「築30年以上の戸建てを売却したいけど、売れる? 高く売るコツは?」

築30年以上の一戸建て売却でお悩みですね。

確かに築30年を超える一戸建ては、売るのにコツが必要。

しかしコツさえ押さえれば普通に売却できますし、さらに最近はリノベーションの流行で以前より売りやすくなっているほど。

この記事では、築30年超の一戸建てが売れている現状と、高く売る5つのコツを解説しました。

さらに賃貸と売却のどちらが良いか、解体すべきかなども、合わせて解説しています。

あなたの家の売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

築30年以上の築古一戸建てでも売れる

築30年以上の築古一戸建てでも、普通に売れます。

売買される4戸に1戸は築30年超

今、売買されている中古戸建ての約4戸に1戸(24.3%)は、築30年超えの一戸建てです。

こちらは2010年と2022年の中古戸建の売買件数を築年数別で比較したもの。

中古戸建ての成約件数比
(2010年→2022年・首都圏)

中古戸建ての成約件数比(2010年→2022年・首都圏)

中古戸建の売買成約のうち、築30年超が占める割合は、

  • 2010年: 15.8%(約6戸に1戸)
     ↓
  • 2022年: 24.3%(約4戸に1戸)

と大きく上昇しています。

ハウスハウス

もっと少ないと思っていたよ


家博士家博士

意外でしょ?
築30年以上の一戸建てが人気な理由は2つあるよ。

人気の理由1. 価格が下がらない『底値』というメリット

築30年以上の一戸建ては、これ以上価格が下がらない『底値』というメリットがあります。

なぜなら築30年以上の一戸建てでは、土地が価格の大部分を占めるため

建物の価格は新築の1割程度

建物は古くなるとどんどん価値が下がります。

建物の価格は、一般的に築30年を超えると新築の1割程度にしか評価されません。

国土交通省の資料でも次のようなデータがあります。

築年数と建物価値

中古住宅の建物価値

大規模なリフォームをしても、せいぜいリフォーム費用の1/2程度しか反映されないもの。

見た目はきれいでも、築年数に応じた評価しかされません。

日本は中古住宅の寿命が極端に短い

欧米と違い日本では、中古住宅の価値が極端に低いのが現実です。

原因は、日本の住宅の寿命が極端に短いため。

日本の住宅の寿命は、欧米の半分以下というのが現実です。

解体住宅の平均築年数

滅失住宅の平均築年数

ただし最近の新築住宅では長期優良住宅が増えており、2018年時点で住宅全体の約2%に。

長期優良住宅は、従来の住宅より大幅に寿命が延びると期待されています。

土地の価格が大半を占める

戸建て住宅の価格で、建物と土地の割合は次のようになります。

戸建て住宅の価格イメージ

戸建住宅の価格イメージ

この様に、築30年を超える築古住宅の場合は、価格の大部分が「土地の値段」。

マンションと違い、一戸建ては建物の寿命まで住んでも、土地の資産価値が残るのです。

ハウスハウス

やっぱり土地は資産だね。


家博士家博士

さらに建物もリノベーションで注目されているんだ。

人気の理由2. リノベーションの流行

築30年以上の一戸建てが人気な理由として、リノベーションの流行もあります。

購入価格が安いので、その分リノベーションなどの改修に資金を回すことができるのです。

リノベーションを前提に購入する人は、建物の築年数よりも、立地や広さが大切。

こうしたニーズもあることから、築古の戸建ては需要が増えているのです。

2022年から住宅ローン減税が可能に

2022年の税制改正で、築30年以上でも新耐震であれば買主が住宅ローン減税を使えるようになりました。

住宅ローン減税は、中古戸建てで最大140万円の節税効果があるもの。
(長期優良住宅などは最大210万円)

住宅ローン残債(最大2,000万円)の0.7%が最大10年間、所得税などから控除されます。

ちなみに2021年までは、住宅ローン減税の対象が木造戸建てで築20年以内に制限されており、20年超は既存住宅売買瑕疵保険などへ加入が必要でした。
【参考】国土交通省・住宅ローン減税

また住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置も緩和されています。

ハウスハウス

よし、築30年以上でも売れそうだね。
少しでも高く売るなら、どうすれば良いの?


