相続と不動産のイメージ
「相続した家を売りたいけど、どうすれば良い? 注意点は?」

相続した家の売却でお悩みですね。

確かに相続した家を売るにも、税金や手続きなど、分からないことが多いもの。

この記事では、そんなあなたのために、相続した家の売却の7つの注意点をまとめました。

この7つの注意点を知れば、失敗せずに高値でスムーズに売却する方法が分かるでしょう。

故人の大切な家を、必要とする買主へ売却することは、故人にも喜んでもらえるはず。

あなたの相続した家の売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

相続した家を売るときの7つの注意点

相続した家を売るときには、次の7つの注意点があります。

それぞれ解説します。

注意点1. 手続きには期限がある

相続には法律で決められた期限があり、期限を過ぎると利用できない特例などもあります。

期限を知らなかったとしても、期限が過ぎると修正できないものがあります。

まず『期限がある』ということだけ、知っておきましょう。

主な相続の期限まとめ

具体的には、次のような期限があります。

主な相続の期限まとめ

  • 相続の放棄: 3ヶ月
  • 故人の準確定申告: 4ヶ月
  • 相続税の申告及び納税:10ヶ月
  • 遺留分の請求: 1年
  • 相続した家を売却した場合の3,000万円控除の特例:相続後3年目の12月31日
  • 申告を間違えた相続税の還付請求: 5年10ヶ月

ハウスハウス

全然分からないよ。


家博士家博士

まぁまぁ、とりあえず2つだけ知っておこう。

特に注意したい2つの期限は、こちら。

  • 借金が多い場合は、3ヶ月以内に相続を放棄する。
  • 税金の特例を利用する場合は、10ヶ月以内に遺産分割協議を終えて、相続税を申告する。

詳しい内容については、次章以降で解説します。

相続以外にも手続きが多い

故人が亡くなると、悲しみと同時に、お通夜や葬儀など忙しい毎日が押し寄せます。

手続きだけでも、次のようなものがあります。

【参考】亡くなった後の手続き一覧(相続以外)

  • 死亡届(7日以内に市区町村役場へ)
  • 火葬許可申請書(死亡届と合わせて市区町村役場へ)
  • 世帯主の変更(14日以内に市区町村役場へ)
  • 健康保険・介護保険の資格喪失届出(14日以内に市区町村へ/会社の健保は勤務先へ)
  • 国民年金の受給停止と未支給分の請求(14日以内に年金事務所へ)
  • 厚生年金の受給停止と未支給分の請求(10日以内に年金事務所へ)
  • 水道・ガス・電気などの変更・解約(各社へ)
  • 住民票の除票の取得
  • 葬儀費・埋葬料の申請(2年以内に市区町村又は会社の健保へ)
  • 遺産分割前の預貯金の払い戻し
  • 生命保険の届出

とりあえず必要な手続きを済ませれば、相続は後でゆっくり考えたいところですが、相続にも期限があることだけ、先ず知っておきましょう。

ハウスハウス

大変な時なのに、時間は厳しいんだね


家博士家博士

まず借金がどれくらいあるのか、相続放棄の期限までに確認しよう

注意点2. 借金が多ければ3ヶ月以内に相続放棄

相続する財産以上に借金が多く相続を放棄するためには、3ヶ月以内に相続放棄の手続きが必要です。

相続には、プラスの財産だけでなく借金などマイナスの財産も含みます

普通に相続すると、住宅ローンやカードローン、知人からの借り入れなど、借金も全て相続することになります。

相続を放棄するためには、故人が亡くなってから3ヶ月以内に、故人の最終住所の管轄にある家庭裁判所へ申し出なければいけません。

【参考】裁判所・相続の放棄の申述

3ヶ月を過ぎると放棄できなくなります。

相続財産を整理する

相続財産を整理するときは、次の項目を参考にして下さい。

(1)土地と建物

自宅、アパート、土地、駐車場、建物、土地の借地権、山林など。

土地の評価額
土地の相続財産としての評価は、路線価といわれる土地の価格。
これは国税庁のホームページで確認出来ます。
財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
路線価×土地の面積=土地の価値になります。
路線価の調べ方はこちらで解説しています。
建物の評価額
建物の相続財産としての評価は、固定資産税評価額です。
毎年5月に送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。
無くしてしまった場合は、市役所や町役場にある名寄帳で確認する事ができます。

