「一戸建てのリフォームしで失敗ないためには、何に注意したら良いの?」
一戸建てのリフォーム・リノベーションでお悩みでしょうか?
思い切ってリフォームしたいけど、費用もそれなりにかかるから失敗はしたくない。
でも正しいリフォーム方法なんてよく分からないし、何に注意すればいいのだろう。
そんなあなたのために、戸建てのリフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗と失敗しないための6つの注意点を解説します。
あなたの大切な家が、リフォームよって取り返しのつかない失敗をしないために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
リフォーム・リノベーションの5つの失敗
戸建てのリフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗はこちら。
戸建てのリフォーム・リノベーションの5つの失敗
- リフォーム完成後に思っていたイメージと違い後悔する
- 適正価格より明らかに高額なリフォーム費用を請求される
- リフォーム工事の手抜きやミスでトラブルになる
- 考えていた工事が実は法令違反になるためリフォームできない
- 間違ったリフォームで耐震性が不足したり、違法建築物になる
それぞれ見ていきましょう。
失敗1. リフォーム完成後にイメージと違い後悔する
戸建てのリフォーム失敗としては軽いですが、残念なのがこのパターン。
具体的にはこんな事例があります。
- 壁紙やフローリングの色、質感が思っていたイメージと違った
- 扉の開く方向が使いにくい
- 窓が大きくなったら断熱性が悪くなった
- 部屋を広くしたら、邪魔な柱が残った
- 畳からフローリングにしたら、音がうるさくなった
いずれも、リフォーム完成後に思っていたイメージと違い後悔しますね。
リフォーム完成後に思っていたイメージと違う原因の多くは、リフォーム会社が完成後のイメージについて説明不足なこと。
リフォーム会社が経験不足だと、事前の説明やアドバイスでイメージとのズレを修正できないのです。
例えば、壁紙やフローリングのリフォームでは、サンプルを見せてくれるのはどこの会社も同じです。
しかし経験豊富なリフォーム会社なら、全面を変えるとイメージより明るく(淡く)見えることまで説明してくれます。
また床材やドアと壁紙の色調は基本色を合わせるなど、基本的な考え方についてアドバイスしてくれます。
中には、専用ソフトを使って、パースや3Dイメージで説明してくれるリフォーム会社も。
事前の計画や説明で、イメージのズレは修正できます。

経験豊富なリフォーム会社に依頼した方が良いってことだね。

あと不安なことは、遠慮せずにドンドン質問した方が良いよ。
失敗2. 明らかに高額なリフォーム費用を請求される
悪質なリフォーム会社に高額な費用を請求される失敗。
特に訪問営業で、高齢者を狙うリフォーム会社がよくあります。
リフォームの訪問営業や無料点検は絶対に断りましょう。
またリフォームを依頼するときは、3社以上の見積もりを取って、適正な価格か確認してから契約しましょう。
失敗3. リフォーム工事の手抜きやミスでトラブルになる
リフォーム工事のレベルが低く、手抜きやミスで完成後にトラブルになるケースです。
例として次のような事例があります。
- 給水管の接続ミスで床下が漏水していた
- 排水管の勾配ミスで水の流れが悪くなる・詰まりやすくなる。
- 換気ダクトが接続されていなかった。
- 壁の筋交いが切断されて、耐震性能不足になった。
いずれも信じられない様なトラブルですが、実際にあった事例です。
手抜きやミスによる施工トラブルを避けるためには、施工実績が豊富なリフォーム会社に依頼すること。
また独自の保証制度が充実しているリフォーム会社を選ぶことが大切です。
そしてきちんとした契約書を交わしましょう。
工事前に、請負契約書、契約約款、見積書、設計図書などがきちんと揃えてもらいましょう。
失敗4. 考えていた工事が法令違反等でリフォームできない
リフォームしようとリフォーム会社へ相談したら、法令違反になるためできないと断られることも。
なぜならリフォーム・リノベーションには数多くの法令・条例が関係するためです。
リフォームをする予定で一戸建てを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。
具体的には、次のような法令・条例があります。
戸建てのリフォーム・リノベーションに関係する法令
建築関係法令
- 建築基準法(地方公共団体が建築基準法に付加する条例等も含む)
- 都市計画法
- 消防法
- 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)
- 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)
- バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
- 建設業法
- 建築士法
- 宅建業法(宅地建物取引業法)
- 長期優良住宅法(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)
- 下水道法
- 浄化槽法
住宅に関するその他法令
- 住生活基本法
- 住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
- 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)
- マンション管理適正化法(マンションの管理の適正化の促進に関する法律)
民法その他関係法令・制度
- 民法
- 消費者契約法
- 特定商取引法(特定商取引に関する法律)
- 消費生活用製品安全法
- 建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
- 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
- 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

