「築30年のマンションを売却するけど、売れるの?」

マンション売却で、築30年という築年数に不安をお感じですね。

築30年にもなると共有部も古くなり、内装も大規模なリフォームが必要になります。

老後を考えると住み替えたいが、今のマンションを売却しないと住替えは厳しい…。

そんなあなたに朗報です!

築30年のマンションでも普通に売却できます。

ただし高く売るには工夫が必要。

この記事では、築30年のマンションを高く売る4つのポイントをまとめました。

また賃貸に出すための3つの条件と税金についても合わせて解説。

あなたの築30年マンションの売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

築30年のマンションは売れる

売買されるマンションの3戸に1戸は築30年以上

築30年のマンションだと敬遠されがちでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

中古マンションの売買件数を築年数別に分けたものがこちら。

中古マンション売買件数の築年比率
(首都圏)

首都圏成約中古マンションのうち築30年以上のマンションの割合2022

売買される中古マンションのうち築30年以上のマンションの割合は、

  • 2000年: 3.2%(約31戸に1戸)
  • 2010年: 16.0%(約6戸に1戸)
  • 2022年: 31.5%(約3戸に1戸)

と驚異的に増えています。

2022年には売買される約3戸に1戸は築30年以上のマンション。

昔に比べると築30年以上のマンションが売れていることが分かります。

ハウスハウス

3件に1件は築30年のマンションなんだね!
もっと少ないと思っていたよ


家博士家博士

築30年のマンションをあえて選ぶ人も多いんだ。
実は築30年マンションが売れる理由があるんだよ。

築30年のマンションが売れる5つの理由

それぞれ解説します。

理由1. 購入後に価格が下がりにくい『底値』

築30年のマンションのメリットとして、購入後に価格が下がりにくい『底値』ということがあります。

こちらは、2021年の首都圏と近畿圏の中古マンション平均成約m2単価を築年数別にまとめたものです。

マンションの築年数と価格
(2021年)

マンションの築年数と価格(2021年)

基本的に、マンションの価格は新築購入時が最も高く、その後は下落する一方。

しかし価格下落率は、築30年を過ぎると大きく変わらないことが分かります。

理由2. 不動産取得税や固定資産税も安い

築30年のマンションでは、不動産取得税や固定資産税・都市計画税といった税金も安くなり、新築時のおよそ30%になります。

具体的には築年数によって決められた「経年減価補正率」によって税額が変わり、築30年で補正率は0.3059になります。(東京都の場合

不動産取得税
マンションを購入したときに都道府県から課税されるもの
【参考】東京都主税局・不動産取得税
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で、土地や家屋などの固定資産を持っている人に対して都道府県から課税されるもの
【参考】東京都主税局・固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

理由3. 新築マンション高騰で中古マンションが人気に

新築マンションの価格は、特に都心部を中心に高騰しています。

新築マンションの平均価格

新築マンション単価の推移(首都圏・近畿圏)2023

こうした状況なので、新築マンションには手が出ないという人も多いのが実情。

結果的に、割安な中古マンションを検討する人の増加につながっているのです。

理由4. リノベーションの流行で築古が注目

さらに築30年マンションに追い風なのが、リノベーションの流行。

リノベーション前提で中古マンションを購入する人が増えているのです。

個人で中古マンションを購入してリノベーションする人もいれば、買取った中古マンションをリノベーション後に転売する専門業者も急増。

特に立地が良い中古マンションでは、売り出される前に安い価格で買い取る『物上げ』を狙って、専門業者が買取りのビラを盛んに配っています。

ハウスハウス

築30年の中古マンションなら、安く買えるからリノベーション向きなんだね


家博士家博士

リノベーションすれば、内装は新築同様にできるからね。
古くても築30年くらいだと新耐震設計だし

理由5. 新耐震設計という安心感

築30年のマンションが買われる理由として、古くても新耐震基準を満たしている点も大きいでしょう。

築30年のマンションが建てられたのは1980年代後半。

1981年6月以降に建築確認を取得した建物であれば新耐震基準に基づいて設計・建築されているため、安心感もあります。

旧耐震基準のマンションについては、こちらで詳しく解説しています。

2022年から住宅ローン控除可になった

2022年の税制改正で、新耐震であれば買主が住宅ローン控除を使えるようになりました。

中古マンションでは、最大140万円の節税効果。
(築30年マンションではほぼありませんが、長期優良住宅などは最大210万円)

住宅ローン限度額2,000万円の0.7%(14万円)が最大10年間、所得税などから控除されます。

また住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置も緩和されています。

ちなみに2021年まではマンションで築25年以内が条件で、25年超は既存住宅売買瑕疵保険などへ加入が必要でした。
【参考】国土交通省・住宅ローン減税等が延長されます!