相続税の基礎控除以上に金額が大きい場合、土地は売らずに土地のまま相続した方が有利。
土地の相続税の評価額(路線価)は、実勢価格より2〜3割安い価格になるためです。

しかし相続人が複数いる場合は分割しなければいけません。
分割できない場合は、売却して現金にして分割するか、相続する人が他の相続人に現金を払って相殺する必要があります。
共有名義という選択肢もありますが、トラブルになるケースが多いため、なるべく避けた方が良いでしょう。

売却する場合の価格は、不動産会社に無料査定を依頼すると分かります。

今は都市部を中心に不動産価格が高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国202403)

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約11年で89%も値上がりしています。


戸建ては上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。

戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。

価格を正確に調べるためには、複数(3社程度)の不動産会社へ査定を依頼しましょう。

不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    77万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国875店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。

(2)現金、預貯金

これはそのまま、金融資産です。

(3)有価証券

株式、債券、投資信託など。

厳密には種類ごとに計算方法がきまっているのですが、概算を計算するには、直近の時価で十分。
投資信託などは解約した時の金額になります。

(4)その他財産

家具、車、書絵画、機械や器具、農機具、果樹や家畜、営業権、船舶など。

これも減価償却など厳密には色々ありますが、売った時の概算金額でとりあえずはかまいません。

(5)債務と貸付金

これは要注意。

住宅ローンは家の登記簿を確認すると抵当権が設定されているのでわかります。

住宅ローンが残っている場合は、ローンの保険(団体信用生命保険)に加入していれば、全額が保険金でカバーされます。
一般的には住宅ローンとセットで何かの保険に加入しているはずです。

万が一保険が無い場合は、家を売ってローンが全額返せるのか、早めに確認したほうが良いでしょう。

他にカードローンなどの無担保借入金、支払手形やクレジットカードの未払金、逆に他人に貸しているお金や手形など、見落としがないかよく調べましょう。

ちなみに葬儀費用などを債務として控除できます。

(6)相続財産に含まれないもの

生命保険の死亡保険金や死亡退職金は、見なし財産といって、分配の対象にはなりません。
ただし見なし財産は相続税の対象にはふくまれます。

相続税のかからない財産

1. 墓地・墓碑・仏壇・仏具
純金製の仏具で相続税対策をする方もいます。
2. 生命保険
相続人の受け取り金額のうち、500万円×法定相続人数までは非課税
【参考】国税庁・No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
3. 死亡退職金
相続人の受け取り金額のうち、500万円×法定相続人数までは非課税
【参考】国税庁・No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
4. 寄付金

【参考】国税庁・No.4108 相続税がかからない財産

限定承認もあるが現実は難しい

法律上では一応、部分的に相続放棄する『限定承認』という制度もあるのですが、デメリットが多くほとんど使われていません。

実際に1年間で相続放棄が26万497件に対して、限定承認はわずか696件とわずか0.3%です。(司法統計令和4年度

なぜなら次のデメリットがあるため。

  • 税金で有利な相続税が使えず、多額の譲渡所得税・住民税がかかる。
  • 相続人全員の同意が必要
  • 手続きが複雑で認められない恐れがある

【参考】裁判所・相続の限定承認の申述

ほとんどの場合は単純承認、マイナスの相続では相続放棄になります。

(参考)相続の種類
相続放棄
相続人を放棄すること。負債が多い場合などは放棄することになります。3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをする必要があります。
限定承認
相続財産を超えた負債は相続しないこと。相続の負債がはっきりしない場合は、相続人全員が3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てする必要があります。手続きが面倒なのであまり利用されていない制度です。
単純承認
条件をつけず全財産を相続すること。3ヶ月を過ぎても特に家庭裁判所へ申し立てしていない場合は、自動的に単純相続になります。あとから負債が多い事に気付いても、これを覆すことが出来ません。

ハウスハウス

3ヶ月で間に合わない場合はどうするの?


