空き家で心配なトラブルが「放火」。

あなたが「空き家」を所有しているなら、放火のリスクと対策について知っておきましょう。

火災の原因1位は放火

日本の火事の原因は1位が「放火及び放火の疑い」。
(出典:総務省消防庁・令和4年版消防白書

2021年も、日本で起きた全火災3万5,222件のうち、「放火・放火の疑い」が3,888件(11%)と1位でした。

平均すると、1日に約11件の放火が起きている計算になります。

放火・放火の疑いによる死者も、2021年で333人。

毎日の様に、放火で亡くなる人がいるのです。
(出典:総務省消防庁・消防統計

ハウスハウス

放火ってそんなに多いんだ! 怖いね!


家博士家博士

特に空き家は放火で狙われやすいんだ。

空き家が狙われる放火の実例

放火で狙われやすいのが「空き家」。

実際に空き家を狙った放火が、全国で繰り返し起きています。

ここでは一部を引用してまとめました。

17日早朝、成田市の成田山新勝寺の近くの住宅街で、空き家など計16棟が燃える火災があった。同署や成田市消防本部によると、17日午前4時半ごろ、成田市東町254の空き家から出火、隣接する空き店舗や住宅に延焼し5棟が全焼。ほかに住宅など4棟の一部を焼いたほか、乗用車3台も被害を受けた。同市消防本部は「100メートル離れたところで火災が起きたのは火の粉による延焼なのか、不審火の可能性もあるのか慎重に調べている」としている。 現場はいずれも成田山新勝寺や成田高校に近い住宅密集地で、成田市消防本部から15台、地元消防団から17台の消防車両が出動。同市田町の現場近くに住む女性(70)は延焼を免れたものの「強風で火の勢いがとても強く、空一面がオレンジ色に染まっていた。火の粉がものすごく舞い散り、自分の家も燃えると覚悟していた。生きた心地がしないほどの恐怖だった」と振り返った。

愛知県警豊橋署は6日、空き家敷地内の枯れ草に放火したとして、豊橋市内の男子中学生(14)を、非現住建造物等放火未遂の疑いで緊急逮捕した。愛知県警察本部 発表によると、中学生は2日午後5時45分頃、同市王ヶ崎町の空き家敷地内で、空き家に延焼する可能性を認識しながら、枯れ草などにライターで放火し、草などを燃やした疑い。 調べに対し、「おもしろ半分でやった。火を見るのが好きだった」と話しているという。同市内では、1日から6日の間にほかに4件の不審火が発生。一部の不審火への関与も認めているといい、同署で詳しく調べる。

2月26日午後9時5分ごろ、空き家から火が出ているのを近くに住む女性(66)が発見、119番通報した。この火事で、木造2階建て住宅1棟と同空き家3棟、木造平屋の空き家1棟の計5棟が全焼。さらに近くの住宅1棟が半焼、別の住宅1棟で雨どいが溶けるなどした。

 朝霞署によると、全焼した住宅の会社員男性(53)は出火当時、外出しており、火事によるけが人はなかった。同署は不審火の可能性も視野に捜査している。

 現場は空き家などが密集しており、近所に住む男性(78)は「風向きによってはうちに燃え移ってもおかしくなかった。10年以上誰も住んでいないのに電気が通っている家があり、危険を感じていた」と眉をひそめた。

空き家に放火したとして、非現住建造物等放火と邸宅侵入の疑いで、両容疑者を逮捕したと発表した。逮捕容疑は今年4月30日午後10時10分ごろ、睦沢町大谷木の木造平屋建ての空き家(約106平方メートル)に侵入し、6畳間に放火して建物を全焼させた疑い。火は近くの山林にも延焼し、約20平方メートルを焼いた。
2人は容疑を認め、椙村容疑者は「消防車や消火活動が見たかった」と供述しているという。

長年空き家状態だった建物や倉庫などが燃える不審火が21件発生。2017年1月18日に八出地区の木造2階建て空き家約100平方メートルの全焼に始まり、3月は横山地区を中心に6件、4月は津山口地区などで5件が相次いだ。9~10月は八出、横山両地区などで7週連続で発生した。

11月5日午後3時45分ごろ、東京都足立区千住元町の空き家から火が出ていると119番通報があった。東京消防庁の消防車など17台が出動し、火は約1時間後にほぼ消し止められたが、木造3階建ての空き家約70平方メートルが全焼した。

