「送電線・高圧線下の不動産は売りにくい? 安くなるの?」
送電線・高圧線下の不動産売却でお悩みですね。
確かに送電線・高圧線下の不動産は、価格に影響することも。
しかし正しい知識があれば、安値で手放すことを防げます。
この記事では、送電線・高圧線下の不動産売却で知っておきたい知識と注意点をまとめました。
電圧や高さによって、売却価格が安くなる3つのケースについて解説。
またそれ以上に大きなインパクトがある、今後の不動産市場も解説しました。
あなたの不動産を高値で売却して、将来の安心と豊かな生活を手に入れましょう。
あなたの不安が解消し、不動産売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
送電線・高圧線下の不動産は売却価格が下がる恐れも
送電線・高圧線の下にある土地や一戸建ては、もちろん売却できます。
ただし条件次第で、売却価格が安くなることも。

なんで安くなるの?

安くなる原因は、電圧によって違うんだ。
高圧線といっても電圧が色々あるからね。
高圧線にも様々な電圧がある
高圧線といっても様々な電圧があります。
なぜなら発電所で発電された電気は、高圧で送電され、複数の変電所で電圧を下げながら、低圧で利用者に届けられるため。
具体的には、発電所から送電される電圧が一番高圧で、通常27.5万V〜51万V。
最終的に一般家庭に届く電圧は、100V又は200Vです。
ちなみに専門的な定義では、電圧によって次の3種類に分かれます。
- 特別高圧: 直流・交流ともに7000V超の電圧
- 高圧: 直流で750V超~7000V以下、交流で600V超~7000V以下の電圧
- 低圧: 直流で750V以下、交流で600V以下

発電所で作られた電気が、そのまま家に届くわけではないんだね

そう。変電所を経るたびに電圧は小さくなっていくんだ。
電圧が高いほど、不動産の価格に大きな影響があるんだよ。
売却価格が安くなる3つのケース
高圧線により不動産の売却価格が安くなるケースとして、電圧によって次の3つがあります。
それぞれ解説します。
ケース1. 17万V以上で建物が建てられない
架線直下+3mには建てられない
電圧が17万V以上の高圧線では、架線直下+3mの範囲に建物が建てられません。
架線直下+3mの範囲とは、上空を通る高圧線から水平距離で3mの範囲で、下図のイメージです。
詳細は土地収用委員会の採決で決まるため、3mとは異なるケースもあります。
また、2012年に「経済産業省令(電気設備に関する技術基準を定める省令)」が改定され、緩和方向でさらに細かい離隔距離が決められています。
【参考】電気設備の技術基準の解釈第97条

建物が建てられないと、価格はどうなるの?

目安として、およそ半額になるとされている。
一部なら半額、全部なら半額以下が目安に
もし高圧線で建物を建てられない土地が敷地の一部にあれば、価格の目安として、その範囲の土地の価格が相場のおよそ半額になります。
また敷地全面であれば、価格は半額以下になる恐れもあります。
ただしこれらの価格は目安にすぎず、明確な規定ではありません。
減価率に明確な規定はない
高圧線下の減価率について、明確な規定はありません。
半額というのは、国土交通省の損失補償取扱要領と経験的な数字を目安です。
正確に知るためには、不動産鑑定士に依頼するか、売却予定なら複数の不動産会社へ無料査定を依頼します。
専門家が査定に使う基準
専門家が査定する目安として、次の基準が利用されます。
- 大蔵省通達による基準
- 相続税財産評価基本通達
- 電気事業者の減価率の一例
- 収用委員会の裁決例
- 国土交通省損失補償取扱要領による「土地立体利用率配分表」、「建物階層別利用率表」
- 全日本不動産協会・高圧線や鉄塔の影響を受ける土地売買など
【参考】高圧線下地の土地評価について

建物が建てられない範囲は、どうやって調べたら良いの?

登記を見れば面積が分かるし、地積測量図があれば詳しい位置も分かる。
面積は土地の地役権設定登記で分かる
土地の登記を確認すれば、建物が建てられない範囲の面積が分かります。
なぜなら、建物が建てられない範囲は、多くの場合、土地に地役権設定登記がされているため。
(一部に地役権がない場合もあり、その場合は送電線架設に関する契約があります。)
電力会社が地役権を設定し使用量を支払う
地役権とは、一定の目的の範囲内で他人の土地を利用できる権利のこと。
電力会社が高圧線を設置するときに地役権を設定し、当時の土地所有者と契約を交わしています。

地役権が登記されている場合は、電力会社から敷地使用料を一括で受け取っていることが多いよ
ちなみに地役権は土地に対する権利なので、売買などで土地が譲渡されると地役権も自動に移転されます。
登記の確認については、こちらで解説しています。

自分で登記を確認しないといけないの?