家博士家博士

築30年以上の一戸建ては、少し工夫した方が高く売れるよ。

築30年以上の一戸建てを高く売る5つのコツ

築30年以上の築古一戸建てを高く売るコツはこちら。

それぞれ解説します。

コツ1. 大規模リフォームはせず最低限の補修のみ

築30年の一戸建ては、売却前に大規模なリフォームをしても、損しがちです。

理由として、次の2つがあります。

  • 買主の多くは、自分好みにリフォームする前提だから
  • リフォーム費用の全額を売却価格に上乗せできないため

リフォームで家の売却に失敗するイメージ

ハウスハウス

300万円かけてリフォームしても、価格を300万円上げるのは難しいってことだね。

国土交通省の調査でも、個人が売主の場合は、売却前にリフォームしても成功しないことが分かっています。

最低限の補修は不動産会社と相談して決める

雨漏りやシロアリ被害など最低限の欠陥は、築30年超でも補修した方が良いでしょう。

ただし補修範囲は、あくまで最小限にしないと赤字になってしまいます。

また築30年超の一戸建ては、『瑕疵担保免責(契約不適合免責)』で売ることが多いので、どこまで補修するか判断し難いもの。

免責にしない場合も、重要事項説明に記載して現状のまま売る方法もあります。

具体的な補修は、売却を依頼する不動産会社と相談して決めると良いでしょう。

瑕疵担保(契約不適合)免責とは
売主の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を無しで売ること。
瑕疵担保責任とは、売買後に瑕疵(隠れた不具合)が見つかった場合に、売主の負担で補修すること。
民法改正により、正式には契約不適合責任という名前に変わりました。
通常は、売買後3ヶ月程度を瑕疵担保期間として、その間に見つかった瑕疵の補修費は売主負担とします。


ハウスハウス

なんだか難しそうだなぁ。


家博士家博士

優秀な不動産会社ならリフォームのこともいろいろ提案してくれるよ。

コツ2. 買取より仲介(普通の売買)で売る

築30年の一戸建てを高く売るなら、買取より仲介(普通の売買)で売りましょう。

買取と仲介の違いはこちら。

仲介と買取のイメージ

仲介
(普通の売買)
買取
買主 一般の人 不動産会社
(買取業者)
売却期間 場合による
(目安3〜6ヶ月程度)
最短1週間
売却価格 ほぼ相場通り 相場より
2〜4割安い

買取のメリットと注意点

●買取のメリット

  • 最短1週間など早く確実に売れる
  • 引き渡しのスケジュールが自由に調整できる
  • 売主の契約不適合責任や買主のローン審査落ちなどの心配がない
  • 内覧は買取業者だけなので、手間がかからない
  • 買取価格がすぐ決まるので、買い替えなど資金計画が立てやすい
  • 一般に広告しないため、ご近所に内緒で売れる
●買取のデメリット・注意点

  • 買取価格が相場の6割〜8割に安くなる。
  • 田舎や不人気エリアなど転売が難しい物件は断られる。
  • 買取する業者によって買取価格や入金までのスケジュールが大きく違う。

