案すれば売れやすくなるかもしれません。
自分で土地の活用方法を探すなら、こちらの資料請求などがあります。
⇒【無料】資料請求【タウンライフ土地活用】
地元の不動産会社なら、土地を探している人を知っているかもしれないよ。
あと隣人や近隣住民で買う人を探すと、意外と見つかることもある。
売る工夫2. お隣、ご近所で探す
田舎の土地の場合、最も購入する可能性が高いのは、お隣やご近所の住民。
お隣(隣接地の所有者)であれば、自分の土地と合わせて活用できます。
ご近所なら、農地や物置、親族の宅地としてのニーズがあるかもしれません。
ご近所で探すなら、まず地元の不動産会社に聞くこと。
同時に、近隣には直接訪問、自治会を通じての口コミ、郵便局やスーパーに張り紙、地域新聞に掲載など、なるべく多くの方法を試すと良いでしょう。
ちなみに買主が見つかった場合、個人間でも売買できますが、できれば不動産会社を間に入れて売買した方が安心です。
直接個人間で家を売買することは可能ですが、意外と手間がかかり、運が悪ければトラブルになる恐れもあります。ここでは個人で家を売買するメリットとデメリット、失敗しないための個人間売買の流れをまとめました。
売る工夫3. 土地を売れやすくする
そのままで売れにくい土地は、売れやすくして売りましょう。
具体的な例として、次の5つがあります。
例1)広すぎる土地は分筆する
敷地面積が広すぎる場合は、土地をいくつかに分ける「分筆(ぶんぴつ)」で手頃な広さに分けると売れやすい場合も。
ただしどのように分筆するかで売れやすさも違うため、まず不動産会社に相談した方が良いでしょう。
分筆によって100平方メートル未満となる土地は、地域によっては売れなくなる可能性があります。不動産会社ですら間違う最低限度について解説します。
例2)接道が悪ければ隣地と等価交換や部分購入
敷地に建物を建てるには、一定の幅の道路に2m以上の間口で接する「接道義務」があります。
接道が悪い土地は売却が難しいため、まず隣接地の所有者に等価交換か部分購入ができないか交渉してみましょう。
等価交換とは、接道義務を満たすために、必要な相手の土地と自分の土地の一部を、等価になるよう交換するもの。
部分購入は、必要な土地を一部だけ相手から購入します。
隣地の所有者次第ですが、接道が良くなれば、土地は売れやすくなります。
土地は接している道路(接道)が土地の価値に大きく影響します。知っておきたい道路と土地の基本についてまとめました。
例3)古家があるなら解体して更地で
築古住宅が残っている土地でも「古家付き土地」で売れますが、解体して更地で売る方が売れやすいことも。
ただし注意したいのが、再建築不可や古い擁壁など、解体すると逆に売れなくなるリスクです。
解体する前に、必ず複数の不動産会社に意見を聞きましょう。
古い家を売る方法には8つあります。特に迷いがちな「解体するか」は3つの条件で判断しましょう。特殊な方法やテクニックも解説しました。
例4)市街化調整区域は特約付きで
市街化調整区域は、建物の建築が制限されているため売りにくくなります。
ただし自治体からの開発許可があれば、建物を新たに建てたり、建て替えが可能に。
一般的に開発許可は、土地の購入者(建物を建てる人)が取るものですが、売却前でも『開発許可の見込み』は確認できます。
もし開発許可の見込みがあれば、特約で『万が一開発許可が下りなければ契約解除』として、売り出せます。
市街化調整区域の土地は売れます。ただし制限があるために売りにくいのも確か。市街化調整区域の土地が売りにくい3つの理由、売却する2つの方法について解説します。
例5)田畑は宅地化という可能性も
田畑をそのまま売ると、購入者が農家に限定され売れにくくなるもの。
一方で宅地として売れば、購入対象は格段に増え売れやすくなり、価格も大幅に値上げできます。
ただし田畑(農地)を宅地として売るためには、農業委員会の許可が必要。
許可が得られるかは条件によるので、確認すると良いでしょう。
農地は売却できますが、宅地と比べると厳しい制限もあります。農地を売るときに知っておきたい注意点、高く売る方法をまとめました。
なんか、どれも専門的で難しそうだなぁ。
不動産会社に意見を聞くのが一番確実だよ。
売れないと断られても、どうすれば売れるか聞いてみると良いね。
売る工夫4. 空き家バンクに登録する
国や自治体の運営する空き家情報サイト
空き家バンクとは、国や自治体が運営する空き家・空き地の仲介サービス。
空き家バンクに登録すると、買主に補助金やポイントがあったりするため、土地が売れやすくなる可能性があります。
ただし自治体や時期によるので、必ずしも効果があるとは限りません。
空き家バンクの登録方法
空き家バンクは自治体版と全国版があり、まず自治体版に登録します。
登録方法は自治体によって違い、市町村に直接申込むか、加盟する不動産会社に申し込む方法のどちらか。
自治体の空き家バンクに登録後、一部の自治体では、自動で全国版の空き家バンクに登録されます。
