相続イメージ
「相続するなら不動産のまま? それとも売却してお金にした方が良い?」

相続で不動産をどうするか、お悩みでしょうか?

相続するなら不動産が良いと聞いたけど、本当なのか。
値下がりする前に、今売った方が高く売れそうだけど…。

そんなあなたに、相続でどちらが有利か判断する5つのポイントを解説します。

確かに不動産は、相続税の評価額を減らすため、相続税対策に有効な場合もあります。

しかし不動産を使った節税は、税務署の判断で否認できる判例もできました。

またそもそも相続税の課税対象にならない場合は、相続税対策を気にする必要もありません。

さらに不動産の価値は、今後の人口減少と高齢化で一部のエリアを除くと下落する傾向に。

地方や老朽化したマンションでは、売却できなくなる恐れもあります。

この記事では、あなたの不動産の相続に最適な方法を判断するための5つのポイントをまとめています。

あなたの大切な資産を、大切なご家族にきちんと相続できれば、安心ですね。

あなたの不動産を最適な形で相続するために、この記事がお役に立てば幸いです。

不動産の相続で最適な方法を考える5つのポイント

不動産の相続で最適な方法を考えるポイントとして次の5つがあります。

  1. ポイント1. そもそも相続税の課税対象か
  2. ポイント2. 不動産のままで全員に公平に配分できるか
  3. ポイント3. 配偶者の相続で2次相続問題にならないか
  4. ポイント4. 今後も資産価値が維持できるか
  5. ポイント5. あなたの認知症リスクは大丈夫か

それぞれ解説します。

ポイント1. そもそも相続税の課税対象か

相続税の課税対象になる人は、全体の1割未満です。

なぜなら、相続税には基礎控除があり、相続財産が基礎控除を超えない場合は課税されないため。

基礎控除額を超えなければ課税対象外

相続税は、基礎控除額を超える場合に、基礎控除額を超える部分に対して課税されます。

基礎控除額は計算式はこちら。

基礎控除額= 3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が3人なら、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3)となります。

(参考)法定相続人の範囲、順位と割合

  1. 故人の配偶者は必ず相続人になる。
  2. 配偶者と、第1〜3のどれか1つの順位の人が一緒に相続する。
    第1順位…故人の子供1/2、配偶者1/2
    第2順位…故人の親1/3、配偶者2/3
    第3順位…故人の兄弟1/4、配偶者3/4
  3. 前の順位の人が全くいない場合は、次の順位の人が相続する。
  4. 配偶者がいなければ、その順位の人がすべて相続する。
  5. 一つの順位に複数の人がいる場合は、人数で等分する。
    例)奥さんと子供2人⇒奥さん1/2、子供1/4ずつ

【参考】国税庁・No.4132 相続人の範囲と法定相続分

相続税の対象は8%程度

平成27年1月1日から基礎控除額が引き下げられたため、相続税の対象になる人が増えましたが、それでも相続全体の4.4%→8.0%程度。

ほとんどの人は、相続税の対象外です。

ちなみに相続税の申告が必要か判断するために、国税庁が相続税の申告要否の簡易判定シートを提供しています。
国税庁・申告要否の簡易判定シート

不動産の相続税評価額

不動産のままで相続税を計算するときは、土地と建物で違います。

土地の計算方法
土地は、路線価方式又は倍率方式のどちらか。
国税庁が作成している路線価図と倍率評価表をみると、あなたの不動産の価格が計算できます。
建物
固定資産税評価額と同じです。
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

【参考】国税庁・No.4602 土地家屋の評価

相続財産と対象にならない財産

相続財産とは

この様なものが相続財産になります。

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産(土地・家屋)
  • 株式・投資信託
  • 債権(国債・公債・社債など)
  • 未回収の賃金など
  • 自動車
  • 貴金属
  • ゴルフ会員権
  • 借地権・借家権

【参考】国税庁・No.4105 相続税がかかる財産

そもそも相続税の対象にならない財産もあります。

相続税のかからない財産

1. 墓地・墓碑・仏壇・仏具
純金製の仏具で相続税対策をする方もいます。ただし節税目的と税務署が判断すると、否認される恐れがあります
2. 生命保険
相続人の受け取り金額のうち、500万円×法定相続人数までは非課税
【参考】国税庁・No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
3. 死亡退職金
相続人の受け取り金額のうち、500万円×法定相続人数までは非課税
【参考】国税庁・No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
4. 寄付金

