この記事の要約
築30年のマンションは売却可能で、3戸に1戸は築30年以上の物件が売買されています。高く売るためには、買取より仲介で売る、リフォームは最小限に、専任媒介で1社に依頼し、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。また、賃貸に出す場合でも特定の条件を満たす必要があります。この記事では、築30年マンションの売却と賃貸に関するアドバイスを提供しています。

築30年のマンションは売れる

売買されるマンションの3戸に1戸は築30年以上

築30年のマンションだと敬遠されがちでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

中古マンションの売買件数を築年数別に分けたものがこちら。

中古マンション売買件数の築年比率
(首都圏)

首都圏成約中古マンションのうち築30年以上のマンションの割合2023

売買される中古マンションのうち築30年以上のマンションの割合は、

  • 2000年: 3.2%(約31戸に1戸)
  • 2010年: 16.0%(約6戸に1戸)
  • 2023年: 31.9%(約3戸に1戸)

と驚異的に増えています。

2023年には売買される約3戸に1戸は築30年以上のマンション。

昔に比べると築30年以上のマンションが売れていることが分かります。

ハウスハウス

3件に1件は築30年のマンションなんだね!
もっと少ないと思っていたよ


家博士家博士

築30年のマンションをあえて選ぶ人も多いんだ。
実は築30年マンションが売れる理由があるんだよ。

築30年のマンションが売れる5つの理由

それぞれ解説します。

理由1. 購入後に価格が下がりにくい『底値』

築30年のマンションのメリットとして、購入後に価格が下がりにくい『底値』ということがあります。

こちらは首都圏と近畿圏の中古マンション平均成約m2単価を築年数別にまとめたものです。

マンションの築年数と価格
(首都圏2023年・近畿圏2022年)

マンションの築年数と価格(2023年)

基本的に、マンションの価格は新築購入時が最も高く、その後は下落する一方。

しかし価格下落率は、築30年を過ぎると大きく変わらないことが分かります。

理由2. 不動産取得税や固定資産税も安い

築30年のマンションでは、不動産取得税や固定資産税・都市計画税といった税金も安くなり、新築時のおよそ30%になります。

具体的には築年数によって決められた「経年減価補正率」によって税額が変わり、築30年で補正率は0.3059になります。(東京都の場合

不動産取得税
マンションを購入したときに都道府県から課税されるもの
【参考】東京都主税局・不動産取得税
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で、土地や家屋などの固定資産を持っている人に対して都道府県から課税されるもの
【参考】東京都主税局・固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

理由3. 新築マンション高騰で中古マンションが人気に

新築マンションの価格は、特に都心部を中心に高騰しています。

新築マンションの平均価格

新築マンション単価の推移(首都圏・近畿圏)2024

こうした状況なので、新築マンションには手が出ないという人も多いのが実情。

結果的に、割安な中古マンションを検討する人の増加につながっているのです。

理由4. リノベーションの流行で築古が注目

さらに築30年マンションに追い風なのが、リノベーションの流行。

リノベーション前提で中古マンションを購入する人が増えているのです。

個人で中古マンションを購入してリノベーションする人もいれば、買取った中古マンションをリノベーション後に転売する専門業者も急増。

特に立地が良い中古マンションでは、売り出される前に安い価格で買い取る『物上げ』を狙って、専門業者が買取りのビラを盛んに配っています。

ハウスハウス

築30年の中古マンションなら、安く買えるからリノベーション向きなんだね


家博士家博士

リノベーションすれば、内装は新築同様にできるからね。
古くても築30年くらいだと新耐震設計だし

理由5. 新耐震設計という安心感

築30年のマンションが買われる理由として、古くても新耐震基準を満たしている点も大きいでしょう。

築30年のマンションが建てられたのは1980年代後半。

1981年6月以降に建築確認を取得した建物であれば新耐震基準に基づいて設計・建築されているため、安心感もあります。

旧耐震基準のマンションについては、こちらで詳しく解説しています。

2022年から住宅ローン控除可になった

2022年の税制改正で、新耐震であれば買主が住宅ローン控除を使えるようになりました。

中古マンションでは、最大140万円の節税効果。
(築30年マンションではほぼありませんが、長期優良住宅などは最大210万円)

住宅ローン限度額2,000万円の0.7%(14万円)が最大10年間、所得税などから控除されます。

また住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置も緩和されています。

ちなみに2021年まではマンションで築25年以内が条件で、25年超は既存住宅売買瑕疵保険などへ加入が必要でした。
【参考】国土交通省・住宅ローン減税等が延長されます!

