マンションリフォームイメージ

「マンションのリフォームしで失敗ないためには、何に注意したら良いの?」

マンションのリフォーム・リノベーションでお悩みでしょうか?

思い切ってリフォームしたいけど、費用もそれなりにかかるから失敗はしたくない。

でも正しいリフォーム方法なんてよく分からないし、何に注意すればいいのだろう。

そんなあなたのために、リフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗と失敗しないための6つの注意点を解説します。

あなたの大切な家が、リフォームよって取り返しのつかない失敗をしないために、この記事がお役に立てば幸いです。

リフォーム・リノベーションの失敗とは

増えているリフォーム・リノベーションのトラブル

リフォーム・リノベーションのトラブルは増えています。

リフォームトラブルの新規相談件数

リフォームトラブルの新規相談件数の増加

リフォームの相談を受け付けている「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理センター」によると、リフォームによるトラブルの新規電話相談件数は、この9年で約2倍になりました。

ハウスハウス

リフォームのトラブルって、例えばどんなこと?


家博士家博士

よくある失敗例を紹介しよう。

よくある5つの失敗

マンションのリフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗はこちら。

それぞれ解説します。

失敗1. 完成後にイメージが違う

リフォーム失敗のレベルとしては軽いですが、残念なのがこのパターン。

具体的にはこんな事例があります。

  • 壁紙やフローリングの色、質感が思っていたイメージと違った
  • 扉の開く方向が使いにくい
  • 畳からフローリングにしたら、音がうるさくなった
ハウスハウス

リフォーム完成後に思っていたイメージと違うと悲しいよね。

失敗2. 高額な費用を請求される

悪質なリフォーム会社に高額な費用を請求される失敗。

特に訪問営業で、高齢者を狙うリフォーム会社に多くあります。

悪質業者の事例として、詐欺罪や特定商取引法違反(不実の告知)で逮捕者も出ているほど。

例)悪質業者元社員4名逮捕
警視庁生活経済課は6月 30 日、東京都内にあったリフォーム会社「サムニンイースト」(現リブロ)の元営業担当者ら 4 人を詐欺と特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで逮捕した。
・うその説明で高齢者らに不要な住宅リフォーム契約を結ばせ、金をだまし取った疑い。
・同社はグループ数社とともに 2002 年以降、 34 都府県の約5,400 人とリフォーム工事を契約。約3年間の売り上げは全体で約115億円に上る。同課は売り上げの大半が不要な工事だったとみて追及する。
出典:国土交通省・悪質リフォーム事件等に係る報道例
家博士家博士

国土交通省も悪質リフォーム対策検討委員会を設置しているけど、悪質な業者の被害は続いているんだ。

失敗3. 手抜きやミスでトラブルになる

リフォーム工事のレベルが低く、手抜きやミスで完成後にトラブルになるケースです。

例として次のような事例があります。

  • 給水管の未交換や接続ミスで下の住戸へ漏水した
  • 排水管の勾配ミスで水の流れが悪くなる・詰まりやすくなる。
  • 換気ダクトが接続されていなかった。
  • フローリングが規格と違い、下の家から苦情が来た。

いずれも信じられない様なトラブルですが、実際にあった事例です。

ちなみにマンションのリフォームで多い工事トラブルはこちらです。
マンションのリフォームで多いトラブル箇所

失敗4. 法令違反等でリフォームできない

リフォームしようとリフォーム会社へ相談したら、法令違反になるためできないと断られることも。

なぜならリフォーム・リノベーションには数多くの法令・条例が関係するためです。

具体的には、次のような法令・条例があります。

マンションのリフォーム・リノベーションに関係する法令
建築関係法令
  • 建築基準法(地方公共団体が建築基準法に付加する条例等も含む)
  • 都市計画法
  • 消防法
  • 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)
  • 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)
  • バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
  • 建設業法
  • 建築士法
  • 宅建業法(宅地建物取引業法)
  • 長期優良住宅法(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)
  • 下水道法
  • 浄化槽法
住宅に関するその他法令
  • 住生活基本法
  • 住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
  • 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)
  • マンション管理適正化法(マンションの管理の適正化の促進に関する法律)
民法その他関係法令・制度
  • 民法
  • 消費者契約法
  • 特定商取引法(特定商取引に関する法律)
  • 消費生活用製品安全法
  • 建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
  • 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
  • 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

