「戸建てからマンションに住み替えたいけど、注意点は?」

戸建てからマンションへの住み替えでお悩みですね。

確かにマンションは耐震性やセキュリティで安心だし、立地が良く価格が下がりにくいなどメリットが多くあります。

しかしマンションには注意点もあるので、後悔しないために知っておきましょう。

この記事では、戸建てからマンションに買い替えるメリットと6つの注意点、そして住み替えの7つのコツを解説します。

あなたの住み替えが成功し、幸せなマンションライフを満喫するために、この記事がお役に立てば幸いです。

※逆にマンションから戸建てへの買い替えは、こちらの記事で解説しています。
マンションから戸建てへ買い替えを、失敗しないための注意点まとめ

マンションに買い替える4つのメリット

マンションイメージ
戸建てからマンションに買い替えるメリットをまとめるとこちら。

メリット1. 立地が良い

マンションのメリットは、戸建てに比べて立地が良いこと。

高齢者・現役世代・子供、皆が暮らしやすい

立地が良いと大抵の用事が徒歩や自転車で済み、車に乗る必要がありません。

普段の買物、医療機関や金融機関、役所手続きなどが楽になるので、高齢でも安心して暮らせます。

また現役世代では、駅が近いので通勤が楽になるのはもちろん、子供の進学にも便利です。

資産価値が高い

また立地が良いと、古くなっても価値が下落しにくく、売りに出しても売れやすいのもメリット。

マンションは資産価値が高いといえるでしょう。

実際に、マンション価格は大きく値上がりしています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2023年8月

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約10年で85%も値上がりしています。

戸建ては上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。

戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。

ハウスハウス

マンションはスゴイ値上がりしてるんだね!


