「マンション価格の高騰はいつまで? 下落はいつ?」
金利上昇でマンションが暴落するのかお悩みですね。
確かにマンション価格は2013年の金融緩和から高騰してきました。
しかしマンションバブルを起こした金融緩和はすでに限界。
金利上昇によってマンション市場は順風から逆風に変わりつつあります。
マンションを売買するなら、マンション価格がいつ下落するか、先読みして行動しましょう。
- 最新のマンション価格とコロナの影響
- 価格下落の引き金か? 金融緩和の限界と金利上昇とは
- 中古マンション相場の長期的展望
あなたのマンション売買が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
マンション価格は高騰している
金融緩和で2013年から値上がり
マンション価格の下落について考えるために、まず今の中古マンション相場を整理しましょう。
中古マンション価格が最も正確に分かるのは、国土交通省の不動産価格指数です。
不動産価格指数によると、2013年1月「日銀の金融緩和発表」からマンション価格は高騰しています。
全国的に値上がりしている
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。
中古マンションは約10年で85%も値上がりしています。

マンション価格はすごい上がってるね!
地域によって差はないの?

地域の差は少ない。
3大都市の不動産価格指数でも都市部はほぼ同じだね。
3大都市(東京・大阪・愛知)もほぼ同じ
3大都市(東京・大阪・愛知)の不動産価格指数も全国とほぼ同じで、日銀の金融緩和発表から大きく値上がりしています。
不動産価格指数
(東京都・大阪府・愛知県)

ホントにどこも同じように値上がりしてるね。

今の金融緩和が始まって、全国のマンション価格は大きく値上がりしたんだ
2013年1月22日に政府と日銀が発表した共同声明『デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について』が今の金融緩和の始まりです。またマンション市場では2012年12月に日銀が決定した「金融緩和の強化について」が大きな転換期で、ここからマンション価格が値上がり。その後の2013年4月黒田総裁の就任と「量的・質的金融緩和の導入」、同6月のアベノミクス(日本再興戦略)発表で「異次元金融緩和」が本格的に始動。マンションが大きく値上がりしました。

コロナの影響は無かったの?

エリアによっては一時的に急落したけど、すぐに回復して値上がりしているよ。
コロナの影響も簡単に解説しよう。
コロナによる影響(エリア別)
コロナによる中古マンション相場の影響は、まとめるとこちら。
- 価格:
→第1波(2020年4月)で一部エリアが急落したがすぐ回復、今は全国的に大きく値上がりしている。 - 売買戸数:
→第1波だけ一時減ったが、コロナ前とほぼ変わらない。 - 売出し戸数:
→第1波から減り続け2021年5月頃が底、今はほぼ戻った。
それぞれ解説します。
(金利について先に読むなら、次章の「マンション価格が高騰した背景」へ)
価格は一部で急落も回復し、今は値上がり
エリア別で中古マンション価格が分かるのは、レインズの発表する統計データです。
国土交通省の指定流通機関「不動産流通機構」が運営する、国内で唯一の不動産情報データベース。過去の取引事例、現在の売り出し情報が登録されており、不動産会社しか利用できない。エリア別の統計情報だけが毎月公表される。レインズの統計は、精度で不動産価格指数に劣るものの、エリアが細分化されており、公表が翌月と早いメリットがある。
(参考)家を売るときに知っておきたい「レインズ」のこと
中古マンション価格は、2020年4月に首都圏の一部(埼玉・千葉)、関西圏の一部(兵庫)で急落しましたが、すぐに回復しました。
埼玉・千葉・兵庫は2020年4月に急落も、再び値上がりしている
埼玉・千葉の中古マンション成約価格
兵庫の中古マンション成約価格
埼玉・千葉・兵庫では、2020年4月に急落し底値を付けました。
しかし千葉は今年2月、埼玉・兵庫は今年3月にそれぞれ高値を更新。
中古マンション価格はコロナの一時的な値下がりから回復し、マンション高騰は続いています。
さらに詳しくはこちら
⇒埼玉のマンション売却相場
⇒千葉のマンション売却相場
⇒神戸・兵庫のマンション売却相場
東京・神奈川・大阪・愛知・福岡はほぼ影響なし
大部分の主要都市(東京・神奈川・大阪・愛知・福岡)は、コロナの短期的な影響がありませんでした。
大阪だけわずかに下落しましたが、すぐに回復しています。
各都市とも、直近数ヶ月以内にそれぞれ高値を更新しています。
東京・横浜・川崎の
中古マンション成約価格
大阪・愛知・福岡の
中古マンション成約価格
さらに詳しくはこちら
⇒東京のマンション売却相場
⇒横浜・川崎のマンション売却相場
⇒大阪のマンション売却相場
⇒名古屋市、愛知県のマンション売却相場
⇒福岡のマンション売却相場
売れ行きは変わらず
中古マンションの売買される戸数(売れ行き)はコロナ前と変わらず、2008年からの14年間横ばいで増えていません。
既存住宅販売量指数(南関東圏)
売り出している在庫はコロナ前に戻った
中古マンション在庫戸数の推移(首都圏)
中古マンションを売り出している在庫戸数は、
- 2015年から5年間で約1.5倍に増えていた
- 2020年4月からコロナで急減
- しかし2021年5月を底に、直近はほぼ戻っている