ハウスハウス

築30年だと価格が手頃で耐震も安心。住宅ローン控除も使えるようになったんだ。
じゃあ、なるべく高く売るためにはどうすれば良いの?


家博士家博士

高く売るためには4つのポイントがある。

築30年のマンションを高く売る4つのポイント

築30年のマンションを高く売るためには、次の4つのポイントがあります。

それぞれ解説します。

ポイント1. 買取より仲介(普通の売買)で売る

築30年のマンションを高く売るなら、買取より仲介(普通の売買)で売りましょう。

買取と仲介の違いはこちら。

仲介と買取のイメージ
買取では手間がかからず、すぐに売れますが、価格は相場より2割以上安くなってしまいます。

なぜなら不動産会社は買い取った一戸建てを、転売して差額を利益とするため。

高く売るなら、仲介(普通の売買)で売ることを考えましょう。

ポイント2. リフォームは最小限に抑える

築30年のマンションを高く売却するためには、売却前のリフォームは最小限に抑えましょう。

リフォーム費用は全額上乗せできない

築30年マンションの多くは、大規模にリフォームしてもリフォーム費用を売却価格に全額上乗せできません。

そのためトータルでは売主が損することになります。
リフォームで家の売却に失敗するイメージ

国土交通省の調査でも、個人が売り主でリフォームしても、トータルで損することが分かっています。

また買い主の中には、購入後に予算に合わせて自分好みにリノベーションする人も多いこともあります。

家博士家博士

例えば500万円かけてリフォームしたとしても、価格を500万円上げられるとは限らないんだ。
仮に500万円上げたとしても、買い手がその価格で買いたいと思うかも微妙だしね


ハウスハウス

自分でリフォームやリノベーションをしたい人なら、なるべく安く手に入れて自分で好きなように変えたいと思うだろうし…


家博士家博士

自分でリフォームする前提の人は、リフォーム済みの物件は買わないからね。
リフォームするかどうかは売り手が決めるのではなく、買い手が決める話なんだ

リフォーム前に複数の不動産会社に意見を聞く

リフォームをするなら、まず複数の不動産会社に意見を聞いてみましょう。

売買実績の豊富な不動産会社なら、顧客(買い手)のニーズもしっかり把握しています。

ポイント3. 専任媒介で1社に売却を依頼する

築30年のマンションを高く売るためには、専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)で1社だけに売却を依頼しましょう。

ハウスハウス

せんにんばいかい? なにそれ?


家博士家博士

不動産会社に売却を依頼するときの契約の種類だよ。

媒介契約は3種類ある

不動産会社に売却を依頼する契約(媒介契約)には次の3種類があります。

【媒介契約の比較】

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
特徴 自由な契約 一般的な契約 厳しい契約
こんなタイプの人向き 不動産の売却経験がある人 普通の人 多少損でもお任せしたい人
実際の契約の多さ
(2019年実績)
16% 44%
一番多い
40%
他社との媒介契約 × ×
自分で見つけた相手との直接契約 ×
契約の有効期間 制限なし
(行政指導により3ヶ月が一般的)
最長3ヶ月 最長3ヶ月
指定流通機構(レインズ)への登録 ×
登録義務なし

契約から7日以内

契約から5日以内
業務処理状況の報告義務 規定なし 14日に1回以上 7日に1回以上

ポイントは1社に任せること

築30年のマンションを売るときは、1社と専任媒介契約を結ぶのが良いでしょう、

なぜなら1社だけに任せることで、いろいろ相談に乗ってもらえるし、積極的に売却活動をしてくれるため。

他の方法として、一般媒介契約で複数の不動産会社に売ってもらう方法もありますが、一般媒介契約では、築30年のマンションの売却を依頼しても、積極的に売却活動をしてもらえません。

不動産売却の経験がある人以外は避けた方が良いでしょう。

ハウスハウス

なんで複数に依頼すると積極的に売却活動してもらえないの?