家博士家博士

日銀の金融緩和で、都市部を中心に大きく値上がりしたんだ。

メリット2. 維持管理や日々の生活が楽

外回りの掃除、雑草・落ち葉や外壁などがない

マンションは戸建てに比べると、維持管理が圧倒的に楽です。

戸建てでは庭や家の周りの手入れ、掃除が大変ですが、マンションなら全て不要。

マンションでは、共有廊下の掃除や外壁の塗装、屋上防水、排水溝などの掃除は全て管理会社がしてくれます。

ゴミ出し・洗濯も楽

マンションではゴミ出しも楽。

共有のゴミ置き場に置いておくだけで、多くのマンションではゴミは24時間出せるので、生ゴミの匂いも気になりません。

最新のマンションならディスポーザーで、生ゴミを粉砕して、下水に流せます。

また浴室乾燥機があれば、天気に関係なく洗濯物を乾かせるうえ、冬場の入浴も快適。

宅配ボックスがあれば、共働きで不在が多い家庭でも、再配達の手間なく荷物をスムーズに受け取れます。

コンパクトに住み替えれば、室内の掃除も楽

もし子供が独立した家で空き部屋が多いなら、コンパクトマンションに住み替えると、室内の掃除も楽になります。

最近は老後に最適なサイズの夫婦2人用マンションが人気。

マンションにゲストルームがあれば、子供が来るときだけ部屋を借りられます。

ご近所付き合いも楽

「面倒なご近所付き合いがないから」という理由で、マンションを選ぶ人も大勢います。

マンションはお互いに深入りすることなく、ほどほどの距離感でお付き合いする人が多いので、住んでいて楽。

共働きの家庭が多く、主婦が少ないという傾向もあります。

メリット3. 建物・設備の性能が高い

耐震性が高く安心感がある

マンションは鉄筋コンクリート造で、設計時に構造計算されており、戸建てより耐震性が高いものが多くなります。

特に新耐震設計(1981年6月1日以降に建築確認申請を提出)のマンションであれば、耐震性も安心。

旧耐震設計でも、耐震診断や耐震補強で十分な対応をしていれば、ひとまず安心でしょう。

ただしマンションは停電でエレベーターや水道が止まると逆に大変なので、非常用発電などの設備は確認しておきましょう。

風雨にも強い

マンションは鉄筋コンクリート造なので、風に強く台風などでも安心感があります。

鉄筋コンクリートのマンションは、地震時の水平荷重に十分な強度で設計されるため、風には十分過ぎるほど強い構造。

津波でも鉄筋コンクリート造の建物だけは、倒壊せずに残ります。

また鉄筋コンクリートのマンションは、風による変形が少ないため、雨が横から吹き付けても雨漏りするリスクは低くなります。

外壁の維持管理さえ正しくしていれば、台風でもまずトラブルはありません。

気密性・断熱性が高く快適

マンションは気密性・断熱性が高いので、真夏や真冬でも快適に暮らせます。

高齢になると夜のトイレや寒い風呂場で脳卒中のリスクがありますが、気温が一定に保てるマンションなら安心。

断熱性が高いと光熱費も安く済みます。

気密性が高いと、不快な害虫も室内に入ってきません。

バリアフリー

戸建ては段差が多く、歩行が困難になると大変ですが、マンションならバリアフリーが基本。

年齢を重ねても安心して暮らせます。

ただし古いマンションでは水回りに段差があったり、車椅子が通れないスペースがあるので、注意しましょう。

メリット4. セキュリティが高い

マンションはセキュリティでも安心です。

最近のマンションなら、出入り口はオートロックで不審な人が入ってきません。

また常駐の管理人や防犯カメラがあれば、さらにセキュリティが高くなります。

高齢になると、訪問販売詐欺や強盗などが心配ですが、マンションなら比較的安心でしょう。

ハウスハウス

やっぱりマンションに住み替えるメリットは色々あるね。


家博士家博士

次は注意点も解説しよう。

マンションへ住み替え6つの注意点

タワーマンションイメージ
マンションの注意点も知っておきましょう。

基本的な話なので、すでにご存知の方は読み飛ばして下さい。

それぞれ解説します。

注意点1. 毎月の負担があり、値上がりする

戸建てと違い、マンションでは毎月支払う費用があります。

具体的にはこちら。

  1. 管理費
  2. 修繕積立金
  3. 駐車場や駐輪場の使用料

この中でも特に2.修繕積立金は、築年数が古くなるほど値上がりします。

それぞれの内容と相場を解説します。

1. 管理費

管理費は管理組合の運営費。

マンションには「管理組合」というマンション住民の自治組織があります。

管理組合は住民から集めた管理費を使って、マンション管理会社に日常的な業務を委託します。

具体的には、エントランスなど共用部の清掃やエレベーターの点検、管理人の業務など。

国土交通省による「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費の全国平均は10,862円。

総戸数が少ない方が、管理費が高くなる傾向があります。

2. 修繕積立金

修繕積立金は建物の資産価値を長期的に維持するために使われます。

主な用途は、約12〜15年周期で行われる「大規模修繕工事」。

修繕積立金は、マンション管理組合が住民から受け取り管理しています。

修繕積立金の全国平均は11,243円。
国土交通省・平成30年度マンション総合調査

国土交通省では「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」も定めており、修繕積立金の目安も定めています。

修繕積立金の平均値

階数、
建築延床面積
修繕積立金平均値
(1m2あたり月額)
20階未満、
5千m2未満
335円
20階未満、
5千〜1万m2
252円
20階未満、
1万〜2万m2
271円
20階未満、
2万m2以上
255円
20階以上 338円

これとは別に機械式駐車場は、1台あたり月額5,235円〜7,210円が必要になります。
(出典:国土交通省・マンションの修繕積立金に関するガイドライン

ハウスハウス

修繕積立金は階数や機械式駐車場で違うんだね


家博士家博士

高層マンションでは足場などの仮設費用が高額になる。
機械式駐車場はメンテナンス費がかかるからね。

修繕積立金の計算例
10階建、5,000m2未満のマンションの場合、70m2の部屋の場合
修繕積立金の平均
335円 × 70m2 = 23,450円/月
30年間では、
23,450円×12ヶ月×30年 = 約844万円
になります。
修繕積立金は増額・一時金のリスクがある

修繕積立金は、ある日突然数倍に増額されたり、一時金として数十万円から百万円以上が徴収されるリスクがあります。

なぜなら、多くのマンションで修繕積立金が不足しており、今後は増額されるため。

特に修繕積立金が国土交通省の目安より安いマンションは要注意です。

修繕積立金が安すぎるマンションでは、大規模修繕で大幅な積立金不足が発覚し、一時金が必要になったり、修繕積立金が2〜4倍になる恐れがあります。

長期修繕計画と修繕積立金の予定を確認する

マンションを購入する際は、長期修繕計画と修繕積立金の予定を確認しましょう。

本来、修繕積立金の金額は、25年〜35年間という長期の修繕計画に基づいて決められるもの。

ただし古いマンションでは長期修繕計画が無かったり、計画期間が10年程度などで、必要な工事が予定に入っていないこともあります。

一方新しいマンションの場合は、長期修繕計画はしっかりあっても、修繕積立金は段階的に値上げされる方式が一般的です。

3. 駐車場使用料や駐輪場使用料

マンションでは駐車場や駐輪場の使用料も必要です。

都市部では機械式駐車場となっていることも多く、駐車する位置によっても使用料が変わります。

ハウスハウス

マンションはいろんな費用がかかるんだね。


家博士家博士

そうだね。
ただ戸建てでも、外壁塗装などで約10年毎に補修費用がかかるから、まったく費用がかからないわけじゃないよ。

注意点2. 騒音問題のリスク

騒音イメージ
戸建てと違って、壁一枚で隣家と接しているマンションでは、騒音問題があります。

騒音問題を避けるためには、スラブ(床)と壁のコンクリートの厚さが目安になるでしょう。

スラブ厚と壁厚が1つの目安になる

もしマンションのスラブ厚(床のコンクリート厚さ)や壁厚(戸境壁の厚さ)が分かれば安心。

スラブや壁の厚さでは1つの目安として次があります。

騒音リスクが少ないスラブや壁の厚さ

  • ボイドスラブ(コンクリートスラブの中に空洞があるもの)なら300mm以上
  • 普通のスラブなら200mm以上
  • 戸境壁(隣家との壁厚)は180mm以上でクロス直貼り

