「相続した土地を売却したいけど、手取り額を増やす方法は?」
相続した土地の売却で、手取りを増やす方法をお探しでしょうか?
たしかに相続した土地を売却して利益が出れば、相続税とは別に所得税・住民税が課税されます。
もし税金が節税できて、手取り額が増えれば理想的ですね。
そんなあなたのために、相続した土地の売却で節税する方法、手取り額を増やす方法をまとめました。
この記事を読めば、あなたが相続した土地の売却で、最大限節税する方法、少しの工夫で手取りを増やす方法が分かります。
せっかく親御さんから相続した土地ですから、売るならなるべく多くを手元に残して、将来への備えにしたいですね。
相続した土地の売却に関する疑問が解決し、あなたの手元に多くの資産を残すために、この記事がお役に立てれば幸いです。
※もし田舎で売却が難しいと不動産会社に断られた場合は、こちらの記事をお読みください。
田舎で「売れない」と不動産会社に断られた土地でもあきらめないで下さい! 工夫すれば売却できる可能性もまだありますし、他にも方法はあります。売れない土地を手放す3つの方法について解説します。
この記事のもくじ
相続した土地を売却するときの税金
相続した土地を売却し利益が出た場合には、所得税と住民税が課税されます。
「利益が出た」というのは、譲渡所得がプラスになったということ。
具体的な計算方法について解説していきます。
譲渡所得の計算
譲渡所得は、土地や建物の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
この計算式で譲渡所得を計算し、譲渡所得がプラスになれば所得税と住民税が課税されることに。
逆にマイナスになれば税金は発生しません。
取得費とは
相続した土地の取得費には次のようなものが含まれます。
取得費に含まれるもの
- 売却する土地の購入代金や購入手数料
- 土地の改良費
- 土地の購入時や相続によって取得した時に収めた登録免許税(登記費用含む)、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
- 借主がいる土地を購入する場合に、借主を立ち退かせるための立退料
- 土地の造成費用
- 取得時に支払った測量費
- 所有権などを確保するために要した訴訟費用
- 建物付き土地を購入し概ね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地利用が目的と認められる場合の建物購入代金や解体費用
- 土地を購入するための借入資金のうち、実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
- すでに締結されている土地等の購入契約を解除し、他の物件を取得することとした場合に支払う違約金
このように、土地を取得した際にかかった様々な費用が「取得費」となります。

相続だと、取得費はどうなるの?

取得費は被相続人(亡くなった人)の取得費が引き継がれるんだ
被相続人(亡くなった人)の取得費があなたに引き継がれる
相続した土地の場合、取得費はそのまま引き継がれます。
例えば親が購入した土地を相続した場合、親が支払った購入代金や手数料、立退料、造成費用、測量費などを、そのまま取得費として使うことができます。
【参考】国税庁・No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期

取得費が分からなかったらどうなるの?
先祖代々受け継がれた土地とか、購入時期が古かったりするよね。

取得費が分からない場合は、概算取得費という計算方法があるんだ。
取得費が不明な場合は概算取得費
相続した土地の取得費が不明の場合は、「概算取得費」を利用できます。
概算取得費は2,000万円×5%=100万円となる。

ただし昭和40年代以降に購入した土地だと、概算取得費を使わない方が、取得費を高くできる事が多いんだ。
詳しくは後で解説するよ。
また実際の取得費が概算取得費より安い場合も、概算取得費を利用できます。
実際の購入価格は20万円だが、取得費は概算取得費3,000万円×5%=150万円で計算できる。
譲渡費用とは
譲渡費用は土地を売るために直接かかった費用のことで、次のようなものが含まれます。
譲渡費用に含まれるもの
- 土地を売るために支払った仲介手数料
- 印紙税のうち売主が負担したもの
- 更地にして土地を売る場合の、建物の取壊し費用
- すでに売買契約を締結している資産を、更に有利な条件で売却するために支払った違約金
「売るためにかかった費用」なので、維持している間の固定資産税などは対象外です。
税率
土地を売却した時にかかる税金は、給与など他の所得とは分ける「分離課税」です。
税率はその土地を所有していた期間の長さによって変わります。
基準となるのは、譲渡した年の1月1日における所有期間。
所有期間が5年を超えるなら「長期譲渡所得」に、5年以下なら「短期譲渡所得」になります。
短期譲渡所得の税率・・・所得税30%、住民税9%
※いずれの場合も、2037年までは復興所得税として2.1%分を追加で納付することになります。

所有期間は、相続してからの所有期間?

