「接道状況が悪い土地だけど、売れるの?」
接道の悪い土地の売却でお悩みですね。
確かに土地の価格は、立地や広さだけでなく、接している道路(接道)が影響するもの。
でもせっかく売るなら、少しでも高く売りたいですね。
そんなあなたのために、接道状況が悪い土地の売却について、分かりやすく解説します。
接道の影響を正しく知れば、あなたは余計な不安が無くなり、安値で売却する失敗を防げるでしょう。
あなたの土地の売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
接道が悪くても売れるが、価格は安くなる
結論から言うと、接道が悪い土地でも売れますが、売却価格は条件によって安くなります。

土地の価格に一番影響するのは、道路と接する幅『間口』だね。
接道の間口と価格の目安
接道の間口で価格が安くなる目安として、路線価の計算が参考になります。
路線価は相続税を計算する際に使う土地の評価額。
国税庁が毎年1月1日時点の路線価を7〜8月頃に公示する。
実勢価格の計算根拠として、0.8で割り戻してる利用することもある。
【参考】国税庁・路線価図
路線価の計算を参考にすると、普通の住宅では、接道の間口の広さで次の補正がかかります。
接道の間口と価格の目安
- 間口8m以上: 補正なし
- 間口6〜8m: -3%
- 間口4〜6m: -6%
- 間口2〜4m: -10%
- 間口2m未満: 再建築不可(-30〜50%以下)
道路に広い間口で接している土地ほど、価格は高くなります。
逆に最も厳しいのが、接道義務を満たしていない「再建築不可」の土地。
こうした土地は相場より大幅に安くなるだけでなく、第三者への売却も難しいため、隣人に売る場合もあります。
この他にもセットバックやすみ切り、私道なども土地価格に影響するので、後で詳しく解説します。
再建築不可の土地の売却は、こちらで解説しています。

再建築不可って怖いね。
その接道義務って何なの?

接道義務は、建築基準法で決まっている条件だよ。
詳しく解説しよう。
接道義務とは
接道義務とは、建築基準法で決まっている接道の条件。
接道義務を満たしていないと、新しい建物が建てられないなどの制限があります。
道路に2m以上接すること
接道義務の具体的な内容は次の通り。
この道路とは、幅員4m以上など、道路としての条件を満たしている必要があります。

どんな道路でも良いわけじゃなく、幅4m以上の道路に2m以上接ししなければならないってことだね。

接するだけじゃなくて、出入りする部分が全て幅2m以上じゃないといけないんだ。
旗竿地では要注意だよ
旗竿地では途中の幅に要注意
旗竿地の場合、道路と接している部分(間口)の幅が2m以上あればOKではありません。
すべての路地部分(間口から奥の敷地までの通路部分)の幅が2m以上必要です。
この路地部分の一部に幅2m未満の場所があれば、その土地は接道義務を満たしていないことになります。

土地から道路まで、途中で幅2mないとダメなんだ。
もし2m無かったら絶対にダメなの?

条件は限られるけど、接道義務を満たさなくて再建築OKの救済措置もある
接道義務を満たさない土地の救済措置もある
接道義務を満たしていない土地であっても、救済措置によって建築が認められる場合があります。
「建築基準法第43条1項ただし書きの規定に基づく許可」があれば、建築が可能なのです。
その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可した物については、この限りでない。
なお、ただし書きが適用される土地かどうかは、自治体の担当部署に聞いてみないと分かりません。
また、都市計画区域外でも接道義務は対象外となります。

接道義務には例外もあるから、あきらめずに確認した方が良いんだね。
でも色々ややこしいなぁ。

さらにややこしいのは、道路でも建築基準法の道路しか認められないこと。
次は道路について解説しよう。
道路は6種類ある
接道義務の「道路」とは、私たちが普段イメージしている道路でなく、建築基準法で定められている道路のこと。

道路だから、車が走ったり、人が歩く通路なら良いと思っていたけど…違うの?

建築基準法で定められた道路で、次の6種類があるんだ
【建築基準法で定められた道路6種類】
- ① 42条1項1号(道路法による道路)
- 国道、都道府県道、市区町村道で幅員4m以上の道路
- ② 42条1項2号(2号道路)
- 都市計画事業、土地区画整理事業などによって築造された幅員4m以上の道路
- ③ 42条1項3号(既存道路)
- 建築基準法施行時にすでに存在した幅員4m以上の道路(公道・私道とも)
- ④ 42条1項4号(計画道路)
- 都市計画法、土地区画整理法などで2年以内に事業が行われるものとして特定行政庁が指定した幅員4m以上の道路
- ⑤ 42条1項5号(位置指定道路)
- 宅地造成と並行して造られた一定基準に適合する私道で、特定行政庁から位置の指定を受けた幅員4m以上の道路
- ⑥ 42条2項(2項道路)
- 建築基準法施行時にすでに建築物が建ち並んでいた幅員4m未満の道路で、特定行政庁が指定したもの
【参考】建築基準法・第四十二条
この6種類に該当しないものは、たとえ車が走っていて見た目がいわゆる「道路」だとしても、建築基準法上の道路としては扱われません。

最後の⑥は幅4m未満でも良いの?
4m未満だとダメじゃなかった?

古くからある道路で『2項道路』に指定されていたら、4m未満でも大丈夫なんだ。
ただし建て替えるときは、セットバックする義務がある
細い道路で注意したいセットバックとは
2項道路(幅員4m未満の道路)に面している敷地では、道路中心から2m後退(セットバック)した線が道路境界線とみなされます。
道路境界線より道路側の範囲には建物を建てることができないのです。

2項道路に面した土地は、自分の土地なのに建物を建てられない範囲があるってこと?

