「一般媒介契約で複数の不動産会社に売ってもらう方が良いの?」
一般媒介契約で複数の不動産会社と契約するかお悩みですね。
確かに複数の不動産会社に売却を依頼すれば、高値で早く売れる場合があります。
しかし一般媒介契約には7つの注意点があり、間違えると逆に売れなかったり、違約金をとられる恐れも。
この記事では、一般媒介契約の注意点・メリット、向いている人と物件、そして何社に依頼するのが良いかなどを解説します。
またそれぞれの注意点で失敗しないためのコツも合わせて紹介。
あなたの不動産を高値で売却するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
一般媒介契約で複数と契約する7つの注意点
一般媒介契約で複数に売却を依頼す時は、次の7つの注意点があります。
それぞれの注意点と、それを回避するコツを解説します。
注意点1. モチベーションが下がりやすい
一般媒介契約で複数と契約すると、不動産会社のモチベーション(やる気)が下がりやすい問題があります。
なぜなら一般媒介契約では、他社に先を越されて赤字になるリスクがあるため。
仲介手数料は1社総取りで赤字のリスクも
不動産会社が家を売って得る売上は「仲介手数料」しかありません。
しかし仲介手数料は、売買を成立させた1社しか受け取れない「成果報酬」。
一方で不動産会社は、営業(売却活動)のために広告費と時間(労務費)がかかります。
そのため不動産会社は他社に先を越されると、売却活動にかかった費用が回収できず赤字になってしまいます。
他社に先を越されると、不動産会社は赤字なんだね
最悪はポータルサイトに登録するだけで放置されることも
一般媒介で依頼を受けた不動産会社は、赤字のリスクを考えて広告費と時間(労務費)を最低限に抑えがち。
最悪の場合は、ポータルサイトに登録するだけで後は放置されることに。
営業されずに放置されるだけでは、せっかく複数に依頼しても効果がありません。
放置されずに積極的に売ってもらうためには、どうすればいいの?
不動産会社の担当者に、売れる・売りたいと思わせることだね。
不動産会社が積極的に売りたくなるためには
不動産会社が積極的に売りたくなるためには、不動産会社の担当者に「売れる・売りたい」と思わせる工夫が必要です。
そのためには、次のコツを意識すると良いでしょう。
- 依頼する不動産会社の数を2〜3社に抑える。
- 売り出し価格を高くしすぎない。(相場〜せいぜい+5〜10%程度まで)
- 内覧など売却の動きは、全ての不動産会社で共有する。
- 動きが無くても週1回など定期連絡して、担当者に意識付ける。
2〜3社で、高く売り出さない方が良いのか。
マメに連絡するのも面倒だなぁ。
一般媒介で複数に依頼すると、売主から積極的に連絡しないといけない。
だから手間がかかるんだ。
注意点2. 各社との連絡に手間がかかる
一般媒介契約で複数と契約すると、不動産会社との個別連絡に手間がかかります。
売主から積極的に連絡する
一般媒介契約では、不動産会社に販売状況報告の義務はなく、担当者の責任感も弱くなりがち。
だから売主(あなた)から不動産会社へ連絡しなくてはいけません。
売主は、具体的に次のような連絡をします。
- 各社にヒアリングして、問い合わせの反響を確認する。
- 売出し価格や条件の変更は、売主が決断し、各社へ変更を指示する。
- 内覧が入れば各社と日程を調整する。
- 買付申込・売買成立後は、すぐに各社へ連絡する。
どこに連絡したか忘れそうだね。
各社との連絡は記録を残しておこう。
不動産会社とのやり取りを記録する手帳やノートを作り、連絡した日時や内容を記録する。
また電話だけでなくメールなど文面が残るものを併用すると、証拠となり不動産会社とのトラブル防止になります。
注意点3. 手厚いサポートは期待できない
一般媒介で複数に依頼すると、不動産会社の手厚いサポートは期待できません。
理由として、他社に仲介手数料を取られると赤字になるので、担当者が手間(労務費)をかけられないことがあります。
不動産会社の担当者は、どうしても1社に専任で任せられる物件を優先するため、一般媒介の物件は後まわしにされるのです。
サポートが必要なケースは不向き
サポートが必要なケースは、一般媒介で複数に依頼する方法に向いていません。
具体的に不動産会社のサポートが必要なケースとして、次があります。
サポートするのも費用がかかるからね。
1社に依頼すればサポートしてもらえるけれど、複数に依頼すると厳しいね
不動産会社のサポートが必要な場合は、専任や専属専任で1社だけに依頼します。
1社だけならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)
不動産会社のサポートが必要で1社だけに売却を依頼するなら、エージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。
SRE不動産なら1社だけに依頼しても、一般媒介で複数に依頼するのと似たような効果が期待できます。
