「マンションを売りたいけど、売却理由はどこまで正直に話せばいいの?」

マンション売却で、売る理由の説明でお悩みですね。

確かにマンションを売る理由なんて、あまり知られたくないもの。

さらに理由によっては、マンションが売れにくくなる心配があるかもしれません。

そんなあなたのために、マンション売却理由を説明する方法を解説します。

まずこの記事では、誤解しがちな不動産会社への対応について解説。

さらにどこまで説明するか、基準が簡単に分かるフローチャートと具体例で詳しく解説します。

あなたの不安がスッキリ解消されて、マンション売却が成功すれば、新たな生活が気持ち良くスタートできますね。

あなたのマンション売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

【注意】不動産会社には全て正直に話す

売主の告知・説明義務違反を問われる

売却を依頼する不動産会社には、必ず全て正直に話しましょう。

なぜなら、売主(あなた)が問題を隠したままマンションを売却すると、売主の告知義務違反や説明義務違反となるため。

最悪の場合は、買主から損害賠償金を請求されたり、売買契約を破棄される恐れもあります。

例えば次のような判例もあります。

過去の判例
隣人とのトラブルにより購入した建物に居住できなかったとして、買主が売主及び元付業者に対して求めた損害賠償請求が認められた事例
判決の要旨に次のようにあります。
売主は宅建業者に仲介を依頼していても、信義則上、重要な事項につき事実に反する説明をすることが許されないことはもちろん、誤信させるようなことは許されないというべきであり、当該事項について説明義務を負うと解するのが相当である。』
大阪高裁判決 平成16年12月2日
出典:不動産トラブル事例データベース

ハウスハウス

まず不動産会社には、正直に話すってことだね


家博士家博士

不動産会社は味方だからね。

不動産会社はあなたの味方

あなたが売却を依頼する不動産会社は、あなたの味方です。

さらに不動産会社は、法律と現状から最も適切なアドバイスをしてくれるプロフェッショナル。

売却理由をきちんと話して、プロフェッショナルの知見を最大限に活用しましょう。

その上で、次のフローチャートを参考にしてください。

買主にどこまで話す? 判断フローチャート

売却理由の判断フローチャート

売却理由判断フローチャート

瑕疵(契約不適合)になる理由は全て説明する

瑕疵(契約不適合)になる売却理由は、全て説明する義務があります。

事前に口頭で伝えるのはもちろん、後々のトラブルを避けるために、必ず契約時の重要事項説明に全てを記載して下さい。

瑕疵(契約不適合)とは
家の欠陥や不具合によって、本来の機能が果たせないこと。
2020年4月の民法改正で「瑕疵(かし)」→「契約不適合」に名前が変わりました。

瑕疵(契約不適合)の例として、次があります。

瑕疵(契約不適合)の例

  • 雨漏り、水漏れ、建物の重大な欠陥
  • 事件や事故による心理的な問題
  • 常識的に考えて、買主に通知すべきトラブル

ハウスハウス

瑕疵になるか判断するのって難しそう。


家博士家博士

過去の判例からある程度は判断できるけど、迷うようなことは瑕疵になると考えた方が良いよ。

瑕疵(契約不適合)の具体例は後で説明します。

瑕疵(契約不適合)の考え方については、こちらで詳しく解説しています。

主観的な理由は不動産会社に相談

感じるだけなら「瑕疵」にならない

個人的に感じていること(主観)を買主に伝えるかどうかは、不動産会社に相談した方がよいでしょう。

なぜなら個人の感覚や価値観は人それぞれで、あなたの主観(価値観や感覚)で感じているだけでは「瑕疵」にならないため。

あなたにとってマイナスな売却理由も、別の人にとってはあまり気にならないことだったりします。

例えば…

  • 隣人が個性的な人で気持ち悪い。
    →共働きで昼は家に居ないので気にならない人も多い。
  • 上の階の足音が気になる
    →程度の問題で気にしない人は気にならない。
  • 隣の家の犬がうるさい。
    →愛犬家や犬を飼っている人は気にならない。

購入者があまり気にならない売却理由でも、売主にあえて強調されると、気になって購入をやめてしまうこともあります。

あなたが全ての売却理由を話してすっきりしたい場合は、その事情に応じて家の売却価格を下げた方がよい場合も。

個人的には、気になることは全て話してすっきりして、その上で価格交渉することをおすすめします。
どの程度の表現にするかは、不動産会社の担当者と相談するとよいでしょう。

マンション売却は信頼できる不動産会社が大切

大手不動産会社イメージ
こういった微妙な問題は、経験豊富な不動産会社担当者のアドバイスが不可欠。

マンションの売却が成功するかどうかは、不動産会社選びで8割が決まるといわれます。

優秀で信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントは…

  • エリアで不動産売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶ。
  • 複数(3〜6社)の不動産会社に無料査定を依頼し、話を聴き比べる。

今の価格を確認してみる

マンション売却を考えているなら、とりあえず今の価格を確認してみてはいかがでしょうか。

今は都市部を中心に、不動産価格が高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国202403)

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約11年で89%も値上がりしています。

ハウスハウス

実績が豊富な不動産会社はどこ?