売却予定なら、不動産会社に無料査定を依頼すると、登記を確認してくれるよ。
あと敷地内に境界標があるはず。
もし見当たらなければ、電力会社に依頼すれば設置してもらえるよ
問合せは一般送電事業者へ
あなたの近くの高圧線について不明な点は、一般送配電事業者に問い合わせます。
ケース2. 17万V未満で高さ制限がある
架線の最低位置から3m(またはそれ以上)に建てられない
電圧が17万V未満の高圧線では、架線の最も低い位置から3m(またはそれ以上)の範囲に建物が建てられません。
下図のイメージです。
こうした建物が建てられない範囲のことを『離隔距離(りかくきょり)』と呼びます。
ちなみに高圧線は季節によって伸び縮みし、高さが変わります。
最も伸びるのは夏で、夏には高圧線の位置が最も低くなるため、建物の高さ制限は夏の高圧線の高さを元に決まります。
価格への影響は建物の床面積で換算
高さ制限があると、本来建てられる建物が建てられないため、土地の価格が下がります。
どの程度価格が下がるかは、土地に建てられる建物の床面積がどの程度減るかで考えると良いでしょう。
例えば、床面積が半分になってしまうなら、土地の価格が半額まで安くなる恐れがあります。
正確に知るためには、不動産鑑定士に有料で依頼するか、売却予定なら複数の不動産会社へ無料査定を依頼します。
不動産会社の心当たりがなれば、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

でも夏の高圧線の高さなんて、どうやって調べたら良いの?

登記を見れば地役権が設定されているよ
高さ制限も土地の地役権設定登記で分かる
高さ制限も、ケース1と同じ様に、ほとんどの場合は地役権設定登記があるため、登記を見ると分かります。
(一部に地役権がない場合もあり、その場合は送電線架設に関する契約があります。)
高圧線の離隔距離などの規制は、土地所有者に対してではなく、あくまでも電気事業者に対して義務付けられているもの。
また高圧線の離隔距離は、電圧や電線の種類によっても細かく規定されているため、一般の人には難しくて分かりません。
そのため電気事業者は、土地所有者の利用を制限する契約を結び、地役権を設定します。
高圧線の安全確保のために地役権を設定し、一定の高さ以上の建物が建てられないように制限しているのです。
ケース3. 17万V未満で高さ制限はないが嫌悪施設になる
電圧17万V未満で高さ制限はないけれど、高圧線そのものが「嫌悪施設」となり、価格が下がってしまうケース。
具体的には、用途地域や条例など別の規制によって建物の高さが制限されている場合で、下図のイメージです。
こうした場合は高圧線があっても影響は少ないのですが、嫌悪施設として多少価格が下がります。
嫌悪施設とは?
嫌悪施設とは、存在そのものが周囲の人から嫌われる施設のこと。
風俗店など街の品格を下げるような施設や公害の発生源となるような施設、原子力関連施設や火葬場、軍事基地や刑務所など、様々なものが嫌悪施設として挙げられます。
高圧線が嫌悪施設になる理由
高圧線も次の理由から「嫌悪施設」と捉えられることがあります。
- 心理的不快感
- 強風時の風切り音による騒音
強風時以外にも、ガイシ(電線と電柱・鉄塔の間を絶縁するために使われる器具)に付着したホコリによって「ジージー」という騒音があるケースもあります。 - 眺望阻害
- 危険感
地震時や台風時に電線が切断し、垂れ下がる恐れもあります。 - 威圧感や圧迫感
- テレビやラジオなどへの電波障害
- 電磁波による健康被害
電磁波による健康被害はよく分かっていない
電磁波による健康被害については、まだ良く分かっていません。
世界の基準であるIARC(国際ガン研究機関)のリスク分類によると、グループ2B(人にとって発がん性があるかもしれない)に分類されています。
ただし、同じ分類にコーヒーや漬物もあることから、その程度のリスクしか分かっていません。
【参考】総務省・電波の生体影響に関する最新動向
現状では、電磁波による健康被害については、気にしない又は知らない人の方が多いでしょう。
価格への影響は、時期やエリアによる
嫌悪施設が不動産価格に与える影響は、時期やエリアによって違います。
なぜなら嫌悪施設に対する考え方や感じ方は人それぞれ違い、報道などで一時的に盛り上がる場合もあるため。
電磁波による健康被害も、一時は盛んに報道されていましたが、最近では携帯電波基地局の方が注目されています。
また一般的に地価が高いエリアでは、嫌悪施設の影響が大きい傾向もあります。
エリアによって価格への影響も違うため、不動産会社の意見を聞いた方が確実でしょう。
結局は高圧線よりも、利便性や接道など他の要素の方が価格へ大きく影響します。

