「空き家をリノベーションして貸せば儲かる?」
空き家の活用にお悩みですね。
空き家にするより、賃貸に出したほうが良さそう。
貸すならリノベーションするべきか…。
そんなあなたのために、筆者がマンション20室以上を8年間賃貸した経験を元に、リアルな現実を解説します。
この記事では、空き家をリノベーションして賃貸に出すメリット・注意点を解説。
また今の不動産市場と、これからの見通しについても解説します。
あなたの空き家活用が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
空き家をリノベーションして賃貸すると儲かる?
趣味には良いが赤字になりがち
空き家のリノベーションは、趣味には良いですが、投資としては赤字になりがちです。
なぜなら賃貸中の利益以上に売却価格が安くなってしまうため。
例として、リノベーション(リノベ)後10年で売却したイメージがこちらです。
リノベ費用と不動産価格のイメージ
(リノベ後10年で売却した場合)

でもテレビで、空き家をリノベーション後に賃貸した成功事例を見たよ。

成功事例といってるけど、本当は売却すると赤字だったりするんだ。
特に空き家をリノベーションすると、売却で赤字になりやすい。
空き家をリノベーションすると、売却で赤字になる理由は2つあります。
売却で赤字になる2つの理由
- リノベーション費用は不動産価格に全額上乗せできない
- リノベーションは資産価値の減少が早い
それぞれ解説します。
理由1. リノベーション費用は不動産価格に全額上乗せできない
リノベーションをしても、不動産価格に反映できるのは5〜6割程度と考えた方が良いでしょう。
なぜならリノベーションをしても、築年数は新しくならないため。
日本では新築信仰が強く、築年数が重視されます。
また築年数が古いと、リノベーション済みでも住宅ローン審査が通りにくく、購入者がローンを組めません。
たとえ見た目が新築同然でも、築年数相当の価格になってしまうのです。
理由2. リノベーションは資産価値の減少が早い
リノベーションによって不動産価格に上乗せされた資産価値は、減少が早く10年後にはほぼ無くなります。
なぜなら内装は耐用年数が短く、デザインや設備の流行も10年で一新されてしまうため。
ピカピカのリノベーションも10年後には時代遅れの古びた内装になってしまいます。
国土交通省のガイドラインでも、冷暖房設備やインターホンなどの耐用年数は6年になっています。

例えば10年前のウォシュレットを想像すると分かりやすいね。
さらに賃貸の入居者は、どうしても他人の家という感覚があり、内装の痛みも早くなるもの。
こうした理由からも、リノベーションの資産価値は、早く減少します。

リノベーションしても、売却で損するのか…。
じゃあ、売らずにずっと所有し続ければいいの?

賃貸は売却まで考えるのが正解だよ。
築年数が古くなると、賃貸が難しくなるからね。
賃貸は売却まで考えるのが正解
賃貸では売却まで考えるのが正解です。
なぜなら築年数が古くなるにつれて、徐々に賃貸が難しくなるため。
築年数が古くなると、3重苦で賃貸が難しくなる
築年数が古くなると、次の3重苦により賃貸が難しくなります。
- 家賃が下がり続ける(目安は年1%ペースで下落)
- 建物の補修や設備の故障が増え、手間と費用が増える。
- 家賃を下げても空室が埋まらなくなる
家賃が下がり、維持費が増えるため収支が合わない結果に。
また賃貸を探す人は『築10年以内』などの条件付きで検索するため、空室を埋めるのも難しくなります。
築30年の賃貸は、多少内装をキレイにしても、築3年など築浅の競合には勝てません。

古くなったら、もう一度リノベーションしたら?

再リノベーションは損失が増えるだけだよ。
再リノベーションは損失が増える
内装が古くなれば、再リノベーションをする選択肢もありますが、多くは損失が増えてしまいます。
なぜなら賃貸収入で、2度目のリノベーション費用を回収することは、1度目以上に難しいため
築年数が古くなる分だけ、家賃の値上げが難しく、売却時の損失がさらに膨らんでしまいます。

だんだん賃貸が難しくなるのか。
最後は売却しかないの?

