「今のマンション、老後はどうする?」

老後の住まいとして、今のマンションに不安をお感じですね。

確かにマンションも老朽化すると、住みづらく売りにくくなってしまうもの。

老後の住まいをどうするかは難しい問題です。

住み替えるなら元気なうちといいますが、マンションを手放すのも不安ですね。

そんなあなたのために、今のマンションを老後どうするべきか、判断の参考になるチェックリストを作成しました。

老後の住まいとして危ないマンションであれば、マンションの価値が落ちる前に売却し、老後資金に充てましょう。

逆に問題なく住み続けられるマンションであれば、老後も安心して暮らせます。

あなたの終の棲家が決まり、安心して老後を迎えるために、この記事がお役に立てば幸いです。

老後のマンションどうする? チェックリスト

まず次のチェックリスト1で、あなたのマンションについて確認してみましょう。

それぞれ詳しい内容は、次章で解説しています。

チェックリスト1. あなたのマンションは老後も大丈夫?

あなたのマンションは老後も大丈夫?
  1. マンションの耐震性
    次のいずれかで合格
    ●新耐震基準(昭和56年(1981年)以降着工)
    ●旧耐震だが耐震診断に合格済
    ●旧耐震だが耐震補強済
  2. 長期修繕計画と修繕積立金
    長期修繕計画が30年以上又は解体まであり、修繕積立金が不足していなければ合格
  3. バリアフリー対応
    エレベーターが有り、エントランスなどバリアフリー対応ができていれば合格
  4. 住民の高齢化
    空き家や賃貸が少なく、売買されて2代目の若い所有者が増えていれば合格
  5. 周辺環境
    周辺の地価が下がらず、徒歩で病院や買い物が済めば合格

詳しい内容は、次章でそれぞれ解説します。

このチェックリスト1で全て合格ならば安心。
資産価値のある良いマンションです。

もし1つでも不安な点があれば、次のチェックリスト2で「住み続けるべきか」を考えてみて下さい。

チェックリスト2. それでも住み続けるべき?

それでも住み続けるべき?
  1. リスクと資産
    リスクを考えた場合、あなたの余裕資金で対応できるなら合格
  2. あなたと家族の意思
    全てを理解した上で、あなたとご家族が住み続けたいなら住み続けるべきでしょう。

