地盤調査イメージ
「土地の売却で地盤調査が必要?」

液状化や軟弱地盤の土地売却で、地盤調査についてお悩みですね。

確かに2000年の耐震基準見直しで新築時の地盤調査が義務化され、地盤調査の重要性は高まっています。

しかし結論からいうと、普通の宅地や一戸建ての売却で、地盤調査は必要ありません。

一方、大規模な土地や事業用地では必要になるケースがあります。

この記事では、戸建て・土地の売却で、地盤調査が必要なケースについて解説。

また地盤調査と地盤改良について、最低限の知識もまとめています。

あなたの一戸建て・土地の悩みが解決するために、この記事がお役に立てば幸いです。

なお既に家が傾いている場合は、こちらの別記事をお読み下さい。

普通の宅地の売却では地盤調査は不要

普通の宅地を売却するときに、改めて地盤調査する必要はありません。

ただし過去の地盤調査書類を確認して、あれば重要事項説明へ記載(書面があれば添付)します。

過去の地盤調査報告書があれば、重要事項説明に添付する

もし今の家を建てるときの地盤調査報告書があれば、売買契約の重要事項説明に添付します。

家を建てる際に地盤調査が必要になったのは、2000年(平成12年)の建築基準法改正および「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の改正から。
耐震基準の時期と区分け