買取は手間がかからず、すぐ売れますが、価格は相場より2割以上安くなってしまいます。

なぜなら不動産会社は買い取った一戸建てを、相場価格で転売して差額を利益とするため。

差額が2割以上ないと割に合わないのです。

そもそも買取業者が買うということは、相場価格で売れるということ。

余程の事情が無い限り、買取でなく仲介(普通の売買)で売ることを考えましょう。

仲介なら相場以上の価格で売れる可能性もあります。

コツ3. アピールできるポイントを知る

築30年の一戸建てを高く売るためには、買主にアピールできるポイントを知りましょう。

アピールできるポイントを知るためには、複数の不動産会社の意見を聞くと良いでしょう。

具体的には、次のようなポイントがあります。

アピールポイント例1. 新耐震基準又は耐震改修済

築30年超の一戸建てで最も差別化しやすいのは、耐震性です。

特に『新耐震基準』は大きなアピールポイント。

新耐震とは、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認申請を提出して、着工した建物のこと。

耐震改修済みでも、新耐震と同じ扱いになります。

新耐震以前の建物は、『旧耐震』と呼ばれ、住宅ローンを借り難いなどデメリットがあるため、売却は難しくなります。

アピールポイント例2. 隣地との境界が確定している

築30年超の一戸建ての場合、隣地との境界が確定していないケース多くあります。

境界が確定していないと、購入後に隣地の所有者とトラブルになる恐れも。

境界が確定していることで、安心して買主が購入できるので、境界確定済というのも一つのメリットです。

アピールポイント例3. 外壁塗装済み

5年以内に外壁塗装をした場合は、『〇〇年に外壁塗装済み』としてアピールできます。

内装リフォームは自分でしたい買主が多いのですが、外装はあまり好みが分かれないため、済ませた方が売れやすくなります。


アピールポイント例4. 高台など災害に強い

最近は、温暖化の影響から水害が重視されています。

高台にあって災害に強いことも、メリットの一つになります。

アピールポイント例5. 検査済証あり

築30年の戸建てでは、過半数が検査済証を取得していません。

大規模なリフォームや増築には検査済証が必要です。

もし検査済証があれば、それだけでアピールポイントとして使えるでしょう。


ハウスハウス

築30年でも、アピールできることが色々あるんだね。


家博士家博士

複数の不動産会社に話を聞いたら、より多くのアピール方法を教えてもらえるよ

コツ4. 少しだけ費用をかける方法も

築30年超の一戸建てを高く売るためには、少しだけ費用をかける方法も効果的です。

ただし家の状態やエリアによるので、実際に費用をかける前に、複数の不動産会社の意見を聴きましょう。

具体的には次のような方法があります。

方法1. 耐震基準適合証明書を取得する

旧耐震でも、耐震基準適合証明書を取得すれば、新耐震と同じ税制優遇が受けられます。

また地震保険が10%割引になるなどのメリットも。

ただし耐震改修工事が必要な場合は、費用が回収できない恐れもあるので、不動産会社に事前に相談しましょう。

方法2. フラット35適合証明

これはフラット35を利用する買主にとって、メリットがあります。

フラット35の利用者は、築年数が古い一戸建てを探している場合が多いので、効果も高いでしょう。

方法3. インスペクションと瑕疵保険

インスペクションを受けて、既存住宅売買瑕疵保険に加入する方法も効果的です。

インスペクションとは家の健康診断のようなもの。

既存住宅売買瑕疵保険とは、国の主導で初められた、家の瑕疵をカバーする保険です。

ただしこれも、改修工事の費用が高額になる恐れがあるので、事前に不動産会社の意見を聞いたほうが良いでしょう。

コツ5. いちばん大切な不動産会社選び

不動産会社イメージ
築30年以上の一戸建て売却が成功するかどうかは、不動産会社選びで8割が決まります。

販売実績の豊富な不動産会社に依頼するのがポイント!

実績の豊富な不動産会社なら顧客も多く、売却できる可能性も高くなります。

家博士家博士

築30年を超える一戸建てを売るためには、広告の方法や売り方に工夫が必要。
だから、不動産会社の販売実績も重要なんだ

ハウスハウス

なるほど。
不動産会社はどうやって選べば良いの?

家博士家博士

1社だけではなく、複数の不動産会社に無料査定を依頼しよう。
その中で話を聴き比べて選ぶのが大事だよ

実績豊富な3社以上に査定を依頼する

一戸建て売却の第一歩は、不動産会社に無料査定してもらい、現在の価格を確認すること。

このとき重要なのが、実績豊富な複数の不動産会社(3社以上)に無料査定を依頼することです。

査定価格はもちろん、販売戦略などもしっかり話を聴き比べると、信頼できる不動産会社が自然と分かります。

ハウスハウス

実績豊富な不動産会社はどこ?

家博士家博士

都市部なら大手3社が強いね。


実績は大手3社が強い

売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2024年3月

不動産売却の実績は、大手3社に偏っています

三井のリハウス住友不動産ステップ東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。

都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 277店舗
    (首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
  • 三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

    独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


    多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。

    また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

    家博士家博士

    業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
    他と比較する基準にもなるからね。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    【大手2】住友不動産ステップ
    熱心な営業スタイルに定評

    すみふの仲介ステップ

    • 店舗数 203店舗
      (首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)

    住友不動産ステップ(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

    現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

    自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

    家博士家博士

    スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


    【大手3】東急リバブル
    東急沿線や大型案件に強み

    東急リバブル

    • 店舗数 220店舗
      (首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)

    東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。

    東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。

    大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」

    大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

    すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス住友不動産ステップ東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。


    すまいバリュー

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    ハウスハウス

    とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?


    家博士家博士

    売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
    首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    売主だけを担当するエージェント制

    SRE不動産
    大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。

    なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
    (※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)

    SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
    買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。

    結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。

    ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

    家博士家博士

    SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
    大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の公式サイトはこちら
    SRE不動産

    その他エリアは地域No.1を探す

    大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。

    実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

    不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。

    全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    ハウスハウス

    売るのもいいけど、賃貸に出すと家賃収入があって良さそうだけど。
    貸したらどうなの?