国が運営する全国版空き家バンクは、athome(アットホーム)とLIFULL HOME’S(ホームズ)の2つあり、1,001の自治体が登録済です。(令和5年10月末時点)
他の方法と併用する方が確実
空き家バンクを利用する場合も、できれば他の方法と併用した方が確実でしょう。
なぜなら一般的な不動産ポータルサイトに比べると空き家バンクの利用率は低く、期待度は低めだから。
空き家バンクの登録物件数は常に1万件以上ありますが、1ヶ月に売れるのは2%〜3%(200〜300件)程度。
成約実績は、2018年1月から約6年間で約15,400件(令和5年10月末時点)と多くありません。
【参考】国土交通省・全国版空き家・空き地バンクについて(PDF)
売る工夫5. 山林は森林組合や役場のあっせん
山林の場合は、森林組合や自治体のあっせんでも売却できます。
条件を満たせば、譲渡所得の特別控除が受けられることも。
まずは山林のある地域の森林組合や役場に相談してみましょう。
山林については、こちらで詳しく解説しています。
山林は特殊な不動産なので、売却には山林特有の注意点があります。山林売却で知っておきたい知識、売却方法、税金の計算について、分かりやすくまとめました。
まずは売れないか、できることを試してみるんだね。
売れない土地でも、工夫すれば売れることも多いよ。
どうしても売れないなら、次は寄付を考えよう。
方法2.土地を寄付する
売却が難しい場合に考える方法が「寄付」です。
自治体への寄付は難しい
土地の寄付先としてまず思い浮かぶのは「自治体」かもしれません。
しかし、自治体への寄付はかなり難しいのが現実です。
自治体なら受け付けてくれそうな気もするけど・・・
もちろん、簡単に売れる土地や使い勝手の良い土地は受け付けてくれる。
でも売りにくい土地や使い道のない土地は難しいんだ。
自治体は寄付されてもメリットがない
自治体の収入源として、土地の固定資産税は大きな割合を占めます。
そのため土地の寄付を受け付けると、自治体の収入が減ってしまうことに。
それどころか、土地の維持管理費で負担が増えてしまいます。
こうした理由から、自治体は価値の高い土地しか寄付を受け付けません。
少しでも可能性がありそうなら、試しに自治体の担当窓口に相談してみよう。
もしかしたら特別な理由で寄付を受け付けてもらえるかもしれない。
自治体以外の寄付先として、個人や法人があります。
無料で欲しい人を探す方法も
無料で欲しい人を探すサービスもあります。
『みんなの0円物件』では、価値がゼロやマイナスの土地を、無料で欲しい人に譲れます。
必ず譲れるわけではありませんが、全国1,000件を超える物件を扱い、成約率は9割以上と高い確率。
令和2年度は国土交通省「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」に採択。
掲載は無料なので、試してみる価値はあるでしょう。
⇒「みんなの0円物件」
みんなの0円物件は、価値が0円やマイナスの不動産を他人に譲れるサイト。ただし注意点もあります。みんなの0円物件のメリットと注意点、評判・口コミについてまとめました。
個人や法人への寄付は贈与税に注意
ただし個人や法人へ寄付する場合は、所有権移転登記費用と贈与税がかかります。
所有権移転登記費用
所有権移転登記にかかる費用は、登録免許税と司法書士報酬。
登録免許税は贈与の場合、不動産の固定資産税評価額の2%です。
司法書士報酬は、所有権移転登記を司法書士に依頼した場合に必要で、10〜30万円程度かかります。
自分で所有権移転登記をすれば、司法書士費用はかかりません。
【参考】法務局・不動産登記
贈与税
個人に寄付した場合、寄付を受けた人には贈与税がかかります。
贈与税の基礎控除は110万円。
寄付した土地の評価額から110万円を引いた残りの額に応じた税率をかけ、納付する税額が決まります。
贈与税の税率と控除額
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
また一般企業への寄付は、売主にも税金が発生する恐れがあります。
なぜなら土地を寄付する際に、一旦土地を売却して現金を得た後、その現金を寄付したとみなされるため。
売却していないので実際に現金を得たわけではありませんが、「みなし譲渡所得」として課税されます。
【参考】国税庁・No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
方法3.相続から3ヶ月以内なら相続放棄
もし相続してから3ヶ月以内であれば、相続放棄によって手放す方法もあります。
※特別な事情がある場合や、被相続人が亡くなったことを知らなかった場合などは、3ヶ月経過後も放棄できることがあります。
全ての財産を放棄するのが基本
相続放棄すれば土地の権利を手放せます。
しかし田舎の土地だけ放棄して残りを相続することは難しく、全ての財産を放棄することになります。
【参考】裁判所・相続の放棄の申述
売れない土地だけを放棄できないの?