家博士家博士

築30年のマンションはどうしても売れにくいからだよ。
複数に依頼すると、どの会社でも後回しにされてしまうんだ。

築30年のマンション売却は簡単ではない

築30年のマンションの売却は時間もかかり、簡単ではありません。

こちらは売り出したマンションが、実際に成約する(売れる)割合を築年数別に整理したもの。

中古マンションの築年数別成約率
(首都圏・2023年)

首都圏中古マンションの築年数と成約率2023年

残念ながら、築30年マンションになると、11%〜15%(約7戸に1戸以下)しか売れません。
(レインズの登録漏れなどで実際はもう少し高いのですが、せいぜい30%程度(約3戸に1戸)です。)

一般媒介では売りにくい物件が後回しにされる

不動産会社は自社の専任媒介を優先するため、一般媒介契約は後回しにされます。

特に売りにくい築30年マンションでは、時間をかけても無駄になる恐れがあり、営業マンも片手間になりがち。

一般媒介で複数の不動産会社に依頼しても、ポータルサイトとレインズに掲載だけして、あとは何もしてくれない恐れがあります。

不動産会社に質問をしても、相手にしてもらえません。

築30年のマンションでは、不動産会社からのアドバイスなしで売却を進めることは難しいでしょう。

具体的には、売り出し価格の設定、価格調整のタイミング、広告方法の相談、内覧の注意点など。

不動産会社1社に任せて、二人三脚で売る方が成功しやすいのです。

一般媒介契約については、こちらで詳しく解説しています。

ポイント4. 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する

築30年マンションを高く売るために、優秀で信頼できる不動産会社に依頼することが大切。

マンション売却が成功するかどうかは、不動産会社選びで8割が決まります。

優秀な不動産会社は売却実績が豊富

優秀な不動産会社とは、売却実績が豊富な不動産会社。

売却実績が豊富な不動産会社なら、多くの物件を扱っているため問い合わせも多く、短期間で売却できる可能性もあります。

また築30年のマンションの売り方をよく知っているため、安心して売却を任せられます。

不動産会社の話を聴き比べて信頼できるか判断する

信頼できる不動産会社を見つけるためには、実際に話しを聴き比べるしかありません。

残念ながら不動産会社の中には自社の利益を優先して、売り主が損する売り方をする会社もあります。

複数の不動産会社の話を聴き比べることで、そういった悪質な不動産会社を見分けることができます。

具体的には3社以上の話を聞くと良いでしょう。

ハウスハウス

売却実績が豊富な不動産会社はどこなの?


家博士家博士

都市部なら大手3社が強い。
売却の予定があるなら、両手仲介の無いSRE不動産(旧ソニー不動産)など大手以外にも話を聞いた方が良いよ。


実績は大手3社が強い

売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2023年3月

不動産売却の実績は、大手3社に偏っています

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。

都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
37年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 286店舗
    (首都圏182、関西圏46、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
  • 三井のリハウスは、37年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

    独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


    多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。

    また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

    家博士家博士

    業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
    他と比較する基準にもなるからね。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    【大手2】住友不動産販売
    熱心な営業スタイルに定評

    すみふの仲介ステップ

    • 店舗数 234店舗
      (首都圏136、関西圏58、中部東海15、北海道8、東北4、中国7、九州6)

    住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

    現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

    自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

    家博士家博士

    スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


    【大手3】東急リバブル
    東急沿線や大型案件に強み

    東急リバブル

    • 店舗数 216店舗
      (首都圏141、関西圏42、名古屋11、札幌9、仙台6、福岡7)

    東急リバブルは売却に便利なサービスが充実しています。

    例えば予定期間で売れないと査定価格の90%などで買取る「買取保証」は、買い替えで安心。

    またリフォーム込で売り出す「アクティブ売却パッケージ」は、築古マンションを売り出す方法として効果的です。

    家博士家博士

    初めての買い替えや売却で心配なら、話を聞いてみると良いね。

    東急リバブルの無料査定はこちらから
    東急リバブル

    大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」

    大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

    すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。


    すまいValue

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    ハウスハウス

    とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?


    家博士家博士

    売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
    首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    売主だけを担当するエージェント制

    SRE不動産
    大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。

    なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
    (※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)

    SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
    買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。

    結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。

    ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

    家博士家博士

    SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
    大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の公式サイトはこちら
    SRE不動産

    その他エリアは地域No.1を探す

    大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。

    実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

    不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。

    全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    ハウスハウス

    でもマンションを売るより、賃貸の方が安定して収入があるから良いんじゃないの?


