「年金受給者が不動産を売却すると、年金が減額されたり保険料が高くなる?」
不動産売却で年金や保険料の影響をご心配ですね。
不動産を売却したいけど、年金や保険料で損しないのか?
事前に影響が分かれば、安心して売却できるのに。
そんなあなたのために、不動産売却による年金・保険料・税金への影響について、分かりやすくまとめました。
結論からいうと、不動産売却によって年金が減額されることはありません。
(※一部の傷害年金を除く)
ただし不動産売却によって、譲渡所得があると健康保険・介護保険・税金は影響するので、詳しく解説します。
また所有者が認知症などで判断能力を失うとに必要になる『成年後見人』についても合わせて解説。
あなたの不動産売却が成功し、老後の不安を解消するために、この記事がお役に立てば幸いです。
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信頼できる不動産会社が見つかれば、後は相談しながら安心して売却を進められます。
この記事のもくじ
不動産売却時の年金・健康保険・介護保険・税金への影響まとめ
年金受給者が不動産を売却すると、年金や健康保険に次の影響があります。
- 1. 年金
- 基本的には影響なし。
ただし成人前に認定を受けた障害基礎年金だけ影響する可能性あり。 - 2. 国民健康保険
- 譲渡所得があると翌年だけ保険料が増えるが、上限(年87万円)あり。
(※市区町村で金額が違う)
また翌年度(8月〜7月)だけ医療費窓口負担割合(70才以上2割、75才以上1割)が3割に増える可能性あり。 - 3. 介護保険
- 譲渡所得があると翌年だけ65歳以上が支払う介護保険料が高くなる。
※市区町村で金額が違う
また翌年度の介護負担割合が1割から最大3割へ増える可能性あり。 - 4. 税金
- 譲渡所得があると税金(所得税・住民税)がかかる。
それぞれについて詳しく解説します。
まず知っておきたい「譲渡所得」
年金や健康保険への影響を知るために、まず「譲渡所得」を押さえましょう。
不動産を売却して得た利益
譲渡所得とは、税務用語で不動産を売却して得た利益のこと。
譲渡所得の計算式は次の通り。
【参考】国税庁・No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
譲渡価格は買主から受け取る金額
譲渡価格とは、売却によって買主から受け取る金額のこと。
固定資産税・都市計画税などの清算金とは、売主が先に支払った分を日割りで清算するもので、概算を知るだけなら省略して良いでしょう。
売買時は、不動産会社が計算してくれます。
売却前なら不動産会社の無料査定で価格を知る
まだ売る前だと、売却価格はどうやって調べるの?
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一括査定サイトの定番3社
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- 不動産会社数:
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取得費は購入にかかった総額
取得費は購入にかかった費用で、購入代金と手数料の合計です。
計算方法は2種類ある
② 取得費=(土地と建物の購入価格+購入費用)−減価償却費
どうして2つの計算式があるの?
不動産を購入したときの売買契約書がない場合は①を使うんだ。
売買契約書があれば②を利用できる。
【参考】国税庁・No.3258 取得費が分からないとき
①だと譲渡所得が増える恐れも
不動産購入時の売買契約書があれば、②の計算式を使えます。
しかし売買契約書が無いと、取得費が「譲渡価格×5%」と極端に安くなり、譲渡所得が増える恐れも。
購入時期が1960年代(高度成長期)より後になるほど、実際より譲渡所得が増える傾向です。
契約書を紛失した場合の解決策については、こちらで解説します。
家の売却で購入時の売買契約書がないと要注意です。売買契約書を紛失した場合の2つの注意点とその対策、契約書を再取得する方法をまとめました。
購入費用とは
購入費用になるのはこちら。
購入費用になるもの
- 不動産会社への仲介手数料
- 登録免許税、登記手数料
- 不動産取得税
- 改築や増築の費用
- ローン保証事務手数料
- 固定資産税・都市計画税の精算金(購入時に売主に対して支払った分)
- 建物付き土地を購入して、1年以内に建物を取り壊した場合はその撤去費
- ローンの開始から入居まで期間があいた場合は、その期間の金利、ローン保証料、団体信用生命保険料
領収証などを探しておきましょう。
減価償却費は複雑で要注意
減価償却費とは、建物が古くなって価値が減る分を、税金に反映するもの。
減価償却(定額法)のイメージ
減価償却の計算方法は、購入時に新築か中古か、事業使用の有無によっても変わります。
木造の新築を購入した場合は次の式で計算します。
減価償却費相当額=建物の取得価額×0.9×償却率0.031×経過年数
(上限は建物の取得価額の95%)
減価償却はかなり奥が深いので、こちらの別記事で詳しく解説しています。
減価償却と償却費は税金の計算に必要です。家を売ったときの減価償却について、具体例で分かりやすく解説します。
譲渡費用とは
譲渡費用になるのはこちら。
譲渡所得の計算についてはこちらで詳しく解説しています。
家を売った時の税金について、知っておくべき知識をまとめました。家を売るのが初めての人でも、税金についてよく分からなくても、この記事を読めば安心!! 家が値下がりして損した場合は税金が戻ってきます!
