定年退職イメージ
「定年後に家を買い替えようか、、、」

定年後の住み替えでお悩みですね。

確かに定年後は生活が大きく変わるので、家の住み替えには良いタイミングです。

しかし定年前に住み替えないと損するケースがあるのをご存知ですか?

老後の家を損せず住み替えるために知っておきたいポイントをまとめました。

定年の前後で大きく違う節税

節税するなら定年前が有利

家の住み替えで節税できるなら、定年前の方が有利です。

なぜなら定年の前後で、節税できる金額が大きく違うため。

定年前だと給与収入があるので、大きな金額が節税できます。

一方で定年後は、年金が主な収入になるため税金が安くなり、節税できる金額も限られることに。

節税を考えると、定年前の方が住み替えないと損するケースがあるのです。

ハウスハウス

住み替えで節税できることってあるの?


家博士家博士

今の家を売って、損するなら節税できるんだ。

売却で損する場合は定年前に売る方が得

今の家を売却して損する場合は、定年前に売ったほうがお得です。

なぜなら損した分だけ、給与から天引された税金が戻ってくるため。

売却損の分だけ最大4年間の税金が戻る

家を売却して損失が出ると、給与から天引きされていた税金(所得税・住民税等)が最大4年間も戻ってきます。

この特例は、次の2種類の場合に使え、少しずつ条件が違います。

  1. マイホームを買換えた場合
  2. 住宅ローンが残っているマイホームを売却した場合

それぞれ解説します。

ケース1. マイホームを買換えた場合

(売却した年の1月1日時点で)5年以上所有したマイホームを、(住まなくなってから3年目の12月31日までに)売却して、(売却の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に)新しい家を購入した場合です。

次の図の様に、売却損を計算します。
売却損のイメージ

(参考)国税庁・No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

ケース2. 住宅ローンが残っているマイホームを売却した場合

住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたとき。

次の図のようなイメージです。
住宅ローン残債と売却価格

(参考)国税庁・No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

いずれも家を売った損(譲渡損失)を給与など他の収入と合計(損益通算)することにより、所得税と住民税を節税できるのです。

損益通算できる期間は、売却した年と、その翌年から3年間の合計4年間。

この期間を上手く利用することで、数百万円の節税が可能になります。

家博士家博士

本来、自宅の売却損と給与所得等は損益通算できないけど、特例の条件を満たせば損益通算できるんだ


ハウスハウス

損益通算できれば、節税できるんだね。

具体的な事例

具体的な事例を基に、節税額がいくらになるのか見てみます。

  • 自宅の売却による売却損…1,500万円
  • 年収…額面800万円(課税所得約450万円)
  • 所得税・住民税…約90万円

年収800万円の場合、社会保険料の控除(約16万7,000円)やその他控除によって、課税所得は約450万円となります。

この時の税金は、所得税と住民税合わせて年間90万円です。

ここで売却損1,500万円を損益通算することで、売却した年とそれ以降3年間、所得を0円にすることができます。

・売却した年
課税所得450万円から売却損失1,500万円を控除し、所得は0円に。
所得税・住民税…約90万円が0円に
残りの損失1,050万円は翌年(1年目)に繰り越し。
・売却の翌年
課税所得450万円から前年に繰り越した売却損失1,050万円を控除し、所得は0円に。
所得税・住民税…約90万円が0円に
残りの損失600万円は翌年(2年目)に繰り越し。
・売却の翌々年
課税所得450万円から前年に繰り越した売却損失600万円を控除し、所得は0円に。
所得税・住民税…約90万円が0円に
残り損失150万円は翌年(3年目・最終年)に繰り越し。

この例では、売却した年から3年間、損益通算によって所得が0円となり、90万円×3年間で270万円の節税ができました。

なお、退職金の退職所得からも売却損を控除できます。

ハウスハウス

3年で270万円はすごいね!
でも、家を売って利益がある場合はどうなるの?