家博士家博士

事前に家庭裁判所に相談して、期間を伸長してもらう方法もある

注意点3. 相続税は10ヶ月以内(特例でゼロでも申告)

相続で家を売る場合は、相続税の対象になる恐れがあるため、ザックリと確認しておきましょう。

なぜなら、相続税の申告と納税の期限は10ヶ月と短いのですが、家の売却には6ヶ月以上かかるケースもあるため。

家の売却代金で相続税を支払う場合は、無理に売り急いで、相場の6〜8割という安値で手放すことになりかねません。

基礎控除と特例で9割以上は非課税

9割以上の人は、相続税を納める必要がありません。

なぜなら基礎控除の金額が大きく、特例で様々な軽減制度があるため。

基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人数

基礎控除の計算はこちら。
基礎控除額3000万円+600万円×法定相続人数
(法定相続人は次章で解説します。)

【基礎控除の計算例】
例えば、配偶者1人子供2人がいれば、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
までは相続税の対象外になります。

【参考】国税庁・No.4152 相続税の計算

ちなみに相続税の申告が必要か判断するために、国税庁が相続税の申告要否の簡易判定シートを提供しています。
国税庁・申告要否の簡易判定シート

特例で様々な軽減がある

相続税には様々な軽減制度があります。

基礎控除を超える場合も、軽減制度を利用すると大幅に控除できます。

主な相続税の軽減制度

1. 配偶者の税額の軽減
配偶者の相続は、法定相続分又は1億6千万円まで非課税
(ただし相続開始10ヶ月以内に遺産分割をして遺産を受け取っている場合)
【参考】国税庁・No.4158 配偶者の税額の軽減
2. 小規模宅地の特例(特定居住用宅地等)
故人の配偶者や同居していた親族などが、居住用の宅地を相続すると、330m2までは土地の評価額が8割減額(他に事業用宅地の減額もあり)
【参考】国税庁・No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
3. 未成年者控除
未成年の場合は、満18歳になるまで1年に付き10万円を控除
【参考】国税庁・No.4164 未成年者の税額控除
4. 障害者控除
障害のある方の場合、満85歳になるまで1年につき10万円を控除(特別障害者の場合は20万円)
【参考】国税庁・No.4167 障害者の税額控除
5. 相次相続控除
今回の相続開始前10年以内に相続税を払っていたら、2回目の相続税から一定額を控除
【参考】国税庁・No.4168 相次相続控除
6. 贈与税の控除
相続開始前3年以内に支払った贈与税は相続税から控除
【参考】国税庁・No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

詳しくはこちらも参考に

相続税の申告・納税は10ヶ月以内(特例でゼロでも)

相続税の申告と納税の期限は、故人が亡くなってから10ヶ月以内。

注意点として、特例によって相続税の納税がなくても、10ヶ月以内に申告しないと、一部の税額控除の特例が適用できません。

具体的には次の2つの特例です。

10ヶ月以内に申告しないと使えない特例

  • 小規模宅地の評価減の特例
  • 配偶者の税額の控除
ハウスハウス

納税はともかく、申告はしないといけないんだね

税率は累進課税

基礎控除を超える場合は、次の税率で相続税を納める必要があります。

【相続税の税率】

課税対象額 税率 控除額
1000万円以下 10%
1000万円〜3000万円 15% 50万円
3000万円〜5000万円 20% 200万円
5000万円〜1億円 30% 700万円
1億円〜2億円 40% 1,700万円
2億円〜3億円 45% 2,700万円
3億円〜6億円 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

【参考】国税庁・No.4155 相続税の税率

家博士家博士

決まった税理士がいない場合は、不動産会社に紹介してもらうのもいいね

基礎控除を超えるなら税理士に相談する

相続税は複雑なルールがあり、間違った計算方法で、相続税を多く納めてしまうことも。

基礎控除額を超える場合は、相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

例えば相続専門の税理士を紹介してもらえる、こちらのサービスなどもあります。

税理士を探してみるならこちら
税理士ドットコム

相続税は現金

もし相続税を納税する場合は、現金一括納税なので、限られた時間で現金を用意する必要があります。

法文では、期間の開始について「故人が死亡した事を知った翌日から」となっています。

しかし、これは証明することが難しいので、通常は「故人が死亡した翌日から」と考えて下さい。

現金の一括納税が難しければ延納か売却

相続税を納税する現金が不足する場合は、

  • 延納(数年かけて分割納税する)
  • 物納(不動産そのもので納税する)←難しい
  • 不動産を売却して現金で納付する

という選択肢があります。

物納は、最近制限がかなり厳しくなっているので、現実的ではありません。

売却は売り急がない

売却する場合、売り急ぐと相場の2〜3割安い価格になってしまいます。

売却期間として最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月を予定しましょう。

すこしでも早く売るためには、優良な不動産業者となるべく早く売買契約を結ぶことが大切です。

売れなくても大手なら納税サポートあり

一部の大手不動産会社、三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルなどは、期間中に売れなくても納税費用を立て替える納税サポートがあります。