特別控除とは
自宅なら3,000万円の特別控除で多くが全額控除に
特別控除で多くの人が利用できるのは、マイホームを売却した場合の3,000万円の特別控除。
これで譲渡所得が全額控除される人が多いでしょう。
税金の特別控除
- マイホームを譲渡した場合 ・・・ 3,000万円
- 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合・・・1,000万円
- 収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・ 5,000万円
- 特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 2,000万円
- 特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 1,500万円
- 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 ・・・ 800万円
税金の特別控除は、後の税金で詳しく解説するよ。
扶養の計算では特別控除を考慮できない
ちなみに会社員が加入する健康保険の「扶養の計算」では、特別控除が使えません。
会社員の扶養家族が不動産を売却した場合は、特別控除が適用できず譲渡所得が大きくなり、扶養から外れる恐れがあります。
専業主婦や夫の扶養内で働くパート主婦が、自分名義の家や土地などを売ると、気になるのは扶養の扱い。扶養に影響する内容と具体的な金額、さらに納税額の計算等を分かりやすくまとめました。
ちなみに介護保険では、平成30年度から介護保険法施行令の改正で特別控除が適用できるようになりました。
以上をふまえたうえで、年金や健康保険などがどうなるのか具体的に見ていきます。
1.年金について
不動産を売却しても、年金には影響ありません。
(唯一例外として20才前に認定された障害年金だけ影響を受ける可能性があります。)
老齢基礎年金と老齢厚生年金
影響なし
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、不動産売却で譲渡所得があっても減額されません。
老後に受給する年金には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2つがあります。
- 老齢基礎年金
- 自営業者や個人事業主など国民年金に加入していた人。
- 老齢厚生年金
- 会社員で厚生年金に加入していた人。
厚生年金は国民年金に上乗せする形で保険料を納めているため、厚生年金加入者は国民年金加入者でもあります。
ということは、厚生年金に加入している人は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを一緒にもらえるということ?
そういうことになるよ
【参考】日本年金機構・年金の受給(老齢年金)
在職老齢年金
影響なし
また厚生年金のひとつに「在職老齢年金」というものがありますが、これも不動産の売却には影響を受けません。
在職老齢年金は60歳以上になっても働いて厚生年金に加入しつつ、厚生年金を受給するもの。
この在職老齢年金は、年金の受給額と給与・賞与の額次第で年金が支給停止(全部または一部)となる事があります。
つまり、収入次第で年金がもらえなくなるってこと?
ということは、不動産売却で、在職老齢年金も支給停止になるの?