※いずれもコンクリートの厚さで、仕上げ材は含まない。

築10年以内ならスラブ厚は十分でしょうが、築30年くらいのマンションになると、スラブ厚が120mmしかないマンションもあります。

また一般的に大手デベロッパーや公団のマンションは、昔から独自仕様でスラブ厚が決まっており、築年数が古くても壁厚やスラブ厚が150mmあったりします。

ただしタワーマンションなど階数が高いマンションは、建物の軽量化で壁や床を薄く設計する傾向があり、騒音に弱くなります。

マンションの基準値が分かれば安心

安心イメージ
マンションの騒音については、マンションの建物の基準として「日本建築学会」の基準があります。

床衝撃レベルと室間音圧レベルの適用等級基準(マンションの場合)

適用
等級
説明 隣との音
(壁・床)
重い衝撃音
LH(床)
軽い衝撃音
LL(床)
特級 特別に高い性能が要求された場合の性能水準 D55 L-45
(LH-45)
L-40
(LL-40)
1級 建築学会が推奨する好ましい性能水準 D50 L-50
(LH-50)
L-45
(LL-45)
2級 遮音性能上標準的である D45 L-55
(LH-55)
L-55
(LL-55)
3級 やむを得ない場合に許容される性能水準 D40 L-60
(LH-60)
l-60
(LL-60)

日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」1999年

マンションによって、この遮音性能が違うので、確認してみましょう。

分譲マンションであれば、最低でも1級、できれば特級レベルが望ましいでしょう。

さらに、表中のそれぞれの数字D値、L値を解説します。

戸境壁の遮音性能はD値で判断する

戸境壁の遮音性能を判断する基準は、D値という指標を使います。

空気音の場合

遮音
等級
大きな音
ピアノ・ステレオなど
一般の音
テレビ・ラジオ・会話
生活実感
プライバシーの確保
D65 通常では聞こえない 聞こえない ピアノやステレオを楽しめる
D60 ほとんど聞こえない 聞こえない カラオケパーティーなどが出来る
D55 かすかに聞こえる 通常では聞こえない 隣戸の気配を感じない
D50 小さく聞こえる ほとんど聞こえない 日常生活で気兼ねなく生活できる。隣戸をほとんど意識しない。
D45 かなり聞こえる かすかに聞こえる 隣戸住居の有無がわかるが、あまり気にならない。
D40 曲がはっきり分かる 小さく聞こえる 隣戸の生活がある程度分かる
D35 よく聞こえる かなり聞こえる 隣戸の生活行為がかなり分かる

日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」1999年

コンクリートの戸境壁には、クロス直貼りと2重構造の2種類があり、クロス直貼りの方が遮音性が高いとされます。

なぜなら2重構造では、壁の間にある空気層が特定の周波数に共鳴する「太鼓現象」があり、遮音性が低下するから。

また一部の高層マンションでは、建物の重量を軽くするために、お隣との戸境壁が「乾式工法」の場合があります。

「乾式工法」とは、コンクリートの壁ではなく、石膏ボードで壁をつくる工法。

乾式工法では、計算上の遮音性能がD50でも、実際はD45程度に遮音性が弱くなってしまうケースがあるので、注意した方が良いでしょう。

床衝撃音はL値で判断する

床衝撃音の指標には、スプーンなどを落としたときの軽量衝撃音(LH)と子供が飛び跳ねたときの重量衝撃音(LL)、そして両方を考慮したL値があります。

床衝撃音の場合

遮音
等級
人の走り回り、
飛び跳ねなど
椅子の移動音、 生活実感
プライバシーの確保
L-35 ほとんど聞こえない 通常ではまず聞こえない 上階の気配を感じることがある
L-40 かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ ほとんど聞こえない 上階で物音がかすかにする程度。気配は感じるが気にはならない
L-45 聞こえるが、意識することはあまりない 小さく聞こえる 上階の生活が多少意識される状態。スプーンを落とすとかすかに聞こえる。大きな動きは分かる。
L-50 小さく聞こえる 聞こえる 上階の生活状況が意識される。椅子を引きずる音は聞こえる。歩行などが分かる。
L-55 聞こえる 発生音が気になる 上階の生活行為がある程度分かる。椅子を引きずる音はうるさく感じる。スリッパ歩行音が聞こえる。
L-60 よく聞こえる 発生音がかなり気になる 上階住戸の生活行為が分かる。スリッパ歩行音がよく聞こえる。

日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針」1999年

床は直張りと2重床がありますが、一般的には2重床の方が遮音性が高いとされます。

ただし、2重床の場合は間の空気層が共振する「太鼓現象」を防止する工法でないと、直貼りより音が響く場合があります。

音が気になるかは個人の感覚や隣人次第

悩むイメージ
音が気になるかどうかは、結局個人の感覚によって違います。

どんなにスラブや壁が厚いマンションでも、近隣に大きな音を出す家があれば“うるさい”と感じてしまうということもあります。

あなた自身やご家族の感覚と隣人次第という面もあります。

ハウスハウス

どうしても我慢できない時はどうするの?