【参考】国税庁・No.4108 相続税がかからない財産

基礎控除額を超えても軽減制度がある

また基礎控除を超える場合も、軽減制度を利用すると大幅に控除できます。

主な相続税の軽減制度

1. 配偶者の税額の軽減
配偶者の相続は、法定相続分又は1億6千万円まで非課税
(ただし相続開始10ヶ月以内に遺産分割をして遺産を受け取っている場合)
【参考】国税庁・No.4158 配偶者の税額の軽減
2. 小規模宅地の特例(特定居住用宅地等)
故人の配偶者や同居していた親族などが、居住用の宅地を相続すると、330m2までは土地の評価額が8割減額(他に事業用宅地の減額もあり)
【参考】国税庁・No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
3. 未成年者控除
未成年の場合は、満20歳になるまで1年に付き10万円を控除
【参考】国税庁・No.4164 未成年者の税額控除
4. 障害者控除
障害のある方の場合、満85歳になるまで1年につき10万円を控除(特別障害者の場合は20万円)
【参考】国税庁・No.4167 障害者の税額控除
5. 相次相続控除
今回の相続開始前10年以内に相続税を払っていたら、2回目の相続税から一定額を控除
【参考】国税庁・No.4168 相次相続控除
6. 贈与税の控除
相続開始前3年以内に支払った贈与税は相続税から控除
【参考】国税庁・No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

相続税対策に不動産を活用するのは条件次第

「相続税対策として不動産が活用できるのでは?」

そう考える人もいるかもしれませんが、これはあくまでも条件次第。

相続税は圧縮できても、他の理由で大損する恐れもあります。

小規模宅地の特例で節税できるなら不動産で

小規模宅地の特例は、故人の住んでいた自宅の土地や事業用の土地の評価額を最大8割も減額できるもの。

小規模宅地の特例で節税できるのであれば、不動産のまま相続したほうが良いでしょう。

住んでいた土地で特例を適用できる主な条件はこちら。

1.故人の配偶者
無条件で小規模宅地の特例が使えます。
2.無くなった人と同居していた家族
無くなった日の翌日から10ヶ月間は、所有して居住もしていることで小規模宅地等の特例が使えます。
3.上記の1.2.に該当するものがいないかつ、過去3年間持ち家に住んでいない家族
上記の1.2.に該当するものがいない場合で、持ち家を所有していない子供が、親の家を相続するばあいなど

ただし、配偶者に相続する場合は、配偶者が亡くなったあとの2次相続で、多額の相続税がかかる恐れもあるので、子供と
の共有名義にするなど、部分的に子供にも相続しておいたほうが良いでしょう。
【参考】国税庁・No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

王道のアパート・マンション経営だがリスクも大きい

アパート・マンション経営は王道とも言えますが、賃貸事業としてどの程度収益性があるのか、自分で計算して判断する必要があります。

賃貸需要が高いエリアで、すでに土地を持っている地主なら「あり」でしょう。

アパート・マンション経営が相続税対策になる理由として、次の2点があります。

  • 相続税には「小規模宅地等の特例」があり、課税評価額が50%または80%減額されるため。
  • アパートなどを建てる際にローンを利用すればローン残債分がマイナスの財産となり、その分も控除できるため。

こうした節税策で相続税は減らすことができるのです。

賃貸経営の環境も悪化している

賃貸経営を取り巻く環境は悪化しています。

賃貸物件の空室率は、都心部でも上昇。

その一方で新築の賃貸物件は増え続けており、空室が増えているのに賃貸住宅が増えているという矛盾が生じています。

さらに今後は生産人口と世帯数も減少。

借りる人が減るのに賃貸物件は増えるという、アンバランスな状態にあるのが賃貸経営の現状なのです。

他にも「レオパレス」など、賃貸経営にまつわるトラブルも増加中。

家賃保証や高利回りなど魅力的な話は、多くが何らかの大きなマイナスがあるため、営業マンのセールスで判断するのでなく、第3者のコンサルタントなどを利用しましょう。

最近増えてきたタワーマンション高層階

タワーマンションの高層階を購入し、賃貸に出すという相続税の節税策も増えています。

これは新築からの値下がりが少ないタワーマンションなら「あり」です。

ただタワーマンション人気も、いつまで続くか分からず、何かをきっかけに値下がりするリスクはあります。

家博士家博士

例えば、KYBの制震・免震ダンパー不正事件など、突然マンション価格が下落するリスクはあるからね。

タワーマンションが節税に利用できる理由は、高層階が高くなる実価格に対して、高層階でも低層階でも相続税評価額がほとんど変わらないため。

これが問題となり、タワマン節税対策として階数による固定資産税評価額の税率見直しが実施されたものの、相続税評価額への影響は小さいため、いまでも十分に効果的な節税手法となっています。