どちらかあてはまらないのであれば「住み替え」を考えた方が良いかもしれません。

ハウスハウス

こんなの、いきなり結論なんて出せないよ。


家博士家博士

まぁまぁ。
はっきり分からない内容でも、なんとなく判断できることもあるから。
それぞれ詳しく解説するよ。

チェックリスト1の解説

判断基準1-1. マンションの耐震性

次のいずれかであれば、老後の住み続けるマンションとして合格です。

  • 新耐震基準(昭和56年(1981年)以降着工)
  • 旧耐震だが耐震診断に合格済
  • 旧耐震だが耐震補強済

あなたのマンションが旧耐震設計で、まだ耐震診断や耐震改修工事をしていない場合は要注意です。

なぜならそもそも住まいとして不安ですし、今後は売りにくくなったり、工事費用の負担リスクがあるため。

耐震性不十分のマンションは約6%

旧耐震設計のマンションとは、昭和56年(1981年)5月31日以前に着工されたもの。

しかし旧耐震設計でも耐震性に問題がない場合もあるため、耐震診断をしないと耐震性不十分か分かりません。

国土交通省によると、平成30年(2018年)時点で耐震性が不十分なマンションは全体の約6%、約140万戸と推計されています。

耐震性不足のマンションの数

日本はどこでも地震リスクが高い

日本は活断層が全国にあり、地震リスクはどこのエリアでも高いと考えた方が良いでしょう。

独立行政法人防災科学技術研究所の「JSHIS 地震ハザードステーション」であなたの街の地震リスクを確認できます。

地震リスク

旧耐震のマンションは地震による大破や倒壊リスクが高い

旧耐震設計の建物は、耐震性が不足している恐れがあり、大破や倒壊のリスクが高くなります。

耐震性の違いは、阪神・淡路大震災の被害状況を見ると明らか。

旧耐震の建物は66%が破損しており、大破・倒壊・崩壊も29%と多いことが分かります。

阪神・淡路大震災の被害状況

阪神・淡路大震災の被害状況

ハウスハウス

旧耐震はやっぱり怖いんだね。


家博士家博士

今後は、ますます売りにくくなるし、費用負担のリスクもある。

工事費用負担や売りにくくなるリスクがある

旧耐震マンションは、工事費用負担や売りにくくなるリスクがあります。

6割以上がまだ耐震診断をしていない

国土交通省の平成30年度マンション総合調査によると、平成30年(2018年)時点で旧耐震マンションの63.7%が耐震診断を実施していません。

耐震診断をしていない理由として、43.5%が予算不足を挙げています。

ハウスハウス

じゃあ耐震診断をしなかったらどうなるの?


家博士家博士

今は義務じゃないけど、今後は耐震診断の義務化が予想されるんだ。

今後は耐震診断が義務化される

今のところ耐震診断の実施は「義務」ではありませんが、今後は義務化が予想されます。

なぜなら国土交通省は、令和12年(2030年)までに耐震性が不十分な住宅を解消する目標を掲げているため。

すでに主要幹線道路沿いの建物は、耐震診断の実施が「義務化」されました。(耐震改修促進法改正/平成25年11月

耐震性不足だと改修工事が必要

耐震診断の結果、耐震性が無いと判定されると、耐震改修工事が必要になります。

耐震改修工事の費用は、地方自治体の補助金が一部あるものの、基本的に住民が負担しなければいけません。

費用負担の目安として、東京都の調査では、大規模(201戸超)だと1戸あたり50万円未満で済むことが多く、小規模(20戸未満)だと4割が100万円以上でした。

耐震改修工事費用の負担

耐震改修ができないと売れなくなる

耐震診断の結果、耐震性が不足しているにもかかわらず耐震改修工事ができないと、マンションを売ることは難しくなります。

国土交通省の調査では、耐震性が不足すると判定された旧耐震マンションの38.1%が耐震改修工事を実施する予定がありません。

ハウスハウス

なんで耐震改修工事をしないの?


家博士家博士

費用が不足したり、住民が合意できない場合が多いんだ。


耐震改修が進まない理由として、改修費用の不足や住民の合意が難しいことがあります。

耐震改修を実施しない理由

耐震改修を実施しない理由

耐震改修工事ができたとしても、工事には長い期間がかかります。

耐震改修が終わるまではマンション売却時に買主へ「耐震性不足」を説明しなくてはいけません。

これはマンション売却には大きなマイナス要因になります。

ハウスハウス

じゃあ、旧耐震のマンションはもう売るのも難しいの?


家博士家博士

ローン審査が通りにくい問題があるけど、今のところは旧耐震でも売れるよ。
ただし立地やエリアによって違うから、不動産会社に相談したほうが良いね。


判断基準1-2. 長期修繕計画と修繕積立金

大規模修繕イメージ
長期修繕計画が30年以上又は解体まであり、修繕積立金が不足していなければ、老後に住み続けるマンションとして合格です。

修繕積立金が2倍〜10倍になるリスク

大規模修繕計画に問題があったり、修繕積立金が不足しているマンションでは、月々の修繕積立金が2倍〜10倍になる恐れがあります。

なぜならマンションは定期的に大規模修繕工事が必要で、修繕にかかる費用は年々増えるため。

過去に修繕積立金を増額していないマンションは、あるとき費用不足が発覚して、大幅に増える恐れがあります。

ハウスハウス

修繕積立金を増額しなければどうなるの?


家博士家博士

大規模修繕ができなくなり、雨漏りや配管の詰まりで、生活できないスラム化マンションになってしまうんだ


マンションの修繕費用は築年数が古くなるほど増え、いづれ「維持する」より「建替えや取り壊し」の方が経済的になります。

この分岐点は個々のマンションで大きく違い、マンションの建築時期と管理に左右されます。

最近のマンションでは、住宅性能評価で劣化対策等級3なら、きちんと管理すれば寿命75年〜100年まで住み続けられます。

しかし古いマンションでは50年を超えると管理が難しくなり、管理に問題があると40年程度でスラム化する恐れもあります。

修繕積立金不足が34.8%

国土交通省のマンション総合調査によると、全国のマンションの34.8%が修繕積立金不足となっています。

家博士家博士

これはまだ良い方で7割以上が不足している調査もある

75%が修繕積立金不足の調査も

日本経済新聞の調査によると、全国のマンションの75%が修繕積立金の不足により、管理不全予備軍となっています。
日本経済新聞・マンション修繕金、75%が足りず 高齢化で増額難しく