ハウスハウス

築30年だと価格が手頃で耐震も安心。住宅ローン控除も使えるようになったんだ。
じゃあ、なるべく高く売るためにはどうすれば良いの?


家博士家博士

高く売るためには4つのポイントがある。

築30年のマンションを高く売る4つのポイント

築30年のマンションを高く売るためには、次の4つのポイントがあります。

それぞれ解説します。

ポイント1. 買取より仲介(普通の売買)で売る

築30年のマンションを高く売るなら、買取より仲介(普通の売買)で売りましょう。

買取と仲介の違いはこちら。

仲介と買取のイメージ
買取では手間がかからず、すぐに売れますが、価格は相場より2割以上安くなってしまいます。

なぜなら不動産会社は買い取った一戸建てを、転売して差額を利益とするため。

高く売るなら、仲介(普通の売買)で売ることを考えましょう。

ポイント2. リフォームは最小限に抑える

リフォーム打ち合わせイメージ
築30年のマンションを高く売却するためには、売却前のリフォームは最小限に抑えましょう。

リフォーム費用は全額上乗せできない

築30年マンションの多くは、大規模にリフォームしてもリフォーム費用を売却価格に全額上乗せできません。

そのためトータルでは売主が損することになります。
リフォームで家の売却に失敗するイメージ

国土交通省の調査でも、個人が売り主でリフォームしても、トータルで損することが分かっています。

また買い主の中には、購入後に予算に合わせて自分好みにリノベーションする人も多いこともあります。

家博士家博士

例えば500万円かけてリフォームしたとしても、価格を500万円上げられるとは限らないんだ。
仮に500万円上げたとしても、買い手がその価格で買いたいと思うかも微妙だしね


ハウスハウス

自分でリフォームやリノベーションをしたい人なら、なるべく安く手に入れて自分で好きなように変えたいと思うだろうし…


家博士家博士

自分でリフォームする前提の人は、リフォーム済みの物件は買わないからね。
リフォームするかどうかは売り手が決めるのではなく、買い手が決める話なんだ

リフォーム前に複数の不動産会社に意見を聞く

リフォームをするなら、まず複数の不動産会社に意見を聞いてみましょう。

売買実績の豊富な不動産会社なら、顧客(買い手)のニーズもしっかり把握しています。

ポイント3. 専任媒介で1社に売却を依頼する

1社に依頼するイメージ
築30年のマンションを高く売るためには、専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)で1社だけに売却を依頼しましょう。

ハウスハウス

せんにんばいかい? なにそれ?


家博士家博士

不動産会社に売却を依頼するときの契約の種類だよ。

媒介契約は3種類ある

不動産会社に売却を依頼する契約(媒介契約)には次の3種類があります。

【媒介契約の比較】

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
特徴 自由な契約 一般的な契約 厳しい契約
こんなタイプの人向き 不動産の売却経験がある人 普通の人 多少損でもお任せしたい人
実際の契約の多さ
(2019年実績)
16% 44%
一番多い
40%
他社との媒介契約 × ×
自分で見つけた相手との直接契約 ×
契約の有効期間 制限なし
(行政指導により3ヶ月が一般的)
最長3ヶ月 最長3ヶ月
指定流通機構(レインズ)への登録 ×
登録義務なし

契約から7日以内

契約から5日以内
業務処理状況の報告義務 規定なし 14日に1回以上 7日に1回以上

ポイントは1社に任せること

築30年のマンションを売るときは、1社と専任媒介契約を結ぶのが良いでしょう、

なぜなら1社だけに任せることで、いろいろ相談に乗ってもらえるし、積極的に売却活動をしてくれるため。

他の方法として、一般媒介契約で複数の不動産会社に売ってもらう方法もありますが、一般媒介契約では、築30年のマンションの売却を依頼しても、積極的に売却活動をしてもらえません。

不動産売却の経験がある人以外は避けた方が良いでしょう。

ハウスハウス

なんで複数に依頼すると積極的に売却活動してもらえないの?