11月7日午前2時ごろから同2時半ごろにかけ、東京都足立区新田で不審火が5件相次ぎ、空き家や町工場など3棟計約50平方メートルや、自転車などが燃えた。

10月8日未明、山武地域で民家火災が2件連続発生した。現場間の距離は約600メートルと近く、いずれも火の気がなかったことから、山武署は連続放火の可能性もあるとみて詳しい出火原因を調べている。
 午前0時10分ごろ出火、木造2階建て住宅約130平方メートルを全焼した。同署によると、空き家で所有者は不在だった。近隣住民の男性が119番通報した。焼け跡の1階部分で灯油のようなにおいがしたという。

ハウスハウス

放火されると、空き家だけでなく近隣の家まで燃える恐れがあるんだね。


家博士家博士

近隣のためにも、空き家を所有しているなら放火対策が必要だね。

空き家の放火対策とは

空き家と分からない様にする

放火イメージ
一番大切なことは、外から見て空き家と分からない様にすること。

特に目を付けられやすいのは…

  • 郵便ポストのちらし
  • 庭の草木の手入れ
  • 街灯や玄関照明の点灯
  • 投げ込まれた違法投棄のゴミ

こまめに通い、家の手入れをすることが大切です。

地元の不動産会社が空き家管理サービスなどをしていることもありますが、基本は月1回の巡回。
郵便ポストのチラシや庭の草木まで管理できるのか、サービスの内容をよく確認してみましょう。

ハウスハウス

空き家に見えないように維持するのは大変だね。


家博士家博士

空き家だと施錠や警報装置にも限界があるんだ。

施錠や警報装置にも限界が

家の外見で空き家と分からなければ、施錠を確実にして、警報装置などをつければ安心です。

その代わり警報装置を設置するには、電気のブレーカーを落とすことができません。

電気を通したままの場合、コンセントにホコリがたまり発火する事故や、家の中の配線をネズミやハクビシンがかじり、ショートして発火する事故などが心配です。

ハウスハウス

電気がショートして火事になるのか。
でも火災保険で被害はカバーできるよね。


家博士家博士

空き家だと普通の火災保険は使えないよ。

空き家の火災保険も要注意

もし放火によって火災が起きた場合、建物の補修や解体費用が必要になります。

さらに近隣へ燃え移った場合、空き家の所有者が責任を問われる恐れもあります。

こういったリスクをカバーするためには保険が良いと思われがちですが、問題もあります。

空き家の火災保険は割高で断られることも

空家の場合、普通の住宅用火災保険は使えず、割高な保険になります。

住宅物件ではなく、保険料が高い「一般物件」として、火災保険を申し込むのが一般的。

さらに問題なのは空き家の火災保険は、保険会社によって断られることも多いということ。

空き家は出火リスクが高いため、保険会社も避ける傾向があります。

保険期間の中途で事務所や店舗などの用途に変更して使用される場合や空家になった場合などは、当社ではお引受けできず、ご契約は解除となります。

賠償責任保険も適用外

台風や大雨で、瓦や外壁、塀が倒れて第三者がケガをした場合、賠償責任で多額の請求があります。

火災保険でよくセットになる個人賠償責任保険が、こういった賠償責任をカバーしますが、空き家では利用できません。

空き家では、「施設賠償責任保険」という建物の賠償責任保険が必要です。

施設賠償責任保険も、空き家では保険会社に断られるケースがあります。

空き家はリスクが高く保険会社も避ける傾向

そもそも空き家を対象とした「空き家保険」という商品は、どこの保険会社も出していません。

これだけ空き家が増えて、社会的にニーズが高まっているにもかかわらず、保険が商品化されていないのです。

原因は、空き家のリスクが非常に高く予想しにくいこと。

結果として保険料が高くなり、商品として成り立たないからだと考えられます。

ハウスハウス

そうか、空き家だと保険に入れないことがあるのか。


家博士家博士

空き家のリスクは放火だけじゃないよ。

放火以外のリスクも

郊外イメージ
放火の他にも、空き家を所有するリスクは年々高くなっています。

固定資産税・都市計画税が高額になる恐れ

空き家の管理が悪いと、固定資産税・都市計画税が高額になる恐れがあります。

具体的には、自治体から管理不全空家の勧告を受けると、固定資産税・都市計画税の特例が解除されて、実質3倍〜4倍になるもの。

2015年施行の空き家対策特別措置法で始まり、2023年12月の改正法施行でより厳しくなりました。

行政代執行で解体費用を請求される

自治体に「特定空き家」に指定され指示に従わないと、自治体に建物を解体され費用が請求されます。

すでに全国で595件の空き家が、行政代執行で解体されています。
(2023年3月末時点)

ハウスハウス

役所が解体して、解体費用を請求するの?