ハウスハウス

頭がクラクラしてきた


家博士家博士

まぁまぁ。法律が沢山あるってことだけ分かれば良いよ

失敗5. 管理規約違反、違法建築物になる

マンションをリフォームした結果、マンションの管理規約に違反したり、違法建築になってしまう失敗です。

件数は少ないですが、実際にありますし、多くはきっかけがないと表面化しないため気づかずに放置されています。

管理規約に違反したり違法になってしまうと、再工事が必要だったり、売却が難しくなる場合もあります。

ハウスハウス

リフォームには、いろいろ落とし穴があるんだね。


家博士家博士

リフォームで失敗しないための注意点をまとめたよ。

マンションリフォームで失敗しないための6つの注意点

それぞれ解説します。

注意点1. 訪問営業・無料点検は断る

突然家に訪ねてくるリフォームの訪問営業、無料点検などは全て断りましょう。

なぜなら訪問営業・無料点検は、費用が高額なケースが多く、詐欺など犯罪のトラブルの恐れもあるため。

年間6千〜7千件のトラブル相談

訪問販売によるリフォーム工事・点検商法について、年間6千〜7千件のトラブル相談が消費者センターに寄せられています。

【参考】国民生活センター・訪問販売によるリフォーム工事・点検商法

訪問営業では、かなりの確率でリフォーム費用が割高になります。

特に悪質な業者では、無料点検として家に上がり、床下に水が貯まっているなどウソをついて、本来は不要な工事を提案する恐れも。

訪問営業の営業マンは誘導が巧妙で、断りにくい雰囲気にされます。

訪問営業の話は一切聞かずに、始めからきっぱり断りましょう。

断れない場合は、見積書だけもらい相談窓口へ

どうしても断れない場合は、まず見積書を作成してもらい、とりあえず帰ってもらって下さい。

そして見積書の内容を、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「リフォーム見積チェックサービス」に相談します。

リフォーム見積チェックサービスでは、無料で見積書の内容をチェックし、事業者に確認すべきポイントやリフォームの注意点などをアドバイスしてもらえます。

リフォーム見積チェックサービス(住まいダイヤル) 
電話番号 0570-016-100
住まいるダイヤル

トラブルの相談窓口

トラブルになってしまった場合は、消費生活センターへ相談して下さい。
独立行政法人 国民生活センター

また地方公共団体のリフォーム相談窓口もあります。
地方公共団体におけるリフォーム相談窓口のご案内

注意点2. 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ

マンションのリフォームを依頼するなら、経験豊富なリフォーム会社へ依頼しましょう。

最低限チェックしたい条件

経験豊富なリフォーム会社の条件として、最低限チェックしたい条件はこちら。

最低限チェックしたいリフォーム会社の条件

  1. 建設業許可を取得している
  2. 国土交通大臣登録の加入団体に加入している
  3. 工事件数・売上高・設立年数・従業員数・有資格者数などを明示している
  4. リフォーム瑕疵保険が利用できる
  5. メーカー保証より手厚い自社保証制度がある
  6. 自社で賠償責任保険・工事保険などに加入している

ハウスハウス

沢山あるね。これ全部?