家博士家博士

築30年のマンションはどうしても売れにくいからだよ。
複数に依頼すると、どの会社でも後回しにされてしまうんだ。

築30年のマンション売却は簡単ではない

築30年のマンションの売却は時間もかかり、簡単ではありません。

こちらは売り出したマンションが、実際に成約する(売れる)割合を築年数別に整理したもの。

中古マンションの築年数別成約率
(首都圏・2022年)

首都圏中古マンションの築年数と成約率2022年

残念ながら、築30年マンションになると、14%(約7戸に1戸)しか売れません。
(レインズの登録漏れなどで実際はもう少し高いのですが、せいぜい30%程度(約3戸に1戸)です。)

一般媒介では売りにくい物件が後回しにされる

不動産会社は自社の専任媒介を優先するため、一般媒介契約は後回しにされます。

特に売りにくい築30年マンションでは、時間をかけても無駄になる恐れがあり、営業マンも片手間になりがち。

一般媒介で複数の不動産会社に依頼しても、ポータルサイトとレインズに掲載だけして、あとは何もしてくれない恐れがあります。

不動産会社に質問をしても、相手にしてもらえません。

築30年のマンションでは、不動産会社からのアドバイスなしで売却を進めることは難しいでしょう。

具体的には、売り出し価格の設定、価格調整のタイミング、広告方法の相談、内覧の注意点など。

不動産会社1社に任せて、二人三脚で売る方が成功しやすいのです。

一般媒介契約については、こちらで詳しく解説しています。

ポイント4. 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する

優秀な不動産会社イメージ
築30年マンションを高く売るために、優秀で信頼できる不動産会社に依頼することが大切。

マンション売却が成功するかどうかは、不動産会社選びで8割が決まります。

優秀な不動産会社は売却実績が豊富

優秀な不動産会社とは、売却実績が豊富な不動産会社。

売却実績が豊富な不動産会社なら、多くの物件を扱っているため問い合わせも多く、短期間で売却できる可能性もあります。

また築30年のマンションの売り方をよく知っているため、安心して売却を任せられます。

不動産会社の話を聴き比べて信頼できるか判断する

信頼できる不動産会社を見つけるためには、実際に話しを聴き比べるしかありません。

残念ながら不動産会社の中には自社の利益を優先して、売り主が損する売り方をする会社もあります。

複数の不動産会社の話を聴き比べることで、そういった悪質な不動産会社を見分けることができます。

具体的には3社以上の話を聞くと良いでしょう。

ハウスハウス

じゃあ売却実績が豊富な不動産会社を3社以上選んで、話を聴き比べればいいんだね。
どうやって探せば良いの?


家博士家博士

不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを利用すると簡単だよ

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    40万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国900店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。

ハウスハウス

でもマンションを売るより、賃貸の方が安定して収入があるから良いんじゃないの?