これら大手にまとめて査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

すまいValueは大手上位4社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+)とその他大手2社(小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイト。

大手上位4社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したので、これらに査定を依頼できる一括査定サイトはすまいValueしかありません。

すまいValue

すまいValueの公式サイトはこちら
すまいValue

注意点4. 相続の配分について決める

相続で家の売却を考えるときは、相続の配分にも要注意。

後から相続人の間でトラブルにならないように、しっかり話し合う必要があります。

相続の配分は、遺言の有無で変わります。

1. 遺言が無い場合(法定相続人)

原則として法律で相続の順番と割合が決まっています。

法定相続のルール

  • 配偶者は必ず相続人になります
  • 第1順位 子
  • 第2順位 親
  • 第3順位 兄弟姉妹

この優先順位で相続されます。
配分の比率は相続人の人数と順位によって異なります。

【参考】国税庁・No.4132 相続人の範囲と法定相続分

ケース1:配偶者と子が相続する場合
 配偶者→相続財産の1/2
 子  →相続財産の1/2
※子が2人居る場合は、子の配分1/2を更に2人で分けることになります。

ケース2:子供が居ない場合→配偶者と親が相続する場合
 配偶者→相続財産の2/3
 親  →相続財産の1/3

ケース3:子も親も居ない場合→配偶者と兄弟姉妹が相続する場合

 配偶者 →相続財産の3/4
 兄弟姉妹→相続財産の1/4

このように法定相続分として、優先順から配分割合まで決まっています。
ちなみに愛人や愛人の子供は法定相続人にはなりません。

また配偶者は相続でかなり強い立場にあたります。
この他、配偶者には相続税も特例として軽減されます。

2. 遺言がある場合

遺言がある場合は、基本的に遺言に従って配分します。
ただし極端な配分は出来ません。
遺留分といって、最低限は配偶者や子供に相続しないといけないのです。

遺留分を持っている権利者は、配偶者、子、親まで。
兄弟姉妹は遺留分はありません。

遺留分は遺産全体の1/2又は1/3を遺留分権利者全体に残し、遺留分権利者で法定相続の割合と同じく配分します。

例1、愛人など特定の人に全財産を譲るという遺言の場合
1/2までしか譲る事はできません。遺留分として残り1/2は配偶者や子、親で配分します。

例2、長男に全財産を譲るという遺言の場合
2/3までしか譲る事はできません。遺留分として残り1/3は配偶者や子、親で配分します。

このようにある程度は相続配分まで決まっています。

相続財産の遺留分の請求は故人が亡くなってから1年以内にする必要があります。
1年を超えてから裁判を始めようとしても、消滅時効と判断されます。
この間に財産目録を作成し、相続人で配分しなければいけないのです。

【参考】裁判所・遺留分侵害額の請求調停

家の評価はトラブルの元

家を売却しない場合、家を相続した人が配分に見合う金額を現金で他の相続人に渡す方法がよく使われます。

このときの家の価格は、相続税の評価額ではなく家の実勢価格で考えるのが一般的。

しかし家の実勢価格は分かりにくく、トラブルの元になりがちです。

3社以上の無料査定で決める

価格を決める方法は、不動産会社の無料査定を利用するのが一般的。

ただし一社の査定だけでは金額の根拠として弱いので、3社以上の不動産会社から査定をとる方が良いでしょう。

不動産会社の心当たりがない場合は、不動産一括査定サイトを利用すると便利です。

大手の運営する一括査定サイトとして主要なものは、

  • 三井のリハウス・住友不動産販売など大手6社が共同運営のすまいValue
  • NTTデータグループが運営のHOME4U
  • リクルートが運営のSUUMO売却
  • LIFULLが運営のHOME’S

その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

ハウスハウス

売却するか決まってなくても、無料査定依頼して良いの?