理由としてエージェント制は両手仲介がないので、他の無数の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため。
普通の不動産会社で1社から売り出すと、他の不動産会社は後回しにされることを恐れて動きが悪くなる恐れがあります。
ただしSRE不動産の営業エリアは、首都圏と関西圏のみです。
⇒SRE不動産
SRE不動産(旧ソニー不動産)の口コミや評判、裏事情などから、あなたがソニー不動産を利用すべきなのか徹底評価しました。
注意点4. 中小不動産会社ではメリットが少ない
一般媒介で複数に依頼しても、中小不動産会社ではメリットが少なくなります。
なぜなら中小不動産会社は、抱えている顧客が少なく、独自の販売ルートが期待できないため。
SUUMOに違う会社から同じ広告が並んでも効果は無い
「複数に売却を依頼すると、大量に広告されるので効果があるのでは」と思うかもしれません。
しかし代表的な広告媒体は、SUUMOやathomeなど定番が決まっています。
結果として、複数の不動産会社から同じ媒体へ広告を出すだけで、効果はほとんどありません。
中小不動産会社に売却を依頼しても、抱えている顧客が少ないので、広告で買主を探すしかないのです。
確かに同じサイトに同じ物件が並ぶだけだと、あまり意味ないかも。
じゃあ効果的にするにはどうすればいいの?
不動産会社の抱える顧客、すでに購入を検討している顧客へ優先して紹介してもらうことが大切なんだ。
大手の抱える顧客へ優先して紹介してもらう
一般媒介で複数へ依頼するときは、顧客を多く抱える大手不動産会社を選ぶと効果的です。
なぜなら各社の抱えている顧客へ優先して紹介してもらえるため。
すでに物件を探している顧客へクローズド(非公開)で優先的に営業すると、数万人へ広告するより効果的です。
営業された顧客は、他の買主に先を越されまいと、相場より少々高くても購入を決断します。
実際に大手では、売却を依頼して数日で売れるのもよくある話。
不動産会社は買主を自社で見つけると、両手仲介で手数料が2倍稼げるメリットがあるので、積極的に営業してくれます。
数日で売れることもあるんだ。
大手ではレインズに掲載する前に決まることも多いね。
都市部は大手トップ3社中心に選ぶ
都市部では、大手トップ3社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル)を中心に選ぶと良いでしょう。
売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。
都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。
大手3社は別格だね。
3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位
(首都圏182、関西圏46、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。
独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。
多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。
また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。
業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。
⇒三井のリハウス
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 234店舗
(首都圏136、関西圏58、中部東海15、北海道8、東北4、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。
自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。
クールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
住友不動産販売「すみふの仲介 ステップ」は、売買仲介件数が業界2位の大手。家の売却ならぜひ候補に入れたい1社ですが、注意点もあります。住友不動産販売のメリットと注意点を分かりやすく解説、そして利用者の評判を紹介します。
【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み
- 店舗数 216店舗
(首都圏141、関西圏42、名古屋11、札幌9、仙台6、福岡7)
東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。
東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」
大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。
すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・小田急不動産・三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。
⇒すまいValue
地方では地域No1を探す
地方は大手の営業エリア外なので、地域No1の不動産会社を探します。
実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
顧客を多く抱える大手不動産会社の方が、各社の抱える顧客へ優先して紹介してもらえるため、複数に依頼する効果が高くなります。
注意点5. 売れ残ると逆効果の恐れも
売れない場合、売れ残りイメージが強くなる
ポータルサイトなどに最初に情報が掲載されてから3ヶ月、半年と時間が経つと、売れ残りイメージが強くなってしまいます。
特に一般媒介では、複数の不動産会社がSUUMOやathomeなどに同じ広告を出すため、その分売れ残りイメージも強調されがち。
掲載期間が長くなると「いつまでも売れ残っている不人気物件」と捉えられてしまい、マイナスイメージにつながる恐れがあります。
売れ残らないため、適正な価格で売り出す
一般媒介で売り出す場合は、あまり高値を狙いすぎず、適正な売出し価格にした方が成功しやすいでしょう。
なぜなら次の2つの理由があるため。
- 買主はポータルサイトなどをマメにチェックしている人が多く、それなりに相場観が磨かれているため。
- 相場より明らかに高い価格では、不動産会社も内心で『誰も買わないだろう』と思って、売却活動の手を抜きがちだから。
適正な価格は、実績豊富な3〜6社の査定価格を参考に
適正な価格は競合や相場により変わります。
確実に適正価格を知る手順は、
- エリアで売買実績が豊富な不動産会社を選ぶ
- この中から複数(3〜6社)に無料査定を依頼して話を聴き比べる
不動産会社に無料査定を依頼すると、3ヶ月以内に売れる予想価格を査定してくれます。
売買実績が豊富な不動産会社ほど、日頃から買主と数多く接しているので査定の精度が高くなる傾向に。
また複数の不動産会社に意見を聞くと、担当者の当たり外れも防げて、自然と相場観が養われます。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
ただ情報を広めるだけでは、売れないで逆効果になることもあるんだね…
相場より明らかに高い物件は、不動産会社も積極的には動いてくれないんだ。
無理に高値を狙わず、競合の売れ行きをよく見極めて、3ヶ月以内に売れる価格で売り出しましょう。
注意点6. 媒介契約前によく確認が必要
一般媒介契約では、宅建法の制約が少なく契約内容が自由なので。契約前に内容をよく確認しておきましょう。
具体的には次の内容に注意します。
- 媒介契約書の内容をよく確認する
- レインズ登録と内容を確認する
- 宣伝広告活動の内容を確認する
- 契約期間や仲介手数料などを確認する
それぞれ解説します。
1. 媒介契約書の内容をよく確認する
まず国土交通省の標準約款と比較し、異なる点があれば理由を確認しましょう。
不動産会社との媒介契約は、国土交通省が告示する「標準約款」に基づくことが義務付けられています。
(参考)国土交通省・宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款
もし契約書に追記したいことがあれば、口約束でなく文章で記載してもらいましょう。
特に売主の義務をチェックしよう!
違反すると違約金を求められることもあるんだ
売主の義務とは、「売買が成立した時は、仲介を依頼した全ての不動産会社にその旨を通知すること」
通知を怠ると、違約金として仲介手数料と同程度の支払いを求められる恐れがあります。
他の不動産会社に依頼したら、いわないといけないの?
普通は明示型の一般媒介なので、売却を依頼した段階でも報告する義務があるね。
一般媒介契約には、明示型と非明示型があり、明示型が一般的。
明示型では、媒介契約を結んだ不動産会社に対して、他の不動産会社との媒介契約を通知する義務があります。
非明示型はその逆で、何も知らせる義務はありません。
明示型か非明示型かは、契約書の書面に記載します。
2. レインズ登録と内容を確認する
一般媒介契約では、不動産会社にレインズの登録義務はなく、依頼者が希望しなければ登録されないことがあります。
一般媒介では、必ずレインズに登録を依頼しましょう。
レインズに登録することで、他の不動産会社が、あなたの家を紹介してくれる状態になります。
国内唯一の不動産データベースで、不動産会社しか利用できません。
国土交通省の指定流通機関である不動産流通機構が運営。
過去の取引事例、現在の売り出し物件情報が登録されています。
不動産売却で必要なレインズの知識をまとめて解説。売却で大切なレインズの2つの機能、4つの注意点とその対策を紹介します。
レインズ登録をお願いすればいいんだね?