    家博士家博士

    築30年のマンションは賃貸に出すより売ったほうが得なケースが多いね。
    賃貸に出すなら最低でも3つの条件をクリアしておく必要があるよ。

    賃貸に出せる築30年マンションの3つの条件

    ほとんどの築30年マンションは売却した方がトータルの利益は大きくなります。

    築30年マンションで賃貸に出して最終的に利益が残るためには、次の条件を全てクリアする必要があるでしょう。

    それぞれ解説します。

    賃貸に出せる条件1. ローンを完済している

    賃貸に出すためには、住宅ローンが完済していることが必要です。

    ローンを完済していないいマンションを賃貸に出すと、次の2つのリスクがあります。

    リスク1. 空室リスク

    賃貸に出しても、すぐに入居者が見つかるわけではありません。

    特に築30年になると、家賃を下げてもエリアによっては入居者がなかなか入らないケースも。

    1、2ヶ月ならまだしも、半年、1年と空室だと、負担は大きくなります。

    マンションを貸すと、様々な費用がかかる一方で、空室期間は収入がゼロ。

    長期的には赤字になるケースが多いのです。

    マンションを貸した場合の費用は、

    • 管理費・修繕積立金
    • 固定資産税・都市計画税

    ここまでは自分が住んでいる場合と同じです。

    さらに

    • 入居者が入れ替わる度に、内装のリフォーム・現状復旧
      →家賃2〜6ヶ月分
    • 入居者を見つけるための広告費
      →家賃1〜3ヶ月分
    • 契約更新費用
      →家賃0.5ヶ月分
    • 家賃収入に対する税金(他の収入との合計で税率が上がる)、確定申告の費用
    • 入居中の設備の修理費

    なども必要になります。

    リスク2. 住宅ローンの一括返済や金利引き上げ

    家を他人に貸す場合、本来は金利の低い「住宅ローン」ではなく、金利の高い「アパートローン」に借り換える必要があります。

    例えば金利が0.5%→2.0%と+1.5%高くなるだけで、

    • 毎月の返済額 +28%増
    • 元本に対する総支払額 +9%→+39%

    と負担は大きく増えます。 

    ハウスハウス

    じゃあ銀行に内緒にすれば良いの?


    家博士家博士

    銀行に内緒で貸すのは絶対に止めよう。
    最悪の場合は、自己破産に追い込まれることもある。


    銀行に無断で家を他人に貸した場合、住宅ローン残額の一括返済を求められる恐れがあります。

    銀行に黙っていても、銀行からの郵便物が未着になったり、信用機関のローン情報で分かります。

    どうしても賃貸にチャレンジしたいなら、先ず銀行に相談してみましょう。

    転勤など仕方ない理由であれば、先に銀行に相談することで、目をつむってもらえるケースもあります。

    賃貸に出せる条件2. 長期修繕計画が30年以上又は取り壊しまである

    賃貸に出す前に、マンションの長期修繕計画と解体について確認しましょう。

    多くのマンションは、長期修繕計画で解体まで計画していないため、寿命の末期に予定外の費用を負担することになります。

    ハウスハウス

    修繕積立金をきちんと払っているから、大丈夫なんじゃないの?


    家博士家博士

    多くのマンションでは修繕積立金が不足しているんだ。

    築30年以上のマンションの4割で修繕積立金が不足

    今、多くのマンションで修繕積立金が不足しており、社会問題になりつつあります。

    築30年以上のマンションの4割で、修繕積立金が不足。

    また築30年マンションの23%で、修繕積立金を1年以上滞納している住民がいるなど、管理組合の運営も困難な状況に。
    【参考】国土交通省・平成30年度マンション総合調査

    マンションは12年〜15年周期で大規模修繕が必要ですが、その費用は年々高額になります。

    そのため築年数が古くなるほど、修繕積立金を徐々に引き上げるか、修繕一時金を支払う必要があります。

    しかし高齢者を中心に反対意見があると管理組合が合意できず、十分な修繕費用が集められません。

    その結果、徐々にマンションは荒れてスラム化し、売ることすらできなくなるのです。

    建替えできるマンションは1割未満

    マンションには寿命があり、1980年代のマンションであれば築50年ぐらいが1つの目安になります。

    ハウスハウス

    寿命が来たら、建替えになるんじゃないの?