家博士家博士

管理組合経由で伝えてもらうのが一般的かな。

注意点3. マンション独自の制約がある

マンションには規約があり、それぞれのマンションで制約が決まっています。

またマンションの管理規約は住み始めてから変更されることもあります。

制約として具体的には次があります。

ペット飼育

多くのマンションでは、ペットの飼育にルールがあります。

飼育が禁止されているケースから、小型犬のみ2頭までなど様々。

古いマンションは飼育禁止が多く、後から解禁される場合もよくあります。

リフォームの制約

マンションではリフォームにも制約があります。

まず床の防音では、現状の防音等級より下げるリフォームは禁止されるのが一般的。

またバルコニーは共有部なので、物置やサンルームなどを造作できません。

あと窓のサッシやドアも共有部なので、勝手に交換できないのが一般的です。

ゴミ捨てや喫煙、楽器演奏など

マンションによっては、ゴミ捨てやベランダの喫煙にもルールがあります。

また楽器の演奏も時間や種類が決まっている場合も。

趣味を楽しむ予定なら、確認しておきましょう。

注意点4. 駐車場が遠い

マンションでは駐車場から部屋までの距離が遠いので、高齢になると大変な場合も。

大量の買物を運ぶのに、何度も往復することになります。

特に機械式駐車場では、一旦荷物をどこかに置いて、何度も運ばないといけません。

車椅子では、機械式駐車場を使えない恐れもあります。

注意点5. 管理組合の役員が回ってくる

マンションでは管理組合の役員が持ち回りで回ってきます。

積極的なリーダーが居れば安心

マンションに積極的なリーダーが居れば、役員が回ってきても安心。

リーダーが理事長として方針を打ち出してくれるため、与えられた役割をこなすだけで済みます。

しかしリーダーが不在の管理組合の場合は、役員の任期が終わり交代する度に引き継ぎや方針の変更があり、勉強が必要。

特に大規模修繕のタイミングで理事になると、施工会社との打ち合わせが毎週続きます。

高齢でも断りにくい

高齢でも普通に生活できる状態なら、管理組合の役員は断れません。

特に築年数の古いマンションでは、他の住民が高齢で寝たきりや入院、賃貸に出しているなど役員になれない人が多く、役員がすぐに回ってきます。

マンションを購入するときは、管理組合の様子を確認した方が良いでしょう。

最近は委託も増えているが、その分費用は高くなる

最近は管理組合の役員を嫌がる住民が増えており、管理組合の運営を外部に委託するマンションも増えています。

しかし管理組合を外部委託すると、その分だけ費用が余計にかかり、管理コストの削減も難しくなるのが現実。

管理組合を外部委託するマンションは手間がかかりませんが、管理費や修繕積立金が高額になる傾向があります。

ハウスハウス

管理組合なんて面倒だね。


家博士家博士

でもマンションは管理が大切なんだよ。
特にこれからは、管理で資産価値が大きく変わるんだ。

注意点6. 管理でマンション寿命が大きく違う

管理の差で将来の資産価値が大きく変わる

「マンションは管理で買え」といわれます。

なぜならマンションの管理は自分だけでコントロールできず、住民の総意で物事が決まるため。

管理が悪いマンションは将来資産価値が下がり、共有部がスラム化して売れなくなる恐れもあります。

2022年4月から新たにマンション管理を評価する新制度がスタートするなど、管理はこれからますます重要になるでしょう。

【参考】国土交通省 マンション管理・再生ポータルサイト
一般社団法人マンション管理業協会・マンション管理適正評価精度

築15年を過ぎると管理組合の質に差が生まれる

マンションは特に築15年を過ぎると、管理組合の質に大きな差が生まれています。

なぜなら10年で品確法による売主の瑕疵担保責任が切れ、15年前後に大規模修繕の1回目があるため。

良い管理組合の特徴

良い管理組合では次のような特徴があります。

  • 長期修繕計画が30年以上あり、定期的に見直されている。
  • 修繕積立金が長期修繕計画通りに積み立てられている。
  • 第三者の意見を聞くシステムが管理組合にある。
  • 管理組合にリーダー的な存在の人が複数居て、積極的に管理をしている。
  • 直近の大規模修繕では、相見積もりにより適正価格の工事会社が選定され、結果として大規模改修後の修繕積立金が30%以上ある。
悪い管理組合の特徴

逆に管理組合に問題があるマンションはこの様なマンションです。

  • 長期修繕計画がない又は20年未満で、大規模修繕で修繕積立金が不足して、金融機関から融資を受けている。
  • 管理組合にリーダーが不在で、管理会社任せになっている。
  • 空き家や賃貸の割合が高く、住民の高齢化が進んでいる。

管理の質が悪いマンションの場合、管理費や修繕積立金の滞納が増えていることも。

こうなると修理や建て替えが難しく、最悪の場合は築40年程度でスラム化が始まり、売りにくくなる恐れがあります。


ハウスハウス

スラム化したら、建て替えれば良いんじゃないの?