コロナも関係なく、まだ値上がりしてるんだね。
まだまだ値上がりするのかな?

今は金融緩和の限界が心配されている。
相場の判断はあくまで自己責任だけど、今のマンション価格が高騰した背景を知ると判断しやすいよ。
マンション価格が高騰した背景
高騰の原因は日銀の金融緩和
中古マンション価格が高騰した最大の原因は、日銀の金融緩和です。
他の要因も元をたどれば金融緩和が原因
金融緩和の他に中古マンション高騰の要因として次の3つがありますが、いずれも元をたどれば金融緩和が原因。
金融緩和が無ければ、これらも無かったでしょう。
- 相続や投資目的の都心マンション需要増
→金融緩和により資産インフレと円安が起きたため。 - 共働き世帯の増加による都心マンション需要の増加
→金融緩和により住宅ローンが借りやすくなったため。 - 工事費と地価の高騰による、新築マンション販売価格の高騰
→金融緩和により建設投資が増え、工事費と地価が高騰したため。

マンション高騰の原因はやっぱり金融緩和なんだね。

金融緩和でマンションが高騰した流れを解説しよう。
金融緩和で中古マンション価格が高騰した流れ
日銀(日本銀行)は、国内の銀行の金利やお金の流通量をコントロールしています。
日銀の金融緩和によって、次の流れで中古マンション価格が高騰しました。
日銀が金融緩和で金利を下げた
↓
ローン金利が下がった
さらに固定金利より低い変動金利で借りる人が増加
↓
ローンが借りやすくなった
例)3千万円35年ローンの場合
金利3.0%だと月々の返済が約11.5万円だったが
金利0.5%では月々の返済が約7.8万円(-32%減)に
↓
(同じローン負担で高い家が買えることと、共働き世代の増加で)
好立地の新築分譲マンションが人気に
↓
高くても売れるので好立地の新築マンションを値上げ
(建設費や地価の高騰を売却価格へ上乗せ)
↓
値上がりするので投資や相続目的の購入が増え、さらに値上がり
↓
好立地物件の値上がりで、その他全ての新築分譲マンションも値上がり
↓
新築マンションに合わせて中古マンションが値上がりした
こうして中古マンション価格が上がってきたのです。

よく分からないよ。

ポイントは金利が下がるとマンションが買いやすくなるってことなんだ。
金利が下がるとマンションが買いやすくなる
金利が下がると、住宅ローン審査が通りやすくなり、マンションが買いやすくなります。
なぜなら月々の返済額が同じでも、ローン総額(借入可能額)が増えるため。
例)35年ローンで月10万円返済のローン総額