家博士家博士

将来的に少しでも売る可能性があれば良いよ。
さすがに絶対に売らないなら、無料査定を依頼せず、不動産鑑定士に有料で依頼する方が良いね。

民法(相続法)改正で配偶者は家に住み続けやすくなった

2020年4月1日以降は、被相続人の配偶者が自宅で住みながら、その他の財産も取得できるようになりました。

【参考】法務省・民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

注意点5. 納得して家を売る

相続で家の売却を考えるときは、家を売ることを親族全員が納得すること。

全員納得するためには、家を売らずに所有し続けたときのデメリットを理解する必要があります。

家を売らずに所有した場合のデメリットを解説します。

家を売らない場合は維持費が必要

家を売らない場合、維持費がかかります。

(1)固定資産税・都市計画税

家を所有するだけで固定資産税・都市計画税が毎年かかります。
1月1日時点の不動産所有者が、1年分の税金を支払います。

空き家は固定資産税が6倍になる恐れも

注意したいのは、2014年11月に成立した「空き家対策特別措置法」。
管理不全空家の勧告を受けると、空き家の固定資産税が6倍になります。

(2)戸建住宅では外壁や防水などの修繕費

戸建住宅は、紫外線や雨風で外壁が劣化するため、10年に1度程度の頻度で外壁や屋根の塗装をする必要があります。
外壁塗装の費用は条件によって様々ですが、1階床面積が15坪(49.5m2)で60万〜110万円、30坪(99m2)で100万〜180万円程度かかります。

(3)マンションでは管理費・修繕積立金・建替費用など

マンションでは、毎月の管理費、修繕積立金がかかります。
また大規模修繕では一時金として数十万〜百万円の修繕一時金が必要になる場合も。
長期修繕計画が何年先まであるか、確認したほうが良いでしょう。

大規模修繕については、こちらで解説しています。

一番怖いのは、1981年以前の旧耐震設計のマンション。
耐震補強工事が必要な場合は、1戸あたり数百万円の工事負担が突然発生する可能性もあります。

またマンションが老朽化すると建て替えの話もでてきます。
多くのマンションは、建替えで高額な費用負担が発生します。

建替えについてはこちら

(4)水道光熱費などの基本料金

空き家にしていても、掃除などにたまに使用する場合は、電気・水道・ガスは止められません。
この基本料金は使用していなくても毎月徴収されます。

例えば東京23区では、使用しなくても、これぐらいの金額がかかります。
水道・下水: 1,420円/月
電気(40A): 1,123円/月
ガス: 745円/月
合計: 3,288円/月
(年間 39,456円)

(5)火災保険や地震保険

空き家でも、雨漏りや水害の可能性はあります。
また不審火や漏電による火災もあります。
地震で損傷すると、補修や撤去費用もかかります。
所有している限りは、最低限の保険には加入しておいたほうが良いでしょう。
空き家でも火災保険などの保険料は特に安くなりません。

(6)草刈りや清掃の手間

近隣の迷惑にならないように、定期的に草刈りや清掃を行う必要があります。
管理サービス会社に委託も出来ますが、費用がかかります。

売らないと価値が下がる

家は古くなると価値が下がります。
将来売るなら、早めに売った方が高く売れるのです。

(1)空き家が増えて、地方は下落傾向

日本人の人口・世帯数と住宅戸数

住宅戸数と世帯数の変化2018年rev3

日本の空き家率は2018年時点で13.6%。
地方では30%を超えている地域も。

国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には

  • 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
  • 2割の地域で、無人化する。

ことが分かっています。

結果として、シンガポール国立大学の研究によると、日本の住宅価格は2010年→2040年の30年で平均46%下がる(価格は半額)と予想されています。

(※出典:Analysis of policy options to address Japan’s declining population, shrinking birthrate, and aging society

家を売っても、誰も買わない時代が近づいてきています。

特に地方では、早く売る方が正解だといえるでしょう。

都心部では2022年問題もあります。

(2)特定空き家は強制解体で費用が請求

「空き家対策特別措置法」で特的空き家に指定されると、役所からの指示や警告のあと、強制解体の対象に。
解体費用は所有者に請求されます。
築年数が古く、地震で倒壊の危険がある場合などは要注意です。