また埼玉県が築30年を超えるマンションを調査したところ、6割を超えるマンションが適切に管理されていないという調査結果でした。
NHK・管理不全マンション6割の衝撃

ハウスハウス

修繕積立金が大丈夫かは、どうやって判断するの?


家博士家博士

マンションの長期修繕計画と修繕積立金で大体分かるよ

長期修繕計画を確認する

あなたのマンションが老後も大丈夫か判断するには、まずマンションの長期修繕計画を確認しましょう。

長期修繕計画のチェックポイントは次の3つ。

長期修繕計画のチェックポイント

  1. 長期修繕計画が30年以上又は解体まであるか?
  2. 長期修繕計画に重設備の交換が含まれ、最低5年以内毎に見直されているか?
  3. 修繕積立金が不足していないか?
計画期間は最低30年以上

長期修繕計画合は、まず計画期間を確認します。

本来は建物解体までの長期修繕計画が理想ですが、残念ながら解体まで計画しているマンションはほとんどありません。

とりあえず長期修繕計画が30年後まであれば、安心といえるでしょう。

国土交通省のマンション総合調査によると、長期修繕計画の計画期間が30年以上あるマンションの割合は、新しいマンションほど多く下記となります。

  • 昭和54年(1979年)以前完成: 35%
  • 〜平成6年(1994年)完成: 56%
  • 〜平成21年(2009年)完成: 64%
  • 平成22年(2010年)以降完成: 84%
重設備の交換は含まれているか

さらに建築後35年頃にある、次の重設備の交換が含まれているかをチェックしましょう。

  • 給排水管の交換
  • 重設備の交換
  • サッシや扉の交換

これらを含んだ長期修繕計画を立てている管理組合は、わずか21.8%しかありません。

最低5年以内に見直されているか

そして修繕積立金の収支が計画通りに進んでいるのか、長期修繕計画が定期的(5年以内毎)に見直されているかも大切。

消費税の増税や工事費の高騰、インフレなどによって大規模修繕工事の費用は当初より高くなることが多いのです。

先の調査によると、5年毎に定期的に見直しているマンションは56.3%。

半数近くのマンションは長期修繕計画が見直されておらず、大規模修繕工事をきっかけに修繕積立金不足が判明する恐れがあります。

ハウスハウス

長期修繕計画がきちんとしたマンションは少ないんだね。
でも修繕積立金はいくらくらいが普通なの?


家博士家博士

国土交通省が修繕積立金のガイドラインを作っているよ

修繕積立金のガイドライン

修繕積立金の金額について、国土交通省がガイドラインを作っているので、ひとつの目安になるでしょう。

国土交通省による修繕積立金の標準価格

階数、建築延床面積 修繕積立金平均値
(1m2あたり月額)
20階未満、5,000m2未満 335円/m2・月
20階未満、5,000〜10,000m2 252円/m2・月
20階未満、10,000m2以上 271円/m2・月
20階以上 338円/m2・月

※これとは別に機械式駐車場は、1台あたり月額4,645円〜7,210円が必要になります。

きちんと30年以上のスパンの長期修繕計画を実行するには、このくらいの修繕積立金が目安となります。

例)20階建未満、延床5000m2未満のマンションで、専用面積が80m2の場合

毎月積み立てられる標準的な金額
80m2 × 335円 = 26,800円

これが例えば、30年だと、
26,800円 × 12ヶ月 × 30年 = 約965万円
約965万円となります。

あなたのマンションがこの程度の金額を積み立てていない場合、大規模修繕の直前に一時金として支払う可能性があります。

大規模修繕については、こちらで解説しています。

判断基準1-3. バリアフリー対応

エレベーターが有り、エントランスなどバリアフリー対応ができていれば、老後に住み続けるマンションとして合格です。

バリアフリーに対応していないマンションは、老後の住まいに向いていません。

平均で男性約9年、女性約12年は要介護

日本人の平均で、男性で約9年、女性で約12年は何らかの介護が必要になります。

要介護の期間

介護保険で介護施設に入居できれば良いのですが、要介護認定が高くないと、マンション住まいのままデイサービスなどに通うことに。

そうなるとマンションがバリアフリー対応でないと、車椅子や介護設備の運搬ができず、生活が難しくなります。

ハウスハウス

1階だったらエレベーターが無くても大丈夫かな?