駅徒歩10分圏内など立地が良い戸建てなら、建替えや更地で売却もある。
それ以外は売却しかない。
賃貸はババ抜きゲームの要素もあるからね。
賃貸はババ抜きゲームの要素もある
賃貸は徐々に採算が厳しくなるため、赤字になる前に売り抜ける『ババ抜きゲーム』の要素もあります。
なぜなら築年数が古くなった戸建て・マンションを売りに出しても、一般人の購入は少なく、多くは投資家が買うため。
投資家は転売して利益がでる物件しか買わないし、なるべく安く買うことで出口の自由度を高くします。
例えば築古マンションは、買取再販業者が大幅な安値で買い取り、最低コストでフルリノベーションして居住用の一般人に転売。
また築古戸建ては、個人投資家が格安価格で購入し、低コストのセルフリノベーションで賃貸に出したり、他の個人投資家に転売します。

最後にババを引くって、なんか怖いなぁ

キチンと出口を想定してシミュレーションすれば大丈夫だよ。
賃貸は出口を想定してシミュレーションする
賃貸では売却という出口を想定してシミュレーション(試算)しましょう。
賃貸で利益を得るためには、
賃貸中の利益(インカムゲイン) > 売却で失う金額(キャピタルロス)
でなくてはいけません。

なんだか難しいなぁ。
どうやってシミュレーションしたら良いの?

売却価格の下落を含めた実質利回りで収支を計算することだね。
売却価格のマイナスを含めて計算する
具体的には、売却価格が安くなるマイナス分を、賃貸期間中の収支計算に含めます。
実質利回りで収支を計算する
空き家をリノベーションして賃貸する前に、売却まで想定して収支をシミュレーションしましょう。
収支は、表面利回りではなく実質利回りで確認します。
実質利回りの計算方法はこちら。
支出に全てを含める
「支出」には賃貸にかかる費用を全て含めましょう。
さらに売却時の損失も考慮します。
具体的には次を考えます。
- リノベ費用(耐用年数で割る)←売却の損失
- 不動産価格の減価←売却の損失
- 入居者を見つけるための広告費(家賃1〜3ヶ月分)
- 退去後の現状復旧費
- 空室期間のロス(通常5〜15%)
- 入居中の設備の修理費
- (一戸建ての場合)外壁塗装・屋根防水補修費用
- (マンションの場合)管理費・修繕積立金
- (あれば)ローン返済額の利子分
- 火災保険、地震保険、その他保険
- 固定資産税・都市計画税
- 所得税(貸して利益が出れば)
- 確定申告費用(税理士に依頼する場合)

多いね!
リノベ費用の耐用年数とか、不動産の減価かといきなり分からないよ!

売却時の損失は、とりあえず簡易的に計算しておけば良いよ。
売却時の損失は簡易計算で
売却時の損失は詳しくシミュレーションした方が良いのですが、ここでは簡易計算で考えます。
リノベーションの耐用年数は内容によって違いますが、分からなければ10年と考えて良いでしょう。
(詳しくはリノベの内容ごとに耐用年数を考えて、定率で減価償却した方が良いのですが、ここでは簡易的に考えます。)
建物の減価は、国土交通省の資料を参考にします。
一戸建ては築20年を過ぎると建物価格が購入時の1〜2割に、マンションは築30年で購入時の3割程度に値下がりします。
その他、詳しい支出は、こちらの別記事で解説しています。

でも今は不動産相場が値上がりしてる、家が古くなっても値上がりしてるんじゃないの?

建物の値下り以上に地価が上がれば、合計は値上がりするね。
まず今の価格を確認してみると良いかもね。
まず空き家の価格を確認してみる
今の不動産価格を知るために、まず空き家の価格を確認してみると良いでしょう。
幸い今は都市部を中心に、不動産価格が高騰しています。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。
マンションは、約10年で82%も値上がりしています。
一戸建ては、平均では変わっていませんが、立地によって値上りと値下がりの2極化が進んでいます。
エリアによっては1年で数百万円も価格が上がっている可能性も。
家の価格を正確に知るためには、売買実績が豊富な不動産会に無料査定を依頼しましょう。
担当者の当り外れもあるので、できれば3社以上に査定を依頼した方が安全です。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
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おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 40万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国900店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)
- その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)
- 地方(人口密度が少ない地域)