レインズの内容も大切なんだ。
ちゃんと図面(マイソク)も登録されているか、登録証明書で確認しよう。
レインズに登録されると、売主が登録状態を確認できるIDとパスワードが発行されます。
不動産会社からもらって、レインズの登録状態を確認しておきましょう。
3. 販売活動の内容を確認する
不動産会社にどのような販売活動をしてもらえるか確認します。
具体的な販売活動として次があります。
- すでに抱えている購入希望者への斡旋
- 主要ポータルサイトへの掲載
- 自社サイトへの掲載
- 折込チラシやポスティング
- 現地看板やオープンハウス
このうち、折込チラシやポスティングなどの広告は、費用面やその効果から難しい場合も。
現地看板も、単に物件を案内するようなものなら可能かもしれませんが、オープンハウスなど費用がかかる宣伝は厳しいでしょう。
一般媒介では他社に先を越されると報酬は一銭も入ってこないから、費用をかける販売活動は難しいんだ。
4. 契約期間や仲介手数料などを確認する
一般媒介契約の契約期間は、行政指導上は「3ヶ月以内」ですが、自由に決められます。
また仲介手数料は、宅建業法で上限だけ決まっているため、値下げ交渉は可能。
ただし初回に軽く交渉する程度にして、しつこく値切らない方が良いでしょう。
一般媒介は、ただでさえ不動産会社にとって不利な契約です。
さらに仲介手数料を強引に値切ると、不動産会社のモチベーションが大きく下がり、複数に依頼する意味が無くなる恐れがあります。
不動産売買の仲介手数料の相場と値引きについて、必要な知識をまとめました。上手く値引きするコツと裏技も解説しています。
仲介手数料はどれくらいなの?
宅建業法で決まっている上限が一般的だよ。
売買代金が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は売買代金の3%+6万円+消費税。
例えば、物件価格が3,000万円では仲介手数料の上限は税込105万6,000円になるよ
一般媒介契約では、宅建業法による制約が少なく自由に契約できるため、契約前に契約内容をよく確認し、契約書に明記しましょう。
注意点7. 抜き行為で通知しないと違約金も
すでに一般媒介契約を結んでいる不動産会社に通知せず、抜き行為でアプローチしてきた不動産会社経由で売却すると、先に契約を結んでいた不動産会社から違約金を請求されるリスクがあります。
「抜き行為」とは、既に不動産会社と媒介契約を結んでいる依頼者に対し、他の業者がアプローチして媒介契約を結ぶこと。
先に媒介契約を結んでいた不動産会社から依頼者を「抜く」ため、こういった呼び方をします。
明示型の契約は通知しないと違約金を請求される
元の不動産会社との媒介契約が明示型の場合、他社との媒介契約は直ちに通知しなくてはいけません。
もし通知しないまま他社の紹介する買主と売買契約を結んだ場合、違約金としてそれまでかかった広告費・人件費を請求されることに。
別の不動産会社と契約する場合は、すぐに元の不動産会社にも連絡しましょう。
他の不動産会社からアプローチされたら、話を聞いた方がいいの?
すでに購入希望者を見つけてるなら、話を聞いても良いけどね。
でも今の不動産会社に話してもらうのが正規の手続きだし、トラブルにならず安全だよ。
購入希望者を抱えず手数料割引だけなら話を聞く必要なし
「抜き行為」を行う業者には、次の2種類がいます。
- 購入希望者をすでに抱えて、売り主へアプローチするパターン。
- 仲介手数料の割引を条件に、売り主へアプローチするパターン。
1だとまだ話を聞く価値はありますが、2のような会社は話を聞く必要ありません。
なぜなら実績が少ない不動産会社が、マナー違反の営業をしているだけだから。
そんな会社に依頼しても、手数料以上に大幅に値引きして売るハメになりかねません。
何より、すでに一般媒介契約を結んでいる不動産会社のモチベーション低下につながります。
一般媒介の明示型では、媒介契約を結ぶ際に、必ず他社へ文書やメールで通知しましょう。
一般媒介契約で複数と契約する3つのメリット
- 各社が抱える顧客に優先して紹介してもらえる
- 情報が拡散しやすい
- 囲い込みの心配がない
それぞれ解説します。
メリット1. 顧客に優先紹介してもらえる
不動産会社に家の売却を依頼すると、まずその家を買う可能性がある既存顧客に紹介します。
なぜなら、自社の顧客に物件を紹介して売買が成立すると、不動産会社には次の2つのメリットがあるため。
- 一度の売買で売主と買主の両方から仲介手数料が稼げる(『両手仲介』と言います)。
- 多額の宣伝広告費用をかけずに済む。
それじゃあ不動産会社が得するだけじゃないの?