家博士家博士

建て替えは解体は、住民の意見が統一できないことが多く、難しいのが現実だよ。

建て替えは2%と難しい

築年数が40年を超えるマンションでは、建て替えも検討されます。

しかし建て替えや解体は難しいのが現実。

2022年4月1日現在、マンション建て替え事例数はでわずか270棟。

建て替えが必要と考えられる旧耐震設計マンション103万戸に対して、建て替えられたマンションは2%しかありません
【参考】国土交通省・マンションに関する統計・データ等

家博士家博士

人口減少を考えると、建て替えできるマンションは都市中心部だけと考えた方が良いね

マンション高齢化はこれから社会問題化する

マンション高齢化はこれから本格的に始まり、社会問題化します。

20年後の2041年には、築40年超のマンションが3.7倍の425万戸に急増。

マンションの築年数別戸数(全国)

マンションストックの変化2021年末

すでに分譲マンションの建設ピークは築20年前後(2000年頃)に終わっており、2010年以降は人口減少で新築戸数が大幅に減っています。

分譲マンションの築年別戸数

マンションの築年別戸数2022年


ハウスハウス

マンションも高齢化の時代がこれから始まるのか。


家博士家博士

そうだね。
最後にマンションへ買い替えるコツを解説しよう。

戸建てからマンションへ買い替え7つのコツ

戸建てからマンションへの買い替えには次の7つのコツを押さえましょう。

それぞれ解説します。

コツ1. 買い替えの流れを把握する

まず買い替えの流れを把握しましょう。

買い替えの流れ

家の買い替えの流れ

ハウスハウス

難しくて読む気しないなぁ、、


家博士家博士

今はザックリとだけ知っておけば良いよ。
後で読み返せば良いから。


コツ2. 戸建ての売却相場を知る

流れを把握したら、次に戸建ての売却相場を知りましょう。

なぜなら全ての予算計画は、戸建ての売却価格が元になるためです。

不動産会社に訪問査定を依頼する

戸建ての売却相場を知るためには、不動産会社に無料査定を依頼します。

戸建ては訪問査定が基本

このとき訪問査定を選びましょう。

マンションと比べ、戸建ては現地調査が価格に大きく影響します。

そのため現場を確認しない匿名査定や机上査定は当てになりません。

訪問査定と机上査定については、こちらで詳しく解説しています。

複数(3〜6社)の不動産会社に査定を依頼する

また査定する際は複数の不動産会社に依頼するのがポイント。

最低でも3社、可能であれば6社程度の不動産会社に査定を依頼しましょう。

不動産会社は、エリアで売買実績が豊富な不動産会社を選びます。

ハウスハウス

不動産会社はどこが良いの?


家博士家博士

不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを利用すると簡単だよ。


一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    77万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国875店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。

自分でも相場を調べるなら

どうしても自分で相場を調べたいなら、土地を路線価から計算し、建物を原価法で計算すると、ザックリと分かります。

詳しくはこちらの別記事で解説しています。

コツ3. ダブルローンは慎重に使う

まだ戸建てのローンが残っている場合、ダブルローンを使う選択肢もありますが、慎重に考えましょう。

ダブルローンのイメージ

ローンが残っていれば売り先行が基本

ローンが残っている買い替えでは、戸建ての売却を先行し、売りながらマンションを探すのが基本です。

なぜならダブルローンで先にマンションを買ってしまうと、なかなか家が売れない場合に、焦って安値で投げ売りする恐れがあるため。

参考までに、戸建ての売却期間は平均4ヶ月〜4.5ヶ月です。

戸建ての平均売却期間
(首都圏2022年・近畿圏2020年)

戸建ての平均売却期間(首都圏2022年、近畿圏2020年)

ハウスハウス

じゃあ平均の4〜4.5ヶ月くらい考えておけば良いの?


