「旧耐震基準のマンションは売れない?」

旧耐震マンションの売却でお悩みですね。

確かに旧耐震マンションは、売れにくいケースがあります。

しかし耐震診断に合格するか耐震改修済なら、旧耐震でも問題なし。

また耐震診断や改修が未だ終わっていなくても、少し工夫すれば普通に売れます。

ただし売るなら急いだ方が良いでしょう。

なぜなら今後は旧耐震マンションが売りにくくなり、耐震改修などの費用負担のリスクが高くなるため。

国土交通省は2030年に耐震性不足の住宅をゼロにすると宣言し、規制を進めています。

●この記事で分かること

  • 旧耐震基準マンションの現状と見通し
  • 旧耐震基準マンションを高く売る3つのコツ
  • どうしても売れない場合の選択肢

マンションをなるべく高く売って、あなたの資産を守りましょう。

あなたの旧耐震マンションの売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

旧耐震基準のマンションは全国に103万戸

分譲マンション戸数(全国の築年数別)2021年6月

現在のマンションの総戸数は約685.9万戸(2021年末時点)。

そのうち旧耐震基準のマンションは、約103万戸(全体の15%)と推計されています。

旧耐震基準のマンションとは
正確には1981年5月以前に建築確認済証が交付され着工したマンションのこと。
マンションの場合、建築期間が1〜2年程度かかるので、竣工年では1982〜1983年頃。

ハウスハウス

旧耐震マンションって意外と多いんだね。


家博士家博士

そうだね。
ただし旧耐震マンションでも、売りやすさは違うんだ。

旧耐震基準のマンションは売れる?  売れない?

耐震基準適合証明書があれば普通に売れる

旧耐震基準のマンションでも、耐震基準適合証明書があれば普通に売れます。

なぜなら耐震基準適合証明書があれば、旧耐震でも新耐震基準のマンションと同じ扱いになるため。

ハウスハウス

耐震基準適合証明書があれば、普通に売れるんだ。
どうやって取得するの?


家博士家博士

マンション全体で耐震診断に合格する必要がある。

耐震基準適合証明書はマンション全体で診断・改修が必要

耐震基準適合証明書を取得するには、

  • マンション全体の耐震診断を実施。
  • 必要に応じて耐震改修工事を行う。

という2つのステップをマンションの管理組合で実施しなくてはいけません。

ハウスハウス

そうか、個人では取得できないんだね。
じゃあ旧耐震で耐震基準適合証明書ないマンションは売れないの?


家博士家博士

売れないことはないけど、住宅ローンの問題が大きいね。

旧耐震マンションは住宅ローンが借りにくい

旧耐震基準のマンションは売れますが、売りにくいのが現実。

なぜなら旧耐震マンションだと、買主が住宅ローンを借りにくいため。

例えばフラット35では、旧耐震基準の住宅は「耐震評価基準」に適合しなければ利用できません。

また主要な金融機関も、旧耐震基準の住宅には融資しないか、担保評価を低くするケースが多くなります。

結果として、買主は金利が高いノンバンクなどを利用することになってしまいます。

ハウスハウス

旧耐震だと住宅ローンにも影響あるんだね


家博士家博士

他にも様々な影響があるんだよ

住宅ローン以外に旧耐震基準で売れにくくなる理由

住宅ローン減税が使えない

旧耐震マンションは、住宅ローン減税が使えません。

住宅ローン減税は税制改正で2022年から大幅に変更され、新耐震基準が要件となりました。

【参考】財務省・税制改正の大綱

すまい給付金が使えない

売主が宅建業者の場合に受け取れるすまい給付金ですが、耐震等級1以上の住宅でなければ使えません。

旧耐震基準の建物は、耐震等級1以下であることがほとんどです。
【参考】国土交通省・すまい給付金対象要件(中古住宅)

贈与の非課税制度、不動産取得税や登録免許税の優遇が使えない

贈与税登録免許税も、税制改正で2022年からは旧耐震マンションはNG。

不動産取得税は自治体によっても多少違いがありますが、旧耐震基準マンションは使えないことがほとんどです。

地震保険が高くなる

耐震性能が高いと割引が受けられる地震保険ですが、旧耐震基準では割引がないため、保険料が高額になります。
【参考】財務省・地震保険制度の概要

ハウスハウス

旧耐震マンションだと、色々不利なんだね。
やっぱり売れないの?


家博士家博士

旧耐震マンションはいろいろと不利だけど、それでも割安感を求める買主には一定の人気があるよ。
特に駅近だと売りやすいね。

駅徒歩7分以内なら旧耐震でも売れている

旧耐震基準のマンションでもる、立地が良ければ売れています。

共働き夫婦の増加で立地重視に

なぜなら共働き夫婦の増加で、マンション購入の条件として「立地」が重視されているため。

ある調査では、中古マンションを探す人の8割以上が最寄り駅から徒歩7分以内を探すという結果もあるほど。

実際に最寄り駅から徒歩7分以内であれば、旧耐震基準のマンションでも売れています。

リノベーションブームと底値感で人気に

旧耐震でも立地が良ければ売れる理由として、リノベーションブームと底値感もあるでしょう。

リノベーション目的でマンションを購入する人は、築年数や部屋の綺麗さでなく、立地条件の良さで探します。

旧耐震マンションは、まだ都市開発が進む前に建てられていることから、立地が良い物件が多いのです。

さらに旧耐震基準のマンションは、価格がほぼ底値で、これ以上価格が下がる心配がありません。

マンションの築年数と価格の関係
(2021年)

マンションの築年数と価格(2021年)

ハウスハウス

最寄り駅から徒歩7分以内なら売れてるんだね


家博士家博士

立地は重要なポイントだね。
でも7分以上でもあきらめることは無い。
いずれにしても売却予定なら、早く動いたほうが良いよ。

売るなら早く動いた方がいい

旧耐震マンションを売る予定なら、なるべく早く動く方が良いでしょう。

なぜなら今後は多くの旧耐震マンションが売りに出されると予想されるため。

持ち家の27%が空き家予備軍

旧耐震のマンションは、住民が高齢化しているため、施設への入居などをきっかけに大量に売り出されると予想されます。

2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居。

そうなると空き家は一気に増加するでしょう。

すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。

実に27%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。

地方だけでなく、東名阪エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。

実際にこれだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れないことが予想されます。

空き家予備軍の割合(2018年時点)

空き家予備軍

国土交通省の目標は2030年にゼロ

さらに国土交通省の目標として、令和12年(2030年)に耐震性のない住宅をゼロにすると、住生活基本計画(令和3年3月閣議決定)で位置づけています。

国土交通省の住宅耐震化目標

つまり旧耐震マンションは、次の3つのいずれかになるということ。

  1. 耐震診断で新耐震基準相当の耐震性が有ると判明する。
  2. 耐震診断で不足する耐震性を補うため、耐震補強工事を行う。
  3. 耐震診断で耐震性が不足するため、解体する。

耐震診断も耐震補強工事も、国や自治体からある程度の補助金はありますが、基本的に住民が費用を負担します。

費用負担については、後で詳しく解説します。

ハウスハウス

今後は、ますます売れにくくなるし、費用負担も怖いから、早く売ったほうが良いんだね。
じゃあどうやって売れば良いの?


家博士家博士

旧耐震マンションを高く売るコツを解説しよう。

旧耐震マンションを高く売る3つのコツ

旧耐震のマンションを高く売るコツとして、次の3つがあります。