頭がクラクラしてきた

まぁまぁ。法律が沢山あるってことだけ分かれば良いよ
建築確認申請が必要な場合も
一戸建てで増改築する場合は、建築確認申請が必要になります。
建築確認申請とは、建築基準法など基準に適合しているかどうかを第三者がチェックする手続き。
普通のリフォームより時間も費用もかかり、場合によってはリフォームが認められない恐れもあります。

増改築の場合は地域区分によって建築確認申請が必要か違うんだ
- 防火地域または準防火地域内の場合
→面積に関わらず建築確認申請が必要 - 防火地域または準防火地域以外の場合
→10平方メートルを超える場合に建築確認申請が必要
失敗5. 間違ったリフォームで耐震性が不足したり、違法建築物になる
戸建てでリフォームした結果、耐震性が不足したり、違法建築物になってしまう失敗です。
件数は少ないですが、実際にありますし、多くはきっかけがないと表面化しないため気づかずに放置されています。
耐震性が不足したり違法になってしまうと、安全という大きな問題がありますし、さらに売却することも難しくなる場合があります。

リフォームする前にリフォーム会社がチェックしてくれるから、こんなこと起きないんじゃないの?

ところが中には見逃したり、わざと目をつむることがあるんだ
経験不足・能力不足のリフォーム会社もある
リフォーム会社は法令の事も良く分かっていると思いがちですが、中には素人同然の会社もあります。
なぜならリフォーム会社は、工事金額500万円以下なら、無許可・無資格で届出もなく素人が今日から開業できるため。
特に要注意なのは、リフォーム会社で雇われて働いていた人が独立したばかりのケース。
こういった人は、例えば工事の技術は確かでも、今まで営業が担当していた法令や契約については素人だったりします。
わざと法令を無視するケースもある
法令や構造について知識があるリフォーム会社でも、わざと法令を無視するケースもあります。
例えば、依頼主の要望(デザイン優先など)に応えるために、法令的にはアウトだけどあえて無視するケース。
また設計段階では法令を満たしていても、現場で壁を解体したら違法だと判明し、今更変更するのが大変なので無視するケース。
法令を守ると手間と費用がかかるからといった理由で無視することもあります。
戸建てのリフォームで耐震性が不足したり、違法建築物にならないためには、やはり実績が豊富で信頼できるリフォーム会社を選ぶことが大切です。

リフォームには、いろいろ落とし穴があるんだね。

リフォームで失敗しないための注意点をまとめたよ。
戸建てのリフォームで失敗しないための6つの注意点
戸建てのリフォームで失敗しないための6つの注意点
- 訪問営業は断るのが基本
- 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
- リフォームでは3社以上の見積もりを取る
- 工事前にきちんと契約書を取り交わす
- リフォーム前提で購入するなら事前に相談
- 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
それぞれ解説します。
注意点1. 訪問営業は断るのが基本
突然家に訪ねてくるリフォームの訪問営業は、無料診断などでも全て断りましょう。
訪問販売によるリフォーム工事・点検商法について、年間6千〜7千件の相談が消費者センターにも寄せられています。
【参考】国民生活センター・訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
訪問営業では、かなりの確率でリフォーム費用が割高になります。
特に悪質な業者では、無料点検として家に上がり、床下に水が貯まっているなどウソをついて、本来は不要な工事を提案する恐れも。
訪問営業の営業マンは誘導が巧妙で、断りにくい雰囲気されますが、絶対にその場で契約しないこと。
どうしても断れない場合は、まず見積書を作成してもらい、とりあえず帰ってもらいましょう。
そして見積書の内容を、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「リフォーム見積チェックサービス」に相談しましょう。
無料で見積書の内容をチェックし、事業者に確認すべきポイントやリフォームを進めるうえでの注意点などアドバイスしてもらえます。
リフォーム見積チェックサービス(住まいダイヤル)
電話番号 0570-016-100
トラブルになってしまった場合は、消費生活センターへ相談しましょう。
⇒独立行政法人 国民生活センター
また地方公共団体のリフォーム相談窓口もあります。
⇒地方公共団体におけるリフォーム相談窓口のご案内
注意点2. 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
戸建てのリフォームを依頼するなら、経験豊富なリフォーム会社へ依頼しましょう。
経験豊富なリフォーム会社の条件として、最低限チェックしたい条件はこちら。
最低限チェックしたいリフォーム会社の条件
- 建設業許可を取得している
- 国土交通大臣登録の加入団体に加入している
- 工事件数・売上高・設立年数・従業員数・有資格者数などを明示している
- リフォーム瑕疵保険が利用できる
- メーカー保証より手厚い自社保証制度がある
- 自社で賠償責任保険・工事保険などに加入している

沢山あるね。これ全部?