金利 | 借入可能額 (金利0.5%との差額) |
支払利息の総額 |
---|---|---|
5.0% | 1,981万円 (1,871万円) |
2,219万円 |
4.0% | 2,258万円 (1,594万円) |
1,942万円 |
3.0% | 2,598万円 (1,254万円) |
1,602万円 |
2.0% | 3,018万円 (834万円) |
1,182万円 |
1.0% | 3,542万円 (310万円) |
658万円 |
0.5% | 3,852万円 | 348万円 |

月々10万円のローン負担で買えるマンションの価格が
2,598万円→3,852万円
になっちゃうってこと?
金利はこんなに下がったの?

金利が下がったこともあるし、変動金利が増えたこともあるね。
固定金利→変動金利でさらに低金利に
金融緩和で金利が下がるだけでなく、変動金利を選ぶ人が増えたことも大きく影響しています。
金融緩和で金利が下がリ続けるため、住宅ローンの利用者はわざわざ金利の高い固定金利を選ぶ理由が無くなりました。
固定金利は将来の金利上昇リスクに備えるため、今の変動金利より金利が高くなります。
新規住宅ローンの金利割合の変化
変動金利の実質金利は今や0.2%台と過去にない超低金利。
固定金利から変動金利に変わることも、住宅ローン金利が低くなった大きな要因の一つです。

金利が下がるとマンションが買いやすくなるのか。

マンションが高くても売れるから、売る側も値上げしやすい。
だから地価や建築費の値上がりを価格に上乗せして、新築マンション価格が上がったんだ
新築値上がりで中古マンションも値上がり
新築マンション価格は大きく値上がり
新築マンションは日銀の金融緩和から大きく値上がりしています。
新築マンションの価格の変化
(首都圏・近畿圏・中部圏)

新築マンションはやっぱり大きく値上がりしてるね。

新築の値上がりに合わせて、中古マンションも値上がりしたんだ。
中古マンション価格は新築マンションを元に決まる
新築マンション価格が値上がりすると、中古マンション価格も値上がりします。
なぜなら中古マンション価格は、新築マンションの価格を元に決まるため。
中古マンション価格は新築マンション価格と比較して、築年数を考慮した値引き率で売買されます。
例として、各地のマンション価格の変化がこちら。
新築・中古マンションの価格の変化(東京23区)
(2012年→2021年)
新築・中古マンションの価格の変化(近畿圏)
(2012年→2021年)
新築・中古マンションの価格の変化(中部圏)
(2012年→2021年)

じゃあ新築マンションが値上がりすれば、中古マンションもまだまだ値上がりするのかな。

新築マンションの値上がりはそろそろ限界かな。
新築マンションが売れなくなってきたからね。
新築分譲マンションが売れなくなってきた
販売戸数は半減も契約率は低下
新築マンションの売れ行きは、販売戸数と契約率で分かります。
新築マンション販売戸数と契約率
(首都圏・2013年→2022年)
首都圏で発売された新築マンションは、2013年→2022年で発売戸数を48%減らしましたが、それでも契約率は下がっています。
好不調の判断基準とされる初月契約率も、なんとか70%台を超える程度。
新築分譲マンションの価格は高騰しすぎており、購入者が買えなくなっています。

新築マンションが売れなくなってるなら、これ以上の値上がりは厳しそうだね。
今後はどうなるの?

今心配なのは、金融緩和の限界だね。
金融緩和の限界による金利上昇
近い将来、金融緩和の限界により金利が上昇、マンション価格が値下がりする恐れがあります。
なぜならマンション価格を高騰させた『日銀の金融緩和』は、すでに限界だから。
日銀の金融緩和はすでに限界
欧州の2.5倍以上、米国の約4倍に
日銀が印刷したお金の量(中央銀行総資産)を国の経済規模(GDP比)で比較したグラフがこちら。
中央銀行が印刷したお金の量(GDP比)
金融緩和で日銀が印刷したお金の量は、欧州(ユーロ)の2.5倍以上、米国(ドル)の約4倍と世界でも異常な数字に。
先進国として世界初の実験でしたが、さすがにこれ以上は効果より副作用が目立つため、今は金融緩和の出口が議論されています。

日本だけ、こんなにお金を印刷したんだ!
でも株や不動産が値上がりしたから、成功したんじゃないの?

