「マンションのリフォームしで失敗ないためには、何に注意したら良いの?」
マンションのリフォーム・リノベーションでお悩みでしょうか?
思い切ってリフォームしたいけど、費用もそれなりにかかるから失敗はしたくない。
でも正しいリフォーム方法なんてよく分からないし、何に注意すればいいのだろう。
そんなあなたのために、リフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗と失敗しないための6つの注意点を解説します。
あなたの大切な家が、リフォームよって取り返しのつかない失敗をしないために、この記事がお役に立てば幸いです。
リフォーム・リノベーションの5つの失敗
マンションのリフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗はこちら。
マンションのリフォーム・リノベーションの5つの失敗
- リフォーム完成後に思っていたイメージと違い後悔する
- 適正価格より明らかに高額なリフォーム費用を請求される
- リフォーム工事の手抜きやミスでトラブルになる
- 考えていた工事が実は法令違反・管理規約違反になるためリフォームできない
- 間違ったリフォームで管理規約違反、違法建築物になる
それぞれ見ていきましょう。
失敗1. リフォーム完成後にイメージと違い後悔する
マンションのリフォーム失敗としては軽いですが、残念なのがこのパターン。
具体的にはこんな事例があります。
- 壁紙やフローリングの色、質感が思っていたイメージと違った
- 扉の開く方向が使いにくい
- 畳からフローリングにしたら、音がうるさくなった
いずれも、リフォーム完成後に思っていたイメージと違い後悔しますね。
リフォーム完成後に思っていたイメージと違う原因の多くは、リフォーム会社が完成後のイメージについて説明不足なこと。
リフォーム会社が経験不足だと、事前の説明やアドバイスでイメージとのズレを修正できないのです。
例えば、壁紙やフローリングのリフォームでは、サンプルを見せてくれるのはどこの会社も同じです。
しかし経験豊富なリフォーム会社なら、全面を変えるとイメージより明るく(淡く)見えることまで説明してくれます。
また床材やドアと壁紙の色調は基本色を合わせるなど、基本的な考え方についてアドバイスしてくれます。
中には、専用ソフトを使って、パースや3Dイメージで説明してくれるリフォーム会社も。
事前の計画や説明で、イメージのズレは修正できます。

経験豊富なリフォーム会社に依頼した方が良いってことだね。

あと不安なことは、遠慮せずにドンドン質問した方が良いよ。
失敗2. 明らかに高額なリフォーム費用を請求される
悪質なリフォーム会社に高額な費用を請求される失敗です。
特に訪問営業で、高齢者を狙って営業するリフォーム会社に多い手口です。
リフォームの訪問営業や無料点検は絶対に断りましょう。
またリフォームを依頼するときは、3社以上の見積もりを取って、適正な価格か確認してから契約しましょう。
失敗3. リフォーム工事の手抜きやミスでトラブルになる
リフォーム工事のレベルが低く、手抜きやミスで完成後にトラブルになるケースです。
例として次のような事例があります。
- 給水管の未交換や接続ミスで下の住戸へ漏水した
- 排水管の勾配ミスで水の流れが悪くなる・詰まりやすくなる。
- 換気ダクトが接続されていなかった。
- フローリングが規格と違い、下の家から苦情が来た。
いずれも信じられない様なトラブルですが、実際にあった事例です。
手抜きやミスによる施工トラブルを避けるためには、施工実績が豊富なリフォーム会社に依頼すること。
また独自の保証制度が充実しているリフォーム会社を選ぶことが大切です。
そしてきちんとした契約書を交わしましょう。
工事前に、請負契約書、契約約款、見積書、設計図書などがきちんと揃えてもらいましょう。
失敗4. 考えていた工事が法令違反等でリフォームできない
リフォームしようとリフォーム会社へ相談したら、法令違反やマンションの管理規約違反になるためできないと断られることも。
なぜならマンションのリフォーム・リノベーションには数多くの法令・条例があり、さらに管理規約も関係するためです。
リフォームをする予定でマンションを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。
具体的には、次のような法令・条例があります。
リフォーム・リノベーションに関係する法令
建築関係法令
- 建築基準法(地方公共団体が建築基準法に付加する条例等も含む)
- 都市計画法
- 消防法
- 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)
- 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)
- バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
- 建設業法
- 建築士法
- 宅建業法(宅地建物取引業法)
- 長期優良住宅法(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)
- 下水道法
- 浄化槽法
住宅に関するその他法令
- 住生活基本法
- 住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
- 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)
- マンション管理適正化法(マンションの管理の適正化の促進に関する法律)
民法その他関係法令・制度
- 民法
- 消費者契約法
- 特定商取引法(特定商取引に関する法律)
- 消費生活用製品安全法
- 建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
- 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
- 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