家博士家博士

築30年のマンションは賃貸に出すより売ったほうが得なケースが多いね。
賃貸に出すなら最低でも3つの条件をクリアしておく必要があるよ。

賃貸に出せる築30年マンションの3つの条件

ほとんどの築30年マンションは売却した方がトータルの利益は大きくなります。

築30年マンションで賃貸に出して最終的に利益が残るためには、次の条件を全てクリアする必要があるでしょう。

それぞれ解説します。

賃貸に出せる条件1. ローンを完済している

賃貸に出すためには、住宅ローンが完済していることが必要です。

ローンを完済していないいマンションを賃貸に出すと、次の2つのリスクがあります。

リスク1. 空室リスク

賃貸に出しても、すぐに入居者が見つかるわけではありません。

特に築30年になると、家賃を下げてもエリアによっては入居者がなかなか入らないケースも。

1、2ヶ月ならまだしも、半年、1年と空室だと、負担は大きくなります。

マンションを貸すと、様々な費用がかかる一方で、空室期間は収入がゼロ。

長期的には赤字になるケースが多いのです。

マンションを貸した場合の費用は、

  • 管理費・修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税

ここまでは自分が住んでいる場合と同じです。

さらに

  • 入居者が入れ替わる度に、内装のリフォーム・現状復旧
    →家賃2〜6ヶ月分
  • 入居者を見つけるための広告費
    →家賃1〜3ヶ月分
  • 契約更新費用
    →家賃0.5ヶ月分
  • 家賃収入に対する税金(他の収入との合計で税率が上がる)、確定申告の費用
  • 入居中の設備の修理費

なども必要になります。

リスク2. 住宅ローンの一括返済や金利引き上げ

家を他人に貸す場合、本来は金利の低い「住宅ローン」ではなく、金利の高い「アパートローン」に借り換える必要があります。

例えば金利が0.5%→2.0%と+1.5%高くなるだけで、

  • 毎月の返済額 +28%増
  • 元本に対する総支払額 +9%→+39%

と負担は大きく増えます。 

ハウスハウス

じゃあ銀行に内緒にすれば良いの?


家博士家博士

銀行に内緒で貸すのは絶対に止めよう。
最悪の場合は、自己破産に追い込まれることもある。


銀行に無断で家を他人に貸した場合、住宅ローン残額の一括返済を求められる恐れがあります。

銀行に黙っていても、銀行からの郵便物が未着になったり、信用機関のローン情報で分かります。

どうしても賃貸にチャレンジしたいなら、先ず銀行に相談してみましょう。

転勤など仕方ない理由であれば、先に銀行に相談することで、目をつむってもらえるケースもあります。

賃貸に出せる条件2. 長期修繕計画が30年以上又は取り壊しまである

賃貸に出す前に、マンションの長期修繕計画と解体について確認しましょう。

多くのマンションは、長期修繕計画で解体まで計画していないため、寿命の末期に予定外の費用を負担することになります。

ハウスハウス

修繕積立金をきちんと払っているから、大丈夫なんじゃないの?


家博士家博士

多くのマンションでは修繕積立金が不足しているんだ。

築30年以上のマンションの4割で修繕積立金が不足

今、多くのマンションで修繕積立金が不足しており、社会問題になりつつあります。

築30年以上のマンションの4割で、修繕積立金が不足。

また築30年マンションの23%で、修繕積立金を1年以上滞納している住民がいるなど、管理組合の運営も困難な状況に。
【参考】国土交通省・平成30年度マンション総合調査

マンションは12年〜15年周期で大規模修繕が必要ですが、その費用は年々高額になります。

そのため築年数が古くなるほど、修繕積立金を徐々に引き上げるか、修繕一時金を支払う必要があります。

しかし高齢者を中心に反対意見があると管理組合が合意できず、十分な修繕費用が集められません。

その結果、徐々にマンションは荒れてスラム化し、売ることすらできなくなるのです。

建替えできるマンションは1割未満

マンションには寿命があり、1980年代のマンションであれば築50年ぐらいが1つの目安になります。

ハウスハウス

寿命が来たら、建替えになるんじゃないの?


家博士家博士

ところが実はほとんどのマンションは建替えできないんだ


寿命を迎えたらマンションは建替えられると思いがちですが、多くのマンションは建替えできません。

なぜなら、ほとんどのマンションは容積率に余裕がないため。

マンションを建て替えるためには、容積率の余裕分だけ住戸を増やして売却し、建替え費用に充てる必要があります。

しかし容積率に余裕がないと、一戸あたり約2千万円になる費用負担に住民の意見が一致せず、建替えはできないのです。

現状では容積率が不足しており、建て替えると戸数を減らすしかない既存不適格マンションも多くあります。

住民の8割が合意しないと建替えはできないため、建替え以外の方法を選ぶしかありません。

ハウスハウス

建替え以外の方法って何?