家博士家博士

家を売って利益がある場合は、定年の前後どちらでも影響はないよ。

売却で損がない場合は、定年の影響は少ない

今の家を売却して損しない場合は、定年の影響は少なくなります。

売却益は特例で控除か分離課税

3,000万円の特例で多くは非課税

今の家を売却して利益があっても、多くの場合は「3,000万円の特例」で税金はかかりません。

【参考】国税庁・No.3302 マイホームを売ったときの特例

不動産の譲渡所得は分離課税

また万が一、税金が課税される場合も、不動産売却の譲渡所得は分離課税で、給与の有無によって所得税率は影響しません。

【譲渡所得の税率】
所有期間 短期譲渡所得
(1月1日で5年以下)
長期譲渡所得
(1月1日で5年超)
長期の軽減税率特例
(1月1日で10年超で特例を選択する場合)
税率
(所得税)
30.63% 15.315% 6千万円以下分:10.21%
6千万円超分:15.315%
税率
(住民税)
9.0% 5.0% 6千万円以下分:4.0%
6千万円超分:5.0%
税率
(合計)
39.63% 20.315% 6千万円以下分:14.21%
6千万円超分:20.315%

参考:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算・国税庁
参考:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算・国税庁
参考:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

年金の影響は無いが、健康保険と介護保険は少し影響あり

定年後に今の家を売却して利益があっても、年金が減額される心配はありません。

ただし健康保険・介護保険の保険料と負担割合が、翌年だけ影響する場合があります。

今の家を売って損しないなら、あなたのライフプランに合わせて、住み替えを考えましょう。


ハウスハウス

でも今の家がいくらで売れるか、どうやって調べたらいいの?


家博士家博士

売買実績が豊富な不動産会社3〜6社に無料査定を依頼するのが定番だね。

今は不動産価格が高騰している

都市部を中心に値上がりしている

今は都市部を中心に不動産価格が高騰しています。

不動産の売却を考えているなら、まず今いくらで売れるのか正確な価格を確認しましょう

この1年で数百万円値上がりしているかもしれません。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国202404)

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約11年で92%も値上がりしています。


戸建てはあまり上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。

戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。

今の家の価格を確認する方法

今の家がいくらで売れるか確認する方法は、不動産会社に無料査定を依頼するのが定番。

具体的な手順は、

  1. エリアで売買実績が豊富な不動産会社を選ぶ
  2. 3〜6社に無料査定を依頼して、査定価格と話を聴き比べる

エリアで売買実績が豊富な不動産会社の方が、査定の精度は高くなります。

また今は不動産価格が高騰しているため、不動産のプロでも査定が難しい状態。

不動産会社によって査定価格に差が出るため、1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。

ただし数が多すぎると対応が大変なので、多くても6社程度が現実的です。

ハウスハウス

実績が豊富な不動産会社はどこ?


家博士家博士

都市部なら大手3社が強いね。


実績は大手3社が強い

売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2023年3月

不動産売却の実績は、大手3社に偏っています

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。

都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
37年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 286店舗
    (首都圏182、関西圏46、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
  • 三井のリハウスは、37年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

    独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


    多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。

    また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

    家博士家博士

    業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
    他と比較する基準にもなるからね。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    【大手2】住友不動産販売
    熱心な営業スタイルに定評

    すみふの仲介ステップ

    • 店舗数 234店舗
      (首都圏136、関西圏58、中部東海15、北海道8、東北4、中国7、九州6)

    住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

    現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

    自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

    家博士家博士

    スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


    【大手3】東急リバブル
    東急沿線や大型案件に強み

    東急リバブル

    • 店舗数 216店舗
      (首都圏141、関西圏42、名古屋11、札幌9、仙台6、福岡7)

    東急リバブルは売却に便利なサービスが充実しています。

    例えば予定期間で売れないと査定価格の90%などで買取る「買取保証」は、買い替えで安心。

    またリフォーム込で売り出す「アクティブ売却パッケージ」は、築古マンションを売り出す方法として効果的です。

    家博士家博士

    初めての買い替えや売却で心配なら、話を聞いてみると良いね。

    東急リバブルの無料査定はこちらから
    東急リバブル

    大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」

    大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

    すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。


    すまいValue

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    ハウスハウス

    とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?


    家博士家博士

    売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
    首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    売主だけを担当するエージェント制

    SRE不動産
    大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。

    なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
    (※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)

    SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
    買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。

    結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。

    ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

    家博士家博士

    SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
    大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の公式サイトはこちら
    SRE不動産

    その他エリアは地域No.1を探す

    大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。

    実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

    不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。

    全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。


    ハウスハウス

    老後の住み替え先はどこが良いのかな?