譲渡所得は対象外だから、不動産を売却しても在職老齢年金が支給停止になったり減額されたりする事はないんだ。
あくまでも年金の受給額と、給与・賞与の額だけが対象だよ
不動産売却の譲渡所得は、在職老齢年金の対象外なので、在職老齢年金も減額されません。
障害年金
影響あり
年金で唯一、不動産売却によって影響を受ける可能性があるのは「障害年金」。
障害年金は20歳前に傷病を負って障害状態となってしまった場合の障害基礎年金だけ影響します。
障害年金とは、年齢に関係なく病気やケガによって一定の障害状態になった場合に受け取るもの。
年金加入前(20歳前)に病気やケガで障害状態になってしまった人も、20歳を過ぎれば障害基礎年金が受け取れます。
ただし、20歳前に傷病を負って障害状態となってしまった場合は、年金保険料を納付できていません。
そのため、受給する年金額については一定の所得制限が設けられています。
この場合の『所得』には、不動産売却によって得られる譲渡所得も含まれる。
だから影響を受ける可能性があるんだ
【参考】日本年金機構・障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
2.健康保険について
国民健康保険料
翌年の保険料が増えるが上限あり
国民健康保険の保険料は、前年の所得に応じて納付する保険料が増えます。
ただし保険料には上限(賦課限度額)年間85万円(令和4年度)があるので、これ以上は増えません。
【参考】厚生労働省・国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額について
年金受給者の場合、健康保険の保険料はどうやって納付するの?
普通は年金から天引きされるよ。
毎年、自治体から届くお知らせに詳細が書いてあるんだ。
自治体によって保険料は違う
健康保険は全国一律ではなく、自治体によって計算が異なります。
詳しくはお住まいの市区町村窓口やホームページなどで確認して下さい。
それぞれの保険料を計算する際には、所得割・資産割・均等割・平等割という4つの計算があるんだ。
4つの組み合わせや割合は自治体によって変わるから、保険料も地域差があるんだよ
なんだか複雑だね…。
でも、『所得割』で所得が関係するから、不動産売却で譲渡所得があると保険料が上がるのか
そうだね。
でも保険料には上限があるから安心してね
保険料の内訳は年齢によって違う
ちなみに健康保険の保険料は、年齢によってその内訳が変わります。
健康保険の内訳は次の3つ。
- 医療分保険料(医療分)
- 後期高齢者支援金分保険料(支援分)
- 介護分保険料(介護分・40歳以上65歳未満のみ)
各保険料の合計額が健康保険の保険料となります。
65歳〜74歳の人が支払うのは、医療分と支援分。
75歳以上または65歳〜74歳で一定の障害がある人は、後期高齢者医療制度という健康保険とは別の制度です。
自己負担割合
窓口の自己負担割合が増える場合も
また70才以上だと医療費の窓口負担割合が、2割(75才以上1割)から3割に増える場合もあります。
75才以上の場合、1割負担から2割負担になるケースもあります。
3.介護保険について
介護保険制度は、介護が必要な人に介護サービスを利用する際の費用を給付してくれるもの。
40歳になると健康保険料に上乗せする形で、介護保険料を納付することになります。
介護保険については、介護サービスを利用しているかどうかでも影響が変わります。
介護サービスを利用している人
翌年の負担割合が増える恐れあり
介護サービスを利用している人は、不動産を売却して譲渡所得があると、翌年の負担割合が増える恐れがあります。
介護サービスを利用する際の利用者負担割合は原則1割(所得が一定以上の人は2割)でした。
しかし2018年8月以降は、合計所得が220万円以上になると負担割合が最大3割に。
この合計所得には、不動産売却による譲渡所得も含まれます。
基準となるのは「世帯の65歳以上の人の年金収入+その他の合計所得金額(合計所得金額−年金の雑所得)」の金額。
この金額が単身で340万円未満、2人以上の世帯で463万円未満なら、負担割合は1割または2割となります。
【参考】厚生労働省・一定以上所得者の負担割合の見直しについて
介護サービスを利用していない人
翌年の保険料が増える
介護サービスを利用していない人は、保険料を納付しているため、不動産を売却して譲渡所得があると、翌年の保険料が増える恐れがあります。
介護保険も国民健康保険と同じく、計算方法が自治体ごとに違い、保険料には地域差があります。
詳しくは市区町村の窓口かホームページを確認してください。
なお介護保険料も年金から天引き(特別徴収)が基本です。
【参考】厚生労働省・介護保険制度について
【注意】認知症など判断力が無いと成年後見人制度が必要
不動産を所有している本人が認知症などで、医師が『判断力が無い』と診断すると、成年後見制度を利用しないと不動産を売却できません。
たとえ実の子供でも、親の名義の不動産を勝手に売却することはできません。
成年後見人制度で売るのは手間がかかり、売れない恐れも
成年後見人制度でも不動産を売却できますが、手間がかかり、最悪の場合は売れない恐れもあります。
なぜなら不動産の売却には、成年後見人と裁判所の承認が必要になるため。
不動産の売却が本人の利益にならないと、成年後見人と裁判所は認めません。
例えば不動産会社の買取では相場より安くなるため、裁判所に認められ難くなります。
後見人や監督人に弁護士などが指定されるケースも増えている
また後見人は親族がなれるとは限りません。
後見人制度では、申立人が裁判所に後見人を申請し、最終的に裁判所が選定します。
しかし最近は後見人に弁護士などの専門家が選定されたり、後見人は親族でも監督人として弁護士が指定されるケースが増加。