なお、2017年までに引渡しが済んでいるタワーマンションについては、固定資産税評価額や相続税における評価は以前のまま。

新しい評価が適用されるのは、2018年1月1日以降に引渡しが始まったタワーマンションです。

タワーマンションについては、こちらで詳しく解説しています。

過度な節税は税務署が否認できる

過度な節税は税務署の判断で否認できます。

財産評価基本通達6項といわれる権限で、『国税の伝家の宝刀』とも言われます。

財産評価基本通達第1章6 この通達の定めにより難い場合の評価
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

令和元年8月27日に東京地裁で、この財産評価基本通達6項を認める判決がでたことで、不動産を利用した節税が今後は使いにくくなると言われています。

【参考】日本経済新聞・相続税で「路線価」を否定 地裁判決、”節税”に警鐘

ポイント2. 不動産のままで全員に公平に配分できるか

不動産は相続人同士で分けにくいため、相続争いの原因になりやすいという問題があります。

遺産が少額でも相続争いは起きやすい

相続争いと聞くと「遺産が高額な場合にモメるのでは?」と思うかもしれませんが、実は少額でもモメるもの。

家庭裁判所の遺産分割調停件数(2017年度)を見ると、相続争いの75%は遺産が5,000万円以下となっているのです。

家庭裁判所の遺産分割調停件数(2017年度)

相続争いの総件数7520件のうち、

  • 遺産1,000万円以下の件数・・・2413件(32%)
  • 遺産5,000万円以下の件数・・・3265件(75%)

全体の32%が1,000万円以下の相続争いとなっており、少額だから大丈夫とも言えないことがよく分かります。

家博士家博士

モメたりトラブルになるケースとしてよくあるのは、相続した本人同士は仲が良くても、その配偶者がモメるケースなんだ。

共有名義はトラブルの元

不動産は分割できないため、相続人が共有名義で所有する結果になりがち。

しかし共有名義で不動産を所有すると、トラブルがおきやすくなります。

住んでいる人と、共有名義で所有だけしている人の間で、家賃を払え・払わないというトラブルが起きやすくなるのです。

また売却のタイミングでも、意見が相違してトラブルになりやすいのです。

共有名義の不動産については、こちらで解説しています。

金融資産は相続争いになりにくい

金融資産は分割しやすいため、あなたが遺書を残すことで公平に配分できれば、相続争いを防げます。

ハウスくんハウスくん

余計な揉め事にならずに済むから、控除範囲内なら金融資産が一番いいってことなんだね

年金生活者が不動産を売却しても年金は減らない

家を売却するとなると、年金生活者の場合は「年金が減額されるのではないか?」と心配になるかもしれません。

結論から言うと、家を売却してお金が入っても年金の減額などはなし。

心配せずに売却できます。

年金生活者の不動産売却については、こちらで解説しています。

不動産の売却価格を知る方法

今は、都市部を中心に不動産価格が高騰しています。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2019年12月

「不動産価格指数」とは

不動産価格指数とは、純粋に不動産相場の価格変動を見ることができる指数。

国土交通省がヘドニック法という統計計算手法で、年間30万件の不動産売買成約価格から築年数や立地などの余計な要素を取り除き、純粋な価格変動をまとめたもの。

マンションは、この6年半で45%も値上がりしています。


戸建ては上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。

戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。

あなたの不動産の売却価格を正確に調べる方法はこちら。

  1. エリアで売買実績が豊富な不動産会社に絞る
  2. 上記の3〜6社に無料査定を依頼して、査定価格と話を聴き比べる

エリアで売買実績が豊富な不動産会社は、査定の精度が高くなります。

また今は都市部を中心に不動産価格が高騰しているため、不動産のプロでも査定が難しい状態。

不動産会社によって査定価格に差が出るため、1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。

ただし数が多すぎると対応が大変なので、多くても6社程度が良いでしょう。

ハウスくんハウスくん

エリアで売買実績が豊富な不動産会社は、どうやって探すの?