でも計算は難しいなぁ。

今はとりあえず、ザックリと知っておけば大丈夫。
とりあえず読み進めよう。
次に、将来の売却で知っておきたい不動産市場について解説するね。
将来の売却で知っておきたい不動産市場
短期的には金融緩和の限界がリスク
日銀の金融緩和が限界の今、金融緩和の終焉により不動産価格が下落する恐れがあります。
不動産価格を高騰させた金融緩和が限界に
今の不動産価格高騰は、2013年1月に始まった日銀の異次元金融緩和が引き起こしたもの。
しかし日銀の金融緩和はすでに限界です。
日銀の印刷したお金の量を、GDP比で米国・欧州と比較すると、その厳しい現状は明らか。
中央銀行が印刷したお金の量(GDP比)
金融緩和で日銀が印刷したお金の量は、欧州の2.5倍以上、米国の約4倍と世界でも異常な数字に。
今は緩和効果よりも副作用が大きくなり、金融緩和はもう限界です。

日本だけ、こんなにお金を印刷したんだ!

世界初の実験だったけど、残念ながら不動産や株だけ値上りして、賃金は上がらなかった。
今は世界の主要国が金利を上げたから、日銀も金利を上げ始めたんだ。
世界が金利を上げた
主要国の中央銀行は、インフレ対策として2022年から金利を大きく引き上げました。
米国(FRB)←世界経済に最も影響が大きい
- 2022年3月 ゼロ金利から利上げ開始
- 2022年5月〜12月 6回連続の利上げ
- 2023年2月 8回目の利上げで金利4.50〜4.75%に
【参考】米利上げ0.25%に減速 「継続的引き上げ」の声明は維持
欧州(ECB)
- 2022年7月 ゼロ金利から11年ぶりの利上げ開始
- 2023年2月 5回目の利上げで金利3.00%に
【参考】ECB、大幅利上げを決定 3月も「0.5%引き上げ」
英国(BOE)
- 2021年12月 金利0.10%から利上げ開始
- 2023年2月 10回目の利上げで金利4.00%に
日銀も金融緩和を終える流れ
世界的な利上げに逆らえず、日銀も金融緩和を終える流れです。
すでに2022年12月20日には、事実上の利上げ(長期金利上限0.25%→0.50%)を発表。
【参考】日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ
岸田政権は金融緩和を終える方向で日銀の次期総裁を調整しており、2023年4月の総裁交代が大きな転機と予想する専門家が増えています。
もし日銀・政府の共同声明で金融緩和の終了が明言されれば、不動産価格は大きく動くかもしれません。

金融緩和が終わると、不動産価格はどうなるの?

金利が上昇して、不動産価格は下落する恐れがある。
日銀の金融緩和が限界の今、いずれ金融緩和の終焉があり、不動産価格は下落する恐れがあります。
もし不動産を売却する予定なら、準備しておいたほうが良いでしょう。
大きな経済の変化は約10年周期で起きている
過去を振り返ると約10年〜15年周期で大きな経済の転換期がありました。
- 1987年10月 ブラックマンデー(米株が1日で22.6%暴落)
- 1998年10月 ロシアの債務不履行、日債銀など多くの金融機関が破綻
- 2008年9月 リーマンショック
- 2023年 ???
将来はどうなるか、誰にも分かりません。
しかし今の低金利が続くとは考えにくいでしょう。
立地で値動きは大きく違う
最近は不動産の立地が重視されるため、立地によっても値動きは大きく違います。
駅から遠いと地価下落が続いている
最寄り駅から遠いほど地価は下落しやすく、今の高騰相場でも駅から遠いエリアでは地価下落が続いています。

