新耐震の戸建てでも2000年より前だと問題になる『2000年基準』をご存知でしょうか?
熊本地震(2016年4月)をきっかけに、木造戸建ての耐震基準『2000年基準』が注目されています。
もしあなたが2000年基準に適合しない一戸建てを売る予定なら、この話を知っておいたほうが良いでしょう。
なぜなら近い将来、耐震性が問題で売りにくくなり、耐震診断や耐震改修工事が必要になる恐れがあるため。
ここでは、2000年基準に適合しない一戸建てが問題になっている経緯、売るなら急ぐべき理由をまとめました。
この記事のもくじ
一戸建ての2000年基準とは
木造一戸建ては2000年の耐震基準も重要
建築物の耐震基準では、1981年を境に分けられる「旧耐震基準」と「新耐震基準」が有名です。
しかし一戸建てのような木造建築物では、2000年6月にも耐震基準の大きな変更がありました。
建築前の確認申請日が2000年5月までの木造戸建て住宅は、2000年基準に適合していない恐れがあります。

なんで木造が2000年6月に変更されたの?

1995年の阪神淡路大震災で、木造の新耐震が数多く倒壊したからだよ。
この2000年基準が、2016年の熊本地震をきっかけに、再び注目されているんだ。
熊本地震で被害に大きな差が
熊本地震の後、震源地に近いエリアを中心に建物の被害状況に関する調査が実施されました。
その結果、2000年基準で建てられた家が、明らかに地震に強いことが証明されたのです。
【建物の耐震基準と被害状況】
- ① 旧耐震基準(1981年5月以前)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:28.2%
無被害だった家屋:5.1% - ② 新耐震基準(1981年6月から2000年5月まで)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:8.7%
無被害だった家屋:20.4% - ③ 2000年基準(2000年6月以降)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:2.2%
無被害だった家屋:61.4%

新耐震でも、8割が被害があったんだ!
新耐震でも安心できないね。

こんなに違いがあったことで、2000年基準が注目されているんだ。
2000年以前の木造戸建ての多くが耐震性に問題
実は新耐震(1981年6月〜2000年5月)の木造一戸建ては、9割が現行の耐震基準に不適合で耐震改修工事が必要という調査結果も。
(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合・木造住宅耐震診断調査データより)
つまり、この時期のほとんどの木造一戸建てが現行の耐震基準を満たしていないのです。

9割って、相当な割合だね

そうだね。
国としても調査を進めていて、国土交通省がとりあえず2017年5月に耐震性能を検証する方法を公表している。
今のところは「推奨」だけ
国土交通省としては、何らかの対策をとる必要があったので、一般社団法人日本建築防災協会に依頼して、新しい検証法を作成しています。
国土交通省の発表では、あくまで新しい検証方法を「推奨」するだけで、義務化しているわけではありません。
国土交通省としては、既存の木造住宅について、平成12年(2000年)以前のものを中心に、リフォーム等の機会をとらえ、同年に明確化した仕様に照らして、接合部等の状況を確認することを推奨する
新しい検証法は、在来軸組工法の木造住宅を対象に、次の手順で耐震性を検証するというものです。
- 所有者がまず簡易的に耐震性を検証する。
- 問題があれば専門家に耐震診断を依頼する。
詳しい検証法はこちら
⇒一般社団法人日本建築防災協会・新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)
ただしこの検証法の推奨は、今後の住宅耐震化の布石であり、今後はさらに厳しい措置が予想されています。
木造戸建ての2000年基準の内容
2000年に新しくなった木造戸建ての耐震基準「2000年基準」の具体的な内容として、主なポイントは次の3つ。
木造戸建て2000年基準のポイント
- 地盤に最適な基礎をつくる
- 接合部に金具を使いしっかり固定する
- 耐力壁をバランスよく配置する
それぞれ解説します。
ポイント1. 地盤に最適な基礎をつくる
2000年基準では、地盤の固さ(強さ)「地耐力」を調べ、地耐力が不足していれば地盤改良工事を行うことが必須になりました。
理由は、地震時に建物が不揃いに沈む「不同沈下」を防ぐため。
やわらかい(弱い)地盤に家を建てると、地震時の不同沈下により基礎や壁、梁などにひび割れが生じたり、最悪の場合は倒壊してしまう恐れがあります。
地盤の強さは土地によって大きく違い、基礎の構造である程度カバーできますが、最低でも一定の固さ(強さ)が必要なのです。
しかし2000年以前は地盤の強度を調べないで、地盤が弱くても強くても同じ基礎を造っていました。
基準がないため、設計者や施工者の判断で補強や地盤改良をしていたため、建物によって耐震性に大きな差ができていたのです。
なお2000年基準では、引き渡しから10年以内に不同沈下が起きた場合、施工者が無償で修復する義務があります。