経験豊富なリフォーム会社なら、全部当然のことだよ。
もしこの条件を聴いても説明してくれないなら、怪しいと思ったほうが良いね。
注意点3. リフォームでは3社以上の相見積もりを取る
戸建てのリフォームでは、必ず複数のリフォーム会社に見積もりを取りましょう。
見積もりを依頼するリフォーム会社の数は最低3社以上、逆に多いと対応が大変なので多くても5社くらいまで。
もしリフォーム会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
一括査定サイトはいくつかありますが、定番はホームプロ。
ホームプロは、10年連続でリフォームサイト利用者数1位(リフォーム産業新聞による)
ホームプロでは匿名で見積もりが依頼でき、最大8社を紹介。
匿名の状態で業者と商談でき、断るときもボタン一つで可能です。
注意点4. 工事前にきちんと契約書を取り交わす
戸建てのリフォームでは、工事前にきちんと契約書を取り交わしましょう。
契約書の内容として、次のものがあります。
- 請負契約書
- 契約者、契約金額、工期、支払時期と方法など
- 請負契約約款
- 契約に関する細かい約束事。
遅延損害金や瑕か 疵し 担保責任、紛争の解決方法など。 - 見積書
- 契約金額と明細を記載。設計図書と照合し、内容、工事範囲を確認。 「工事一式」の費用のみ記載されていたら、明細を取り寄せる。
- 設計図書
- 平面図などの設計図、各部屋の内装仕上材一覧を記入した仕上表など。 打ち合わせで決めた内容が盛り込まれているか確認。
- 打合せ記録
- いつ何が決定されたかの記録。打ち合わせの都度作成。
注意点5. リフォーム前提で購入するなら事前に相談
リフォームを前提で一戸建てを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。
具体的な失敗事例は後で紹介しますが、内装工事の専門家でないと判断が難しい内容も多くあります。
特に間取りを変えるために壁を抜く場合は、耐震性能が大きく変わるため注意が必要です。
手間を省くならリフォームプラン付きで売りに出ている家を購入する方法もあります。
注意点6. 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
一戸建てを売却前にリフォームして売り出すなら、そもそもリフォームが必要なのか、不動産会社の意見を聴いてからにしましょう。
国土交通省の調査でも、売却前に個人でリフォームしても失敗することが多いことが分かっています。
売却前のリフォームについては、こちらの記事で解説しています。
一番確実なのは、複数の不動産会社に無料査定を依頼して、リフォームが必要か意見を聴き比べること。
売却実績の豊富な不動産会社なら、購入者の傾向をよく知っています。
多くの不動産会社が「リフォームは不要」という意見であれば、そもそもリフォームで失敗することもなくなります。
不動産会社の心当たりが無い場合は、一括査定サイトを利用すると便利。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。
一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。
この3社以外についてはこちらにまとめています。
すまいValue
- 査定実績:
- 40万件
- 不動産会社数:
- 大手6社・全国890店舗
- 運営会社:
- 大手6社共同運営
大手6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年に設立した一括査定サイト。
6社といっても全国890店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
2021年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトです。
簡易査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
地方では大手より地域密着の中小が強い場合もあるので、3位のHOME4Uも確認した方が良いでしょう。
しかし都市部では「すまいバリュー」が定番です。
特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。SRE不動産(旧ソニー不動産)
- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス株式会社
すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。利用できるエリアは首都圏と関西圏限定です。
あのソニーが始めた不動産会社で、売主だけを担当するエージェント制が特徴。無数にある他の不動産会社が買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。管理人のコメント
大手不動産会社でエージェント制はSRE不動産だけ。話を聞くと売却活動に役立つでしょう。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで査定を依頼することがポイント。まずメールで概算価格を査定してくれます。
HOME4U
- 査定実績:
- 累計40万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 1,500社
- 運営会社:
- 株式会社NTTデータ・スマートソーシング
日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数40万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
不動産会社は大小バランスよく登録されているため全国どこでも幅広く依頼ができます。
机上査定を選ぶと、郵送やメールで査定可能。管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておく程度で大丈夫。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
戸建てのリフォーム・リノベーションで法令違反になる例
一戸建てのリフォーム・リノベーションにおける主な法令違反の例を見ていきます。
例1. 間取りを変更して部屋を広げる
この場合の失敗例としては、次の2点の法令違反が挙げられます。
① 構造耐力上必要な壁を取り払ってしまうことによる耐力の低下
② 居室環境の悪化とシックハウス
構造耐力の低下について
続き間になっている和室を一室にするなど、間取りを変更する際は「必要壁量が確保されているかどうか」に注意が必要です。
本来必要な壁を移動・撤去し必要壁量を損なってしまうと、地震に弱い危険な家となってしまいます。
必要な耐力壁をどうしても撤去しなければならない場合は、代わりとなる耐力壁を新設したり、筋交いを入れたりして必要壁量を確保する必要があります。
居室環境とシックハウスについて
居室には自然採光や換気に有効な窓などを設ける必要があります。
その基準となるのが、採光面積と換気面積。
それぞれ「必要面積」と「有効面積」が決まっているのです。