残念ながら、円安で日本円の価値が下がり、結果として日本経済は衰退してしまったんだ。
金融緩和で日本経済は衰退
金融緩和によって、日本経済は立ち直るどころか逆に衰退してしまいました。
経済の指標となる国民一人あたりGDPは、金融緩和以降に伸びが鈍化。
今や米国の6割にまで落ち込み、韓国にも抜かれています。
一人あたりGDPの推移

金融緩和で日本経済は衰退してしまったんだ!

他にも日銀が日本株や国債を買い占めたことで様々な問題が起きている。
コロナ禍で株と不動産を購入したのは日銀だけ
今回のコロナ対策で、株式と不動産を直接購入した中央銀行は、世界中で日銀だけです。
なぜなら世界の主要中央銀行は、資本主義の原則として、株式と不動産の直接購入を禁止しているため。
日銀は海外投資家が売り逃げる中、株と不動産を買い支え、その規模は株式で年間12兆円、不動産で年間1,800億円ペースに。
結果として2021年3月末には、日銀が日本株の最大保有者となり、上場企業の過半数で大株主になりました。
例えばユニクロ(ファーストリテイリング)では会長柳井氏の株式保有比率21.58%に次ぐ、20.7%を日銀が保有しています。

なんで日銀だけ株と不動産を大量に購入したの?

日本は2013年から異次元緩和を続けたから、緩和効果を使い果たして、打ち手が限られていたんだ。
そして今は世界が金利を上げた。
すでに世界は金利を上げた
主要国の中央銀行はすでにゼロ金利を解除し、金利を大きく引き上げました。
急激な利上げで一部の金融機関が破綻するなど副作用も出ていますが、金利はしばらく高止まりしそうです。
米国(FRB)←世界経済に最も影響が大きい
- 2022年3月 ゼロ金利から利上げ開始
- 2023年4月 10回目の利上げで金利5.00〜5.25%に
【参考】FOMC、0.25ポイント利上げ-パウエル議長は停止の可能性示唆
欧州(ECB)
- 2022年7月 ゼロ金利から11年ぶりの利上げ開始
- 2023年4月 7回目の利上げで主要政策金利3.75%に
【参考】ECB、0.25ポイント利上げにペース減速-「停止しない」と総裁
英国(BOE)
- 2021年12月 金利0.10%から利上げ開始
- 2023年4月 12回目の利上げで金利4.5%に
日銀も金融緩和を終える流れ
世界的な利上げに逆らえず、日銀も金融緩和を終える流れです。
すでに2022年12月20日には、事実上の利上げ(長期金利上限0.25%→0.50%)を発表。
【参考】日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ
これを受けて、住宅ローンの固定金利は上がり始めています。
固定金利の推移
(フラット35最頻金利・新機構団信付)
また2023年4月には、金融緩和を10年間続けた黒田総裁が退任し、植田新総裁が就任。
日銀が金融緩和を終えることはすでに既定路線で、今は終えるタイミングと手順が議論されています。
金融緩和が終わり短期金利が上がり始めると、住宅ローンの変動金利も上昇し、不動産価格は大きく動くでしょう。

金融緩和が終わると、マンション価格はどうなるの?