家博士家博士

高く売るなら6ヶ月くらい見ておいた方が良いね。
どうしても急ぐなら値下げすれば早く売れる。
ただし買取だと相場より2割以上安くなるよ。

買取は相場より2割以上安くなる

不動産会社の買取だと、最短1週間で売れますが、価格は相場より2割以上安くなります。

理由として、不動産会社は買取った戸建てを相場価格で転売するため。

不動産会社は手間やリスクを考えると、相場より2割以上安くないと買い取るメリットはありません。

買取イメージ

よほど急ぐ理由がない限り、買取でなく普通に仲介で売った方が良いでしょう。

買取保証(売却保証)を利用する方法もある

3ヵ月程度の時間的余裕があるなら、大手不動産会社の買取保証を利用する方法もあります。

買取保証イメージ

買取保証とは一定期間内に家が売却できなかった場合、不動産会社が買取ってくれる保証のこと。

期限内であれば通常の売却物件として扱われるため、不動産会社による即時買取と比べて高く売れる可能性もあります。

最終的に成約できなかった場合でも、事前に提示される「買取保証額」で買い取ってもらえるため、安心感が違います。

コツ4. 売却の不動産会社は慎重に選ぶ

戸建てからマンションへの買い替えは、売却の不動産会社選びで8割が決まります。

優秀で信頼できる不動産会社を選びましょう。

売却実績が豊富な不動産会社の話を聴き比べる

優秀な不動産会社は、売却実績が豊富な不動産会社です。

優秀な不動産会社から信頼できる不動産会社を選ぶには、話を聴き比べるしかありません。

具体的には、エリアで売買実績が豊富な不動産会社3〜6社に無料査定を依頼して、話を聴き比べると良いでしょう。

仲介の査定価格はあくまで予想価格に過ぎない

不動産会社を選ぶときは、査定価格だけで選ぶと危険です。

なぜなら仲介の査定価格はあくまで売れるであろう予想価格に過ぎず、不動産会社が売れると保証するものではないため。

一部の悪質な不動産会社は、他社より目立つために売れない高値で査定することもあります。

こうした不動産会社に売却を依頼しても売れずに時間がすぎて、結局値下げすることに。

極端に高い査定価格は、査定根拠をしっかり確認した方が良いでしょう。

都市部は大手トップ3社(首都圏は4社)を中心に選ぶ

都市部では、大手トップ3社(三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル)、首都圏は野村の仲介を加えて4社を中心に選ぶと良いでしょう。

売買仲介件数ランキング上位34社
(2022年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2022年3月首都圏

「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」の3社は、仲介件数が2万件を超えており圧倒的。
数多くの顧客を抱えています。

首都圏では、実績の大部分が首都圏の「野村の仲介」も含めてトップ4社で考えると良いでしょう。

早速、これらの大手トップ3社(首都圏は4社)にそれぞれ連絡しても良いのですが、何回も電話や訪問するのは時間もかかり大変。

しかし一括査定サイトの「すまいValue」を利用すれば、これらの大手トップ4社を含む最大6社に、わずか数分でまとめて無料査定を依頼できます。

すまいValueは、トップ4社を含む大手6社が共同運営する一括査定サイト。

大手4社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したので、大手4社に査定を依頼できるのはすまいValueしかありません。


すまいValue

すまいValueの公式サイトはこちら
すまいValue

すまいValueについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。

買い替えでは1社と専任媒介が便利

不動産会社との媒介契約ですが、買い替えの場合は一般媒介より専任媒介契約の方が色々調整ができて便利です。

ここで信頼できる不動産会社を選ぶことに成功すれば、後は不動産会社に相談しながら作業を進めることができます。

もし購入するマンションがまだ決まっていないなら、マンション探しも依頼しましょう。

人気物件を適正価格で売り出すなら一般媒介もあり

人気物件を適正価格で売り出すなら一般媒介契約で複数の不動産会社と契約する方法も良いでしょう。

一般媒介契約なら、同時に複数の不動産会社へ売却を依頼できます。

ただし一般媒介だと不動産会社のサポートは期待できません。

売りにくい家だったり、初めて家を売却するなどで不動産会社のサポートが必要なら、専任媒介契約で1社に依頼する方が安心です。

また不動産会社は2〜3社程度に抑えるのが一般的。

多すぎると不動産会社が不信感をもってしまい、動きが悪くなります。

一般媒介については、こちらで詳しく解説しています。

コツ5. 人気の新築マンションを狙うなら先に売却する

新築で買い替え客は敬遠されがち

人気のあるマンションを狙うなら、先に戸建てを売却した方が、希望するマンションを買える確率が高くなります。

理由として、新築分譲マンションでは買い替え客は敬遠されがちだから。

人気の新築分譲マンションは建築前に抽選で申込むのが基本ですが、抽選というのは建前で、実際は優良客に優先して割当られます。

戸建てが売れないとマンションが買えない場合、マンション販売会社から敬遠されることに。

ライバルより優先されるためには、先に家を売ってしまう方が有利です。

ハウスハウス

でもマンション販売会社系列の不動産会社に売却を依頼したら、大丈夫じゃないの?