    家博士家博士

    ファミリータイプの賃貸は、赤字になりやすく難しいね。

    賃貸に出すよりも売る方がおすすめ

    結論から言うと、築30年超の一戸建ては最寄り駅から徒歩7分以上なら賃貸より売却がおすすめ。

    これは2つの理由があります。

    売った方が良い理由1. 赤字になるリスクが高い

    築古の一戸建ての場合、賃貸に出すと赤字になるリスクが高くなります。

    初期投資の回収で数年かかる

    まず賃貸に出す前に、ある程度のリフォームが必要です。

    しかし築30年以上の一戸建ての場合、

    • 床面積が広く設備の劣化が進んでいるのでリフォーム費用が高くなる
    • 一方で築年数が古いので家賃は高くできない

    ということで、賃貸に出すための初期投資(リフォーム費用)を回収するだけで、数年かかります。

    例)リフォーム費用500万円、家賃8万円/月の場合
    リフォーム費用500万円÷家賃8万円=62.5ヶ月(5年2.5ヶ月)

    維持費がかかり、手残りはわずか

    さらに賃貸では、数年毎に入居者が入れ替わり、その都度内装をリフォーム(現状復旧)することに。

    内装のリフォーム費用は、最近の判例や国土交通省のガイドラインから、大家が大半を負担します。

    結果として、なかなか利益はでません。

    さらに借り手が現れなければ当然収入もナシ。

    住む人がいなくても家は劣化するので、維持費用がかかります。

    約10年に1回必要になる外壁塗装・屋根防水、その他設備の修理費も考えると、手残りはわずか。

    下手すると赤字になってしまいます。


    ハウスハウス

    賃貸は難しいんだね。


    家博士家博士

    利益が少し残ったとしても、貸している間に家の価格が下がると結局マイナスだしね。

    売った方が良い理由2. 長期的な値下がりリスクが高い

    戸建て住宅は、一部の駅近物件を除いて、長期的に値下がりするリスクが高くなります。

    すでに最寄り駅からの距離で地価の変動に大きな差がある

    今すでに、駅から遠いエリアでは土地の価格が下落しています。

    この傾向は、都市部・田舎に関係ありません。

    国土交通省が毎年1月1日時点の公示地価を発表しています。
    最寄り駅からの距離別に、公示地価の変動をまとめたものがこちら。

    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (3大都市圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(3大都市圏)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (地方圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(地方圏)

    3大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)もその他地方圏も、いずれも最寄り駅から近いと地価が上昇し、遠くなるほど下落していることが分かります。

    都心部の不動産が高騰している今でも、最寄り駅から2kmを超えると地価は上がっていません。

    今後予想される、日銀の金融緩和終了による不動産価格の下落局面では、駅から遠いエリアでさらに大きく値下がりが予想されます。

    しばらく賃貸に出しておいて、いざ売却しようとしたら今の半値以下に値下がりしている恐れもあります。

    ハウスハウス

    駅からの距離によって、値動きが全く違うんだ!


    家博士家博士

    長期的には、ほとんどの不動産が値下がりすると予想されているよ

    長期的には下落する不動産価格

    長期的には、ほとんどの不動産が値下がりすると予想されています。

    なぜなら日本では人口が急激に減っている一方で、新築住宅が次々と建てられ、空き家が急増しているため。

    日本の人口は、2008年をピークに急激に減っています。

    日本の長期人口変化

    日本の長期人口変化

    一方で、新築住宅は年間90万戸ペースで建てられているため、空き家が急増。

    日本人の人口・世帯数と住宅戸数

    住宅戸数と世帯数の変化2018年rev3

    結果として、空き家率は2018年時点で13.6%に。

    持ち家の27%が空き家予備軍

    2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。

    そうなると空き家は一気に増加。

    すでに2018年時点で、全国の居住中の持ち家2,864万戸に対し、779万戸(27%)が65歳以上の高齢者のみの世帯。

    実に27%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。

    地方だけでなく、東名阪エリアでも空き家予備軍は370万戸(27%)。

    実際にこれだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れないことが予想されます。

    空き家予備軍の割合(2018年時点)

    空き家予備軍

    地方や郊外では急激な過疎化

    国土交通省の「国土の長期展望」によると、2050年には

    • 5割の地域で、人口が現在の半分以下になる。
    • 2割の地域で、無人化する。

    ことが分かっています。

    また日本の住宅価格は2040年に、2010年比で平均46%下がる(価格は半額)という研究もあります。
    (※出典:Analysis of policy options to address Japan’s declining population, shrinking birthrate, and aging society

    ハウスハウス

    そんなに値下がりするの!