頭がクラクラしてきた

まぁまぁ。法律が沢山あるってことだけ分かれば良いよ
失敗5. 間違ったリフォームで管理規約に違反したり、違法建築になる
マンションをリフォームした結果、マンションの管理規約に違反したり、違法建築になってしまう失敗です。
件数は少ないですが、実際にありますし、多くはきっかけがないと表面化しないため気づかずに放置されています。
表面化すると、リフォームのやり直しをすることもあります。

リフォームする前にリフォーム会社がチェックしてくれるから、こんなこと起きないんじゃないの?

ところが中には見逃したり、わざと目をつむることがあるんだ
経験不足・能力不足のリフォーム会社もある
リフォーム会社は法令や管理規約も良く分かっていると思いがちですが、中には素人同然の会社もあります。
なぜならリフォーム会社は、工事金額500万円以下なら、無許可・無資格で届出もなく素人が今日から開業できるため。
特に要注意なのは、リフォーム会社で雇われて働いていた人が独立したばかりのケース。
こういった人は、例えば工事の技術は確かでも、今まで営業が担当していた法令や契約については素人だったりします。
わざと法令を無視するケースもある
法令や構造について知識があるリフォーム会社でも、わざと法令を無視するケースもあります。
例えば、依頼主の要望(デザイン優先など)に応えるために、法令的にはアウトだけどあえて無視するケース。
また設計段階では法令や規約を満たしていても、現場でだと判明し、今更変更するのが大変なので無視するケース。
法令を守ると手間と費用がかかるからといった理由で無視することもあります。
リフォームで管理規約に違反したり、違法建築物にならないためには、やはり実績が豊富で信頼できるリフォーム会社を選ぶことが大切です。

リフォームには、いろいろ落とし穴があるんだね。

リフォームで失敗しないための注意点をまとめたよ。
マンションリフォームで失敗しないための6つの注意点
マンションリフォームで失敗しないための6つの注意点
- 訪問営業は断るのが基本
- 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
- リフォームでは3社以上の見積もりを取る
- 工事前にきちんと契約書を取り交わす
- リフォーム前提で購入するなら事前に相談
- 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
それぞれ解説します。
注意点1. 訪問営業は断るのが基本
突然家に訪ねてくるリフォームの訪問営業は、無料診断などでも全て断りましょう。
訪問販売によるリフォーム工事・点検商法について、年間6千〜7千件の相談が消費者センターにも寄せられています。
【参考】国民生活センター・訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
訪問営業では、かなりの確率でリフォーム費用が割高になります。
どうしても断れない場合は、まず見積書を作成してもらい、とりあえず帰ってもらいましょう。
そして見積書の内容を、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「リフォーム見積チェックサービス」に相談しましょう。
無料で見積書の内容をチェックし、事業者に確認すべきポイントやリフォームを進めるうえでの注意点などアドバイスしてもらえます。
リフォーム見積チェックサービス(住まいダイヤル)
電話番号 0570-016-100
トラブルになってしまった場合は、消費生活センターへ相談しましょう。
⇒独立行政法人 国民生活センター
また地方公共団体のリフォーム相談窓口もあります。
⇒地方公共団体におけるリフォーム相談窓口のご案内
注意点2. 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
マンションのリフォームを依頼するなら、経験豊富なリフォーム会社へ依頼しましょう。
経験豊富なリフォーム会社の条件として、最低限チェックしたい条件はこちら。
最低限チェックしたいリフォーム会社の条件
- 建設業許可を取得している
- 国土交通大臣登録の加入団体に加入している
- 工事件数・売上高・設立年数・従業員数・有資格者数などを明示している
- リフォーム瑕疵保険が利用できる
- メーカー保証より手厚い自社保証制度がある
- 自社で賠償責任保険・工事保険などに加入している

沢山あるね。これ全部?