所有期間も被相続人(亡くなった人)から引き継げるんだ
所有期間も被相続人(亡くなった人)から引き継げる
所有期間も、被相続人(亡くなった人)から引き継げます。
最初に親が購入してから40年以上経過しているので、所有期間は「5年超」になり長期譲渡所得になる。
【参考】国税庁・No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
以上が相続した土地を売却するときの、税金の基礎知識となります。
次に、相続した土地の売却で節税する3つの方法について解説します。
相続した土地の売却で節税する3つの方法
相続した土地の売却で節税する方法として、次の3つがあります。
- 税金の特例を使う
- 取得費を高くする
- ふるさと納税
※ふるさと納税は厳密には寄付で、節税ではありません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
方法1. 税金の特例を使う
節税策として最初に考えたいのが、税金の特例です。
条件に合えば特例が適用でき、所得税や住民税を節税できます。
特例1. 空き家を相続し更地にしたら3,000万円控除
両親が亡くなって実家を相続したものの、現在は誰も住んでおらず空き家になっているケースは多いと思います。
こうした実家を解体・更地にして売却すると、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。
この特別控除が利用できるのは、令和5年(2023年)12月31日まで。
その他の適用条件は次の通りです。
- 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
- 売却代金が1億円以下
- 相続から解体までの間に、事業用地や貸付用地として使われていない
- 解体後から譲渡までの間に、建物などの敷地として使われていない
- 相続税の取得費加算の特例を受けていない(相続税の取得費加算については後ほど解説)
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対する売却ではない
以上のような条件に合えば3,000万円まで控除できるので、ほとんどの場合は税金も0円に。
必要書類を揃えて確定申告することで、特別控除が受けられます。
【参考】国税庁・No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
特例2. 相続税を支払ったら取得費に加算
相続によって土地を取得し、すでに相続税を支払っているケースも多いかもしれません。
このとき、相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、相続税を取得費に加算できる特例が使えます。
特例を使うための要件としては、次の3点があります。
- 相続や遺贈によって財産を取得した者である
- その財産を取得した人に相続税が課税されている
- その財産を相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡している
なお、この特例と3,000万円の特別控除は同時に使うことができません。
【参考】国税庁・No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
その他の特例
上記2つの特例以外にも、譲渡所得に関する特別控除がいくつかあります。
以下は土地に関するものをピックアップしています。
その他の特例
- 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
- 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
- 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
- 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
- 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
なお、特別控除額はその年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度です。
5,000万円に達するまでの特別控除額の控除は、上記の1から5の順に行うこととされています。
方法2. 取得費を高くする
次に考えたいのが、取得費を高くして売却価格から差し引く金額を多くすること。
取得費が不明の場合は「売却価格×5%」の概算取得費が使えますが、昭和40年代以降に取得した土地なら概算取得費より実際の取得費の方が高くなる可能性が高いでしょう。
取得費を高くすると譲渡所得が減り、税金を減らすことができます。
証拠を探して、取得費を明確にしておきましょう。
次のようなものが証拠として利用できる可能性が高くなります。
(※グレーな判断になるため、あくまで自己責任になります。税理士や税務署とよく相談することをおすすめします。)
- 売買契約書
- 売買代金の領収書
- 売買当時の相手とのやり取りに関するメモ
- 当時の不動産のチラシ

やり取りのメモやチラシでも証拠になるかもしれないんだね

そう。とにかく金額が分かるような資料があるか、諦めずに探してみよう
どうしても証拠がない場合
昭和28年1月1日以降に取得した土地・建物で取得費が不明の場合は、必ず概算取得費を使わなければならないわけではありません。
実は概算取得費は「昭和27年12月31日以前から所有していた土地」で使うとされているもの。
個人が昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等又は建物等を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第38条及び第61条の規定にかかわらず、当該収入金額の百分の五に相当する金額とする。
昭和28年1月1日以降に取得した土地や建物についても、概算取得費を使えますが、他にも方法はあります。
「市街地価格指数」を用いて取得費を算出する方法
例えば、土地に関しては、一般財団法人日本不動産研究所が出している「市街地価格指数」を用いて取得費を算出することもできます。
概算取得費よりも能率的な算出方法があれば、そちらが適用されるのです。
とはいえ、この辺りの判断は私たち一般の人には難しいもの。
専門家である税理士に相談する方が良いでしょう。
方法3. ふるさと納税
ふるさと納税は寄付なので厳密には節税ではありませんが、返礼品をもらえるメリットがあります。
不動産売却の譲渡所得について、ふるさと納税を計算する方法はかなり難解。
基本的には税理士に依頼することをオススメします。
ふるさと納税の計算については、次の記事で詳しく解説しています。
不動産を売却して利益があると、ふるさと納税の上限額が上がります。不動産売却とふるさと納税の上限額について、考え方や計算方法、不明点がある場合の問合せ先についてまとめました。
節税の他に手取りを増やす2つの方法
方法1. 譲渡費用を減らす
まず譲渡費用を減らすことを考えましょう。
仲介手数料を安く抑える
土地の売却時にかかる費用として、最も大きいのが仲介手数料。
できれば仲介手数料を安く抑えたいところです。
個人間売買はリスクが高い
譲渡費用を減らす方法としてまず考えられるのが、不動産会社を挟まない個人間売買。
しかし規制や瑕疵といったトラブルを避けるためにも、不動産会社を入れた方が安心です。
個人間売買については、こちらで詳しく解説しています。
直接個人間で家を売買することは可能ですが、意外と手間がかかり、運が悪ければトラブルになる恐れもあります。ここでは個人で家を売買するメリットとデメリット、失敗しないための個人間売買の流れをまとめました。