【参考】
地盤調査を義務付ける法律
建築基準法施工例第38条、第93条

地盤調査の具体的な方法など
建設省告示第1347号
国土交通省告示1113号

そのため建築確認申請が2000年6月1日以降のいわゆる「2000年基準」であれば、木造一戸建てでも地盤調査報告書があるでしょう。

紛失してしまった場合は、調査報告書が無いことを重要事項説明に記載すれば良いでしょう。

2000年以前の2階建て以下は地盤調査報告書が無い

一方、2000年以前に建てられた2階建て以下の一戸建てでは、地盤調査報告書がない場合がほとんどです。

ハウスハウス

2000年基準かどうかが一つの目安になるんだね

家博士家博士

そう。2000年基準で、宅地についても地盤の強さに応じて適切な基礎を設けることが決められたんだ

2000年の建築基準法改正以前にも、地盤の強さと基礎についてのルールはありました。

ただし、このルールは鉄筋コンクリート造や鉄骨造、木造3階建ての場合。

一般的な木造2階建てであれば、具体的なルールもなかったのです。

それが2000年の改正で、2階建て以下の木造建築物についても基礎に関する具体的なルールを設定。

結果的に、地盤調査を行わなければ建物が建てられなくなったのです。

ハウスハウス

なるほど。だから2000年基準の一戸建てなら、地盤調査報告書があるはずなんだね

家博士家博士

調査の結果『弱い地盤』だと分かったら、地盤改良したうえで建物を建てることになるんだ

地盤改良報告書もあれば添付する

もし地盤改良をした土地である場合は、地盤改良報告書もあるはずです。

この地盤調査報告書も重要事項説明に添付し、紛失した場合はその旨を記載しておきましょう。

液状化はハザードマップで分かる

液状化は、液状化ハザードマップで「発生しやすい場所」が分かります。

各自治体が公表しているハザードマップを確認し、エリア内であれば、そのことを重要事項説明に記載します。

【参考】国土交通省・ハザードマップポータルサイト

また国土交通省では、地形区分で液状化の発生傾向図を公表しています。
【参考】国土交通省・報道発表資料

液状化は海に近いエリア・埋立地で多い

液状化は海に近いエリアや埋立地などで多い現象。

東日本大震災では2万7千件の宅地被害が発生し、大きな問題となりました。

液状化では、地下水位の高い地盤が、地震の揺れによって一時的に液体になってしまいます。

液状化が起こると、建物や道路などが沈んだり、基礎に亀裂が入る恐れも。

また地下の上下水道などが浮き上がり、水道・下水・電気・ガスが使えなくなってしまうこともあります。
液状化被害の例

建物が無事でもしばらく生活できなくなるので、液状化エリアの不動産価値は大地震後は下がる恐れがあります。

大規模な事業用地などでは必要になるケースも

一般的な宅地であれば新たな地盤調査は不要ですが、事業用地など規模が大きい土地の場合は、買主の希望で地盤調査が必要になることもあります。

こうした規模の大きな土地を売却する場合は、地盤調査をした方が良いか、不動産会社と相談すると良いでしょう。

エリアによって地盤調査の必要性は違います。

過去の地形や近隣で過去に行ったボーリングデータをチェックし、必要であれば地盤調査をします。

【参考】国土交通省KuniJiban

液状化判定については、国土交通省の指針が参考になります。
【参考】国土交通省・宅地液状化被害可能性判定に係る技術指針

地盤調査の方法

地盤調査の方法は、簡易的な「スクリューウェイト貫入試験」と本格的な「ボーリング調査」が多く、最近は表面波探査も増えています。
の2種類があります。

簡易的なスクリューウェイト貫入試験

一戸建てで通常行われる簡易的な調査方法が、スクリューウェイト貫入試験。

2020年10月以前はスウェーデン式サウンディング調査(SWS)と呼ばれていました。

これは先端に錐(きり)をつけたシャフトを、荷重をかけながら回転させて地盤にねじ入れ、錐が25cm沈むまでの回転数をもとに地盤の強さを調べる方法。

短時間かつローコスト(5万円程度〜)で済むため、一戸建てなど規模の小さな土地の調査で利用されます。

国土交通省の告示でも、SWSで調査した結果、一定の範囲内に一定の荷重以下で沈む層が存在する場合には「建築物に有害な損傷、変形および沈下が生じないことを確かめなければならない」とされています。

ハウスハウス

費用も安く、簡単に済ませられるのは嬉しいね

家博士家博士

ただ、SWSだけでは調査できない部分も多いんだ。
土の中に大きな石などがあると測定できないしね。
敷地の複数箇所で調べるなど工夫が必要だよ

本格的なボーリング調査

地盤調査として、最も一般的なのが、こちらのボーリング調査です。

サンプラーと呼ばれるパイプ状の先端部を、機械で回転させながら地盤にねじ入れ、様々な観点から地盤の強さや土の性質を調べます。

一般的な調査方法ですが、規模も大きく費用が高額(15万円〜)で手間がかかるというデメリットも。

そのため、鉄筋コンクリート造のマンションなど大型の建物を建てる際に多く使われます。

その他の方法もあるがあくまでも補助的

SWSやボーリング調査以外の調査方法としては、次のようなものもあります。

・表面波探査
地盤の固さを調べる調査方法で、最近増えてきました。
・ハンドオーガ調査
土のサンプルを採集して調査する方法で、地中の土質を調べたい場合などに使われます。
・平板載荷試験
「地盤強度がどれだけか」ではなく、「求める強度がその地盤にあるか」を調べる方法です。

ただし、こうした調査方法はあくまでも補助的な方法なので、一戸建てならスウェーデン式サウンディング、マンションなどはボーリングが基本です。

地耐力不足なら地盤改良が必要

地盤調査の結果、軟弱で必要な強度がない(地耐力不足)と判断された場合は、建物を建てる前に地盤改良が必要です。

地盤改良工事は、どの程度の規模の建物を建てるのか、また軟弱地盤の地表からの深さによって、工法が変わります。

地盤改良の種類イメージ

表層地盤改良

軟弱地盤が地表から2m以内であれば、表層改良工法が利用できます。

これは軟弱な部分の土をセメントなどで固めることで、地盤の強度を上げるもの。

工期も短く、費用も比較的安価で済ませられます。

【参考】

柱状改良

軟弱地盤が地表から8m以内の場合に利用できる工法で、戸建住宅では一般的に使われているもの。

基礎の下の部分を柱状にセメントなどで固め、建物を支えます。

戸建住宅で多い工法ですが、施工後の原状回復は困難。

地中に柱状の杭が残ってしまうため、場合によっては土地の売却価格が安くなることもあります。

小口径鋼管

軟弱地盤が地表から30m以内の場合に利用できる工法で、戸建住宅ではほとんど使いません。

柱状改良の場合はセメントなどで建物を支えますが、鋼管杭の場合は金属製の鋼管で建物を支えます。

地中深くまで鋼管を埋めることになるため、工事の際には大型の重機が必要。

そのため、敷地状況によっては工事ができないこともあります。

なお、柱状改良と違って金属製の杭を埋めるため、費用はかかりますが原状回復は可能です。

自治体の助成・補助金がある場合も

液状化対策工事では、自治体によって工事費用の助成・補助金があります。

助成金の例(葛飾区)

地盤調査及び地盤改良の助成金の例

詳しくは、こちらの支援制度検索サイトで探すと良いでしょう。
【参考】地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト

まとめ

家・土地を売却する際の地盤調査は、

  • 一戸建てなど普通の土地は必要ない
  • 事業用など大規模では不動産会社に相談する

不動産会社は、売却実績が豊富な不動産会社3〜6社に意見を聞いた方が確実です。

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一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
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    すまいValueバリュー
    査定実績:
    77万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国875店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
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    管理人のコメント

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    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

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    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
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    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

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  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

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  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。