家博士家博士

不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利だよ


一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。

一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。

この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue

    すまいvalue
    実績5.0
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    18万件(開始後2年合計)
    不動産会社数:
    大手6社・全国870店舗
    運営会社:
    大手6社共同運営

    大手6社(三井不動産リアルティ・住友不動産販売・東急リバブル・野村不動産アーバンネット・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年10月に立ち上げた一括査定サイト。
    6社といっても全国870店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
    売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
    首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
    2020年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして、「すまいValue」が新定番となっています。

    管理人のコメント

    地方では大手より地域密着の中小不動産会社の方が強い場合もあるため、地方の郊外から外れたエリアではHOME4U又はHOME'Sも確認してみたほうが良いでしょう。
    しかし都市部の方は「すまいバリュー」が現状では最強の一括査定サイトです。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。
    机上査定と訪問査定が選べる点もおすすめ。

  2. 【公式サイト】すまいValue

  3. HOME4U

    HOME4Uイメージw330
    実績5.0
    不動産会社4.0
    運営会社5.0
    査定実績:
    累計35万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    1,300社
    運営会社:
    株式会社NTTデータ・スマートソーシング

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数35万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
    不動産会社は大小バランスよく登録されているため幅広く依頼ができます。

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
    ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
    あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておく程度で大丈夫。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  4. 【公式サイト】HOME4U

  5. LIFULL HOME'S

    LIFULL HOMESイメージ
    実績4.5
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    非公開(サイト利用者476万人)
    不動産会社数:
    1,777社
    運営会社:
    株式会社LIFULL

    運営は、HOME'SのテレビCMでおなじみの東証1部上場 株式会社LIFULL。2008年にマンション専用でサービスを開始。2011年から戸建ても含めて売却査定ができる仕様に。参加会社数が多く、特に地元密着系の中小不動産会社が多数登録しています。

    管理人のコメント

    不動産会社を選ぶ際に、各社の特徴(買取保障、瑕疵保証制度あり、半数以上がベテランなど)がアイコンで表示されるので、選びやすいシステムです。
    訪問査定ではなく机上査定を希望する場合は、不動産会社へのメッセージ欄で伝えると良いでしょう。
    選ぶ会社の数は3社〜6社がオススメです。

  6. 【公式サイト】LIFULL HOME'S

首都圏・関西圏ならSRE不動産(旧ソニー不動産)も

首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)、関西圏(大阪・兵庫)の場合は、SRE不動産(旧ソニー不動産)もおすすめです。

HOMES

SRE不動産は、あのソニーが始めた不動産会社。

アメリカ式エージェント制度を取り入れ、完全に売り主の立場で家の売却をサポートしてくれます。

ソニー不動産について詳しくはこちら
SRE不動産(旧ソニー不動産)の評価・口コミ、利用するときの注意点とは

SRE不動産では、メールで査定結果を教えてくれるので、とりあえず査定価格の取り寄せだけでも試す価値はあります。

SRE不動産の無料査定依頼はこちら
SRE不動産

ポイント3. 配偶者の相続で2次相続問題にならないか

あなたの相続で上手く節税できても、あなたの配偶者から子供へ相続する2次相続で多額の相続税が発生するケースがあります。

特に配偶者の税額の軽減を利用した場合によく起きる失敗です。

2次相続で利用できる控除として、10年以内なら『相次相続控除』がありますが、控除額は1次相続で課税された相続額の10%×経過年数と多くありません。

この問題はかなり難解なので、弁護士や税理士に相談されることをオススメします。

【参考】国税庁・No.4168 相次相続控除

ポイント4. 今後も資産価値が維持できるか

あなたの不動産が、相続後も資産価値を維持できるかも判断する基準になります。

日本の不動産は、ごく一部の都心を除き、長期的には値下がりします。

なぜなら次の2つの原因があるため。

  1. 人口の急減と高齢化
  2. 増え続ける住宅

それぞれ解説します。

原因1.人口の急減と高齢化

日本の人口は、2004年12月の12,784万人をピークに急速に減少しています。

日本の長期人口変化

日本の長期人口変化

2050年には総人口がピーク時より約3,300万人減の9,515万人に。

また家を購入する年代にあたる生産年齢人口(15〜64才)も、2005年の8,442万人から、2050年には42%減の4,930万人まで減少すると予想されているのです。