家博士家博士

マンションでは他の住民も高齢化するから、空室が増えてスラム化する要因になる。

バリアフリー対応が無いと空室が増える

もしあなたが1階に住んでいたとしても、マンション全体の寿命を考えるとバリアフリー対応は必要です。

エレベーターが無い場合、上階の住民が高齢になると出ていくしかありません。

住民の高齢化がそのまま空室の増加につながり、空室がふえるとマンションが荒廃。

空室率が30%を超えると、マンションはスラム化を始めるというのが一般的な意見です。

高齢で収入にも不安があると、住んでいないマンションの管理費や修繕積立金はどうしても滞納しがち。

管理組合も形骸化して、管理会社も逃げてしまうのです。

エレベーターが無いマンションは売れにくい

エレベーターの無いマンションは、買主に敬遠されて売れにくいのが現実。

マンションの空室が売買され新しい住民が入れば良いのですが、売れずに空室が放置される悪循環になってしまいます。

エントランスの段差なども含めて、バリアフリー対応はマンションの寿命を左右する大きな要素なのです。

ハウスハウス

昔は5階建てくらいならエレベーター無しが普通だったけど、今はダメなんだね。


家博士家博士

5階建てでも、後からエレベーターを設置しているマンションもあるよ。

判断基準1-4. 住民の高齢化

空き家や賃貸が少なく、売買されて2代目の若い所有者が増えていれば、老後に住み続けるマンションとして合格です。

売買で若い世代の所有者が増えないと住民は高齢化する

マンションが売買されないと、若い世代の所有者が増えず、住民は高齢化します。

古いマンションでも駅徒歩5分以内など立地が良いと、売買されやすく住民が半数近く世代交代している場合も。

しかし立地が悪いマンションは、世代交代が進まず、空き家や賃貸の割合が多くなります。

住民が高齢化するとスラム化リスクが高くなる

マンションは住民が高齢化すると、管理できずにスラム化するリスクが高くなります。

なぜなら修繕積立金や管理費の滞納が増える一方で、管理組合が機能しなくなるため。

高齢化した住民は、施設に入居したり、亡くなると、家が空き家になるため修繕積立金や管理費を滞納しがち。

またマンションの管理は住民で組織する管理組合が担うため、管理組合の運営や決議に参加しない住民が増えると何もできなくなります。

賃貸に出している部屋も、実質は子供などが管理するため、管理組合には参加しません。

結果として、滞納が増えても管理組合は対応できず、資金不足で支払いできなくなると、管理会社が逃げて放置される恐れがあります。

管理組合が形骸化すると、売れなくなる恐れも

管理組合が形骸化したマンションは、手放そうにも売れなくなる恐れがあります。

問題の多いマンションは、住宅ローン審査に通らないので、買主が見つかっても購入されません。

国土交通省の資料に、具体的な事例が紹介されています。

【管理がうまくいってないマンション事例】(築30年、単棟型、千葉県)
名前だけの役員で理事会が機能しておらず管理会社に任せきりであったが、3分の1の住戸が管理費等を滞納している状況であること、滞納額は年間収入を優に超えており管理組合に資金が全くないことから外部塗装はもちろん鉄部塗装も行えず問題が多いことから管理委託契約の継続は困難であるとの申し入れがあった。
また、区分所有者がマンションを売却しようとしても、問題が多いために買い手が金融機関にローンを断られるため売却できない状況である。
国土交通省資料より
ハウスハウス

マンションの管理組合って大切なんだね。

判断基準1-5. 周辺環境

周辺の地価が下がらず、徒歩で病院通いや買い物が済めば、老後に住み続けるマンションとして合格です。

周辺の高齢化が進むと地価が下落するため、まず地価の推移を確認しましょう。

周辺地価は地価公示の推移で分かる

周辺の地価の動きは、国土交通省の地価公示と都道府県の基準地価で分かります。

時系列のデータを日経がまとめているので、こちらで近隣の地価の動きを見て下さい。
【参考】日本経済新聞・あなたの街の地価は?

