「不動産売却の売買契約に立ち会えないけど、代理人でいいの?」
不動産売買の代理人でお悩みですね?
代理人に代理権を委任すれば、本人が立ち会わなくても不動産の売却はできます。
ただし委任状の内容や、委任の方法でトラブルになる恐れも。
また認知症など本人の判断能力が無ければ、委任状では代理できません。
この記事では、不動産売却で代理人に委任する方法と必要な書類、注意点を分かりやすくまとめました。
あなたの不動産売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
代理人でも不動産の売買契約はできる
代理人でも不動産の売買契約はできます。
ただし本人に判断能力がないと、代理人を自由に選べません。

本人に判断能力? 代理人を選べないってどういうこと?

本人に判断能力がないと、任意代理人でなく法定代理人になるんだ。
代理人には「任意代理人」と「法定代理人」の2種類があります。
任意代理人は本人の意志で選べる
任意代理人は、本人の意思によって代理権を与えられる代理人のこと。
たとえば「自分に代わって妻に委任する」というように、本人の意思で代理権を与える人物を選べます。
任意代理人は、委任状と添付書類があれば、本人に代わって代理で契約できます。

これは普通の代理人だね。

法定代理人は法律の規定による
法定代理人は本人の意志で選べない
任意代理人と違い、法律の規定によって代理権が与えられる代理人を法定代理人と呼びます。
法定代理人は、本人の意思で選べません。
なぜなら本人に判断能力が無いので、行為を制限されているため。
本人の権利を保護するために、法律の規定で法定代理人が選ばれます

判断能力が無いってどういうこと?

未成年や、認知症など精神上の障害のある人だよ。
本人に判断能力が無い具体例
本人に判断能力が無く、法定代理人となるのはこちら。
- 未成年者の親権者
- 未成年者後見人(親権者となる人がいない場合)
- 成年後見人←認知症はこれ
未成年の親権者は法定後見人になる
未成年の親権者は、自動的に法定後見人になり、財産を管理します。(民法824条、859条)
民法824条
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。民法859条
後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
未成年者については、こちらで解説しています。
未成年が所有する不動産を売却するには2つの方法があります。また契約から納税まで7つの注意点があります。未成年者が不動産を売却する知識を分かりやすくまとめました。
認知症だと成年後見人制度と裁判所の許可が必要
親が認知症を患っている場合は「十分な判断能力なし」となり、成年後見人制度で法定代理人を選ばなくてはいけません。

本人が認知症の場合は、まず家庭裁判所による成年後見人の選任が必要。
さらに不動産の売却には家庭裁判所の承認が別に必要になるよ
成年後見人が不動産を売買するためには、さらに家庭裁判所の許可が必要です。(民法859条の3)
民法859条の3
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
成年後見人について、こちらの記事で詳しく解説しています。
認知症になった親の家でも、親が同意していれば子供が売れる場合もあります。認知症の親の家を売る3つの注意点、成年後見制度の4つの注意点などをまとめました。
ここからは任意代理人について解説します。
代理人の委任状について
代理人が売買契約を結ぶ際には、委任状が必要です。
委任状は不動産会社が用意してくれますが、内容は次の通りです。
委任状に必要な内容
委任状に必要な内容は次の通り。
委任状に必要な内容
- 委任者住所および氏名
- 必ず自筆しなければならない部分です。
押印には実印を使い、日付も忘れずに記入します。 - 受任者住所および氏名
- 委任者が記入するか、事前に記入しておきます。
空欄は絶対にNGです。 - 取引内容と取引日
- 【例】令和○○年○○月○○日付、不動産売買契約書
- 委任権限の範囲
- 【例】売買契約書への署名押印、手付金の受領、領収書の発行など
- 目的となる不動産の表示
委任状のサンプル
詳細は、委任状のサンプルを参考にしてください。
⇒委任状サンプル

自分で作るのは難しそう…

委任状のフォーマットは不動産会社が準備してくれるよ。
委任状に添付する書類
委任状には複数の添付書類が必要です。
事前に揃えておきましょう。
印鑑証明書
委任者だけでなく、代理人も印鑑証明書が必要。
住民票
住民票も印鑑証明書と同様に、委任者と代理人の2人分が必要。
印鑑証明書と併せて取得しておきましょう。