不動産会社を間に入れるということは、仲介手数料はしっかり払わないといけないってこと?

いや、すでに売主と買主が決まった状態での売買仲介では、仲介手数料を交渉できることが多いんだ
買主を見つけてから不動産会社を入れると安くできる
売主と買主が決まった状態であれば、不動産会社は売却活動をする必要がありません。
不動産会社がやることといえば、契約書の作成や調査など。
費用もそこまでかからないので、仲介手数料の交渉にも応じやすいのです。
買主は自分で探し、売買契約の部分だけを不動産会社にお願いすることで、譲渡費用を減らすことができます。
解体費用を安くするためには相見積もり
また、売却したい土地に建物が残っている場合は、解体し更地にして売却することもあるでしょう。
解体費用は譲渡費用に含まれますが、この費用を安くするのも方法の一つ。
家の解体は、工法やどこまで作業するか、解体によって出たがれきやゴミをどこで処分するのか等、業者によっても大きく異なります。
そのため、見積額も会社によって変わるもの。
見積もりを取る際は、必ず、複数の業者に依頼しましょう。
解体業者の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
解体業者の一括査定
解体業者の一括査定サービスなら「解体の窓口」が良いでしょう。
解体の窓口は、従来の一括査定サイトの問題を見事に解決した新しいサービス。
なぜなら解体の窓口では、
- 依頼者が写真を撮影し、解体の窓口が各業者に対して匿名で見積りを依頼するから、個別の営業電話がない。
- さらに業者同士がお互いの査定価格を見ながら安値を入札する逆オークションなので、競争で工事価格が安くなる。
サービス開始は2020年7月ですが、すでに登録業者数1,300社、マッチング希望者1万人突破(2022年7月)と急伸。
解体の窓口は、今までにない画期的なサービスで、解体工事査定の新たな定番になっています。
その他の一括査定サイトは、こちらでまとめています。
解体工事の一括見積もりを比較して、おすすめをランキングしました。また見積もりの比較で知っておきたい注意点も解説。これを読めば解体業者がサクッと簡単に選べます。
方法2. 高く売ること
売却後の手取り額を増やすためには、『高く売る』ことを最優先しましょう。
高く売るための方法は具体的にはこちら。
- 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する
- (境界が未確定なら)境界を確定する
- 大きな土地は分筆する
- 田畑なら宅地化する
- 市街化調整区域なら特約付きで売る
- 駐車場は解約してから売る
- 築古なら解体して更地で売る
それぞれ解説します。
1. 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する
不動産の売却価格は、不動産会社の腕次第で大きく変わります。
高く売るには実績が豊富で優秀、そして信頼できる不動産会社を見つけることが大事。
優秀で信頼できる不動産会社を探す方法は、具体的にはこちら。
- エリアで売却実績が豊富な不動産会社に絞る
- その中から3〜6社に無料査定を依頼して話を聴き比べ、信頼できそうな不動産会社を選ぶ
不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを使うと手間がかからず便利です。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
-
おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 77万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国875店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
-
おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)
- その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)
- 地方(人口密度が少ない地域)
2. (境界が未確定なら)境界を確定する
隣地との境界が確定されていない場合は、境界を確定した方が高く売ることができます。
実はトラブルにも発展しやすい敷地境界。
買主から要求されて行うケースもありますが、先に確定させておくと買主も安心です。
境界確定については次の記事を参考にしてください。
土地や戸建住宅の売買に必要になる測量。初心者でも分かりやすく、具体的な内容と費用、実際はどこまでするのかをまとめました。
3. 大きな土地は分筆する
先祖代々受け継いでいる土地などは、敷地面積が広いこともあります。
大きな土地をそのまま売っても、買い手はなかなか見つかりません。
一つの土地をいくつかに分ける「分筆」をし、手頃な広さにして売ると良いでしょう。
なお分筆の際には注意点などもあります。
こうした注意点を含め、詳細は次の記事にまとめています。
分筆によって100平方メートル未満となる土地は、地域によっては売れなくなる可能性があります。不動産会社ですら間違う最低限度について解説します。