公式なサイトは国土交通省のこちらのサイトです。
【参考】国土交通省地価公示・都道府県地価調査

固定資産税評価額と路線価も目安になる

地価公示と地価調査の調査点が遠すぎて参考にならない場合は、固定資産税評価額の土地を見るか、相続税路線価も目安になります。

ただし固定資産税評価額は、3年に1度しか見直されません。

また固定資産税評価額と路線価は、それぞれ地価公示の70%と80%程度に安くなっています。

5種類の地価の目安

詳しくはこちらの別記事で解説しています。

周辺が高齢化すると施設が撤退して買い物難民になるリスクも

周辺が高齢化すると、地価が下落するだけでなく、スーパーや生鮮食品店、病院などが撤退します。

この問題は、すでに「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」などと呼ばれ社会問題に。
【参考】農林水産省・食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト

農林水産省の調査によると、買い物難民の高齢者は、3大都市圏でわずか10年で1.7倍に急増しています。

食料品アクセス困難人口の推移

買い物難民の推移

アクセス困難人口とは、店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者。

原因は、住宅地区で飲食料品小売業の店舗が激減しているためです。

住宅地区の店舗数推移

住宅地区の店舗数推移

ハウスハウス

今はまだスーパーが残っていても、将来は撤退するかもしれないのか。


家博士家博士

周辺が高齢化すると、生活しずらくなって売りにくくなる。だから地価も下がるんだ。

チェックリスト2の解説

判断基準2-1. 万が一の余裕資金

何か問題が起きると、結局は臨時でお金が必要になります。余裕資金として考えるべきはこの3点です。

  • 大規模修繕で資金が不足した場合の、修繕一時金
  • マンション建替えになった場合の、建替え費用と建設期間の仮住まい費用
  • 最悪のケースとして、マンションに住めなくなった場合の移転費用

修繕一時金は国交省のガイドラインを参考に

修繕一時金は、今までの積立の不足分を補うもの。

前述の「修繕積立金のガイドライン」を参考にして下さい。

ただし他の住民もこの費用を負担できないと、大規模修繕はできません。

住民が高齢化している場合は住民の合意が難しく、あなたに余裕資金があっても大規模修繕できない恐れがあります。

多くのマンションは建て替えできない

建替え費用は、1千万円〜2千万円程度かかりますが、建て替え後は新築として売却できます。

しかし多くのマンションは建替費用が問題となり、住民が合意できず、建替えできません。

実際に2022年4月時点で建て替えできたマンションは、わずか270棟と、旧耐震マンションの2%しかありません。
【参考】国土交通省・マンションに関する統計・データ等

建替えできないマンションは、建物を壊して土地を売却するか、そのままスラム化するかのどちらかになります。

マンションの建替えについては、こちらで解説しています。


ハウスハウス

建て替えが難しいってことは、いつか解体して敷地売却するってことか。


家博士家博士

解体して敷地売却の決議ができる管理組合は、ごく一部かもしれない。
所有者が認知症になっていたり、施設に入ると、決議も難しくなるからね

65才の平均余命は、男性約20年、女性約25年

65才を無事に迎えた日本人の平均余命(あとどのくらい生きるか)は、

  • 男性:19.85年(84.85才)
  • 女性:24.73年(89.73才)

厚生労働省/令和3年簡易生命表

あくまで平均ですから、約半数の方はこれよりさらに長く生きます。

判断基準2-2. 住みたいと思う気持ちがあれば、住み続けるのも正解

老後も今のマンションに住み続けるのか、最終的にはあなたやご家族の気持ちが一番大切です。

近隣に知り合いが多ければ、住み続ける価値は十分にあるでしょう。

またマンションに愛着があれば、問題が起きても住民同士で力を合わせ、トラブルに対処する方が豊かな人生になるかもしれません。

ご家族とよく話し合って、決断すると良いでしょう。

ハウスハウス

マンションのコミュニティーがきちんとしているなら、力を合わせて頑張るのもありだね。
それ以外は、住み替えたほうが良いのかな。


家博士家博士

そうだね。
住み替えについても知っておこう。

売却する場合は老後の住まいをどうする?