なぜなら指定した後見人が財産を着服し、裁判所の責任を問われる事件があったためです。
裁判所は後見人の指名責任を回避するため、弁護士などを指定する流れに。
弁護士が後見人や監督人になると、家を売りにくくなるだけでなく、毎月手数料を支払うことになってしまいます。
成年後見人制度の詳細は、こちらで詳しく解説しています。
認知症になった親の家でも、親が同意していれば子供が売れる場合もあります。認知症の親の家を売る3つの注意点、成年後見制度の4つの注意点などをまとめました。
意識がしっかりしていれば、代理人で売却可能
ただし不動産を所有している本人の意識がしっかりしている場合は、代理人を立てれば不動産を売却できます。
代理人については、こちらで解説しています。
不動産の売却では、代理権を委任することであなた自身が立ち会わなくても不動産売却ができるようになります。代理人に委任する方法や必要な書類、注意点をまとめました。
4.税金について
税金は、譲渡所得に課税されます。
しかし自宅を売却した場合は、「3,000万円の特別控除」があるので、これ以下の金額であれば非課税にできます。
特別控除で多くは非課税に
特別控除にはいくつかあり、条件に合うものを適用できます。
3,000万円の特別控除
マイホームを売った時の特例で、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円が控除できるものです。
特例を適用するためには次の要件が必要です。
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋と一緒にその敷地(借地権含む)を売ること。ただし、以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。ただし、建物を取り壊した場合は、次の2つを満たした場合のみ認められる。
- 土地の売買契約が、建物を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。
- 建物を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸し駐車場など他の用途に使用していないこと。
- 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買い替えやマイホームの交換の特例、もしくはマイホームの譲渡損失の特例などを利用していないこと。
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
- 別荘など、主に趣味や保養のために所有する建物でないこと。
- 一時的な仮住まいやこの特例を目的に入居した建物でないこと。
【参考】国税庁・No.3302 マイホームを売ったときの特例
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得した場合は、1,000万円の特別控除があります。
【参考】国税庁・No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
こちらはマイホームを売却し、新たにマイホームを購入した場合に対象となるもの。
売却時に損失が出てしまっても、一定の要件を満たせば、損失をその年の他の所得から控除(損益通算)できる特例です。
損益通算によっても控除できなかった場合は、譲渡の翌年から3年以内に繰越控除もできます。
【参考】国税庁・No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
これはマイホームの売却価格が住宅ローンの残高を下回った場合に対象となる特例。
一定の要件を満たせば、譲渡損失をその年の他の所得から控除(損益通算)できる特例です。
損益通算によっても控除できなかった場合は、譲渡の翌年から3年以内に繰越控除もできます。
先ほどの特例と違い、家の買換えでなくても利用できるものになります。
【参考】国税庁・No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例
相続や遺贈によって取得した家や土地を売却した場合に対象となる特例です。
一定の要件に当てはまれば、譲渡所得から最高3,000万円が控除できます。
【参考】国税庁・No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
その他の特別控除
その他、まれなケースですが、次のような特別控除もあります。
- 収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・ 5,000万円
- 特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 2,000万円
- 特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 ・・・ 1,500万円
- 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 ・・・ 800万円
【参考】国税庁・No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
不動産売却による譲渡所得は分離課税
税金の計算には「総合課税方式」と「分離課税方式」の2種類があります。
総合課税方式は、各所得の合計金額に税率をかけて税額を計算する方法。
総合課税方式では所得が増えるにつれて税率も上がっていきます。
一方の分離課税方式は他の所得とは合算せずに、それぞれの所得金額に税率をかけて税額を計算する方法。
不動産売却による譲渡所得のほか、退職所得や山林所得が分離課税方式によって計算されます。
不動産売却による譲渡所得は、どうして分離課税なのかな?