一方の高齢化率は人口ピーク時の2004年には19.6%でしたが、2050年には39.6%と約2倍に。

日本の年齢別人口推移

日本の人口比率推移

地域別の人口分布で見ても、2050年には現在の居住地域の6割以上で人口が半分以下になり、2割の地域では無居住化(無人化)すると予想されています。

エリア別日本の人口増減
日本の人口増減1

こうした急激な人口減少によって住宅需要が減り、家の価値も下がってしまうのです。

ハウスくんハウスくん

外国人の受け入れで、これから移民が増えるのじゃないの?

家博士家博士

確かに海外からの移民は増えるかもしれないけど、増えたとしてもせいぜい100万人規模。
3,000万人以上減少することに比べると圧倒的に数が少ないんだ。

原因2.増え続ける住宅

原因の2つ目は、人口減少や高齢化にもかかわらず住宅が増えているということ。

実は日本は先進国で唯一、住宅総量規制がない国なのです。

住宅総量規制のある国では、住宅数がコントロールされているため、住宅数が増えすぎることがありません。

しかし、住宅総量規制のない日本では、新築住宅が建て放題。

「経済波及効果が高い」という理由で、人口減少・高齢化が進んでいるのに、新築住宅がどんどん建てられています。

日本人の人口・世帯数と住宅戸数

住宅戸数と世帯数の変化

家博士家博士

2008年から2013年の5年間で、住宅戸数は305万戸も増えたんだ

ハウスくんハウスくん

ということは、それだけの新築住宅が増えたってことなんだね

その一方で、2013年時点の空き家率は13.5%、空き家戸数は820万戸にも上っています。

新しい家を建てた分、既存住宅を解体するなどコントロールされていれば良いのですが、そうではないために住宅戸数の増加と共に空き家も増加しているのです。

ちなみに、ドイツやイギリスなどの空き家率は3〜4%程度。

日本と同じように2003年をピークに人口減少が続くドイツでも、住宅総量規制などによって空き家が増加しないような対策が取られています。

都市部は生産緑地放出でさらに住宅が急増

家博士家博士

今でも新築住宅が多すぎるんだけど、3大都市圏ではさらに新築住宅が増える恐れがあるんだ

ハウスくんハウスくん

もっと増えるの?

都市部における新築住宅増加の要因となるのが、2022年の生産緑地放出

これまでは生産緑地としてあえて残されていた土地が、宅地として順次開放できるようになっているのです。

その広さは日本全国で東京ドーム2865個分。

そのうちの半分以上(1625個分)が首都圏に集中しています。

これらすべてが宅地として開放されるとは限りませんが、このタイミングで新築住宅がさらに増える可能性は非常に高いと言えます。

生産緑地については、こちらで解説しています。

マンションも大部分は解体して更地売却かスラム化

都市部のマンションなら大丈夫というわけでもありません。

マンションも築年数が古くなると、建て替えが必要になります。

多くのマンションがこれから建替えの時期を迎えます。

築30年以上のマンションの数

築年数30年以上のマンションの数

しかし、多くのマンションは建て替えできません。

なぜならマンションを建て替えるためには、建て替え後の戸数を大幅に増やし、増えた住戸の売却益で建替え費用を補う必要があるため。

同じ敷地でマンションの総戸数を増やすためには、容積率の緩和が必須になります。

容積率が大幅に緩和されるエリアでしか、建て替えはできないのです。

容積率に余裕がないマンションでは、建て替えに1戸あたり数千万円という多額の費用負担が必要なため、現実的ではありません。

容積率とは
土地の面積に対して、建築できる建物の床面積の制限
例えば土地500m2で容積率150%であれば、500m2×150%=750m2のマンションが建てられます。
ハウスくんハウスくん

マンションの建て替えができそうなエリアって、どんなところ?