経験豊富なリフォーム会社なら、全部当然のことだよ。
もしこの条件を聴いても説明してくれないなら、怪しいと思ったほうが良いね。
注意点3. リフォームでは3社以上の相見積もりを取る
マンションのリフォームでは、必ず複数のリフォーム会社に見積もりを取りましょう。
見積もりを依頼するリフォーム会社の数は最低3社以上、逆に多いと対応が大変なので多くても5社くらいまで。
もしリフォーム会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
一括査定サイトはいくつかありますが、定番はホームプロ。
ホームプロは、10年連続でリフォームサイト利用者数1位(リフォーム産業新聞による)
ホームプロでは匿名で見積もりが依頼でき、最大8社を紹介。
匿名の状態で業者と商談でき、断るときもボタン一つで可能です。
注意点4. 工事前にきちんと契約書を取り交わす
マンションリフォームの工事前には、きちんと契約書を取り交わしましょう。
契約書の内容として、次のものがあります。
- 請負契約書
- 契約者、契約金額、工期、支払時期と方法など
- 請負契約約款
- 契約に関する細かい約束事。
遅延損害金や瑕か 疵し 担保責任、紛争の解決方法など。 - 見積書
- 契約金額と明細を記載。設計図書と照合し、内容、工事範囲を確認。 「工事一式」の費用のみ記載されていたら、明細を取り寄せる。
- 設計図書
- 平面図などの設計図、各部屋の内装仕上材一覧を記入した仕上表など。 打ち合わせで決めた内容が盛り込まれているか確認。
- 打合せ記録
- いつ何が決定されたかの記録。打ち合わせの都度作成。
注意点5. リフォーム前提で購入するなら事前に相談
リフォームを前提でマンションを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。
具体的な失敗事例は後で紹介しますが、内装工事の専門家でないと判断が難しい内容も多くあります。
特に間取りを変えるために壁を抜く場合は、耐震性能が大きく変わるため注意が必要です。
手間を省くならリフォームプラン付きで売りに出ている家を購入する方法もあります。
注意点6. 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
マンションの売却前にリフォームして売り出すなら、そもそもリフォームが必要なのか、不動産会社の意見を聴いてからにしましょう。
国土交通省の調査でも、売却前に個人でリフォームしても失敗することが多いことが分かっています。
売却前のリフォームについては、こちらの記事で解説しています。
一番確実なのは、複数の不動産会社に無料査定を依頼して、リフォームが必要か意見を聴き比べること。
売却実績の豊富な不動産会社なら、購入者の傾向をよく知っています。
多くの不動産会社が「リフォームは不要」という意見であれば、そもそもリフォームで失敗することもなくなります。
不動産会社の心当たりが無い場合は、一括査定サイトを利用すると便利。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。
一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。
この3社以外についてはこちらにまとめています。
すまいValue
- 査定実績:
- 40万件
- 不動産会社数:
- 大手6社・全国890店舗
- 運営会社:
- 大手6社共同運営
大手6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年に設立した一括査定サイト。
6社といっても全国890店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
2021年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトです。
簡易査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
地方では大手より地域密着の中小が強い場合もあるので、3位のHOME4Uも確認した方が良いでしょう。
しかし都市部では「すまいバリュー」が定番です。
特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。SRE不動産(旧ソニー不動産)
- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス株式会社
すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。利用できるエリアは首都圏と関西圏限定です。
あのソニーが始めた不動産会社で、売主だけを担当するエージェント制が特徴。無数にある他の不動産会社が買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。管理人のコメント
大手不動産会社でエージェント制はSRE不動産だけ。話を聞くと売却活動に役立つでしょう。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで査定を依頼することがポイント。まずメールで概算価格を査定してくれます。
HOME4U
- 査定実績:
- 累計40万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 1,500社
- 運営会社:
- 株式会社NTTデータ・スマートソーシング
日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数40万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
不動産会社は大小バランスよく登録されているため全国どこでも幅広く依頼ができます。
机上査定を選ぶと、郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておく程度で大丈夫。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
マンションののリフォーム・リノベーションの失敗事例
マンションのリフォーム・リノベーションにおける具体的な失敗事例を見ていきます。
例1. 床のフローリングの遮音性能不足
各部屋の床は専有部分なので、リフォーム・リノベーション自体は可能です。
しかし、専有部分であってもリフォーム・リノベーション前には管理組合に確認し、承認を得る必要あり。
国土交通省の定める「マンション標準管理規約第17条」によると、管理組合理事長への申請と書面での承認が必要とされています。
また、床がフローリングの場合は、階下への騒音防止の観点から遮音性能が必要。
遮音性能のレベルについては、マンションの使用細則に記載されている場合もあります。
こうした細かいルールを確認しないままリフォーム等を行ってしまった結果、失敗してしまうことになるのです。
例2. 窓ガラス・サッシの交換、内サッシの取り付け
マンションでは共用部分と専用部分があり、窓ガラスやサッシは共有部分なので、自分の意思で交換できません。
自分が所有している部屋は全て専有部分と思いがちですが、実は違います。