印鑑証明書や住民票は、3ヶ月以内に発行されたものが有効。それより古いものは使えないから注意しておこう
身分証明書のコピー
こちらも委任者・代理人の2人分が必要。
写真付きで、住所、氏名、生年月日が記載されているものを準備しておきます。
具体的には、運転免許証やパスポート、住民基本台帳カードなどいくつか種類があります。
委任状の注意点
委任状には「所有者本人に代わって権限を委任するための書類」という、非常に重要な役割があります。
「身内だから何でもお任せする」なんてことは、後々トラブルに発展する恐れも…。
トラブル防止のためにも知っておきたい、委任状に関する注意点をまとめました。
注意点1. 付与する権限を明確にして限定する
代理人に与えられている権限の範囲が明記されていないと、契約の相手方も「どこまで内容を取り決めていいのか」が分かりません。
その結果、契約手続きがスムーズに進まないことも…。
こうした事態を避けるためにも、しっかり明記しておきましょう。
注意点2. 住所と氏名は自筆する
あなた自身の意思で代理人に委任したことを証明するため、住所と氏名は必ず自筆します。
代筆やPCなどで入力して印刷したものはNGです。
場合によっては委任状を受取ってもらえず、無効となる事もあります。

自筆することには、意思表示という意味もあるんだね

そう。代筆などが認められてしまうと、自分の意思とは無関係に契約が進んでしまったりする可能性もある。
自筆には『ただ名前を書くだけ』ではない、大事な意味合いがあるんだ
注意点3. 白紙委任状を発行しない
付与する権限の項目が空欄のままの「白紙委任状」は、発行してはいけません。
なぜなら、白紙委任状には様々な問題点があるためです。
- 後で問題が生じたときの責任の所在がはっきりしない
- 勝手に内容を書き込まれるリスクがある
白紙委任状によって不動産売却の手続きを進めると、最終的に困ってしまうのはあなた自身。
代理人に付与する権限とその範囲をしっかり記載した委任状を発行しましょう。
注意点4. 捨印をしない
捨印とは、署名捺印に使用した印鑑をあらかじめ欄外に押しておくこと。
捨印には「書類に記載してある内容を訂正する権限を与える」という意味があります。
そのため、委任状に捨印をするということは「委任状の内容を訂正してOKです」というのと同じことになってしまうのです。
付与する権限とその範囲をきちんと記載していたとしても、捨印があると意図せぬ内容に書き換えられてしまう恐れも。
こうなると、白紙委任状を発行しているのと変わらなくなってしまいます。
「捨印を押しておいてくれ」と頼まれても、言われるがまま捨印しないようにしましょう。

捨印にはそんな意味があったんだね! 知らなかった…

契約書など捨印を押すこともあるけれど、なぜ押すのかは知らない人も多いかもしれないね。
ちゃんとした意味があるものだから、注意しておこう
注意点5. コピーをとっておく
委任状を作成したら、代理人や不動産会社に渡す前に必ずコピーを取っておきます。
コピーがあれば、提出後に改めて内容を確認したい場合などに便利。
委任事項などを書き換えられたりしても、コピーがあればすぐに気付けるので安心です。
注意点6. 委任内容の下に勝手に委任事項を追記されないようにする
委任事項を勝手に追記される事例も多いもの。
委任事項の追記を防ぐために「以下余白」と記載するか、最終行の右下に「止め印」を押しておきましょう。
なお、止め印で使用する印鑑は、署名捺印に使用したものと同じ印鑑になります。

止め印と捨印って見分けつくの?
捨印も署名捺印に使用したものと同じ印鑑だったよね?
大丈夫なの?

使う印鑑は同じでも、印鑑を押す位置によって意味合いが変わってくるんだ。
押す場所さえ間違えなければ大丈夫。
心配なら『以下余白』としておこう
まとめ
ここまで不動産売却での代理人の売買契約と委任について解説してきました。
不動産売却の売買契約や引き渡しでは、なるべく所有者本人が契約する方が良いとされます。
なぜなら代理人が契約すると後日トラブルが起きやすいため。
不動産会社もトラブルを避けたいので、代理人による契約は嫌がります。
しかし止むを得ず代理人に委任する場合は、後々のトラブルを避けるために、信頼できる不動産会社のフォローが大切になります。
もし代理人による売買契約を予定している場合は、売買経験が豊富で信頼できる不動産会社に仲介を依頼しましょう。
まだ不動産会社が決まっていない場合は、まず3〜6社の不動産会社へ無料査定を依頼し、査定結果と話を聴き比べ、信頼できる不動産会社を探します。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
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すまいValue - 査定実績:
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実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
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簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
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実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
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さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
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