採光面積も換気面積も、有効面積が必要面積以上になるようにしなければならないとされているよ
必要面積と有効面積については、それぞれ次の通りとなっています。
- 採光面積について
- 必要採光面積は床面積の1/7、有効採光面積は窓面積×採光補正係数
- 換気面積について
- 必要換気面積は床面積の1/20、有効換気面積は外気に向かって開放できる実面積
また、シックハウス対策に不備がある場合も、リフォーム等による失敗例。
シックハウス対策については、規制対象となる建材の使用制限や24時間換気を居室に設置すること、天井裏等に換気設備を設置することなどが義務付けられています。
シックハウスについては、こちらの記事でも解説しています。
例2. 屋根裏や車庫を部屋にする
屋根裏や車庫を有効活用するため、部屋に変更するリフォームもよくあるパターン。
この場合は次の点に注意が必要となります。
- 容積率オーバー
- 壁量不足
- 採光及び換気面積不足
容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。
用途地域や接道の状況によって最高限度(指定容積率)が決まっています。
この容積率に関しては、主に車庫を部屋に変えた場合に起こりやすい失敗の一つ。
そもそも車庫は部屋ではなく車などを駐車するスペースとして利用されるため、容積率に算入されないという緩和の対象になっています。
※正確には、その建物の延べ面積の1/5を限度として容積率に算入されないとされる。
しかし、そこを部屋にするとなると緩和の対象外となり床面積が容積率に算入されるため、容積率オーバーとなる可能性があるのです。
また、部屋に変えると「居室」となるため、採光面積や換気面積の基準をクリアしていることも必要。
屋根裏を部屋にする場合は、屋根裏を利用することで建物の荷重が増すため、構造耐力上必要な壁量があるかどうかもチェックしておきましょう。
例3. 出窓やバルコニーを設ける
出窓やバルコニーを新しく設置する場合には、次のような点に注意が必要です。
- 防火性能があるか(バルコニー)
- 建ぺい率や容積率をオーバーしていないか
家が準防火地域にある場合、バルコニーは不燃材料にしなければならないという決まりがあります。

不燃材料ということは、燃えやすい木製はダメだということ?

そう。アルミなど防火性能のあるものでつくるか、覆っておく必要があるんだ
建ぺい率や容積率に関しては、出窓やバルコニーの構造次第。
構造によって建築面積と床面積に算入するかどうかが変わります。
なお、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことです。

建ぺい率も用途地域によって上限が決められているんだ。
防火地域や一定の要件を満たす角地などでは建ぺい率の緩和措置が設けられていて、実質的に『制限なし』となることもあるよ
例4. キッチンの模様替え
キッチンは「火気使用室」となるため、模様替えの際には内装材に注意が必要。
キッチンとリビングが一体となっている場合(扉で区画されていない場合)は、リビングの部分も含めて天井と壁の内装を準不燃以上の不燃性能のある材料にしなければなりません。
ただし、キッチンとリビングが一体となっている場合でも、50cm以上の垂れ壁で区画すればリビング部分の内装は不燃性能がなくてもOK。
垂れ壁は不燃材料でつくるか、不燃材料で覆っておく必要があります。
また、ガスコンロ周辺は不燃材料でなければいけないため、そのほかの壁と一緒にビニルクロス張りにする等はNG!
不燃材料とする範囲は市区町村の条例によっても異なるため、模様替えの際は管轄の消防署に相談しましょう。
例5. ディスポーザーを設置する
流し台の下にある排水設備に直接取り付け、生ごみを処理してくれるディスポーザー。
生ごみの嫌なニオイや害虫を防いでくれるといったメリットがあります。
その一方で、下水処理施設への負担が大きいというデメリットも。
自治体によっては条例でディスポーザーの設置を禁止しているところもあるため、自治体への確認は必須です。
設置が許可されている自治体であっても、基本的には排水処理槽などを併設した「ディスポーザー排水処理システム」としての設置が求められます。
例6. 断熱改修して外壁や窓を改修する
これは防火地域・準防火地域および法22条区域と呼ばれる特定行政庁が指定する区域で、特に注意が必要なケース。
これらの区域では外壁や軒裏に防火性能が定められています。
屋根については瓦やコンクリート、れんがといった不燃材料でつくるか葺く必要あり。
外壁も防火性能か準防火性能を有する材料を使わなければなりません。