自分の部屋でも専有部分ではないの?

そう。窓ガラスやサッシ、玄関ドアなどは専有部分ではなく共用部分になるんだ
また、給気ガラリ付きのサッシに内サッシを取り付けるのもNG。
内サッシを取り付けてしまうと、給気口を塞ぐことになってしまうためです。

給気口も法令に基づいて設置されているもの。
それを塞ぐことは、法令に違反した建物になってしまうんだ
例3. 水回りが動かせない
水回りは、マンションの配管状況によって、動かせるものと動かせないものがあります。
① 水回りを動かせるもの
- 住戸の床下にゆとりがある場合
最近のマンションで、梁の向きが逆転している「逆梁工法」のマンションです。
② 水回りを動かせないもの
- 配水管が階下の天井裏にある場合
- 配水管が住戸の床下にあってゆとりがない場合
配水管が階下の天井裏にある場合は水漏れを起こしやすいため、水回りの移動は困難。
築30年以上のマンションに多く見られます。
また、配水管が住戸の床下にあってゆとりがない場合も水回りを動かすのは困難ですが、床のレベルを上げて勾配を確保できれば動かすこともできます。
例4. 玄関ドアの交換や防犯用の補助錠を取り付ける
玄関ドアも共用部分なので、交換や改造はできません。
防犯用の補助錠を付けることも改造にあたるため、原則は禁止です。

玄関も共用部分なんだね。

共用部分だけど、専用使用権があるんだ。
だから、その部屋の所有者が専用で使える共有部分になっているんだよ
例5. インターホンをカメラ付きに交換する
インターホンも共用部分なので、交換や改造はできません。
窓ガラスやサッシ、玄関と同様に交換・改造はできません。
例6. ディスポーザーの設置
流し台の下にある排水設備に直接取り付け、生ごみを処理してくれるディスポーザー。
生ごみの嫌なニオイや害虫を防いでくれるといったメリットがあります。
その一方で、下水処理施設への負担が大きいというデメリットも。
下水処理施設への負担を軽くするためにも、マンションへ設置する場合は原則として「ディスポーザー排水処理システム」としての設置が求められています。

ディスポーザー排水処理システム?

ディスポーザーだけを取り付ければいいのではなく、マンション内に排水処理槽などを併設しなければならないということだよ
マンションの場合、各戸からの排水は共用部分の排水管に接続しています。
そのため、ディスポーザーを設置したい場合は、はじめにマンション全体の共用設備として処理槽を設置するところから検討する必要があるのです。
例7. 設備をグレードアップする
マンション各戸の電気やガス、給排水といった設備は、マンションの共用部分となる大元の設備(本管や幹線等)に接続して機能するもの。
専有部分の設備のグレードも、大元の設備の能力などに見合うものにしておく必要があるのです。

大元の設備とのバランスで、問題となる恐れがあるんだ
こうした理由から、次のようなリフォームは問題となる可能性があります。
- ガス給湯器の号数を上げる
- 電気の契約容量を上げる
- 共用ダクトの排気ファン能力を上げる
いずれも大元の設備の能力内に収まっているかどうか、よく確認しておくことが大切です。
例8. バルコニーにスノコ床を敷き込む等
バルコニーも専有部分と思いきや、専用使用権が認められている共用部分。
実は避難経路として重要な部分でもあるのです。
そのため、避難する際に支障となる物品を置いてはいけません。