一応、限定承認という制度はあるけど、ほとんど使われないね。
限定承認はほとんど使われない
法律上では一応、部分的に相続放棄する『限定承認』という制度もあるのですが、デメリットが多くほとんど使われていません。
実際に1年間で相続放棄が26万497件に対して、限定承認はわずか696件とわずか0.3%です。(司法統計令和4年度)
なぜなら次のデメリットがあるため。
- 税金で有利な相続税が使えず、多額の譲渡所得税・住民税がかかる。
- 相続人全員の同意が必要
- 手続きが複雑で認められない恐れがある
【参考】裁判所・相続の限定承認の申述
ただし相続放棄しても、管理責任(保存義務)は残る恐れがある。
管理責任(保存義務)は残る恐れがある
相続放棄によって所有権は手放せますが、管理責任(保存義務)は残る恐れがあります。
【2023年4月民法改正】占有している人は保存義務あり
2023年4月の民法改正によって、「現に占有している」と相続放棄しても保存義務があると明記されました。
第940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。引用元: 民法
民法改正前は、相続を放棄しても管理責任を問われる基準があいまいで、相続放棄しても管理責任を問われる恐れがありました。
しかし民法改正によって、管理責任→保存義務と名称が変わり、占有している場合に限定されました。
占有している場合は、どうやって保存義務を放棄するの?
放棄するためには「予納金」が必要で、相続財産清算人を申し立てるんだ。
だいたい100万円程度必要だと言われているよ
管理責任(保存義務)の放棄も簡単ではない
管理責任(保存義務)を放棄する場合は、代わりに相続財産を管理する「相続財産清算人」を選任する必要があります。
(2023年4月の民法改正で相続財産管理人→相続財産清算人に名称変更)
財産の管理には手間がかかるため、その報酬として予納金を納めます。
- 家庭裁判所に相続財産清算人選任を申し立て、予納金を納める。
- 家庭裁判所が相続財産清算人を選任する。(弁護士・司法書士など)
→清算人が立たないケースも有る - 清算人は競売などで売却に努める。
→売れないケースも多い - 手を尽くしても売れ残った土地は国が引き取る。
→認められないケースも有る
民法改正の影響はまだ見えないが簡単では無いかも
2023年4月の民法改正により、相続放棄で保存義務の放棄がどう影響するか、まだ統計が発表されていません。
ちなみに旧民法では、例えば令和4年度に相続財産管理人選任の申立件数は約2.8万件。
しかし国が引き取った土地は、年間数十件程度。
いかに相続放棄で国に引き取られることが難しいかが分かります。
【参考】裁判所・相続財産清算人の選任
田舎の土地は相続放棄も難しいんだね。
なんだか面倒だから、そのままで良いような気がしてきた。
田舎の土地をそのままにするとデメリットが多いよ。
面倒でも今のうちになんとか手放した方が良いんだ
土地を所有し続けるデメリット
田舎の不要な土地を所有し続けると、次のデメリットがあります。
- 固定資産税がかかる
- 管理費用や手間がかかる
- 万が一の賠償責任
- 相続で子や孫まで迷惑をかける
- 過疎化が進み、今よりさらに売却が難しくなる
固定資産税は空き地(使っていない土地)であっても、所有している限りは課税されるもの。
1回に支払う額はわずかでも、10年20年と払い続ければ数十万、数百万円になることもあります。
タレントの松本明子さんが、空き家の実家を維持するのに25年間で1,800万円かかったニュースもあるね。
さらに雑草除去など管理の費用や手間もかかり、遠方だと見に行くのも大変。
古い家が建ったままだと、老朽化による倒壊も心配です。
高低差がある土地では、斜面が崩れる恐れも。
倒壊や崩落によって通行人に被害があると、億単位の損害賠償を請求されるリスクもあるでしょう。
そしてあなたが亡くなった後は、子供や孫に相続され、あなたが抱えている問題を代々引き継いでしまいます。
国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には
- 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
- 2割の地域で、無人化する。
ことが分かっています。
今後は人口が急激に減少するため、田舎になるほど今以上に売るのが難しくなります。
日本の長期人口変化
子供に相続する頃には、今以上に大きな問題になっているんだ。
子供に迷惑をかける前に、なんとか今手放したほうが良いよ
早く手放すと、管理の手間や費用も少なくて済むね。
まとめ
田舎の土地を手放す方法は次の3つ。
まずは何とか工夫して売ることを考えます。
条件さえ良ければ自治体への寄付も可能ですが、個人や法人への寄付の方が現実的。
また相続から間もないのであれば、相続放棄もありますが、全てを放棄し100万円程度の予納金が必要です。
どの方法が最適か分からなければ、まず不動産会社に相談すると良いでしょう。
田舎の土地を売るための5つの工夫がこちら。
不動産会社に売れないと断られても、いくつか当たれば扱ってくれる会社は見つかることが多いもの。
もし全てに断られても、売るためにどうすれば良いか聞けば、解決策は教えてくれるでしょう。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを活用してください。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
あなたの土地売却が成功することを心よりお祈りしております!