家博士家博士

経験豊富なリフォーム会社なら、全部当然のことだよ。
もしこの条件を聴いても説明してくれないなら、怪しいと思ったほうが良いね。

経験不足・能力不足のリフォーム会社も多い

リフォーム会社には素人同然の会社も多くあります。

なぜならリフォーム会社は、工事金額500万円以下なら、無許可・無資格で誰でも開業できるため。

特に要注意なのは、リフォーム会社で雇われて働いていた人が独立したばかりのケース。

こういった人は工事の腕は良くても、今まで営業など他の人が担当していた法令・構造・契約には素人だったりします。

実績欲しさに法令・構造を無視する恐れも

また実績が少ないリフォーム会社では、工事実績欲しさに法令や構造を無視する恐れもあります。

例えば、依頼主の要望(デザイン優先など)に応えるために、法令的にはアウトだけどあえて無視するケース。

また設計段階では法令・構造に問題がなくても、現場で壁を解体したら問題が判明し、変更が大変なので無視するケースも。

立ち上げたばかりのリフォーム会社では、リスクを犯しても受注をとる傾向があるので注意して下さい。

経験豊富なリフォーム会社は、事前説明でトラブルを防ぐ

経験豊富なリフォーム会社は、事前の説明やアドバイスでトラブルを防ぎます。

例えば完成後にイメージと違う原因の多くは、リフォーム会社の説明不足。

壁紙やフローリングのリフォームでは、サンプルを見せるだけでなく、全面を変えるとサンプルより明るく(淡く)見えることまで説明します。

また床材やドアと壁紙の色調は基本色を合わせるなど、基本的な考え方もアドバイス。

中には専用ソフトを使って、パースや3Dイメージで説明してくれるリフォーム会社もあります。

ハウスハウス

経験豊富だと、ノウハウが蓄積されているんだね。


家博士家博士

トラブルを避けるために、実績豊富なリフォーム会社を選ぼう。

注意点3. 3社以上の相見積もりを取る

戸建てのリフォームでは、必ず複数のリフォーム会社に相見積もりを取りましょう。

相見積もりをとる3つのメリット

複数に相見積もりをとると、次の3つのメリットがあります。

  • 話を聴き比べるので、悪質な会社にダマされない。
  • 相場が分かり、価格交渉にも有利。
  • 各社の提案を比較して、最適な会社を選べる。

3社〜5社程度を一括査定サイトで探す

相見積もりを依頼するリフォーム会社の数は最低3社以上は欲しいところ。

ただし多いと対応が大変なので多くても5社程度が良いでしょう。

もしリフォーム会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。

一括査定サイトはいくつかありますが、定番はホームプロ。
ホームプロ
ホームプロは、10年連続でリフォームサイト利用者数1位(リフォーム産業新聞による)

ホームプロでは匿名で見積もりが依頼でき、最大8社を紹介。
匿名の状態で業者と商談でき、断るときもボタン一つで可能です。

ホームプロを試してみるならこちら
【公式サイト】ホームプロ

注意点4. 工事前に契約書を交わす

マンションのリフォームでは、工事前にきちんと契約書を取り交わしましょう。

契約書の内容

リフォーム契約書の内容は、次が記載されているか確認して下さい。

請負契約書
契約者、契約金額、工期、支払時期と方法など
請負契約約款
契約に関する細かい約束事。
遅延損害金や瑕か 疵し 担保責任、紛争の解決方法など。
見積書
契約金額と明細を記載。設計図書と照合し、内容、工事範囲を確認。 「工事一式」の費用のみ記載されていたら、明細を取り寄せる。
設計図書
平面図などの設計図、各部屋の内装仕上材一覧を記入した仕上表など。 打ち合わせで決めた内容が盛り込まれているか確認。
打合せ記録
いつ何が決定されたかの記録。打ち合わせの都度作成。

内容をチェックするときは、次の標準契約書式と比較すると分かりやすいでしょう。
【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・標準契約書式

注意点5. リフォーム前提で購入なら事前に相談

リフォームを前提でマンションを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。

なぜなら法令や耐震構造、管理規約の制約で、できないリフォームもあるため。

例えばマンションの窓は共有部なので、勝手に交換できません。

また室内の壁が構造壁であれば間取りを変更できないエースも。

配管がスラブに埋め込まれていると水まわりを移動できません。

こういった制約は、専門家でないと判断が難しいのが現実です。

具体的な失敗事例は次章で紹介します。

リフォーム会社にも当たり外れがあるので、3社程度に意見を聞いたほうが安全でしょう。

注意点6. 売却前のリフォームは不動産会社に相談

マンションを売却する前にリフォームする予定なら、そもそもリフォームが必要か不動産会社に相談しましょう。

売却前のリフォームは費用を上乗せできず損しがち

なぜなら売却前にリフォームしても、リフォーム費用を全額上乗せできず、トータルで損しがちだから。

国土交通省の調査でも、個人売主による売却前のリフォームには失敗が多いことが分かっています。

売却前のリフォームについては、こちらの記事で解説しています。

実績が豊富な不動産会社3社〜6社に意見を聞く

売却実績の豊富な不動産会社3社〜6社程度に無料査定を依頼して、リフォームが必要か意見を聴き比べましょう。

売却実績の豊富な不動産会社なら、購入者の傾向をよく知っています。

ただし担当者の当たり外れもあるので、最低3社以上は意見を聞いたほうが確実。

かといって多すぎると大変なので、多くても6社程度が良いでしょう。

ハウスハウス

実績が豊富な不動産会社はどうやって探すの?