じゃあ登記に何も記載がなければ、影響は少なそうだね。
価格はどうやって調べたら良いの?

将来的に売却も考えているなら、不動産会社の無料査定が定番だね。
価格は不動産会社の無料査定で確認する
不動産価格を確認するなら、不動産会社に無料査定を依頼するのが定番です。
ただし今は不動産価格が高騰し、プロでも査定が難しい状況。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。
マンションは、約10年で82%も値上がりしています。
戸建ては上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。
戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。
不動産会社によって査定価格に差が出るため、1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。
なるべくエリアで売買実績が豊富な不動産会社を選ぶ方が、査定の精度は高くなります。

エリアで売買実績が豊富な不動産会社は、どうやって探すの?

不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利だよ
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
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おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 40万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国900店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国900店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2023年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計50万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,100社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績50万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)
- その他の都市(札幌・仙台・名古屋・福岡など)
- 地方(人口密度が少ない地域)
まとめ
送電線・高圧線によって不動産の価格が下るケースは次の3つ。
いずれも土地に地役権設定がされているか、送電線架設保持に関する契約が交わされています。
それそれどの程度価格が安くなるのかは、こちら。
- 1は不動産価格がおおよそ半額になる
- 2は計算が複雑で普通の人には分からない。
- 3は購入者の主観により、エリアによって違う
2と3で価格を正確に知るには、不動産鑑定士に有料で依頼するか、不動産会社に無料査定を依頼します。
もし売却を考えているなら、不動産会社に無料査定を依頼して意見を聞く方が良いでしょう。
より確実な情報を得るために、不動産会社は1社だけではなく、3〜6社に無料査定を依頼します。
不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
家を買うなら相場より安く買う
もし家を買うなら、相場より安く家を買いましょう。
今は都市部を中心に不動産相場が高騰しているため、将来の価格下落リスクが心配です。

相場より安く売っている家なんてあるの?

売り主の事情で、安く売っている家を探せば良いよ
次のような事情から、相場より安く売っている家があります。
相場より安く売っている家の例
- お金が必要で、早く売りたい
- 手間をかけたくないので、さっさと売りたい
- 近所に内緒で売りたい

こんな事情で、相場より安く売るんだね。
こんな家を探すためには、どうすれば良いの?

不動産会社に優先して紹介してもらえる客になる必要がある。
相場より安い家は、ネットに出てくる前に売れてしまうことが多いからね。
相場より安い家を売る場合、不動産会社はネットに掲載する前に、次のような客に直接情報を流します。
- その家を購入しそうで、住宅ローン審査に通る客
不動産会社は自社で買い主を見つけると、売り主と買い主の両方から仲介手数料をとれるため、2倍稼げます。
これを『両手仲介』といい、不動産会社にとっては最も稼げる方法です。
不動産会社が確実に両手仲介するためには、売り主と媒介契約を結んでからレインズに掲載するまでの7日間が勝負。
なぜならレインズに登録すると、他の不動産会社が買い主を先に見つけてしまう恐れがあるため。
レインズとは、不動産会社同士が情報を共有する専用データベースで、売り出し物件情報が登録されています。
宅建業法では、売り主と契約してから7日以内(専任媒介契約)にレインズへ掲載する義務があります。
(参考)家を売るときに知っておきたい「レインズ」のこと

じゃあ、あらかじめ不動産会社に希望条件を伝えて、優先して紹介してもらえば良いんだね。

なるべく多くの不動産会社に伝えると効果的だよ。
なるべく多くの不動産会社に希望条件を伝える方法として、タウンライフ不動産売買があります。
タウンライフ不動産売買では、全国300社以上の不動産会社から、希望エリアに強い不動産会社へまとめて希望内容を伝えることができます。