家博士家博士

都市部なら大手3社が強いね。


実績は大手3社が強い

売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2023年3月

不動産売却の実績は、大手3社に偏っています

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。

都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
37年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 286店舗
    (首都圏182、関西圏46、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
  • 三井のリハウスは、37年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

    独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


    多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。

    また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

    家博士家博士

    業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
    他と比較する基準にもなるからね。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    【大手2】住友不動産販売
    熱心な営業スタイルに定評

    すみふの仲介ステップ

    • 店舗数 234店舗
      (首都圏136、関西圏58、中部東海15、北海道8、東北4、中国7、九州6)

    住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

    現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

    自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

    家博士家博士

    スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


    【大手3】東急リバブル
    東急沿線や大型案件に強み

    東急リバブル

    • 店舗数 216店舗
      (首都圏141、関西圏42、名古屋11、札幌9、仙台6、福岡7)

    東急リバブルは売却に便利なサービスが充実しています。

    例えば予定期間で売れないと査定価格の90%などで買取る「買取保証」は、買い替えで安心。

    またリフォーム込で売り出す「アクティブ売却パッケージ」は、築古マンションを売り出す方法として効果的です。

    家博士家博士

    初めての買い替えや売却で心配なら、話を聞いてみると良いね。

    東急リバブルの無料査定はこちらから
    東急リバブル

    大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」

    大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

    すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。


    すまいValue

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    ハウスハウス

    とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?


    家博士家博士

    売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
    首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    売主だけを担当するエージェント制

    SRE不動産
    大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。

    なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
    (※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)

    SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
    買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。

    結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。

    ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

    家博士家博士

    SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
    大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の公式サイトはこちら
    SRE不動産

    その他エリアは地域No.1を探す

    大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。

    実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

    不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。

    全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    マンション売却理由が瑕疵になるかの具体例

    売却理由が瑕疵になるのか、具体的な例を元に解説します。

    例1. 階段が無いので老後が不安

    「瑕疵(契約不適合)」ではありません。

    老後に不安があるのは、「あなたが感じていること」で、他の人も必ず感じることではありません。
    購入者は、老後は住み替える予定かもしれません。
    階段よりも他のプラス要素を強く気に入っているのかもしれません。

    例2. 大規模修繕・修繕積立金が不安

    大規模修繕イメージ
    これは場合によります

    売却理由として…

    • マンションの大規模修繕の時期が具体的に決まっている場合
    • マンションの修繕一時金の支払いが決っている場合

    などは、きちんと重要事項説明で記載する必要があります。

    しかしマンションに長期修繕計画が無くて、おそらく数年後に大規模修繕があると「あなたが感じている」だけであれば、説明責任はありません。
    実際はどうなるか分かりません。

    また修繕積立金が足りないと「あなたが不安に感じている」だけの場合も説明責任はありません。
    結果的には足りるかもしれないからです。

    例3. 近隣とのトラブル

    近隣とのトラブルイメージ
    これも場合によります。

    売却理由として、近隣が変わった人だったり良い関係でない場合、またマナー違反やベランダの煙草の煙等が気になる場合もあります。
    これだけだと「瑕疵(契約不適合)」ではありません。「あなたの主観」だといえます。

    購入者は近隣と特に交流しない人かもしれません。
    最近の分譲マンションでは、お隣と挨拶以外の会話がない人も多いのです。

    マナー違反も気にならない人は多いでしょう。
    また購入者本人が喫煙者の場合は、他人の煙草の煙など全く気になりません。

    具体的に聞かれたら、隠さないほうが良いですが、説明する責任はありません。

    しかし近隣ともめて、裁判や調停などに至っている場合は、瑕疵になります。
    警察沙汰や反社会的な組織が関係している場合も瑕疵となる判例があります。
    この様な場合は、不動産会社の担当者に相談しましょう。

    例4. 子供のいじめや学校のトラブル

    「瑕疵(契約不適合)」ではありません。

    いじめられるかどうかは、個人やタイミングによって変わります。
    また学校の雰囲気も、気になる人は事前に他で情報を収集していますし、何を基準にして雰囲気を良いというかは明確ではありません。