2000年基準だと、まず基礎が全然違うんだね!
ポイント2. 接合部に金具を使いしっかり固定する
2000年基準では、筋交いや柱の頭・根元部分をしっかり固定するため、使用する金具や柱のサイズが指定されました。
なぜなら接合に適切な金具を使わなかったり、サイズが適切でないと、地震の揺れで接合部が抜ける恐れがあるためです。
実は1981年の新耐震基準では、筋交いの入った壁を増やすことで揺れに強い構造にすることが定められました。
しかし、せっかく揺れに強い構造にしても、接合部が緩ければ意味がありません。
2000年基準では接合に使う金具を具体的に指定することで、この点を改善しています。
ポイント3. 耐力壁をバランスよく配置する
2000年基準では耐力壁のバランスが改善され、壁の質や量、配置まで考慮し、家全体での耐震性を向上しました。
具体的にはバランス計算を義務化し、偏りの度合いである「偏心率」が0.3以下に。
これまでは日当たりを考慮し、南側は窓、北側は壁が多いという家が一般的でした。
そのため、揺れに強い筋交いの入った耐力壁も北側に偏り、窓の多い南側はどうしても揺れに弱い造りに。
揺れに対する強さのバランスが悪くなり、阪神淡路大震災では多くの建物が「ねじれて」倒壊しました。

とりあえず耐力壁を使えうのではなくて、全体的なバランスまで考えるんだね

そう。ちなみに基準では偏心率0.3以下だけれど、実際にはより安全性を高めるために0.15以下で設計することが多いよ
今後は耐震診断・耐震改修が必要になる恐れも
耐震診断および耐震改修にかかる費用の大まかな目安は次の通りです。
耐震診断の費用
耐震診断の費用の目安は、木造住宅で概ね20〜50万円程度。
竣工時の図面が無い場合は図面を作成する料金が発生するため、もう少し高くなります。
なお耐震診断費用については、自治体で補助金が受けられますが、現在は旧耐震の一戸建てのみが対象。
おそらく今後の2000年基準の扱い次第で、何らかの補助が始まると予想されますが、まだ分かりません。
補助金の条件は自治体ごとに異なります。
【参考】日本建築防災協会 住宅·建築物の耐震化に関する支援制度
耐震改修工事の費用
耐震改修工事の費用は地域や規模にもよりますが、100〜150万円の工事が最も多くなっています。
耐震診断と同じく、こちらも国や自治体による助成制度の利用が可能。
こうした制度を利用すれば、自己負担額はもっと少なくなります。
耐震改修工事費については、次の式を利用しておおよその費用を出すこともできます。
※耐震改修後の評点は、最低でも1.0以上とすること。
※算出される金額はあくまでも目安なので、実際の金額とは異なる場合もあります。
リフォームと合せる方が安くなる
耐震改修工事だけを実施するのではなく、リフォームに合わせて改修工事を実施する方法もあります。
実は改修工事とリフォームを別に行うより、合わせて行う方が工事費用は安く済むもの。
同時に行うのがオススメです。
所得税や固定資産税の特別減税がある
耐震改修工事を実施すると、所得税や固定資産税が減税されます。
改修工事にかかった費用の10%相当額(上限25万円)が所得税から控除。
期間は平成33年12月31日までとなっています。
控除の適用を受けるためには、自治体から「耐震改修証明書」を発行してもらう必要があります。
適用条件は以下の通り。
- 昭和56年6月以前に建築された建物(旧耐震基準の建物)
- 「木造住宅の耐震診断と補強方法」による診断で、診断結果「1.0以下」の建物を「1.0以上」に改善した工事である
- 確定申告を行う
【参考】国税庁・No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
固定資産税については、1戸当たり120平方メートル相当分まで半額に。
平成32年3月31日までの改修で、1年度分が減税されます。
なお、建築士事務所登録のある事業所で証明書を発行してもらう必要があります。
適用条件は以下の通り。
- 昭和57年1月1日以前に建築された建物
- 改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下
- 「木造住宅の耐震診断と補強方法」による診断で、診断結果「1.0以上」に改善した工事である
- 耐震改修工事が完了した日から3ヶ月以内に自治体の税務課等へ申告する
- 耐震改修工事費用が50万円以上であること
今はまだ大丈夫
今のところ、2000年基準を満たさない一戸建ての売買で、耐震診断や耐震改修工事を求められることはほとんどありません。
最近、国土交通省が推奨している中古住宅の基準『安心R住宅』でも、新耐震であれば2000年基準に適合しなくても良いことになっています。
しかし、次の大規模地震で2000年基準がさらに注目された場合、耐震診断や耐震改修が義務化される流れが予想されます。
つまり近いうちに、2000年基準を満たさない一戸建てが
- 買い手に敬遠され、売りにくくなる
- 売る場合は耐震診断と耐震改修工事が必要になる
と予想されるのです。
まとめ
熊本地震をきっかけに2000年基準が重視されつつあります。
もし2000年基準を満たさない家を売る予定があるなら、2000年基準への注目が高まる前に売却した方が高く売れるでしょう。
今は都市部を中心に不動産価格が高騰しています。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。
中古マンションは約10年で85%も値上がりしています。
戸建ては上昇していないように見えますが、これは都市部の値上がりを田舎の値下りが打ち消しているため。
戸建ても都市部では大きく値上がりしています、。
試しに今ならいくらで売れるのか、売却価格を確認してみてはいかがでしょうか。
あなたの今後の住環境と人生設計で、最高の選択ができることを、心よりお祈りしております!
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