地価が下落するって、地方の話じゃないの?
都市ならそんなこともなさそうだけど…

都市圏でも、駅から遠いと地価が下落しているんだ
都市も地方も同じ
国土交通省が毎年発表している公示地価を見てみましょう。
3大都市圏(首都圏・中部圏・関西圏)と地方で、最寄り駅からの距離と地価の変動がこちら。
最寄り駅距離別の公示地価変動率
(3大都市圏・2018年)
最寄り駅距離別の公示地価変動率
(地方圏・2018年)
公示地価は、国土交通省が毎年全国に定めた標準地約3万地点を対象に、1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を3月頃に発表するもの。
都道府県の発表する基準地価と合わせて、土地取引の指標になります。
公示地価は、国土交通省の土地総合情報システム 地価公示・都道府県地価調査にアクセスすると調べられます。
⇒国土交通省地価公示・都道府県地価調査
土地の価格の調べ方について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
3大都市圏でも地方圏でも、駅から近いと地価が上昇し、駅から遠いと地価が下落しています。
つまり最寄り駅からの距離次第で、今後の地価が上がるか下がるか、全く違う傾向だと分かります。
目安は駅徒歩7分以内
具体的な目安として、最近は駅徒歩7分(距離に換算して560m)が、一つの分岐点だといわれています。
駅徒歩7分以内のエリアでは、家を貸して家賃収入を得るのも良いでしょう。
しかし駅徒歩7分を超えるエリアは、値下がりする前に早く売却することも検討しましょう。

昔から不動産は立地が全てというけど、特に最近は駅近物件に人気が集中しているんだ。
駅から遠いと、今後は売ることも難しくなる恐れがある。
長期的には空き家が増加し、売る事すら困難に
さらに駅から遠いエリアでは、価格が安くなるだけでなく、売却が難しくなっている恐れがあります。
世帯数は減少しても増え続ける新築住宅
日本では、2008年をピークに人口が急速に減り続け、高齢化が進んでいます。
しかし、年間89万戸(賃貸34万戸・持ち家55万戸、2021年)も新築住宅が増加。
(国土交通省・住宅着工統計より)
結果として、空き家率は2018年で13.6%となり、空き家が増え続けています。
日本人の人口・世帯数と住宅戸数

なんで空き家が余っているのに新築住宅を建てるの?

日本では、新築住宅に規制が無いからだよ。
新築住宅を制限すると、景気や選挙に影響するからね。
他の先進国では新築住宅が規制されて、空き家率は2〜3%だけど。
持ち家の27%が空き家予備軍
2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。
そうなると空き家は一気に増加。
すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。
実に27%もの住宅が「空き家予備軍」です。
地方だけでなく、東名阪エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。
これだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れない恐れがあります。
空き家予備軍の割合(2018年時点)
地方は5割が人口半減、2割が無人化
国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には
- 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
- 2割の地域で、無人化する。
ことが分かっています。
またシンガポール国立大学の研究によると、日本の住宅価格は2010年→2040年の30年で平均46%下がる(価格は半額)と予想されています。

都市も地方も空き家が増えて、売りにくくなるんだね

売るかどうかはともかく、まず今の価格を確認すると判断しやすい。
リフォームやリノベーションも費用を抑えてできるならメリットがあるよ。
空き家をリノベーション・リフォームするメリット
空き家を賃貸に出す前にリノベーション・リフォームをすることは、次のメリットがあります。
メリット1. 家賃が高くなり、空室リスクが下がる
ただし好立地・競合が少ない・適正な家賃の場合
空き家をリノベーション・リフォームすると、家賃は高くなり、空室リスクは下がります。
ただし、あくまで次の条件に限ります。
- 駅から近いなど賃貸需要のある好立地
- 周辺の競合(賃貸の空き家)が少ない
- 築年数や立地に見合った適正な家賃で貸す
立地が悪かったり、競合が多く賃貸の空き家が多いエリア、また相場より明らかに高い家賃では、リノベーションしても空室を埋めるのは難しいでしょう。
特に立地が悪いとリノベーションの効果は低い
賃貸物件を探している人が最も重視するのは立地です。
入居希望者が探しているエリア内なら、リノベーションで競合物件に勝てるでしょう。
しかし「場所はどこでも良いから、リノベーション物件に住みたい」という人はいません。
立地が悪い物件は、リノベーションの効果は低くなります。
適正な家賃を確認する
空き家をリノベーション・リフォームする前に、費用に見合う家賃で貸せるか、賃貸に強い不動産会社を数社まわって意見を聴いてみると良いでしょう。
賃貸に強い不動産会社を探すなら
NTTデータグループのHOME4Uなら、賃貸に強い不動産会社(管理会社)が探せます。
賃貸の実績が豊富な優良企業が全国70社以上参画。
あなたの条件に応じて、サブリースや定期借家も相談できます。
メリット2. 倒壊・犯罪などのリスク軽減
管理されていない空き家は、倒壊の危険性があるだけでなく、犯罪の温床にもなります。
最近でも、2018年5月に中国地方の刑務所から逃走した受刑者が、瀬戸内海にある島の空き家に潜伏しながら逃走を試みた…なんて事件もありました。
また空き家は放火の対象として、狙われやすいという事実もあります。
リノベーション・リフォームをして貸すことは、こうしたリスクを軽減するために有効です。
メリット3. 趣味には楽しく、地域にもプラス
リノベーション・リフォームは、趣味として楽しめます。
プランを考えたり、自分で作業すれば、費用を抑えることもできるでしょう。
賃貸経営も、趣味として楽しめば、勉強になります。
また地域社会にとっても空き家のままより、リノベーション・リフォームをして貸すのは良いこと。
収支は赤字になっても、趣味としての出費と考えれば、メリットはあるでしょう。