家博士家博士

戸建てが確実に売れる保証はないからね。
やっぱり確実に買うお客が優先されるのは仕方ないんだ。

仮住まいなら公営賃貸がお得

人気の新築分譲マンションでは、完成までまだ1年以上ある「青田売り」で売り出されます。

買い替えで先に戸建てを売却すると、1年以上の期間を賃貸住宅で暮らすことに。

解決方法は賃貸にUR賃貸住宅都道府県の住宅供給公社など公営の賃貸を利用すると良いでしょう。

公営住宅の場合、仲介手数料や礼金、2年毎の契約更新料などが無料です。

退室時の敷引も最小限なので、退去時の費用も安く済みます。

公営住宅は家賃の割に住宅のグレードが高いので、気に入って長期間住む方も多くいます。

ハウスハウス

人気のマンションを狙うなら、先に売った方が良いってことだね。


家博士家博士

逆に売れ残っているマンションを狙う方法もある。

新築売れ残りマンションを狙う裏ワザ

競合イメージ
あまり人気のない売れ残りの新築分譲マンションであれば、買い替えで逆に得をする裏ワザも。

あまり人気のないマンションとは、すでに竣工して残りの数戸を先着順で販売している様なマンション。

特に3月や9月などの決算期は、マンション販売会社も早く売りたくて焦っています。

この様な不人気マンションでは、マンション販売会社が売ることに必死なので、最大限の優遇があります。

狙いはグループに売買仲介がある大手ディベロッパー

中でもグループ企業として不動産売買の仲介会社を持っている大手マンション販売会社では、買い替えも優遇の1つになる場合も。

例えば戸建ての売却価格を相場より高い価格で査定をしてくれて、売れない場合は買い替え補充という名目で新築マンションの値引きがあるケースです。

具体的な手順はこの様なイメージです。

  1. 売れ残っている新築分譲マンションを見つける。
  2. 先に一括査定サイトで戸建ての査定を依頼し、相場を知っておく。
  3. マンション販売会社に買い替えで相談し、戸建ての査定を依頼する。
  4. 戸建ての査定価格が相場より高い場合は、値引き覚悟だと判断してマンションの購入を申し込む。

マンション販売会社に買い替えだと伝えると、まず不動産売買を担当するグループ企業が戸建ての価格査定をしてくれます。

この価格が本来の相場以上に高くなっていれば、値引きが期待できます。

ハウスハウス

あえて人気のないマンションを狙って、安く買うんだね。


家博士家博士

人気のないマンションといっても、価格が割高で不人気なら、安く買ってしまえばいいからね。

コツ6. 余裕ある返済プランで買う

値下がりでオーバーローンになると売れなくなる

中古マンションは、余裕ある返済プランで買いましょう。

なぜならマンションが値下がりして、ローン残債より安くなると、売りたくても売れなくなる恐れがあるため。

オーバーローンイメージ

オーバーローンでも、無担保ローンで借り換えたり、住み替えローンを利用する方法はありますが、制約が多く大変です。

マンションは基本的に値下がりする

マンションは一般的に築20年過ぎまで値下がりが続きます。

マンションの築年数と価格(2021年)

マンションの築年数と価格(2021年)

築25年以降は価格が落ち着きますが、今度は売り出してもなかなか売れなくなります。

中古マンションの売り出しと成約
(首都圏2021年)

首都圏中古マンションの売り出しと成約

今はマンション価格が高騰している

さらに今はマンション相場全体が高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2023年8月

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約10年で85%も値上がりしています。

今売りに出ている築10年未満の中古マンションは、購入時とほぼ同じか購入時より高い価格で売りに出されていると考えて良いでしょう。

この先もマンション相場の値上がりが続くとは限りません。

もしマンション相場が下落すれば、築浅の中古マンションは「築年数が古くなる価格下落」と「相場の下落」のダブルパンチで、大きく値下がりする恐れがあります。

ハウスハウス

買ってから値下がりするとイヤだね。


家博士家博士

資産価値が高いマンションなら、値下がりしにくいよ。

資産価値が高いマンションは値下がりしにくい

資産価値が高いマンションは、値下がり局面でも、下落幅が少なくて済みます。

都心に近いほど、また駅に近いほど、資産価値が高く価格下落のリスクが低いでしょう。

ハウスハウス

そんなマンションは高すぎてで買えないよ。


家博士家博士

予算の範囲で、立地を重視した方が良いってことだよ。
もし立地が良くないマンションを買うなら、ローンの返済に余裕を持っておこう。

月々のローン返済額も余裕を持つ

月々のローン返済額も余裕をもっておきましょう。

なぜなら今後は金利が上昇するリスクがあるため。

金利が上昇すると、マンション価格下落と金利上昇がセットで起きる恐れがあります。


変動金利で金利が上昇すると、返済額が増えて生活を圧迫します。

このときにマンション価格が値下がりしていると、オーバーローンで売却もできず、任意売却しかできません。

任意売却すると、信用情報に履歴が残り、しばらく住宅ローンの審査に通りません。


なるべく完済まで無理のない計画を立てましょう。

シミュレーションは、住宅金融支援機構の資金計画シミュレーションを利用すると便利です。

【参考】住宅金融支援機構の資金計画シミュレーション

ハウスハウス

低金利だからって、あんまり無理しないほうが良いんだね。


家博士家博士

買う前は節約すれば大丈夫と思いがちだけど、節約も大変だからね。

コツ7. 長期修繕計画と積立金チェックする

修繕積立金が不足しているマンションが増えている

マンションを選ぶ際は、長期修繕計画と積立金の現状をチェックしましょう。

今は修繕積立金が不足しているマンションが増えています。

国土交通省が平成30年に調査した結果によると、修繕積立金が不足しているマンションは34.5%と1/3にも。

さらに31.6%は不明と回答しており、この大部分は不足していると予想されるため、かなりのマンションで積立金の不足があると分かります。

修繕積立金の積立状況

修繕積立金の不足状況

出典:国土交通省平成30年度マンション総合調査

長期修繕計画は大規模修繕の計画

マンションでは12年~15年周期で、外周に足場を組んで大規模修繕を実施するのが一般的。

修繕回数が増える(築年数が経過する)ほど、大規模修繕にかかる費用も増えていきます。

長期修繕計画とは「外壁工事」「屋上の防水工事」など、各種大規模修繕を「いつ」「どの程度の費用で」行うかの計画。

長期修繕計画は次をチェックします。

長期修繕計画のチェックポイント
・何年分の計画があるか
基本的に、30年以上にわたる長期修繕計画があればOK。
新築分譲時は、修繕積立金を安くするために20年程度の計画しかないマンションが多い。
・修繕計画の内容に漏れがないか
外壁工事の他に次の項目が含まれているかチェックします。
給排水管の交換、サッシやドアの交換、エレベーターや機械式駐車場の交換等、いずれも定期的な交換や修理が必要な設備です。
国土交通省の標準様式と比較すると良いでしょう。

長期修繕計画は、国土交通省が標準様式を公表しているので、比較すれば分かりやすいでしょう。

ハウスハウス

でもなんで修繕積立金が不足するの?