家博士家博士

都市部の駅500m圏内(徒歩7分圏内)であれば建て替えの可能性がある。
それ以外は難しいんだ

建て替えの時期が来る前にも問題は発生します。

それが、大規模修繕費用が徐々に高額になるということ。

実は既に多くのマンションでこの修繕費用が不足しています。

修繕積立金については、こちらで解説しています。

修繕費用がまかなえないと、残された道はマンションを解体して更地売却すること。

しかし更地売却するにも住民の80%以上の賛成が必要なので、賛成決議ができなければそのまま放置され、スラム化する恐れもあります。

マンションの建替えについては、こちらで詳しく解説しています。

すでに売れない不動産も多いという現実

「不動産が売れなくなると言っても、まだしばらくは大丈夫なのでは?」

そう思うかもしれませんが、実はすでに売れない不動産もたくさんあります。

例えば、バブル期に建てられた数千万円のリゾートマンション。

今となっては10万円でも売れないのが現実です。
苗場のマンション事例

また埼玉県深谷市では、廃校になった中学校体育館と土地(1,500m2)が入札により、マイナス795万円で落札。

深谷市中学体育館

深谷市が落札者に795万円を支払って、不動産を引き取ってもらっています。

すでに地方では、お金を支払って不動産を引き取ってもらう時代になっているのです。

【参考】埼玉県深谷市 新たな入札方法による旧中瀬小学校体育館の売却について

さらに各自治体では、人口が減少する中で公共サービスを維持するために、撤退戦が始まっています。

「コンパクトなまちづくり」と「市街地の空洞化防止」を目的とした、立地適正化計画です。

コンパクトシティ構想説明図

立地適正化計画では居住区域と非居住区域を線引きすることで、インフラ整備にかかる費用などを抑制。

非居住区域に指定されてしまえば、売ることはもちろん、貸すことも難しくなり「負動産」に。

計画策定の進捗状況は自治体によっても違いますが、過疎地など人口減少が著しい地域にある不動産は一刻も早く売るなどした方が良いと言えるでしょう。

立地適正化計画については、こちらで詳しく解説しています。

空き家急増により不動産の価値は3種類に分かれる

空き家が急激に増えています。

空き家が増えるということは、需要に対して供給が多くなっているということ。

家が欲しい人に対して、家の戸数が多い状態になるため、価値が下がっていくことは明らかです。

しかし、全ての家の価値が同じように下がっていくわけではありません。

家博士家博士

ポイントになるのは立地。
立地によって、不動産の価値は3種類に分かれるんだ

ハウスくんハウスくん

3種類?

家博士家博士

1.しばらく価値が維持される不動産、
2.価値が下がり続ける不動産、
3.無価値になる不動産
の3種類だよ

全体的に見ると供給過多の状態であっても、都市部の駅500m圏内(徒歩7分圏内)なら需要もそれなりに多く、価値はしばらく維持されるでしょう。

一部は上昇を続ける可能性もあります。

一方で、郊外や地方都市については、緩やかにしかし長期的に価値がズルズルと下がり続けます。

さらに過疎地になると人口減少が著しいこともあり、誰も買わない・売れない不動産になり無価値に。

活用も難しくなってしまい、どうしようもない「負動産」となってしまう可能性が非常に高いのです。

駅からの距離で価格が全く逆の動きになっている状態は、公示地価をみるとよく分かります。

最寄り駅距離別の公示地価変動率
(3大都市圏・2018年)

最寄り駅距離別の公示地価変動率(3大都市圏・2018年)


最寄り駅距離別の公示地価変動率
(地方圏・2018年)

最寄り駅距離別の公示地価変動率(地方圏・2018年)

都市部でも地方でも、駅から距離が遠いエリアでは、公示地価が下がり続けています。

公示地価とは
公示地価は、国土交通省が毎年全国に定めた標準地約3万地点を対象に、1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を3月頃に発表するもの。
都道府県の発表する基準地価と合わせて、土地取引の指標になります。
公示地価は、国土交通省の土地総合情報システム 地価公示・都道府県地価調査にアクセスすると調べられます。
国土交通省地価公示・都道府県地価調査
土地の価格の調べ方について詳しくはこちら
土地の価格の調べ方と、価格を比較する場合の修正点とは

空き家はどれくらい増える?