こうして見てみると、資産活用というよりも自分自身の満足感や地域への貢献という意味でメリットがありそうだね

メリットとデメリットのバランスで判断すると良いよ
空き家をリノベーション・リフォームするデメリット
一方で、リノベーション・リフォームして賃貸に出すことには、デメリットもあります。
デメリット1. トータルで損するリスクが高い
空き家をリノベーション・リフォームして賃貸に出しても、トータルで損するリスクが高くなります。
費用をかけても賃料収入で回収するのは難しい
リノベーション・リフォームに費用をかけても、賃料収入で回収するのは難しいのが現実です。
なぜなら次の3つの理由があるため。
- (前述の「賃貸は出口を想定してシミュレーションする」で解説した通り)賃貸中の賃料収入は思った以上に手残りが少ないから。
- (前述の「空き家をリノベーションして賃貸すると儲かる?」で解説した通り)リフォーム費用は売却価格に5〜6割しか上乗せできず、約10年でその価値も無くなるから。
- さらに不動産が古くなる分だけ建物価格が下がるから。
結果として売却の値下がりでトータルは赤字になるケースが多いのです。
もしリノベーションして賃貸に出すのであれば、将来の売却価格までシミュレーションして、トータルで利益になるのか見極めましょう。

不動産の賃貸収入があっても、手取りは少ないし、売るときは大きく値下がりするんだね。

賃貸に出すのでなく売却するとしても、リフォーム費用を上乗せするのは難しい。
上乗せすると割高な物件になってしまうからね
リフォーム費用を安くするなら相見積もりで
リフォーム費用を少しでも安くするなら、最低でも3社以上から相見積もりをとりましょう。
相見積もりならホームプロが最大手
- 対応エリア: 全国
- 相見積り: 最大8社比較
- 登録会社数: 1,200社
ホームプロは、10年連続でリフォームサイト利用者数1位(リフォーム産業新聞による)
日本初のリフォーム会社紹介サイトとして、2001年のサービス開始から利用会員数が累計80万人以上、累計成約件数10万件以上、累計取扱高2,000億円という、ダントツの実績があります。
ホームプロでは、匿名でリフォーム会社を最大8社紹介してもらえて、商談まで可能。
電話や訪問などで直接営業される心配がありません。
デメリット2. 古くなるほど売却が難しくなる

家が売れないことなんてあるの?

立地が悪く築年数が古いマンション、空き家が多い分譲地などは、価格を下げても売れないケースが増えているよ
売れない不動産が増えている
すでに売ろうとしても売れない不動産が増えています。
例えば、新築時は数千万円で分譲されていた苗場のリゾートマンションが、今は10万円〜20万円で売りに出されていますが、誰も買いません。
また郊外の戸建てでも、周囲に空き家が多い分譲地は、すでに売却が難しくなっています。
価格を下げれば売れると思いがちですが、擁壁が古くなると、擁壁の再構築に土地代以上の工事費がかかり売れないケースも。
価値がマイナスになった不動産を無料で譲るサービスも人気となっています。

不動産の所有権を放棄できないの?

不動産は放棄できないんだ。
不動産の所有権は放棄できない
不動産の所有権は、誰かに売却したり譲ったりするまで放棄できません。
一応2023年4月から不動産を放棄できる制度ができますが、実際はハードルが高く普通の不動産は放棄が難しいのが現実。
売れないと毎年維持費がかかってしまうだけでなく、子供や孫にまで迷惑がかかります。

相続は放棄できないの?