どちらが必要かは地域によっても変わるんだ。防火性能が必要となれば、軒裏にも同じ性能が必要になるから注意しよう
窓についても、樹脂素材の断熱サッシはNG!
防火認定品サッシまたは鋼製サッシに網入りガラスを利用しなければなりません。
例7. サンルームの設置、小規模な増築
まず、サンルームを設置する際に注意するポイントは次の通り。
- 容積率や建ぺい率オーバー
- 斜線制限
サンルームを設置すると床面積も増えるため、容積率や建ぺい率をオーバーしていないか確認する必要があります。
また、道路側にサンルームを設置すると、斜線制限にかかる可能性も。
斜線制限は採光や日照、風通しの確保を目的とした制限で、道路斜線・隣地斜線・北側斜線などの制限があります。
次に小規模な増築の際に注意するポイントは次の通り。
- 建築確認申請の必要性
- 防火性能
ほんの少しの増改築であっても、地域によっては建築確認申請が必要になります。
面積に関わらず建築確認申請が必要なのが、防火地域および準防火地域内に敷地がある場合。
それ以外の地域では、10平方メートルを超える増改築を行う場合に建築確認申請が必要です。
また、延焼の恐れのある部分については防火性能を守らなければなりません。
増改築部分がこうした部分に係る場合は、既存部分と同じ材料で仕上げられるわけではない点にも注意しておきましょう。

延焼の恐れのある部分にかかってしまうと、材料自体を防火性能のあるものにしなければならないんだね

そう。だから、増改築部分も既存部分と同じような外観に仕上げたいと思っても、できない場合があることを頭に入れておこう
リフォームで利用したい保険や減税制度など
リフォームに関しても、瑕疵保険や減税制度、融資制度、補助制度といったさまざまな制度が利用できます。
リフォーム瑕疵保険
リフォーム時の検査と保証がセットになっているリフォーム瑕疵保険。
リフォーム瑕疵保険に加入している業者に依頼すれば、工事後に万が一、欠陥が見つかっても安心です。
保険期間は工事を行った部分によって変わりますが、工事完了から1年間または5年間。
最大1,000万円まで補償してもらえます。
【参考】一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会・リフォーム瑕疵保険
減税制度について
一定の条件を満たすリフォームを行った場合に、所得税の控除や固定資産税の減額といった減税の対象となります。
【減税制度の対象となる工事】
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応(三世代同居)リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
また、条件を満たせば住宅ローン減税により所得税の控除も可能です。
その他、贈与税の非課税措置、登録免許税の特例措置、不動産取得税の特例措置などもあります。
リフォームの補助制度
住宅性能を向上させるリフォームや同居対応改修工事など、住宅の質を高めるリフォームに対しては国からの補助が受けられます。
他にも耐震診断や耐震改修に対する補助や、介護保険法にもとづく住宅改修費の支給も。
【参考】長期優良住宅化リフォーム推進事業
国が実施する補助制度以外に、地方公共団体が実施するものもあります。
リフォームの融資制度
中古住宅購入とリフォーム工事の費用をまとめた住宅ローンのほか、満60歳以上の方が対象となるリフォームローンなどがあります。
こうした支援制度の他に、リフォームの種類や進め方などを解説した「住宅リフォームガイドブック」に目を通しておくのもおすすめです。
【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・ 住宅リフォームガイドブック
まとめ
ここまで『一戸建てのリフォーム・リノベーションの失敗例と注意点まとめ』として、一戸建てのリフォーム・リノベーションについて解説してきました。
一戸建てのリフォームで失敗しないための注意点はこちら。
- 訪問営業は断るのが基本
- 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
- リフォームでは3社以上の見積もりを取る
- 工事前にきちんと契約書を取り交わす
- リフォーム前提で購入するなら事前に相談
- 売却前のリフォームは不動産会社の意見を聴いてから
一戸建てのリフォームでは法令違反になる事例も多いので、不安な点はきちんと確認しましょう。
保険や減税制度も利用すると、安心です。
あなたの家のリフォームが成功することを、心よりお祈りしております!