普段の生活の中でも空き家を見かけることがありますが、そもそも空き家はどれほど増えると予想されているのでしょうか。

シンガポール国立大学不動産研究センターによると、2030年における日本の空き家率は30%、戸数にすると2,000万戸を超えると予想されています。

これは全体の1/3が空き家になるという計算。

3軒に1軒は空き家になる可能性があるのです。

さらに、日本の住宅価格は2040年には2010年と比べて46%下がるという試算も。

つまり、住宅価格は約半分にまで下がってしまうのです。

ハウスくんハウスくん

家は『憧れ』だったのに、まさかこんな深刻な状態になるなんて・・・

ポイント5. あなたの認知症リスクは大丈夫か

最後に知っておきたいのは、あなたの認知症リスクがどの程度あるか。

不動産の所有者が認知症になってしまうと、不動産を売却することがかなり難しくなります。

なぜなら、認知症の人は判断能力が無いとされるため、所有する不動産の売却には成年後見人制度を利用するため。

成年後見人制度では、裁判所が本人のために必要だと認める場合に限って、不動産を売却できます。

相続対策は本人のためではないため、多くの場合は認められません。

認知症について、詳しくはこちらで解説しています。

賃貸経営の不動産で相続する場合、認知症対策として家族信託という方法もあります。

まとめ

あなたの不動産の相続を考えた場合に、不動産で相続するか、売却して現金で相続するか、判断するポイントは次の5つ。

  • ポイント1. そもそも相続税の課税対象か
  • ポイント2. 不動産のままで全員に公平に配分できるか
  • ポイント3. 配偶者の相続で2次相続問題にならないか
  • ポイント4. 今後も資産価値が維持できるか
  • ポイント5. あなたの認知症リスクは大丈夫か

今後の方針を考えるために、まずは今いくらで売れるか、価格を確認してみてはいかがでしょうか。

今の価格を調べる方法は、エリアで売却実績が豊富な不動産会社を複数(3〜6社)選び、無料査定を依頼します。

不動産会社の心当たりがない場合は、一括査定サイトを利用すると便利です。

一括査定サイトの定番3社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。

一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。

この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue

    すまいvalue
    実績5.0
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    18万件(開始後2年合計)
    不動産会社数:
    大手6社・全国870店舗
    運営会社:
    大手6社共同運営

    大手6社(三井不動産リアルティ・住友不動産販売・東急リバブル・野村不動産アーバンネット・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年10月に立ち上げた一括査定サイト。
    6社といっても全国870店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
    売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
    首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
    2020年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして、「すまいValue」が新定番となっています。

    管理人のコメント

    地方では大手より地域密着の中小不動産会社の方が強い場合もあるため、地方の郊外から外れたエリアではHOME4U又はHOME'Sも確認してみたほうが良いでしょう。
    しかし都市部の方は「すまいバリュー」が現状では最強の一括査定サイトです。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。
    机上査定と訪問査定が選べる点もおすすめ。

  2. 【公式サイト】すまいValue

  3. HOME4U

    HOME4Uイメージw330
    実績5.0
    不動産会社4.0
    運営会社5.0
    査定実績:
    累計35万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    1,300社
    運営会社:
    株式会社NTTデータ・スマートソーシング

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数35万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
    不動産会社は大小バランスよく登録されているため幅広く依頼ができます。

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
    ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
    あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておく程度で大丈夫。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。

  4. 【公式サイト】HOME4U

  5. LIFULL HOME'S

    LIFULL HOMESイメージ
    実績4.5
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    非公開(サイト利用者476万人)
    不動産会社数:
    1,777社
    運営会社:
    株式会社LIFULL

    運営は、HOME'SのテレビCMでおなじみの東証1部上場 株式会社LIFULL。2008年にマンション専用でサービスを開始。2011年から戸建ても含めて売却査定ができる仕様に。参加会社数が多く、特に地元密着系の中小不動産会社が多数登録しています。

    管理人のコメント

    不動産会社を選ぶ際に、各社の特徴(買取保障、瑕疵保証制度あり、半数以上がベテランなど)がアイコンで表示されるので、選びやすいシステムです。
    訪問査定ではなく机上査定を希望する場合は、不動産会社へのメッセージ欄で伝えると良いでしょう。
    選ぶ会社の数は3社〜6社がオススメです。

  6. 【公式サイト】LIFULL HOME'S


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あなたの不動産の相続に最適な方法が見つかり、相続の悩みから開放され安心して日々くらせることを、心よりお祈りしております。