    家博士家博士

    人それぞれ、価値観や環境が違うからなんとも言えないけど、長期的な不動産環境については知っておくと良いかもね。

    長期的は不動産環境について

    人口減と高齢化で空き家が急増

    日本の人口は、2008年にピークから急激に減っており、高齢化も進んでいます。

    日本の長期人口変化

    日本の長期人口変化

    一方で、新築住宅が次々と建てられているため、空き家は増える一方。

    日本人の人口・世帯数と住宅戸数

    住宅戸数と世帯数の変化2018年rev3

    結果として、空き家率は2018年時点で13.6%に。

    持ち家の27%が空き家予備軍

    2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。

    そうなると空き家は一気に増加。

    すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。

    実に27%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。

    地方だけでなく、東名阪(東京・名古屋・大阪圏)エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。

    実際にこれだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れないことが予想されます。

    空き家予備軍の割合(2018年時点)

    空き家予備軍

    30年で価格半減の予想もある

    シンガポール国立大学の研究によると、日本の住宅価格は2010年→2040年の30年で平均46%下がる(価格は半額)と予想されています。

    (※出典:Analysis of policy options to address Japan’s declining population, shrinking birthrate, and aging society

    また国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には

    • 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
    • 2割の地域で、無人化する。

    ことが分かっています。

    利便性で地価の動きが違う

    地価の動きを見ると、利便性で全く違います。

    利便性の高い一部のエリアは値上がりしている一方で、利便性の悪いエリアは地価は下がり続けています。

    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (3大都市圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(3大都市圏・2018年)


    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (地方圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(地方圏・2018年)

    公示地価とは
    公示地価は、国土交通省が毎年全国に定めた標準地約3万地点を対象に、1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を3月頃に発表するもの。
    都道府県の発表する基準地価と合わせて、土地取引の指標になります。
    公示地価は、国土交通省の土地総合情報システム 地価公示・都道府県地価調査にアクセスすると調べられます。
    国土交通省地価公示・都道府県地価調査
    土地の価格の調べ方について詳しくはこちら
    土地の価格の調べ方と、価格を比較する場合の修正点とは

    好立地なら賃貸もあり

    もし駅徒歩7分以内の好立地な物件の場合は、売却ではなく賃貸に出すという選択肢も良いでしょう。

    賃貸は特に立地で選ばれることが多いため、駅徒歩7分以内の物件は有効活用できる可能性もあります。

    賃貸についてはこちらで解説しています。

    家博士家博士

    そもそも、今でもすでに売れないエリアがあることも事実。それも、東京に近いエリアですら、ものすごい勢いで地価が下落していたりするんだ

    首都圏でも大きく下落してる

    例えば、千葉県松戸市にある小金原団地は、1969年に整備された大規模な団地(賃貸・分譲併せておよそ3000戸)です。

    築年数は49年。

    建物の老朽化だけでなく高齢化も進んでおり、周辺地域の高齢化率は50%に届く勢いとなっています。

    周辺エリアの地価下落率はこの10年で26%。

    築40年以上の大規模団地の中でも、最大の下落率となりました。

    「首都圏だから大丈夫」と、悠長なことを言っていられない状況になっているのです。

    まとめ

    老後イメージ
    今の家を売却して損するなら、定年前に住み替えた方が節税できるのでお得です。

    一方で家を売却しても損しないなら、定年前に無理に売る必要はありません。

    売却して利益があれば、翌年の健康保険・介護保険の保険料と負担割合が増えますが、金額は限られます。

    今後は人口減少と高齢化で、利便性が悪いエリアの不動産は大きく値下がりします。

    住み替えるなら、資産価値の維持できるエリアを検討する考えもあるでしょう。

    今の家がいくらで売れるか調べるなら、売買実績が豊富な不動産会社3社〜6社に無料査定を依頼して下さい。

    都市部なら大手3社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル)が実績豊富。

    とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、37年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の無料査定はこちらから
    SRE不動産

    首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

    全国対応の一括査定サイトとして定番はこちら。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!