マンションを売却する場合は、老後の住まいをどうすれば良いのでしょうか?

新しい家を購入するか、賃貸住宅に住むかのどちらかになるでしょう。

年金暮らしでも賃貸に住める

老後の住まいについてよくある誤解に、「高齢者は賃貸住宅に住めない」というものがあります。

20年前ならともかく、現在は高齢者でも普通に賃貸住宅に住めます

それには次の理由があります。

  • 賃貸住宅に空室が増えていること
  • 高齢者が増えていること

(1) 空室が増え続ける賃貸住宅

全国的に賃貸住宅の空室が増えています。

都道府県別で10年前(2008年→2018年)と比較して整理するとこちら。

賃貸住宅の空家率
(都道府県別2008年→2018年)

賃貸住宅の空室率(都道府県別、10年前と比較)

わずか10年の間に、ほぼ全ての都道府県で空き家率が上昇しています。

都心部に限れば、空き家が減っているエリアもありますが、横浜市、名古屋市、大阪市などは空き家が増えています。

賃貸住宅の空家率
(都心部2008年→2018年)

都心部の賃貸住宅空き家率(2008年、2018年比較)

一方で、人口及び世帯数は減少しています。
今後も、ますます空き家が増えることは間違いありません。

その状況で、高齢者の世帯比率が増加しているのです。

2015年時点で、全世帯の26.6%が高齢者世帯。
さらに、2050年には全世帯の37.7%、単独世帯の半数以上が高齢者になると予想されています。

日本の人口比率推移

賃貸住宅を所有する大家にとって、高齢者を拒否することはできなくなっています。
高齢者は主要なお客さんになりつつあるのです。

(2) 公共の賃貸住宅や賃貸サポートも豊富にある

全国に75万戸の賃貸住宅を抱えるUR都市機構や各都道府県の住宅供給公社なども、高齢者をメインの客層に考えています。

昔は住宅が足りず、安定した住宅供給の目的に設立されたこれらの公団や公社。
今は逆に、日本の空き家率が13.5%を超え、家が余って問題になっています。
そのような状況から、公団や公社はその存在意義を問われています。

そこで、これらの公団・公社は、「高齢者への対応」を優先課題に掲げています。
高齢者を優先して入居させたり、高齢者専用住宅の供給に力を入れています。
すでに多くの高齢者が利用しており、また、今後も高齢者向け賃貸住宅が次々と整備される予定です。

【参考】UR賃貸住宅・ 高齢者向け賃貸住宅

また「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)に基づき、規模や構造等について一定の基準を満たした住宅を紹介した公共サイトもあります。

【参考】セーフティーネット住宅情報提供システム

(3) サポートまで付いた高齢者向け住宅

高齢者向け住宅として、サポートまでセットになった住宅が厚生労働省でも推奨されています。

シルバーハウジング
公営住宅やUR都市再生機構賃貸住宅などの公共賃貸住宅のうち、住宅をバリアフリー化するとともに、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が、生活相談や緊急時対応などのサービスを提供するもの
高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
バリアフリー化した構造・設備が備わっているとともに、緊急時対応サービスが受けられる住宅として、都道府県知事が認定した住宅。整備費及び家賃の減額に対する助成制度があります。
高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)
高齢者の入居を拒否しない住宅として、都道府県知事に登録された住宅。住宅の広さ、家賃、バリアフリー化の状況などについて情報提供があります。高齢者住宅財団による家賃債務保証制度を活用できます。
高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)のうち、特に高齢者の単身・夫婦世帯を入居対象とするもの。住宅の広さ、家賃、バリアフリー化の状況などのほか、入居者が共同で利用できる居間、食堂、台所、浴室などの有無、入居者に対する食事、介護、家事援助などのサービス提供の有無についての情報もあり。