    例5. 鳥や虫の被害

    鳥害イメージ
    判断が難しいケースです。

    裁判でも、判決がどうなるかは状況次第。

    鳥害については、恐らく防鳥ネットなどを張っているでしょうから、聞かれたら説明するのが自然でしょう。
    鳥が気になる場合は、防鳥ネットで防げます。

    虫害については難しいところです。参考になる判例があります。

    【虫の被害を瑕疵として争った判例】
    容易に除去できない、アリ(イエヒメアリ)の被害を隠れた瑕疵として争われています。
    神戸市内の7階建てマンションの7階を3600万円で購入し、リフォームして住み始めた買い手が、アリの被害に悩まされます。
    そして隣の住民から「10年以上前からアリの被害が続き根絶が難しい」ということを聞かされます。
    売り手はこれを黙って売っていました。
    そこで、買い手が売買を無効とする裁判を起こしました。

    一審での神戸地裁の判決では、買い手が勝ちました。
    売買契約の解除として代金3,600万円とリフォーム費用や損害賠償で1087万円の支払いを命じる判決。

    これを不服として控訴した二審の大阪高裁では、逆転して売り手が勝ちました。
    これは様々な要因の総合的な判断だと思われます。
    例えば、売り手が引っ越した理由が老人ホームへ入居するためだったこと。
    これはアリが原因で引っ越した訳ではないことを示します。
    また他の部屋に空室がなく居住していることから、生活に支障があるレベルでは無いという判断もありました。
    出典:不動産トラブル事例データベース・イエヒメアリと瑕疵担保責任

    この様に、虫については裁判にならないと分からない微妙な判断になります。

    例6. 眺望を遮る建物の建設が予定されている

    建設工事イメージ
    「瑕疵(契約不適合)」になる可能性があります。

    建物を建築する建築主が近隣へ住民説明会を開くなど、情報が公になっている場合は、買主へ説明しなくてはいけません。

    ただし、小さな土地の買取が進み残り数軒になった状態で、どうやら大手デベロッパーがタワーマンションを計画しているらしい…といった噂だけでは、あなたに説明する責任はありません。

    今は強引な地上げができないので、再開発も難しくなっています。

    用地買収を途中まで進めても、結果として10年後に断念するなんてこともよくある話。

    もし買主に聞かれたら、基本的に知ってる情報は話した方が良いのですが、事前に噂がどこまで確実な話なのか、よく確認した方が良いでしょう。

    例7. 上下左右の騒音は奥が深い

    騒音イメージ
    これも判断が難しい問題です。

    騒音には
    「個人で感じる感覚」
    「数値で測定できる騒音レベルや防音の仕様」
    の2つの判断方法があります。

    「気になる」とか「うるさい」という感覚は、あくまで個人の感覚。
    あなたが気になっても、購入者は気にならないかもしれません。
    騒音が気になること自体は、説明責任はありません。

    ただし次のような場合は重要事項説明で記載しなければいけません。

    • 既に民事調停や訴訟で争っていたり、文書を交わしている場合
    • 壁や床の遮音性能が基準を満たしていないことが分かっている場合
    • 騒音レベルが基準値を超えていることが分かっている場合

    基準値とは、日本建築学会が定める基準が一般的です。

    基準値を超えているかどうかは、きちんと専門業者が測定しないと分かりません。
    専門業者が測定していない場合は、「瑕疵」とは判断されにくいと考えられます。

    無難な売却理由なら買主の気持ちを考えて

    無難なマンション売却理由の例

    マンションの売却理由は、できれば無難なものが良いでしょう。

    無難な売却理由の例として、例えば次の様なものがあります。

    無難な売却理由の例

    • 「仕事の転勤」や「親との同居」など、やむを得ない個人的な理由。
    • 「田舎へ移住する」などライフスタイルを前向きに楽しむ理由。
    • 「予定外に家族が増えた」や「子供が独立した」などうれしい理由

    購入者の気持ちを考えて説明する

    購入者イメージ
    売却理由が購入者にとってもネガティブな話でなければ、そのまま説明して構いません。

    すこし配慮したいのは、売却理由が例えば「家族が増えて手狭になった」というもの。

    この場合も、買い手から聞くと、「その手狭な家」を買うことになります。

    やはりポジティブに「親との同居を考えて」とか「予想外に家族が増えてしまって」とかの表現が良いでしょう。

    また、売却理由が「立地が不便だから」というのも良くありません。

    「ライススタイルを見直すことにした」などの方が、買い手に喜ばれます。

    購入者にはなるべく気持ち良く買ってもらう売却理由を意識しましょう。

    人によって価値観は様々です。

    買い手には買い手の事情もあります。

    将来は賃貸マンションとして、他人に貸す予定かもしれません。

    数年でまた買い替える予定かもしれません。

    あまり購入者の個人的事情に立ち入らず、割りきった方がマンションの売買は成功しやすいのです。

    まとめ

    マンションの売却理由として、瑕疵・契約不適合になる場合は買主に説明して、契約文書でも残しましょう。

    微妙な場合は、とりあえず不動産会社に相談してください。

    売却経験が豊富な不動産会社なら、微妙な判断にも慣れています。

    都市部なら大手3社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル)が実績豊富。

    とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、37年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。

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    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!