家博士家博士

不動産会社の心当たりが無い場合は、一括査定サイトを利用すると便利だよ。


一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    40万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国900店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。

マンションののリフォーム・リノベーションの失敗事例

マンションのリフォーム・リノベーションにおける具体的な失敗事例を見ていきます。

例1. フローリングの遮音性能不足

フローリングは管理組合の承認が必要

床は専有部なのでリフォームできますが、リフォーム前に管理組合の承認が必要です。

なぜなら騒音トラブルを避けるために、通常のマンションではフローリングの遮音性能が決まっているため。

国土交通省の定める「マンション標準管理規約第17条」でも、管理組合理事長への申請と書面での承認が必要です。

フローリングには遮音性能がある

通常はフローリングのカタログにマンション用は推定L等級(軽量床衝撃音低減性能LL−40,LL-45)というのが記載されています。

2008年からΔL等級に変わりましたが、併記されている推定L等級の方が分かり易いでしょう。
【参考】集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方

必要な遮音性能のレベルはマンションによって違います。

マンションの使用細則に記載されている場合もあるので確認してみましょう。

例2. 窓ガラス・サッシの交換、内サッシの取り付け

共有部は個人で交換できない

マンションでは共用部と専用部があり、窓ガラスやサッシは共有部なので個人で勝手に交換できません。

自分が所有している部屋は全て専有部分と思いがちですが、実は違います。

ハウスハウス

自分の部屋でも専有部分ではないの?

家博士家博士

窓ガラスやサッシ、玄関ドアなどは共用部なんだ

専有部分と共有部分

給気ガラリ付きだと内サッシを付けられない場合も

また給気ガラリ付きのサッシでは、内サッシを取り付けできない場合もあります。

なぜなら内サッシを取り付けると、給気口を塞いでしまうため。

家博士家博士

給気口も法令に基づいて設置されているもの。
それを塞ぐと法令違反になるんだ

例3. 水回りが動かせない

マンションの配管によっては、水回りの位置を動かせません。

床下に排水管の勾配がとれるゆとりが必要

水回りを動かすためには、フローリングの床下に排水管の勾配がとれるゆとりが必要です。

最近のマンションでは、このゆとりがある設計が主流なので、水回りを動かしやすいでしょう。

しかし築30年を超えるマンションでは、水回りを動かせるものはかなり少なくなります。

築年数が古いと水回りを動かせない

築年数が古いマンションでは、配水管が階下の天井裏にあったり、床下にあってもゆとりがないため、水回りの移動は困難です。

ただし床のレベルを上げて勾配を確保できれば動かせる場合もあります。

とりあえずリフォームが可能か、リフォーム会社に相談してみると良いでしょう。

例4. 玄関ドアの交換や防犯用の補助錠を取り付ける

玄関ドアも共用部分なので、交換や改造はできません。

防犯用の補助錠を付けることも改造にあたるため、原則は禁止です。

ハウスハウス

玄関も共用部分なんだね。


家博士家博士

共用部分だけど、専用使用権があるんだ。
だから、その部屋の所有者が専用で使える共有部分になっているんだよ

例5. インターホンをカメラ付きに交換する

インターホンも共用部分なので、交換や改造はできません。

部屋側の装置だけでも交換はできません。

内装をピカピカにしても、古いインターホンだけは残ってしまいます。

例6. ディスポーザーの設置

ディスポーザーは、流し台の下にある排水設備に取り付けて生ごみを細かく砕き、下水に流す装置。

生ごみの嫌なニオイや害虫を防げるメリットがあります。

しかしディスポーザーは自由に設置できません。

マンションへディスポーザーを設置する場合は、「ディスポーザー排水処理システム」としての設置が求められています。

ハウスハウス

ディスポーザー排水処理システム?