相続放棄では全ての資産を放棄する必要があるんだ。
それに、仮に全て相続放棄して所有権が無くなったとしても、空き家の管理責任は残るよ。
マンションでは建て替えも難しい
マンションは築40年を超えると、配管の水漏れや下水の詰まりなどトラブルが頻発し、住みづらくなってきます。
そろそろ建て替えかと思いがちですが、残念ながらほとんどのマンションは建て替えできません。
建て替えが必要な旧耐震マンションのわずか2%弱、マンション全体の0.3%しか建て替えられていません。
(国土交通省 マンションに関する統計・データ等)
建て替えできないと解体して敷地売却か、スラム化に
建て替えできないマンションは、住民の8割が合意できれば解体して土地を売却できます。
しかし住民の意見統一は難しく、多くは解体できずに管理が限界となり、スラム化するしかありません。
国土交通省の平成30年度マンション総合調査によると、すでに3割以上のマンションが修繕積立金不足となっています。

リノベーションして賃貸に出す場合は、あらかじめ売却のタイミングまで考える方が良いよ
空き家リノベーションの費用相場
空き家をリノベーションする費用の相場は、工事をする範囲によっても変わりますが、大まかに次の通り。
- 部分的なリフォームの場合…100万円〜300万円
- 全体的なリノベーションの場合…500万円〜1,500万円
家賃10万円で貸すとして、ざっくり手元に残るのは多くて平均7万円程度。
7万円×12ヶ月×6年=504万円
一回も空室にならず、退去もなく、順調にいっても回収するのに6年かかります。
その間に家の価値が下がっていると、その分だけマイナスに。
家を貸して利益を残すためには、初期費用を抑えることが大切だと分かります。
さらに耐震補強や外壁塗装が必要な場合も
リフォームやリノベーションに加え、一戸建てでは耐震補強や外壁塗装で更に費用がかかることも。
特に2000年以前に建築確認申請を取っている木造戸建てでは、多くが耐震性が不足しています。
耐震診断の費用は20〜50万円、耐震改修工事の費用は100〜150万円がかかります。
外壁塗装は、普通の一戸建てで70〜150万円程度です。
減税や補助金もあるが投資用は対象外も
リフォームやリノベーションは、減税や自治体からの補助が受けられることもあります。
しかし減税や補助金は条件付が多く、額もそこまで高額ではありません。
また他人に貸す前提の物件は「投資用物件」とみなされ、対象外になりがち。
利用条件をよく確認して、判断しましょう。
【参考】一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会 リフォームの減税制度について
【参考】地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和元年度版)
リフォーム会社は工事で利益が確定する
「リノベーションすれば家賃が高くなるので、空き家にしておくよりお得です!」
リノベーションの相談をすると、リフォーム会社からはこんなことを言われるかもしれません。
しかしリフォーム会社は「リフォーム・リノベーションのプロ」であって、「賃貸経営のプロ」ではありません。
またリフォーム会社は、大規模なリノベーションほど、利益が大きくなります。
確かに、家が綺麗になれば入居者が見つけやすく、家賃も高くなりますが、高額なリフォーム費用を取り戻せるかは別の問題。
リフォーム会社は工事が終わればそこで利益が確定して終わりですが、オーナーは違います。
入居者探しから退去後の現状復旧、そして売却まで、全てのリスクはオーナーであるあなた自身が負うのです。

そもそも築古住宅の賃貸経営で成功している人は、リフォーム会社を使わない。
自分で材料を購入してリフォームするDIYで費用を抑えないと、利益がでないからだよ。
まとめ
リノベーションして賃貸に出すことは、そのまま空き家として放置しておくよりも、社会的には良い事です。
しかしそれで利益があるかはまた別の話。
もし人気エリアで駅近の好立地物件であれば、賃貸経営として成功する可能性もあります。
しかし立地が悪い空き家は、リノベーションしたところで家賃が値上げできず、トータルで赤字になりがち。
最悪は、将来売る事すら難しくなるリスクもあります。
後悔しないためにまず今の売却価格を確認し、不動産会社の意見を聞いてから判断した方がよいでしょう。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
-
おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 40万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国900店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)
- その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)
- 地方(人口密度が少ない地域)
あなたの空き家活用が成功することを、心よりお祈りしております!