売主もメリットがあるよ。
一方で売主にも次のメリットがあります。
- 最短数日で売却が決まり、ムダな時間や手間が省ける。
- 公開前にクローズドで紹介する方が、相場より高い価格でも売れる可能性がある。
不動産会社の顧客に条件が合う人がいれば、数日で売れる可能性もあるよ。
しかも公開前だと、価格交渉もされにくいから、希望価格で売れやすいしね。
確かにゼロから買主を探すより、買うことを決めている人に紹介した方が確実だね
メリット2. 情報が拡散しやすい
メリット1に比べると効果は低いですが、一般媒介で複数に依頼すると物件情報が広く拡散しやすくなります。
様々なポータルサイトに掲載されるだけでなく、大手なら自社サイトへの掲載も効果的。
さらに各社の仲間内で紹介される効果もあります。
人気物件で適切な売り出し価格であれば、購入希望者が早く見つかる可能性は高いでしょう。
メリット3. 囲い込みの心配がない
一般媒介では「囲い込み」の心配がありません。
売主が売却を依頼した不動産会社が、自社で買主も担当する「両手仲介」をするため、他社の買主を嘘の理由で断ること。
不動産会社にとって両手仲介は、一度の取引で2倍の仲介手数料を稼げるメリットがある。
自然な両手仲介はよくあり悪いことでないが、囲い込みは売主への裏切り行為。囲い込みをされると、なかなか売れず、値下げに誘導される恐れがある。
一般媒介で囲い込みされない理由は、囲い込みすると時間がかかり、他社に先を越されてしまうリスクが大きいから。
一般媒介で複数に依頼すると、同時に複数の不動産会社が売却活動を行うため、囲い込みはできなくなります。
不動産会社が売主をだます4つの手口と、だまされずに不動産売却を売る3つの方法を解説します。
囲い込みはイヤだなぁ。
囲い込みは、昔は頻繁にあったけど、今はごく一部の悪質な不動産会社だけだよ。
心配なら両手仲介が無い不動産会社を使う方法もある。
両手仲介なしのSRE不動産(旧ソニー不動産)
ソニーグループのSRE不動産なら、大手で唯一のエージェント制で売主だけを担当。
両手仲介がないので、安心して売却を依頼できます。
ただし営業エリアは、首都圏と関西圏限定です。
⇒SRE不動産
SRE不動産(旧ソニー不動産)の口コミや評判、裏事情などから、あなたがソニー不動産を利用すべきなのか徹底評価しました。
一般媒介と専任媒介、専属専任媒介の違いをおさらい
一般媒介の注意点とメリットが分かったところで、専任媒介や専属専任媒介との違いをおさらいしておきましょう。
媒介契約の比較
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任 媒介契約 |
---|---|---|---|
特徴 | 自由な契約 | 一般的な契約 | 厳しい契約 |
実際の契約数 (2022年実績) |
33% | 51% 一番多い |
16% |
他社との媒介契約 | ◯ | × | × |
自分で見つけた相手との直接契約 | ◯ | ◯ | × |
契約の有効期間 | 制限なし (行政指導により3ヶ月が一般的) |
最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
指定流通機構(レインズ)への登録 | × 登録義務なし |
◯ 契約から7日以内 |
◯ 契約から5日以内 |
業務処理状況の報告義務 | 規定なし | 14日に1回以上 | 7日に1回以上 |
家を売るときには、不動産会社と媒介契約を結びます。この時に、最低限知っておきたい媒介契約の種類と選び方、そして注意点についてまとめました。
一般媒介が向いている人と向いている物件
一般媒介契約が向いている人は、
- 不動産の売買に慣れている人
- 自分で色々調べるのが得意な人
- 売却にかける時間が十分にある人
一般媒介は不動産会社のサポートがあまり期待できないため、売買に慣れている人や自分で調べるのが好きな人に向いています。
「不動産の売却は良く分からないのでお任せしたい」という人には難しいでしょう。
また、一般媒介に向いている物件は、
- 都心部の駅近マンションなど好立地で売れやすい人気物件
- さらにこうした人気物件を適正価格で売り出すこと
2つの条件がそろえば、一般媒介契約で売却が成功しやすいでしょう。