専用使用権が認められているから、物を置いたりすることはOK。
ただし、置き方には注意しないといけないんだ
たとえば部屋との段差をなくすためにバルコニーにスノコ床を敷き込む場合には、避難ハッチの使用に支障がないよう、その部分のスノコをくり抜く必要があります。
避難の際に邪魔になる大きなプランターを設置することは避け、室外機も邪魔にならないようにしておきましょう。
隣との仕切り板の前に物を置くことは、避難経路を塞ぐことになるためNGです。
例9. 大幅な間取り変更
部屋数を変えるなど、間取りを大幅に変える場合も要注意。
ひとつは居室の採光面積や換気面積について。
自然採光と換気に有効な窓を設ける必要があります。

採光面積と換気面積には、それぞれ必要面積と有効面積が決められているんだ。
いずれも、有効面積が必要面積以上になるようにしなければならないとされているよ
必要面積と有効面積については、それぞれ次の通りとなっています。
- 採光面積について
- 必要採光面積は床面積の1/7、有効採光面積は窓面積×採光補正係数
- 換気面積について
- 必要換気面積は床面積の1/20、有効換気面積は外気に向かって開放できる実面積
【参考】建築基準法第28条
また、シックハウス対策に不備がある場合も、リフォーム等による失敗例。
シックハウス対策については、規制対象となる建材の使用制限や24時間換気を居室に設置すること、天井裏等に換気設備を設置することなどが義務付けられています。
シックハウスについては、こちらの記事でも解説しています。
例10. 高層階(11階以上)の内装の不燃性能
部屋面積が100平方メートルを超え、更に11階以上の高層階にある場合は、内装を「準不燃材」以上にする義務があります。
これは万が一の火災の際、被害の拡大を防いで避難が円滑に行えるようにするため。
建築基準法施工令第112条第5〜7項に定められている内容です。
本来、11階以上の高層階では100平方メートル以内ごとに防火区画が必要ですが、内装の条件を満たすことで区画面積の条件を緩和。
リフォームやリノベーションにおいても、この条件を満たすことが求められます。
リフォームで便利な保険や減税制度など
リフォームに関しても、瑕疵保険や減税制度、融資制度、補助制度といったさまざまな制度が利用できます。
リフォーム瑕疵保険
リフォーム時の検査と保証がセットになっているリフォーム瑕疵保険。
リフォーム瑕疵保険に加入している業者に依頼すれば、工事後に万が一、欠陥が見つかっても安心です。
保険期間は工事を行った部分によって変わりますが、工事完了から1年間または5年間。
最大1,000万円まで補償してもらえます。
【参考】一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会・リフォーム瑕疵保険
減税制度について
一定の条件を満たすリフォームを行った場合に、所得税の控除や固定資産税の減額といった減税の対象となります。
【減税制度の対象となる工事】
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応(三世代同居)リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
また、条件を満たせば住宅ローン減税により所得税の控除も可能です。
その他、贈与税の非課税措置、登録免許税の特例措置、不動産取得税の特例措置などもあります。
リフォームの補助制度
住宅性能を向上させるリフォームや同居対応改修工事など、住宅の質を高めるリフォームに対しては国からの補助が受けられます。
他にも耐震診断や耐震改修に対する補助や、介護保険法にもとづく住宅改修費の支給も。
国が実施する補助制度以外に、地方公共団体が実施するものもあります。
リフォームの融資制度
中古住宅購入とリフォーム工事の費用をまとめた住宅ローンのほか、満60歳以上の方が対象となるリフォームローンなどがあります。
こうした支援制度の他に、リフォームの種類や進め方などを解説した「住宅リフォームガイドブック」に目を通しておくのもおすすめです。
【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・ 住宅リフォームガイドブック
まとめ
ここまで『マンションのリフォーム・リノベーションの失敗例と注意点まとめ』として、マンションのリフォーム・リノベーションについて解説してきました。
リフォームで失敗しないための注意点はこちら。
- 訪問営業は断るのが基本
- 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
- リフォームでは3社以上の見積もりを取る
- 工事前にきちんと契約書を取り交わす
- リフォーム前提で購入するなら事前に相談
- 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
リフォームでは法令違反になる事例も多いので、不安な点はきちんと確認しましょう。
保険や減税制度も利用すると、安心です。
あなたのマンションのリフォームが成功することを、心よりお祈りしております!