家博士家博士

解体して土地を売却するんだ。
ただし住民の8割が合意することが条件だけどね。


解体して土地を売却すれば、いくらかお金が残る場合もあります。

だたし管理組合が金融機関から修繕費用を借りたりしていると、土地の売却代金は返済に使われ、解体費用だけマイナスになるケースも。

長期修繕計画で解体まで予定に入っているマンションは、ほとんどありません。

また解体の住民合意ができないマンションは、徐々にスラム化し売却が難しくなってきます。

この様に、多くのマンションは築40年を過ぎると売ることが難しくなってきます。

マンションの寿命を考えると、今売ったほうが手元に残るお金は多くなるでしょう。

賃貸に出せる条件3. 駅徒歩7分以内で立地が良い

築30年のマンションで賃貸に出して最終的に利益を残すには、立地が重要です。

目安として最寄り駅から徒歩7分以内であれば、家賃の下落も少なく、最終的に売却する時も値が付きやすいでしょう。

駅からの距離が重要だということは、地価の変化にも明確に現れています。

最寄り駅からの距離と公示地価の変動をまとめたものがこちらです。

最寄り駅距離別の公示地価変動率
(3大都市圏・2018年)

最寄り駅距離別の公示地価変動率(3大都市圏・2018年)


最寄り駅距離別の公示地価変動率
(地方圏・2018年)

最寄り駅距離別の公示地価変動率(地方圏・2018年)

公示地価とは
公示地価は、国土交通省が毎年全国に定めた標準地約3万地点を対象に、1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を3月頃に発表するもの。
都道府県の発表する基準地価と合わせて、土地取引の指標になります。
公示地価は、国土交通省の土地総合情報システム 地価公示・都道府県地価調査にアクセスすると調べられます。
国土交通省地価公示・都道府県地価調査
土地の価格の調べ方について詳しくはこちら
土地の価格の調べ方と、価格を比較する場合の修正点とは

3大都市圏でも地方でも、最寄り駅からの距離が遠いエリアでは地価の下落が止まらないことが分かります。

一方で駅に近いエリアでは、特にこの数年は地価が上昇しています。

ハウスハウス

駅に近いエリアでは、地価は上がっているんだね!


家博士家博士

今は都市部のマンションを中心に価格が高騰しているよ。

今はマンション価格が高騰して売り時

マンション価格は2013年1月の日銀による金融緩和発表をきっかけに高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2023年5月

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約10年で85%も値上がりしています。

しかしマンション価格を高騰させた日銀の金融緩和も、そろそろ限界です。

金融緩和の終焉が不動産価格の下落を引き起こす恐れ

日銀の金融緩和が限界の今、金融緩和の終焉により不動産価格が下落する恐れがあります。

不動産価格を高騰させた金融緩和が限界に

今の不動産価格高騰は、2013年1月に始まった日銀の異次元金融緩和が引き起こしたもの。
しかし日銀の金融緩和はすでに限界です。
日銀の印刷したお金の量を、GDP比で米国・欧州と比較すると、その厳しい現状は明らか。

中央銀行が印刷したお金の量(GDP比)

中央銀行総資産の比較(日米欧)2023年2月

出典:日本銀行内閣府FRBBEAECBEU

金融緩和で日銀が印刷したお金の量は、欧州の2.5倍以上、米国の約4倍と世界でも異常な数字に。

先進国として世界初の実験でしたが、さすがにこれ以上は効果より副作用が目立つため、今は金融緩和の出口が議論されています。

ハウスハウス

日本だけ、こんなにお金を印刷したんだ!
でも株や不動産が値上がりしたから、成功したんじゃないの?


家博士家博士

残念ながら、円安で日本円の価値が下がり、結果として日本経済は衰退してしまったんだ。

日本の経済は衰退した

金融緩和によって、日本経済は立ち直るどころか逆に衰退してしまいました。

経済の指標となる国民一人あたりGDPは、金融緩和以降に伸びが鈍化。

今や米国の6割にまで落ち込み、韓国にも抜かれています。

一人あたりGDPの推移

一人あたりGDPの各国推移

出典:OECD Data

ハウスハウス

金融緩和で日本経済は衰退してしまったんだ!