金利が上昇してマンション価格が下落するんだ。
金利が上昇し、中古マンション価格が下がる
金融緩和が終わり、金利が上昇すると、マンション価格は下がります。
なぜなら住宅ローンの金利が上がり、マンションを売る人が増え、買う人が減るため。
金利が上がると毎月のローン支払い額が増え、負担に耐えきれずマンションを手放す人が増えます。
例えば、毎月の返済額と支払い利息は、金利によって次の様に変わります。
ローン総額3,000万円、期間35年の場合

金利 | 毎月の返済額 (金利0.5%からの増額率) |
総支払額 (元本に対して) |
---|---|---|
0.5% | 77,875円 | 3,271万円 (+9%) |
1.0% | 84,685円 (+9%) |
3,557万円 (+19%) |
2.0% | 99,378円 (+28%) |
4,174万円 (+39%) |
3.0% | 115,455円 (+48%) |
4,849万円 (+62%) |
4.0% | 132,832円 (+71%) |
5,579万円 (+86%) |
5.0% | 151,406円 (+94%) |
6,359万円 (+112%) |
6.0% | 171,057円 (+120%) |
7,184万円 (+139%) |
金利が0.5%→3.0%に上がった場合、月々の支払いが+48%(+37,580円)増、総支払額は元本+9%→元本+62%に増えます。

月々の支払いが1.5倍になると厳しいね。

支払いが厳しくてマンションを売る人が増える。
でも買う人は減るから値下げして売るしかない。
マンション価格が下がると、投資や相続目的の人が売り急いで、値下げの連鎖になりかねない。
日本でも金利上昇による不動産価格の下落が80年代のバブル崩壊でありました。
バブル崩壊のきっかけは金利上昇
80年代バブルの崩壊では、不動産価格が1990年10月をピークに急落しています。
国土交通省の不動産価格指数(東京都)で当時の下落を見てみましょう。
不動産価格指数(東京都)

バブル崩壊の落ち込みはスゴイね。
なんでこんな事になったの?

日銀の金融緩和が終わり、『金利上昇』と『金融引き締め』が起きたからだよ
80年代のバブル崩壊は、日銀の金融緩和が終わり、金利が上昇したことがきっかけでした。
さらに金融引き締めで当時の大蔵省が金融機関の不動産関連融資に総量規制をかけたため、金融機関が一斉に融資を引き上げ。
結果としてバブル経済が崩壊し、不動産価格は大きく下落しました。

とりあえず今のマンション価格だけでも調べておいた方が良さそうだね。
ネットでマンション価格のAI診断でもするか。

ネットのAI価格診断は、査定精度が低いから注意した方が良いよ。
匿名の価格診断ではレインズが使えないんだ。
マンション価格診断の落とし穴
レインズが使えず誤差が大きい
ネットでマンション価格を診断するサービスは、誤差が大きいため鵜呑みにすると危険です。
マンション価格診断の誤差が大きい理由は、「レインズ」の成約情報を使っていないため。
国内で唯一の不動産データベース。過去の成約情報や現在の売り出し情報が記録されており、不動産会社しか利用できない。外部に情報を公開できるのは、不動産会社が特定の売主に価格査定するときに限定されている。
ネットの価格診断サービスは、レインズの規約違反になるためレインズを使えない。

なんでレインズの情報は非公開なの?

個人情報を保護するためだよ。
登記簿と合わせてみると、誰がいくらで売ったのか分かってしまうからね。
仕方なくネット上の無料情報を使っている
ネット上のマンション価格診断サービスは、レインズの成約情報が使えないため、仕方なくネット上の無料情報を使っています。
ネット上の無料情報は大部分が売り出し価格で、実際に売買された成約価格とは1割〜3割以上の誤差があります。
築年数別の売り出し価格と成約価格
(中古マンション・首都圏・2022年)
一応、成約情報も一部公開されていますが、個人が特定できないように詳細が隠されており、査定に使えるレベルではありません。
売り出し価格と成約価格について、9割の人が知らない驚きの事実について解説します。

そっか。
でもレインズが使えなくても、最近はAI診断とかスゴイんじゃないの?