    家博士家博士

    ところが実はほとんどのマンションは建替えできないんだ


    寿命を迎えたらマンションは建替えられると思いがちですが、多くのマンションは建替えできません。

    なぜなら、ほとんどのマンションは容積率に余裕がないため。

    マンションを建て替えるためには、容積率の余裕分だけ住戸を増やして売却し、建替え費用に充てる必要があります。

    しかし容積率に余裕がないと、一戸あたり約2千万円になる費用負担に住民の意見が一致せず、建替えはできないのです。

    現状では容積率が不足しており、建て替えると戸数を減らすしかない既存不適格マンションも多くあります。

    住民の8割が合意しないと建替えはできないため、建替え以外の方法を選ぶしかありません。

    ハウスハウス

    建替え以外の方法って何?


    家博士家博士

    解体して土地を売却するんだ。
    ただし住民の8割が合意することが条件だけどね。


    解体して土地を売却すれば、いくらかお金が残る場合もあります。

    だたし管理組合が金融機関から修繕費用を借りたりしていると、土地の売却代金は返済に使われ、解体費用だけマイナスになるケースも。

    長期修繕計画で解体まで予定に入っているマンションは、ほとんどありません。

    また解体の住民合意ができないマンションは、徐々にスラム化し売却が難しくなってきます。

    この様に、多くのマンションは築40年を過ぎると売ることが難しくなってきます。

    マンションの寿命を考えると、今売ったほうが手元に残るお金は多くなるでしょう。

    賃貸に出せる条件3. 駅徒歩7分以内で立地が良い

    築30年のマンションで賃貸に出して最終的に利益を残すには、立地が重要です。

    目安として最寄り駅から徒歩7分以内であれば、家賃の下落も少なく、最終的に売却する時も値が付きやすいでしょう。

    駅からの距離が重要だということは、地価の変化にも明確に現れています。

    最寄り駅からの距離と公示地価の変動をまとめたものがこちらです。

    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (3大都市圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(3大都市圏・2018年)


    最寄り駅距離別の公示地価変動率
    (地方圏・2018年)

    最寄り駅距離別の公示地価変動率(地方圏・2018年)

    公示地価とは
    公示地価は、国土交通省が毎年全国に定めた標準地約3万地点を対象に、1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を3月頃に発表するもの。
    都道府県の発表する基準地価と合わせて、土地取引の指標になります。
    公示地価は、国土交通省の土地総合情報システム 地価公示・都道府県地価調査にアクセスすると調べられます。
    国土交通省地価公示・都道府県地価調査
    土地の価格の調べ方について詳しくはこちら
    土地の価格の調べ方と、価格を比較する場合の修正点とは

    3大都市圏でも地方でも、最寄り駅からの距離が遠いエリアでは地価の下落が止まらないことが分かります。

    一方で駅に近いエリアでは、特にこの数年は地価が上昇しています。

    ハウスハウス

    駅に近いエリアでは、地価は上がっているんだね!


    家博士家博士

    今は都市部のマンションを中心に価格が高騰しているよ。

    今はマンション価格が高騰して売り時

    マンション価格は2013年1月の日銀による金融緩和発表をきっかけに高騰しています。

    不動産価格指数(全国)

    不動産価格指数(全国202405)

    不動産価格指数とは

    不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

    中古マンションは約11年で94%も値上がりしています。

    しかしマンション価格を高騰させた日銀の金融緩和は終わり、金利が上がり始めました。

    金利上昇によりマンション価格が値下がりする恐れ

    今は金利上昇により不動産価格が下落する恐れがあります。

    17年ぶりに金利引き上げ

    日銀が17年ぶりとなる金利の引き上げを開始しました。

    17年ぶりの金利引き上げとは
    日銀が2024年3月19日に発表した金融政策の修正で、2013年から始まった異次元金融緩和を終わらせるもの。
    具体的には次の3つがある。