家博士家博士

他にも日銀が日本株や国債を買い占めたことで様々な問題が起きている。
今は世界の主要国が金利を上げたから、日銀も金融緩和を終える流れだよ。

すでに世界は金利を上げた

主要国の中央銀行はすでにゼロ金利を解除し、金利を大きく引き上げました。

急激な利上げで一部の金融機関が破綻するなど副作用も出ていますが、金利はしばらく高止まりしそうです。

世界の中央銀行の動向
米国(FRB)←世界経済に最も影響が大きい

  • 2022年3月 ゼロ金利から利上げ開始
  • 2023年4月 10回目の利上げで金利5.00〜5.25%に

【参考】FOMC、0.25ポイント利上げ-パウエル議長は停止の可能性示唆
欧州(ECB)

  • 2022年7月 ゼロ金利から11年ぶりの利上げ開始
  • 2023年4月 7回目の利上げで主要政策金利3.75%に

【参考】ECB、0.25ポイント利上げにペース減速-「停止しない」と総裁
英国(BOE)

  • 2021年12月 金利0.10%から利上げ開始
  • 2023年4月 12回目の利上げで金利4.5%に

【参考】英中銀、12会合連続の利上げ 政策金利4.5%に

日銀も金融緩和を終える流れに

世界的な利上げに逆らえず、日銀も金融緩和を終える流れです。

すでに2022年12月20日には、事実上の利上げ(長期金利上限0.25%→0.50%)を発表。
【参考】日本経済新聞・日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ

これを受けて、住宅ローンの固定金利は上がり始めています。

固定金利の推移
(フラット35最頻金利・新機構団信付)

固定金利の推移202306

また2023年4月には、金融緩和を10年間続けた黒田総裁が退任し、植田新総裁が就任。

日銀が金融緩和を終えることはすでに既定路線で、今は終えるタイミングと手順が議論されています。

金融緩和が終わり短期金利が上がり始めると、変動金利も上昇し、不動産価格は大きく動くでしょう。

ハウスハウス

金融緩和が終わると、不動産価格はどうなるの?


家博士家博士

金利が上昇して、不動産価格は下落する恐れがある。


日銀の金融緩和が限界の今、いずれ金融緩和の終焉があり、不動産価格は下落する恐れがあります。
もし不動産を売却する予定なら、準備しておいたほうが良いでしょう。

家博士家博士

分かっているのは、今、マンションの価格は高騰していることだけだよ。


築30年マンションの売却と税金

築30年のマンションを売却した場合の税金も、簡単にチェックしておきましょう。

マンションを売却すると譲渡所得が発生します。

譲渡所得は課税対象なので利益が出ると税金が発生しますが、ほとんどの場合は「3,000万円の特別控除」により非課税となります。

3,000万円の特別控除とは

マイホームを売却した場合は、売却した利益(譲渡所得)が3,000万円まで非課税になるという税法の特例。
夫婦で共有している自宅なら、最大6,000万円まで非課税になります。
【参考】国税庁・No.3302 マイホームを売ったときの特例

ただし、買い換えの場合は少し事情が変わります。

買い換えの場合は、次のマンション(または戸建て)を購入する際にローンを組むのが一般的。

この場合、住宅ローンを組むと「住宅ローン控除」が受けられますが、これは売却時の3,000万円の特別控除と併用できません。

そのため、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除を比較し、お得な方を選ぶことになります。


ハウスハウス

どちらがお得か比較するのは難しそう…

家博士家博士

税金は専門的な知識が必要だし、個人で計算するのは難しい。
正式には税理士に相談するべきだけど、この程度なら不動産会社に相談してみると良いよ


ハウスハウス

不動産会社は良き相談相手でもあるんだね! 不動産会社選びが大事なのも、何となく分かった気がするよ

まとめ

売買されている中古マンションの3戸に1戸は築30年以上のマンションです。

築30年のマンションは、正しく売れば高く売ることも可能。

高く売るための4つのポイントは、

  1. 買取より仲介(普通の売買)で売る
  2. リフォームは最小限に抑える
  3. 専任媒介で1社に売却を依頼する
  4. 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する

賃貸という選択肢もありますが、長期的な試算をして、最終的なマンションの寿命を見極める必要があります。

あなたのマンション売却が成功することを、心よりお祈りしております!

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    40万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国900店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。