確かにAIは画期的だけど、AIの元になる学習データが違っていると、診断結果も違ってしまうんだ。
AIも学習データが違うと間違った結果に
残念ながら、マンションの成約情報(レインズ)を学習していないAIは、マンションの成約価格を正しく診断できません。
なぜなら間違った元データを学習したAIは、価格診断でも間違った答えをするため。
AIとは、ざっくり説明すると「大量のデータを学習して、そのデータから規則性を読み取り、答えを推測するシステム」。
赤ん坊が学習して言葉を喋るようになるのと同じ様に、AIも学習して初めて機能します。
そのため、「AIが正確か」は、「学習データが正確か」が全てを左右することに。
例えば、日本語と英語を大量に学習したAIは、日本語と英語を通訳できます。
しかしこのAIに中国語を通訳させても、学習データに中国語がないので全く機能しません。
同じ様にネットの無料情報を集めて学習したAIでは、実際の成約価格(レインズ)と違う価格しか出せないのです。
マンション価格のAI査定が急増しているので、主要なものをまとめました。ただしマンション価格のAI査定には重大な注意点があるので、合わせて解説しています。

AIもレインズが使えないと厳しいんだね。
レインズのデータを使って正確に査定するなら、どうすればいいの?

不動産会社の無料査定が定番だね。
実績が豊富な会社ほど、査定の精度も高いよ
レインズで正確に査定するなら
不動産会社の無料査定が定番
レインズで正確にマンションを査定するなら、不動産会社に無料査定を依頼するのが定番です。
なぜならレインズを使えるのは不動産会社だけだから。
不動産会社は将来の契約につながる営業活動として、無料で査定してくれます。
もちろん査定を依頼したからといって売却する必要はなく、将来的に少しでも売却を考えているならOK。
マンションオーナーとしても、将来の売却で相談できる窓口ができるメリットがあります。

不動産会社はどこが良いの?

エリアでマンション売却実績が豊富な不動産会社を3〜6社選ぶのがコツだよ。
実績豊富な3〜6社に依頼する
不動産会社に査定を依頼するときのポイントは、
- エリアで売買実績が豊富な不動産会社に絞る
- 上記の3〜6社に無料査定を依頼して、査定価格と話を聴き比べる
エリアで売買実績が豊富な不動産会社は、査定の精度が高くなります。
また今は都市部を中心に不動産価格が高騰しているため、不動産のプロでも査定が難しい状態。
不動産会社によって査定価格に差が出るため、1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。
ただし数が多すぎると対応が大変なので、多くて6社程度が良いでしょう。

売却実績が豊富な不動産会社はどこ?

実績なら大手3社が強いね。
実績は大手3社が強い
売買仲介件数ランキング上位34社
(2022年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。
都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

大手3社は別格だね。

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
36年連続1位の業界No.1
- 店舗数 287店舗
(首都圏185、関西圏46、中部圏28、札幌8、東北8、中国8、九州8)
三井のリハウスは、36年連続で売買仲介件数が1位と圧倒的。
豊富な実績を使った査定は精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。
正確な査定をするなら、まず抑えたい候補といえるでしょう。
また担当者の平均レベルが高く、外れが少ないことにも定評あり。
やはり業界トップだけあり、優秀な人材が集まっています。