家博士家博士

実際に野洲市では1,000万円以上を請求した事例もあるんだ。

田舎は立地適正化計画、3大都市圏は2022年問題

さらに田舎では、空き家がある日突然、売れなくなる恐れがあります。

なぜなら立地適正化計画で、人が住まないエリアに指定されるリスクがあるため。

一方、都市部では、2022年に住宅地が大量に供給される2022年問題で不動産価格の下落が懸念されています。


ハウスハウス

田舎だけでなく、都市でも価格が下落する恐れがあるんだね。
なんでそんなに空き家の未来が暗いの?


家博士家博士

日本は歴史上で初めて、人口が減少する時代に突入したからだよ。
さらに新築住宅が年間90万戸ペースで建築されているからね。

人口の急減と空き家の急増

日本では人口が2008年をピークに急減しています。

一方で新築住宅年が90万戸ペースで建てられているため、空き家が急増。

結果として、空き家率は2018年時点で13.6%と過去最高で、この流れは今後もますます加速します。

日本人の人口・世帯数と住宅戸数

住宅戸数と世帯数の変化2018年rev3

ハウスハウス

でも政治家とか、頭が良い人たちが、なんとかしてくれるでしょ?


家博士家博士

新築住宅の建築を制限すると景気が悪化するため、政治家は選挙対策で規制できないんだ。
このままだと、日本の不動産価格が半額になると予想する研究もある。

30年で価格は半額に

シンガポール国立大学の研究によると、日本の住宅価格は2010年→2040年の30年で平均46%下がる(価格は半額)と予想されています。

(※出典:Analysis of policy options to address Japan’s declining population, shrinking birthrate, and aging society

5割が人口半減、2割が無人化

また国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には

  • 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
  • 2割の地域で、無人化する。

ことが分かっています。

ハウスハウス

でも今のところは、大丈夫そうだけど。


家博士家博士

空き家問題は、これから一気に加速するんだ。
高齢者の所有する空き家予備軍が全国にあふれているからね。

持ち家の27%が空き家予備軍

2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。

そうなると空き家は一気に増加。

すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。

実に27%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。

地方だけでなく、東名阪(東京・名古屋・大阪圏)エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。

実際にこれだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れないことが予想されます。

空き家予備軍の割合(2018年時点)

空き家予備軍


ハウスハウス

空き家はますます売りにくくなりそうだね。


家博士家博士

売却の可能性が少しでもあるなら、まず今の価格を確認してみると良いよ。

試しに価格を確認してみては

これから家の売却を考えているなら、今の家の価格を確認してみてはいかがでしょうか。

今は都市部を中心に、不動産価格が高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国202404)

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約11年で92%も値上がりしています。

一戸建ても、平均では値上がりしていないように見えますが、都市近郊は値上がりしています。

エリアによっては1年で数百万円も価格が上がっている可能性も。

家の価格を正確に知るためには、不動産会社に無料査定を依頼するのが一般的です。

不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    77万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国875店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。


ハウスハウス

でも不動産会社に売れないって断られたらどうすれば良いの?


家博士家博士

無料で譲る方法もあるよ。

売れないなら無料で譲る方法も

空き家の価値が低く、不動産会社に売れないと断られた場合は、無料で他人に譲る方法もあります。

『みんなの0円物件』では、価値がゼロやマイナスの土地を、無料で欲しい人に譲れます。
みんなの0円物件
必ず譲れるわけではありませんが、マッチング率は8割と高い確率。

掲載は無料なので、試してみる価値はあるでしょう。

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まとめ

空き家は放火のリスクが高く、実際に放火が頻発しています。

しかし放火対策には限界があり、完全にリスクは防げません。

また火災保険も断られることが多いでしょう。

放火以外にも特定空き家の指定や、立地適正化計画、2022年問題など空き家のリスクはあります。

幸い今は不動産価格が高騰しているので、試しに価格を確認してみると良いでしょう。

思わぬ高値で売れる可能性もあります。

田舎で売れないと断られた場合は、無料で欲しい人に譲ると良いでしょう。

あなたの空き家の心配が解決することを、心よりお祈りしております!