そう。
制限がある土地だから、価格にも影響するんだ
なお、道路の向かい側が川や崖、線路などの場合は「向かい側の道路境界線から4m」のセットバックが必要になります。
4m以上の公道でもセットバックを求められるケースも
さらに接道が4m以上の公道でも、場合によってはセットバックを求められるケースがあります。
なぜこうした事態になるのかというと、道路の管理方法が影響しているのです。

道路の管理には『現況管理』と『認定管理』の2つがあるんだ。セットバックが求められる可能性があるのは、認定管理の場合だよ
道路の幅などは「道路台帳」という台帳に記載されています。
現況管理の場合は、道路台帳に記載された幅員と現地の実際の幅員がそのままなので特に問題なし。
一方の認定管理では、道路台帳に記載された幅員と現地の実際の幅員が異なることもあるのです。
このとき、台帳に記載された幅員より実際の幅員が狭いと問題が生じます。

例えば、台帳に記載された幅員が5mなのに対し実際は4.8mだった場合。
認定に対して20cm不足しているから、その分、敷地を下げてもえらないかと指示される可能性もあるんだ

違っていた分、セットバックを求められるってことだね
セットバックを求められなかったとしても、官民査定によって道路と敷地の境界を確定させる作業が発生する恐れがあります。
官民査定は時間がかかるため、建築が先延ばしになってしまう恐れもあります。
擁壁は大きなマイナス要因になることも
敷地と道路に高低差がある場合に設置される擁壁。
この擁壁が道路部分にかかっている場合は、擁壁を造り直す必要があります。
これは「道路内や道路に突き出て建物を建ててはいけない」という建築制限のため。
古い擁壁や、擁壁を造った後に道路境界が確定した場合など、この建築制限にひっかかっている可能性があります。
擁壁の造り直しにはかなりの費用がかかるため、土地の価格にもマイナスの影響を及ぼすことが考えられるのです。
擁壁については、こちらで詳しく解説しています。
角地で注意したいすみ切りと道路斜線
角地とは二方が道路に接した土地。
接道条件が一方より日当たりや風通しが良く、地価も高いので人気です。
すみ切りで土地が減る
しかし、見通しの確保や通行上の安全を目的として、「すみ切り」と呼ばれる建築制限を受けることも。
すみ切りは、道路の交差部が一定条件下にある場合、一辺を2mとする二等辺三角形の部分を空地とするもの。

すみ切りは自治体ごとに条件が違うんだ。
自治体によって条件が違う
すみ切りが必要になる条件は、自治体によって違います。
最も多いのは「接する道路の幅員がいずれも6m未満のとき」というもの。
その他にも、次のようなものがあります。
- 2つの道路の合計幅員が10m未満のとき
- 2つの道路の合計幅員が12m未満のとき
なお、すみ切りの条件下にあっても、道路の交差の仕方によってはすみ切りが不要なこともあります。
道路斜線規制で建物の高さが制限される
建物の高さは、道路の幅員が狭いと影響を受ける恐れがあります。
出典: 大田区・道路斜線
詳細はかなり難しいので、不動産会社に質問した方が良いでしょう。
私道も状況次第で価格は変わる
接道が私道の場合は、位置指定道路か、所有権の持分があるかなど、状況次第で価格が変わります。
私道の場合、維持管理や補修に必要な費用については、敷地所有者など関係者全員で公平に負担するのが基本。
一定の金銭の支払いが必要なこともあります。
位置指定道路では時間の経過とともに、当初指定された位置と現在の位置がずれていることも。
この場合は建物の再建築の際に元の位置に復元することが求められ、敷地面積が減ることもあります。
また私道の持分が無い場合は、通行・掘削承諾書が必要になります。
詳しくはこちらで解説しています。
役所の建築指導課や道路課で確認が必要
接道義務を満たしているかどうかについては、役所の建築指導課や道路課で確認しなければなりません。

自分で役所に確認しに行く必要があるの?

自分で行かなくて大丈夫。不動産会社の担当者に聞いてもらうのが一番だよ
土地の価値に大きく影響する項目だからこそ、実績豊富で信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。
きちんと対応してくれる不動産会社であれば、現状で接道義務を満たしていない敷地であったとしても「どうすれば建物を建てられるか」といった対応策まで一緒に考えてもらえます。
まずは信頼できる不動産会社を探すことから始めましょう。

信頼できる不動産会社はどうやって探せば良いの?

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不動産会社の心当たりがない場合は、一括査定サイトを利用すると便利です。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。
一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。
この3社以外についてはこちらにまとめています。
すまいValue
- 査定実績:
- 40万件
- 不動産会社数:
- 大手6社・全国890店舗
- 運営会社:
- 大手6社共同運営
大手6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年に設立した一括査定サイト。
6社といっても全国890店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
2021年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトです。
簡易査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
地方では大手より地域密着の中小が強い場合もあるので、3位のHOME4Uも確認した方が良いでしょう。
しかし都市部では「すまいバリュー」が定番です。
特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。SRE不動産(旧ソニー不動産)
- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス株式会社
すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。利用できるエリアは首都圏と関西圏限定です。
あのソニーが始めた不動産会社で、売主だけを担当するエージェント制が特徴。無数にある他の不動産会社が買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。管理人のコメント
大手不動産会社でエージェント制はSRE不動産だけ。話を聞くと売却活動に役立つでしょう。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで査定を依頼することがポイント。まずメールで概算価格を査定してくれます。
HOME4U
- 査定実績:
- 累計40万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 1,500社
- 運営会社:
- 株式会社NTTデータ・スマートソーシング
日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数40万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
不動産会社は大小バランスよく登録されているため全国どこでも幅広く依頼ができます。
机上査定を選ぶと、郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておく程度で大丈夫。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
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