厚生労働省 政策レポート(高齢者の住まい)より

高齢者の住まいについて、一般社団法人 高齢者住宅財団のガイドブックが参考になります。
一般社団法人 高齢者住宅財団・ 高齢者の住まいガイドブック

(4) 保証人は不要、サポート機関も増えている

一般財団法人の高齢者住宅財団では、60才以上の高齢者に対して、民間賃貸住宅入居時の保証人となってくれる保証制度があります。
2年契約で、月額家賃の35%の手数料で利用できます。
(詳しくはこちら⇒家賃保証制度

これ以外にも、民間企業やNPOで多くの保証人制度があります。
社会的ニーズに伴って、今後も増え続けることは間違いないでしょう。

例えば、65才以上の方専用の賃貸住宅サイトR65不動産などもできています。
【参考】R65不動産

賃貸住宅は老後の住処として、有力な選択肢になっているのです。

ハウスハウス

買い替えも良いし、賃貸もありってことだね。


家博士家博士

あと首都圏は介護施設の不足が心配だね

都心部は老人介護施設が不足

あなたが首都圏にお住まいの場合は、違う問題についても注意が必要です。

首都圏では今後10年間で老人介護の需要が急増し、介護施設がパンクすることが予想されています。

【2015年から10年後、2025年における老人介護の需要増加】

  • 東京:38%増加(17万人増加)
  • 埼玉:52%増加(11万人増加)
  • 千葉:50%増加(10万人増加)
  • 神奈川:48%増加(15万人増加)

日本創成会議 首都圏高齢化危機回避戦略

全国平均で32%の増加に対して、首都圏では45%、54万人も増加する見込みです。

ブロック別の要介護認定者数の推計

首都圏では介護施設の収容能力が追いつかず、大幅な不足が生じます。
老後は首都圏で暮らしたくても、介護施設がパンクして首都圏では暮らせない可能性も高いのです。

首都圏の介護需要と収容能力について

老後はマンション以外の選択肢も

「戸建住宅」は予算管理が自由で土地が残る

築浅の中古戸建住宅の場合、老後も自分で予算を管理しながら、メンテナンスをすることができます。

外壁塗装や防水は10〜15年に1度すれば良いので、マンションほど費用はかかりません。

また死後に遺産となっても、取り壊して更地にすれば、土地として相応の価値があります。

子供に相続する気がなくても、家を担保にリバースモーゲージで老後資金を借りることも可能です。

地方へ移住すると、驚くほど安い価格で戸建住宅を購入できます。

賃貸は自由で経済的

最近は「戸建住宅の賃貸」というのも増えています。

しばらくは戸建住宅の賃貸で暮らし、庭のメンテナンス等が厳しくなったら、賃貸マンションや高齢者施設に入居するという選択肢もあります。

賃貸マンションの場合は、健康状態に合わせて移住することが容易という利点も。

新しいバリアフリーのマンションで、同世代の入居者と交流を楽しみながら暮らすという選択肢もあります。

自宅をバリアフリーへリフォームするより、バリアフリー対応の賃貸マンションへ引越す方がずっと経済的です。

終活という言葉もありますが、人生の最後に向かって持ち物はなるべく減らし、残された人への負担を軽くすることも大切です。
そういった観点でも、賃貸生活は理にかなっているのかもしれません。

今はマンション価格が高騰している

今はマンション価格が高騰しているので、あなたのマンションも思わぬ高値で売れる可能性があります。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2022年8月

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。

マンションは、約9年半で79%も値上がりしています。

もしマンションが高値で売却できれば、資金に余裕ができて、今後の選択肢も大きく広がります。

まずあなたのマンションがいくらで売れるのか、確認してみてはいかがでしょうか。

マンションを売却して利益(譲渡所得)があっても、年金が減ってしまうことはありません。

逆に売却損がある場合は、退職前に売却した方が有利な場合もあります。

マンション価格を確認するためには、不動産会社へ無料査定を依頼します。

エリアで売買実績が豊富な不動産会社3〜6社に無料査定を依頼すると、より正確な価格が分かります。

心当たりの不動産会社がなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    40万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国900店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2022年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制の大手不動産会社は他に無いため、話を聞くと売却活動に役立つでしょう。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4Uイメージw330
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計45万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    1,800社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績45万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。