    家博士家博士

    2040年まで待たなくても、2022年問題もあるよ。

    3大都市圏では2022年以降の生産緑地問題

    また3大都市圏(首都圏・名古屋圏・近畿圏)では、2022年から順次開放予定の生産緑地の影響で一戸建ての値下がりが加速する恐れも。

    生産緑地とは、都市部に残されている農地のことで、2022年以降に一部が解除されます。

    2022年解除見込みの生産緑地と住宅着工面積
    2022年に解除見込の生産緑地面積 新築住宅着工床面積2022年度 割合
    東京都 143万m2 884万m2 16%
    埼玉県 138万m2 438万m2 32%
    千葉県 107万m2 377万m2 28%
    神奈川県 75万m2 503万m2 15%
    首都圏合計 463万m2 2,202万m2 21%
    愛知県 166万m2 481万m2 35%
    大阪府 132万m2 491万m2 27%
    京都府 57万m2 118万m2 48%
    兵庫県 41万m2 258万m2 16%
    奈良県 85万m2 59万m2 144%
    関西圏合計 315万m2 926万m2 34%

    この表で25%を超える地域は、生産緑地の開放が住宅価格に影響する恐れがあります。

    また生産緑地は駅から遠いエリアに多いため、マンションより戸建ての方が影響を受けやすいでしょう。

    ハウスハウス

    うーん、これは早く売ったほうが良さそうだね。
    売るなら建物を解体した方が良いのかな?


    家博士家博士

    解体すると売れなくなる土地もあるから、まず不動産会社に相談したほうが良いよ

    解体して更地で売る前に、専門家に意見を聴く

    築30年超の一戸建ての場合は、建物の解体をする前に、まず複数の不動産会社に相談して意見を聴き比べましょう。

    なぜなら、建物を解体するべきかは

    • 建物の劣化具合
    • 再建築ができるか(建築基準法や都市計画の制限)
    • 既存不適格(同じ規模の建物が建てられない)かどうか

    によって答えが変わるため。

    最悪のケースでは、建物を解体すると再建築不可(新しく建物が建てられない土地)になり、売れなくなる恐れもあります。

    逆に解体して更地になった途端、買い手が付いた…という物件もあります。

    この物件の場合、立地条件は比較的良かったものの、解体されずに残っていた家がネックとなって買い手が付かなかったもの。

    更地になったことで「新築の家を建てるための土地探し」をしていた人の目に留まったのです。

    ハウスハウス

    結局は買い手のニーズを良く知っているのは不動産会社だってことだね。


    家博士家博士

    不動産会社も担当者によって当たり外れがあるから、最低でも3社程度の意見を聴き比べた方が良いよ。


    築古一戸建ての売却と税金

    築30年以上の築古一戸建てを売却した時の税金について、最低限知っておきたいことはこちら。

    まず、家を売却すると譲渡所得が発生します。

    譲渡所得がプラスの場合は税金が発生しますが、「3,000万円の特別控除」によって、3,000万円までは非課税。

    ただし、買い換えの場合は少し事情が変わります。

    買い換えの場合は、次の住宅を購入する際にローンを組むのが一般的。

    住宅ローンを組むと「住宅ローン控除」が受けられますが、これは売却時の3,000万円の特別控除と併用できません。

    そのため、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除を比較し、お得な方を選ぶことになります。

    ハウスハウス

    どちらがお得か比較するのは難しそう…

    家博士家博士

    税金は専門的な知識が必要だし、個人で計算するのは難しいから、税理士に相談しよう。
    まあこの程度なら、不動産会社に聞いた方が早いかもね


    ハウスハウス

    不動産会社は良き相談相手でもあるんだね!
    不動産会社選びが大事だって、何となく分かった気がするよ

    まとめ

    ここまで『築30年以上の築古一戸建てでも売れるの?高く売るコツや失敗しないための注意点とは』として解説してきました。

    築30年以上の一戸建てでも、普通に売れますが、高く売るには5つのコツがあります。

    1. 大規模リフォームはせず最低限の補修のみ
    2. 買取より仲介(普通の売買)で売る
    3. アピールできるポイントを知る
    4. 少しだけ費用をかける方法も
    5. いちばん大切な不動産会社選び

    また賃貸に出すなら、駅徒歩7分以内が条件。

    建物の解体は、複数の不動産会社に意見を聞いたほうが良いでしょう。

    いずれにしても実績豊富な不動産会社3社以上に無料査定を依頼して、話を聞いて下さい。

    都市部なら大手3社(三井のリハウス住友不動産ステップ東急リバブル)が実績豊富。

    とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、38年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の無料査定はこちらから
    SRE不動産

    首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

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