家博士家博士

原因は3つあるよ。

修繕積立金が不足する3つの原因

修繕積立金が不足する原因は次の3つ。

原因1. そもそも修繕積立金が安すぎる

新築分譲時は、修繕積立金が高すぎるとマンションが売れにくくなります。

だからあえて長期修繕計画の期間を20年程度にして、費用がかかるエレベーターや排水管の交換を外し、修繕積立金を安くする場合があります。

そもそも修繕積立金は、住民により組織されたマンション管理組合が決めることで、マンション販売会社が決めることではありません。

ですから必ずしもマンション販売会社が悪いわけでは無いのです。

原因2. 工事費の高騰

ここ数年工事費が高騰しており、全国平均は20年で約30%上昇。
(国土交通省の建設工事費デフレーターによる)

都心部ではこれ以上の値上がりです。

国土交通省・建設工事費デフレーター

建設工事費デフレーター

出典:国土交通省・建設工事費デフレーター

定期的に当初の長期修繕計画を見直さないと、修繕積立金は不足するのは当然なのです。

原因3. 大規模修繕の管理が甘く割高の工事費用を支払っている

大規模修繕工事を管理するためには、はきちんと相見積りをとり、第3者や工事に詳しい人が査定しなくてはいけません。

マンション管理会社任せにしていると、割高な工事費用になってしまいます。

場合によっては相場の1.5倍以上の工事費用を支払っている場合も。

これではいくら修繕積立金があっても不足してしまいます。

ハウスハウス

管理組合って本当に大切なんだね。


家博士家博士

マンション住民がみんなで積極的に管理しないと、マンションの資産価値を守ることができないんだよ。

まとめ

ここまで、戸建てからマンションへの買い替えについて解説してきました。

マンションへ住み替え6つの注意点はこちら。

  1. 毎月の負担があり、値上がりする
  2. 騒音問題のリスク
  3. マンション独自の制約がある
  4. 駐車場が遠い
  5. 管理組合の役員が回ってくる
  6. 管理でマンション寿命が大きく違う

戸建てからマンションへ買い替え7つのコツはこちら。

  1. 買い替えの流れを把握する
  2. 戸建ての売却相場を知る
  3. ダブルローンは慎重に使う
  4. 売却の不動産会社は慎重に選ぶ
  5. 人気の新築マンションを狙うなら先に売却する
  6. 余裕ある返済プランで買う
  7. 長期修繕計画と積立金をチェックする

あなたの戸建てからマンションへの買い替えが成功することを、心よりお祈りしております!

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue
    おすすめ1位
    すまいValueバリュー
    査定実績:
    77万件(2016年開始)
    不動産会社数:
    大手6社(全国875店舗)
    運営会社:
    大手6社共同運営
    三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所ハウスネット
    実績 5.0
    不動産会社 4.5
    運営会社 5.0

    大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
    2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
    簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
    さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細

    管理人のコメント

    地方では大手より中小が強いエリアもあるため、HOME4USUUMOが良い場合もあります。
    しかし都市部では「すまいバリュー」が現状で最強の一括査定サイトでしょう。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。営業マンの質もワンランク上です。

  2. 【公式サイト】すまいValue


  3. SRE不動産
    おすすめ2位
    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    査定実績:
    (2014年開始)
    不動産会社数:
    売主側1社(買主側多数)
    運営会社:
    SREホールディングス(東証PRM)
    実績 4.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 5.0

    すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
    あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
    さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細

    管理人のコメント

    エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。

  4. 【公式サイト】SRE不動産


  5. HOME4U
    おすすめ3位
    HOME4Uホームフォーユー
    査定実績:
    累計50万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    2,100社
    運営会社:
    NTTデータ・スマートソーシング
    実績 5.0
    不動産会社 4.0
    運営会社 4.0

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
    不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
    さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
    ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
    あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  6. 【公式サイト】HOME4U

各エリアで最適な組み合わせ



エリア別のオススメ一括査定サイト

あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてエージェント制のSRE不動産にも話を聞くと良いでしょう。

  • その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)

    →まずすまいValueで大手に、あわせてHOME4Uでエリアに特化した中小にも話を聞くと良いでしょう。

  • 地方(人口密度が少ない地域)

    →まずHOME4Uで探し、数が少なければSUUMOHOME’Sも使ってみると良いでしょう。