    • マイナス金利の解除
    • YCC(長短金利操作)の終了
    • 株式(ETF)の購入終了

    【参考】NHK・日銀 マイナス金利政策を解除 異例の金融政策を転換

    金利が上がると不動産にはマイナス効果

    金利が上がると、不動産は値下がりする傾向があります。

    理由として、金利が上がると住宅ローンの返済額が増え、家が売れにくくなるため。

    ただし今の金利レベルでは、まだ不動産に大きな影響はありません。

    この先日銀が金利の引き上げを続けると、徐々に影響が現れると予想されます。

    金利上昇と不動産価格の3つの段階
    金利上昇による不動産価格への影響は次の3段階になると予想されます。
    1. まず固定金利が上がり始める
    まだマンション価格に影響なし

    (日銀のマイナス金利解除で)
    2. 新たに借りる変動金利が上がり始める【今はココ】
    買う人が減りマンション価格に影響が出始める

    (日銀の金利引き上げで短プラが上がり)
    3. 今すでに借りている変動金利も上がり始める
    売る人が増えマンション価格が大きく動き始める

    ハウスハウス

    でも金利はそんなに上がるのかな?


    家博士家博士

    専門家の意見も割れているけど、2026年度に4.0%という予想もあるよ。

    みずほが3年後に固定4.8%、変動4.0%と予想

    みずほ系シンクタンクの予想では、2023年度から2026年度の3年間で

    • 住宅ローン金利(変動): 0.4%→4.0%(返済は約1.7倍)
    • 住宅ローン金利(固定): 1.8%→4.8%

    にそれぞれ金利が上がると予想しています。
    【参考】みずほリサーチ&テクノロジーズ・「金利のある世界」への日本経済の適応力

    ハウスハウス

    金利4%だと月々の返済が1.7倍か!


    家博士家博士

    金利が上がると、売る人が増えて買う人は減るから値下がりする。
    すでに海外の一部では値下がりが始まっているよ。

    すでに海外の一部で不動産が値下がりした

    ドイツでは前年同期比で1割以上値下がり

    日本に比較的似ているドイツでは、すでに2023年の1年間で-8.9%〜-20.1%値下がりし、過去60年間で最大の下落となりました。

    ドイツの住宅価格指数の推移

    ドイツの住宅価格推移2024年2月

    住宅ローンの変動金利が上がり始めると、不動産価格は大きく動き始める恐れがあります。

    いずれ不動産を売却する予定があるなら、準備しておいたほうが良いでしょう。


    家博士家博士

    分かっているのは、今、マンションの価格は高騰していることだけだよ。


    築30年マンションの売却と税金

    築30年のマンションを売却した場合の税金も、簡単にチェックしておきましょう。

    マンションを売却すると譲渡所得が発生します。

    譲渡所得は課税対象なので利益が出ると税金が発生しますが、ほとんどの場合は「3,000万円の特別控除」により非課税となります。

    3,000万円の特別控除とは

    マイホームを売却した場合は、売却した利益(譲渡所得)が3,000万円まで非課税になるという税法の特例。
    夫婦で共有している自宅なら、最大6,000万円まで非課税になります。
    【参考】国税庁・No.3302 マイホームを売ったときの特例

    ただし、買い換えの場合は少し事情が変わります。

    買い換えの場合は、次のマンション(または戸建て)を購入する際にローンを組むのが一般的。

    この場合、住宅ローンを組むと「住宅ローン控除」が受けられますが、これは売却時の3,000万円の特別控除と併用できません。

    そのため、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除を比較し、お得な方を選ぶことになります。


    ハウスハウス

    どちらがお得か比較するのは難しそう…

    家博士家博士

    税金は専門的な知識が必要だし、個人で計算するのは難しい。
    正式には税理士に相談するべきだけど、この程度なら不動産会社に相談してみると良いよ


    ハウスハウス

    不動産会社は良き相談相手でもあるんだね! 不動産会社選びが大事なのも、何となく分かった気がするよ

    まとめ

    売買されている中古マンションの3戸に1戸は築30年以上のマンションです。

    築30年のマンションは、正しく売れば高く売ることも可能。

    高く売るための4つのポイントは、

    1. 買取より仲介(普通の売買)で売る
    2. リフォームは最小限に抑える
    3. 専任媒介で1社に売却を依頼する
    4. 優秀で信頼できる不動産会社に依頼する

    賃貸という選択肢もありますが、長期的な試算をして、最終的なマンションの寿命を見極める必要があります。

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    あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!