それ以外の物件は、専任媒介契約で不動産会社のサポートを受けながら売却活動を進める方がオススメです。
家を売るときには、不動産会社と媒介契約を結びます。この時に、最低限知っておきたい媒介契約の種類と選び方、そして注意点についてまとめました。
一般媒介は何社が良いか
2〜3社がオススメ
一般媒介契約でオススメの不動産会社の数は、2〜3社程度。
2社か3社かは、あなたが手間と時間をどれだけかけられるかで決めると良いでしょう。
多すぎるとモチベーションが下がる
依頼する会社が4社以上になると、数が増えるほど不動産会社のモチベーションが下がり、逆効果になります。
なぜなら「注意点1. モチベーションが下がりやすい」で解説したように、不動産会社は他社に先を越されると赤字になるリスクがあるため。
ライバルが多いほど不動産会社の赤字リスクは高くなり、営業にかける時間と労力は減らされてしまいます。
2〜3社であれば不動産会社のリスクは少なく、逆に競争意識が刺激されます。
顧客を多く抱える不動産会社を選ぶ
一般媒介契約で複数に依頼するときは、なるべく顧客を多く抱える不動産会社を2〜3社選ぶ方が良いでしょう。
なぜなら「注意点4. 中小不動産会社ではメリットが少ない」で解説しましたが、顧客を多く抱える不動産会社だと自社の顧客へ積極的に営業してくれるため。
不動産会社は、自社で買主を見つければ両手仲介で手数料収入が倍になるため、積極的に売り込んでくれます。
逆に顧客が少ない中小不動産会社へ依頼しても、SUUMOやathomeなど定番のポータルサイトに同じ物件が増えるだけでは、効果は限られます。
顧客を多く抱える不動産会社ってどこなの?
都市なら大手3社(首都圏では4社)だね。
都市部では大手トップ3社
不動産会社を選ぶポイントは、購入希望者をなるべく多く抱えている不動産会社を選ぶこと。
売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)
都市部では、大手トップ3社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル)を中心に検討しましょう。
一括査定サイトの「すまいValue」を利用すれば、これら大手を含む最大6社にまとめて無料査定を依頼できます。
⇒すまいValue
地方は地域ナンバーワン
地方は大手の営業エリア外となるため、地域ナンバーワンの不動産会社を中心に選びます。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
まとめ
一般媒介契約で複数の不動産会社と契約すると、次の3つのメリットがあります。
- 各社が抱える顧客に優先して紹介してもらえる
- 広く情報が拡散しやすい
- 両手仲介を狙った囲い込みの心配がない
しかし次の7つの注意点も。
- モチベーションが下がりやすい
- 連絡や調整に手間がかかる
- 手厚いサポートは期待できない
- 中小不動産会社はメリットが少ない
- 売れ残ると逆効果の恐れも
- 媒介契約前によく確認が必要
- 抜き行為で通知しないと違約金も
一般媒介契約で複数の不動産会社と契約する場合は、顧客を多く抱える不動産会社を中心に2〜3社選ぶのが定番です。
都市部なら大手3社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル)が実績豊富。
とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、38年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。
⇒三井のリハウス
大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。
⇒すまいValue
大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)
⇒SRE不動産
首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
全国対応の一括査定サイトとして定番はこちら。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!