36年間も連続1位はスゴイね。

業界トップ企業だから、初めての売却でも安心してお任せできる。
実際に多くの人が利用してるし、満足度も96%と高いよ。
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 249店舗
(首都圏138、関西圏66、中部東海18、北海道9、東北5、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。
自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
住友不動産販売「すみふの仲介 ステップ」は、売買仲介件数が業界2位の大手。家の売却ならぜひ候補に入れたい1社ですが、注意点もあります。住友不動産販売のメリットと注意点を分かりやすく解説、そして利用者の評判を紹介します。
【大手3】東急リバブル
大手3社でサービスNo.1
- 店舗数 210店舗
(首都圏139、関西圏41、名古屋11、札幌8、仙台6、福岡5)
東急リバブルは大手3社で最もサービスが充実しています。
例えば予定期間で売れないと、査定価格の90%などで買取る「買取保証」は、売れ残る心配がなく買い替えで安心なサービス。
またリフォーム込で売り出す「アクティブ売却パッケージ」は、築古マンションを売り出す方法として効果的です。
大手3社のサービス比較
三井のリハウス | 住友不動産販売 | 東急リバブル | |
---|---|---|---|
建物調査・保証 | ○ | ○ | ○ |
設備調査・保証 | ○ | ○ | ○ |
買取保証 (売却保証) |
× | × | ○ |
自社買取 | × | × | ○ |
リースバック | × | × | ○ |
アクティブ売却パッケージ | × | × | ○ |
つなぎ融資 | ○ | ○ | ○ |
除菌・消臭 | × | × | ○ |
補修(リペア) | × | ○ | ○ |
掃除 | × | ○ | ○ |
3D広告 | ○ | ○ | ○ |
土地保証(埋設・地盤) | × | × | ○ |
擁壁調査保証 | × | × | ○ |
仮測量 | × | ○ | ○ | 相続税立替 | × | ○ | ○ |
※各サービスは各社で適用条件あり

初めての買い替えや売却で心配なら、話を聞く価値はあるよ。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」
大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。
すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・小田急不動産・三菱地所ハウスネット)が共同運営する一括査定サイトです。

とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?

売却を考えているなら、大手以外も何社か話を聞いたほうが良い。
具体的には、首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社がオススメだね。
SRE不動産(旧ソニー不動産)
売主だけを担当するエージェント制
大手と合わせて査定を依頼したいのはSRE不動産(旧ソニー不動産)。
SRE不動産は業界初のエージェント制で売主だけを担当し、大手で問題になりがちな両手仲介がありません。
(※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)
エージェント制のメリットは、無数にある他の不動産会社が積極的に買主を探すため、早く高く売れやすいこと。
ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。
SRE不動産(旧ソニー不動産)の口コミや評判、裏事情などから、あなたがソニー不動産を利用すべきなのか徹底評価しました。
その他エリアは地域No.1を探す
大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。
実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。

よし不動産会社は分かった。
ところで確かに金利の上昇が心配だけど、まだまだ値上がりが続くことはないの?

相場の判断はあくまで自己責任だけど、長期的には人口減少と高齢化で、マンション相場は厳しいと予想されているね。
長期的な展望を解説しよう。
中古マンション相場の長期的展望
中古マンション相場の長期的な展望は、厳しいと予想されます。
なぜなら中古マンションの買主が減る一方で、売り出される中古マンションは増える一方だから。
人口減・高齢化・未婚化で買主は減る一方
歴史上で初の人口急減
今、日本では人口が急激に減少しています。
日本の人口は2008年にピークを迎え、歴史上で初めての人口減少期に突入しました。
日本の長期的な人口推移がこちら。
日本の長期人口変化

日本の人口が減るのは、初めてのことなんだね。
でもマンションがある都市部は人口が減らないんじゃないの?

都市部は高齢化が進んでいるんだ。
都市部でも進む高齢化
都市部でも高齢化が進み、家を買う世代が減少しています。
人口の減少が最も少ない東京都内でも、家を売る高齢世代が増え、家を買う世代は減る一方です。
東京都の人口変化
さらに未婚化で持ち家が不要に
さらに未婚化が進み、持ち家を買う理由も無くなっています。
未婚率の変化
(1980年→2020年)

人口が減って、都市部でも高齢化で買主が減ってるし、未婚化で買う理由も無くなってるのか。

買主が減る一方で、売り出される中古マンションは増える一方なんだ。
売り出される中古マンションは増え続ける
長期的に売り出される中古マンションは増え続けています。
売り出し戸数は18年で2.5倍に
中古マンションの売出し戸数は、コロナ前までの18年間で2.5倍に増えています。
一方で売買された成約戸数は少ししか増えていません。
売出しと成約戸数の推移
(首都圏・中古マンション)

売出し戸数はスゴい増えているね!
なぜなの?