家博士家博士

ディスポーザーだけを取り付ければいいのではなく、マンション内に排水処理槽などを併設しなければならないんだ

マンションの場合、各戸からの排水は共用部分の排水管に接続しています。

ディスポーザーを設置する場合は、はじめにマンション全体の共用設備として処理槽を設置する必要があります。

例7. 設備をグレードアップする

マンション各戸の電気やガス、給排水といった設備は、マンションの共用部にある大元の設備(本管や幹線等)に接続するもの。

専有部分の設備のグレードも、大元の能力に制限される場合があります。

例えば、次のリフォームは問題になる恐れがあります。

  • ガス給湯器の号数を上げる
  • 電気の契約容量を上げる
  • 共用ダクトの排気ファン能力を上げる

いずれも大元の設備の能力内に収まるか、確認した方が良いでしょう。

例8. バルコニーにスノコ床を敷き込む等

バルコニーも専有部でなく、専用使用権が認められている共用部。

実は避難経路として重要でもあるのです。

そのため、避難する際に支障となる物品を置けません。

家博士家博士

専用使用権が認められているから、物を置いたりすることはOK。
ただし、置き方には注意しないといけないんだ

たとえば部屋との段差をなくすためにバルコニーにスノコ床を敷き込む場合には、避難ハッチに支障がないよう、その部分のスノコをくり抜く必要があります。

避難の際に邪魔になる大きなプランターを設置することは避け、室外機も邪魔にならないようにしておきましょう。

隣との仕切り板の前に物を置くことは、避難経路を塞ぐことになるためNGです。

例9. 大幅な間取り変更

部屋数を変えるなど、間取りを大幅に変える場合も要注意。

構造壁は撤去・移動できない

マンションによっては、専用部分にコンクリート製の構造壁があり、この壁は撤去・移動できません。

なぜならマンション全体の耐震性能を確保するために必要な壁だから。

構造壁かどうかは、図面を確認するか、専門家に調べてもらわないと分かりません。

採光面積や換気面積の制限

また居室では、採光面積や換気面積について、自然採光と換気に有効な窓を設ける必要があります。

家博士家博士

採光面積と換気面積には、それぞれ必要面積と有効面積が決められているんだ。

必要面積と有効面積は、それぞれ次の通り。

採光面積について
必要採光面積は床面積の1/7、有効採光面積は窓面積×採光補正係数
換気面積について
必要換気面積は床面積の1/20、有効換気面積は外気に向かって開放できる実面積

【参考】建築基準法第28条

シックハウス対策の換気も

またシックハウス対策は、規制対象となる建材の使用制限や24時間換気を居室に設置すること、天井裏等に換気設備を設置することなどが義務付けられています。

シックハウスについては、こちらの記事でも解説しています。

例10. 高層階(11階以上)の内装の不燃性能

部屋面積が100平方メートルを超え、更に11階以上の高層階にある場合は、内装を「準不燃材」以上にする義務があります。

これは万が一の火災の際、被害の拡大を防いで避難が円滑に行えるようにするため。

建築基準法施工令第112条第5〜7項に定められている内容です。

本来、11階以上の高層階では100平方メートル以内ごとに防火区画が必要ですが、内装の条件を満たすことで区画面積の条件を緩和。

リフォームやリノベーションにおいても、この条件を満たすことが求められます。

リフォームで便利な保険や減税制度など

リフォームに関しても、瑕疵保険や減税制度、融資制度、補助制度といったさまざまな制度が利用できます。

リフォーム瑕疵保険

リフォーム時の検査と保証がセットになっているリフォーム瑕疵保険。

リフォーム瑕疵保険に加入している業者に依頼すれば、工事後に万が一、欠陥が見つかっても安心です。

保険期間は工事を行った部分によって変わりますが、工事完了から1年間または5年間。

最大1,000万円まで補償してもらえます。

【参考】一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会・リフォーム瑕疵保険

減税制度について

一定の条件を満たすリフォームを行った場合に、所得税の控除や固定資産税の減額といった減税の対象となります。

【減税制度の対象となる工事】

  1. 耐震リフォーム
  2. バリアフリーリフォーム
  3. 省エネリフォーム
  4. 同居対応(三世代同居)リフォーム
  5. 長期優良住宅化リフォーム

また、条件を満たせば住宅ローン減税により所得税の控除も可能です。

その他、贈与税の非課税措置、登録免許税の特例措置、不動産取得税の特例措置などもあります。

【参考】国税庁・マイホームの取得や増改築などをしたとき

リフォームの補助制度

住宅性能を向上させるリフォームや同居対応改修工事など、住宅の質を高めるリフォームに対しては国からの補助が受けられます。

他にも耐震診断や耐震改修に対する補助や、介護保険法にもとづく住宅改修費の支給も。

国が実施する補助制度以外に、地方公共団体が実施するものもあります。

リフォームの融資制度

中古住宅購入とリフォーム工事の費用をまとめた住宅ローンのほか、満60歳以上の方が対象となるリフォームローンなどがあります。

こうした支援制度の他に、リフォームの種類や進め方などを解説した「住宅リフォームガイドブック」に目を通しておくのもおすすめです。

【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・ 住宅リフォームガイドブック

まとめ

ここまで『マンションのリフォーム・リノベーションの失敗例と注意点まとめ』として、マンションのリフォーム・リノベーションについて解説してきました。

リフォームで失敗しないための注意点はこちら。

  1. 訪問営業・無料点検は断る
  2. 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
  3. 3社以上の見積もりを取る
  4. 工事前に契約書を交わす
  5. リフォーム前提で購入なら事前に相談
  6. 売却前のリフォームは不動産会社に相談

< リフォームでは法令違反になる事例も多いので、不安な点はきちんと確認しましょう。 保険や減税制度も利用すると、安心です。 あなたのマンションのリフォームが成功することを、心よりお祈りしております!