4. 田畑なら宅地化
田畑(農地)を売る際には、宅地化して売る方が高く売れます。
なぜなら、田畑として売った場合は、田畑としてしか使えないため。
農業をやる人であれば喜んで購入するかもしれませんが、それ以外の人には売れません。
しかし宅地として売れば、マイホーム用の土地を探している人も購入対象になります。
なお田畑を宅地として売るには、原則として各自治体の農業委員会に届け出て、許可を得る必要があります。
詳細については次の記事にまとめています。
農地は売却できますが、宅地と比べると厳しい制限もあります。農地を売るときに知っておきたい注意点、高く売る方法をまとめました。
5. 市街化調整区域なら特約付きで
市街化調整区域内の土地は、建物の建築が制限されています。
建物を建てる場合や建て替えの際には、あらかじめ自治体からの開発許可が必要なのです。
開発許可を取るのは土地を購入し建物を建てる買主ですが、売主も売却前に「開発許可が得られそうかどうか」を確認しておきましょう。
仮にここで許可が得られそうなことが分かっても、確実ではありません。
そのため「開発許可が下りなければ契約解除とする」という特約を付けるようにします。
市街化調整区域の土地は売れます。ただし制限があるために売りにくいのも確か。市街化調整区域の土地が売りにくい3つの理由、売却する2つの方法について解説します。
6. 駐車場は解約してから
相続した土地を駐車場として活用している場合は、先に駐車場利用者との契約を解除しておきましょう。
解約せずに駐車場用地としてそのまま売却も可能ですが、この場合は駐車場用地を探している人しか購入してくれません。
それよりも使い道は購入者に任せた方が高く売れるのです。
駐車場は借地借家法の対象外なので、貸主から一方的に契約を解除することができます。
立退料も不要。
ただ、借主は新しい駐車場を探す必要があるため、契約解除の通知を出す際には1〜2ヶ月程度の余裕は必要です。
駐車場の売却については、次の記事にもまとめています。
駐車場を売却するなら宅地化して一般の人に売ると高く売れます。売却時の注意点、売却後にかかる税金についてまとめました。
7. 築古なら更地で
古くなった実家などを解体せず「古家つき」として売ることもできますが、それよりも更地で売る方が高く売れます。
ただしこの場合は、再建築不可や古い擁壁に注意が必要。
再建築不可だと新たに建物を建てることができません。
古い擁壁がある場合、擁壁の状態次第では造り直しを求められる可能性もあります。
擁壁の改修・造り直しには1,000万円以上かかることも。
解体する前に複数の不動産会社の意見を聞き、そのうえで判断するのが安心です。
家の解体費用の相場、解体費用を安くする4つのコツを解説。また解体前に知っておきたい5つの注意点をまとめました。
まとめ
相続した土地を売却するときの税金は、譲渡所得がプラスになった場合に課税(分離課税)されます。
譲渡所得の算出方法は次の通り。
譲渡所得=売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
取得費が不明の場合は「売却価格×5%」の概算取得費が使えますが、出来るだけ証拠となる書類を集め、取得費を明確にさせましょう。
取得費を高くするのは、節税方法の一つです。
「3,000万円の特例」や「相続税の取得費加算の特例」もあるので、こうした特例をうまく使うのもポイント。
ふるさと納税も有効です。
手取り額を増やすために最も効果的なのは、高く売ること。
- 境界は確定しておく
- 大きな土地は分筆する
- 田畑(農地)は宅地化する
- 市街化調整区域は特約をつける
- 駐車場は解約してから売却
- 築古の建物は解体して更地で売る
こうした工夫によって高く売ることができます。
そして何より大切なのが、優秀で信頼できる不動産会社に売却を依頼すること。
優秀な不動産会社が見つかれば、ここに挙げた内容についても相談しながら売却を進められます。
とにかく最初は、良い不動産会社を見つけることだけに集中してみてください。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを試してみて下さい。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
-
おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 77万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国875店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国875店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
-
おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)
- その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)
- 地方(人口密度が少ない地域)
あなたの土地売却が成功することを、心よりお祈りしております!