不動産の売却による譲渡所得は、一時的なものだけど高額になりがち。
総合課税にすると合計所得も高額になって、税率も高くなってしまうんだ。
そうしたことを避けるためにも、分離課税になっているんだよ
税率について
所有期間で税率は違う
譲渡所得には、所得税と住民税がかかります。
(所得税には復興特別所得税も含みます。)
また税率は所有していた期間で変わります。
期間とは、売却した年の1月1日時点で、5年所有していたかどうか。
さらに所有期間が10年を超えると、軽減税率の特例を選択することもできます。
所有期間 | 短期譲渡所得 (1月1日で5年以下) | 長期譲渡所得 (1月1日で5年超) | 長期の軽減税率特例 (1月1日で10年超で特例を選択する場合) |
---|---|---|---|
税率 (所得税) |
30.63% | 15.315% | 6千万円以下分:10.21% 6千万円超分:15.315% |
税率 (住民税) |
9.0% | 5.0% | 6千万円以下分:4.0% 6千万円超分:5.0% |
税率 (合計) |
39.63% | 20.315% | 6千万円以下分:14.21% 6千万円超分:20.315% |
5年を超えるかで税率が全然違うんだね!
そうなんだ。長い期間住んでいるほど、税率は低くなるよ
【参考】国税庁・No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
【参考】国税庁・No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
【参考】国税庁・No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
家を売った時の税金について、知っておくべき知識をまとめました。家を売るのが初めての人でも、税金についてよく分からなくても、この記事を読めば安心!! 家が値下がりして損した場合は税金が戻ってきます!
いずれ売却するなら早い方が有利
年金受給者が不動産を売却すると、譲渡所得によって健康保険や介護保険、税金などに影響します。
給与収入などと比べ、年金の収入は少ないため、負担が増えるのは残念かもしれません。
しかし、いずれ不動産を売ろうと考えているなら、早く売る方が良い条件で売れる可能性が高いでしょう。
長期的には不動産価格は大幅に値下がりする
シンガポール国立大学の研究によると、日本の住宅価格は2010年→2040年の30年で平均46%下がる(価格は半額)と予想されています。
なぜなら、日本の人口は急激に減少し、高齢化が進んでいるのに、一方で新築住宅がどんどん建てられているため。
日本の人口は、2008年をピークに急激に減少しています。
日本の長期人口変化
しかし新築住宅は続々と建てられているため、空き家が急増しています。
日本人の人口・世帯数と住宅戸数
5割が半減、2割が無人化
また国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には
- 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
- 2割の地域で、無人化する。
ことが分かっています。
持ち家の27%が空き家予備軍
2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。
そうなると空き家は一気に増加。
すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。
実に27%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。
地方だけでなく、東名阪(東京・名古屋・大阪圏)エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。
実際にこれだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れないことが予想されます。
空き家予備軍の割合(2018年時点)
都市部は2022年の生産緑地問題、地方は立地適正化計画
さらに3大都市圏では、生産緑地の一部が宅地化することで、住宅価格が値下がりする不安もあります。
2022年以降に生産緑地が宅地化され、都市部の住宅価格が値下がりする問題。不動産業界でも意見が2分されていましたが、ようやく影響が見えてきました。信頼できる統計から地域別の影響を解説します。
また地方では、人が住むエリアを縮小する立地適正化計画が続々と発表されています。
立地適正化計画で居住誘導区域外になると、家の売却が難しくなる恐れがあります。あなたの家が居住誘導区域外になるのか、立地適正化計画の現状と将来について要点をまとめました。
今は不動産価格が高騰している
さいわい今は日銀の金融緩和の影響で、不動産価格が高騰しています。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。
中古マンションは約11年で98%も値上がりしています。
戸建ては上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。
戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。
まずは不動産価格を確認してみては
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一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
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おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 87万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国841店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国841店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2024年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計55万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,300社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績55万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
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