マンションが古くなり、所有者が高齢化して売り出す人が増えているからだよ。
築40年超の売出し予備軍が115.6万戸
築40年を超えたマンションは、所有者が高齢化で亡くなったり介護施設に入るなどして、その多くが売りに出されます。
つまり築40年を超えるマンションは売出し予備軍ともいえ、その数はすでに全国で115.6万戸にも。
1年間に売買される中古マンション(7.4万戸)の約16年分にもなります。
(出典:2021年度レインズ登録成約戸数)
マンションの築年数別戸数(全国)

築40年以上のマンションって、まだ少ないんだね。

マンションは1960年代から始まった新しい建物。
だからマンションの高齢化はこれから始まるんだ。
築40年超は今後20年で3.7倍に
築40年以上のマンションの数は、今後20年で3.7倍に増えます。
マンションの築年数別戸数(全国)
これからマンションの高齢化が始まり、多くのマンションが売りに出されるのです。

でも古くなったマンションは建て替えられるんじゃないの?

建て替えできるマンションは、好立地で地価が高い一等地のマンションだけなんだ。
多くは老朽化して空き家が増えるだけだよ。
マンション建替えは難しい現実
建替えできたマンションは2%
中古マンションの多くは建て替えできません。
なぜなら普通に建て替えると1戸あたり2千万円を超える費用がかかり、建替えに必要な住民8割の賛成が難しいため。
実際に2022年4月時点で建替えられたマンションはわずか270棟(約2万戸)で、本来は建て替え時期の旧耐震マンション103万戸の2%しかありません。
【参考】国土交通省・マンション建替えの実施状況(令和4年4月時点)
建て替え費用は年々増えている
マンションの建て替え費用は年々増えており、建て替えが難しくなっています。
国土交通省の調査によると、1戸あたりの建替え負担額は直近(2017年〜2021年)で平均約2,000万円と、1990年代の約5倍に。
原因として、マンションの容積率に余裕がなく、建て替えても戸数を増やせなくなってきたことがあります。

建替えできないと、古くなったマンションはどうなるの?

解体して更地売却か、そのままスラム化していくことになる
建替えできないと敷地売却かスラム化
建替えできないマンションは、いずれ配管の水漏れや雨漏り、空き家の増加で維持管理が困難になってきます。
空き家の割合が30%を超えると、管理費・修繕積立金の滞納が増え、マンションのスラム化が始まるとされます。
その前に住民8割が賛成できれば、マンションを解体して更地を売却するのが現在の有力な選択肢でしょう。
もし住民の8割が同意できないと、マンションはスラム化して住むことが難しくなる恐れがあります。
マンションの寿命は個々で違い、寿命が尽きても建替えできるのはごく一部です。あなたのマンションの寿命と建替えの可能性をチェックリストで調べてみましょう。

買主は減って、売り出されるマンションは増え続ける。
古くなっても建替えできず、更地売却かスラム化か、、、。
長期的には厳しいんだね。

今はマンション価格が高騰してるから、いずれ売るなら良いタイミングかもね。
そろそろ金融緩和の終わりが心配だし。
まとめ
ここまでマンション価格は下落するのか、 新型コロナの影響と金融緩和の限界について解説してきました。
マンション価格は、
- 一部はコロナ第1波(2020年4月)に急落したが、すぐに回復し値上がりしている。
- 近い将来、日銀の金融緩和が終わり金利が上がると、マンション価格の下落が心配される。
- 長期的に中古マンションの買主は減少、売り出しは増えるので厳しい環境。
今はまだマンション価格が高止まりしています。
マンション価格が高騰した原因は日銀の金融緩和ですが、その金融緩和はもう限界。
いずれマンションを売る予定なら、もう十分に値上がりしている今は売り時かもしれません。
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