(3)誰も住まない家は劣化が進む

誰も住まない家は、早く劣化します。
閉めきってしまうため、内装や設備が傷みやすいのです。
数年空き家だと、再び住む前にリフォームが必要になる場合も。
その分、建物の価値は築年数の経過以上に下がります。

また閉めきることでシロアリ、カビやダニなども発生しやすく、野良犬やハクビシン、ネズミ、ゴキブリなどの害虫害獣のリスクも増えます。

(4)トラブルのリスク

空き家になると、防犯上の不安があります。
不審者や未成年者が侵入したり、くわえタバコの不始末で火事をおこしたりする可能性もあります。
トラブルがあると家の価値は大きく下がります。

(5)突然売れなくなる法改正のリスク

立地適正化法をご存知でしょうか。
この法律の影響で、田舎の家がある日突然売れなくなる可能性があります。
これは各地方自治体が進めている「非居住地域」(人が住まないエリア)の指定によるもの。
この地域に指定されると誰も不動産を買わなくなります。

「貸す」という可能性も考える

もし将来住む可能性があるなら、「貸す」という選択肢もあります。
利益は期待できませんが、維持費程度の収入にはなるでしょう。
空き家にした場合の様々なリスクは軽減されます。

あくまで利益は期待できません。
貸している期間も、家の価値はどんどん下がります。

いずれ売却するなら、貸さずに売却した方が良いでしょう。

賃貸についてはこちらも参考に

反対する親族がいて話し合いをする時はこちらを参考に

ハウスハウス

空き家にするなら、売って誰かに使ってもらった方がよさそうだね


家博士家博士

もちろん誰かが住めれば一番良いんだけどね

注意点6. 相続登記をする

相続で家の売却を考えるときの注意6つめは、売却前に相続登記をすること。

故人の名義のままでは売却できません。
売却前に相続人で話し合って、誰か一人又は共同名義で相続登記をする必要があります。
【参考】法務省・あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

司法書士に依頼して相続登記をしましょう。
売却を依頼する不動産会社にお願いすれば、相続登記も手配してくれます。

ちなみに相続登記は令和6年4月から義務化され、3年以内に登記しなくてはいけません。
【参考】法務省・所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

相続登記など準備することは、こちらで解説しています。


家博士家博士

不動産会社にお願いすれば司法書士も紹介してくれるよ

注意点7. 利益がある場合は相続して3年目の年末

もし相続した家を売って利益があり、3,000万円の特別控除が利用できるなら、相続して3年目の年末までに引き渡しを終える必要があります。
【参考】国税庁・No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

注意したいのは、相続した家の購入価格(取得費)が不明な場合は、取得費は売却価格の5%になり、残りほとんどが利益として課税されること。

税率は所有期間が10年超で約14%と高くありませんが、ムダな税金は払わずに済ませたいものです。

ただし特例には次のような条件もあります。

相続した空き家の特例の条件

  • 亡くなった時点で住民は故人のみ。
  • 建物は旧耐震(昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたこと)。
  • 戸建てでマンション(区分所有建物登記がされている建物)でないこと。
  • 譲渡の時において建物を解体するか、一定の耐震基準を満たすこと。
  • 売却代金が1億円以下であること。

詳しくは、こちらも合わせてお読み下さい。


ハウスハウス

こんなことがあるんだ。知らないと3年なんてすぐ過ぎてしまいそうだね…


家博士家博士

ここで知ることができたなら良かったよ。税金は1日でも遅れるとダメだからね

まとめ

相続した家を売る7つの注意点はこちら

  1. 手続きには期限がある
  2. 借金が多ければ3ヶ月以内に相続放棄
  3. 相続税は10ヶ月以内(特例でゼロでも申告)
  4. 相続の配分について決める
  5. 納得して家を売る
  6. 相続登記をする
  7. 売却益がある場合は相続して3年目の年末

売却するなら、不動産会社にこれらのほとんどを相談できます。

まずは実績豊富で信頼できる不動産会社を探すと良いでしょう。

都市部なら大手3社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル)が実績豊富。

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あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!