媒介契約ばいかいけいやくはどれが良い? 注意点は?」

不動産会社との媒介契約ばいかいけいやくでお悩みですね。

不動産会社に勧められた契約だと、自分が不利になりそうで不安…。
でもどの媒介契約が良いかよく分からない…。

そんなあなたに、媒介契約の違いと選び方をまとめました。

この記事を読めば、あなたに最適な媒介契約がサクッと分かります。

さらに媒介契約で失敗しないための注意点も解説。

あなたの不動産売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

不動産会社の媒介契約とは

不動産取引で不動産会社と結ぶ契約

媒介契約とは、不動産の取引で不動産会社と結ぶ契約。

この記事では不動産の売買で、不動産会社に手続きを依頼するための契約を解説します。

こちらのイメージです。

不動産売買の媒介契約イメージ

不動産売買の媒介契約イメージ

売却の媒介契約は3種類

媒介契約は、購入時は1種類だけですが、売却時は3種類あり売主が選ばなくてはいけません。

売却時の媒介契約は次の3種類あり、契約の自由度が違います。

詳しい内容を覚える必要はありません。
ザックリと目を通して、先へ読み進んで下さい。

売却時の媒介契約

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
特徴 自由な契約 一般的な契約 厳しい契約
こんなタイプの人向き 不動産の売却経験がある人 普通の人 多少損でもお任せしたい人
実際の契約数
2022年実績
33% 51%
一番多い
16%
他社との媒介契約 × ×
自分で見つけた相手との直接契約 ×
契約の有効期間 制限なし
(行政指導により3ヶ月が一般的)
最長3ヶ月 最長3ヶ月
指定流通機構(レインズ)への登録 ×
登録義務なし

契約から7日以内

契約から5日以内
業務処理状況の報告義務 規定なし 14日に1回以上 7日に1回以上
レインズとは
国土交通省の指定機関が運営する不動産会社専用の不動産情報システム。レインズには過去の取引事例、現在の売り出し物件情報が登録されており、不動産会社同士はレインズで情報を共有している。
(参考)家を売るときに知っておきたい「レインズ」のこと

ハウスハウス

いろいろ書いてあるけど、結局どれが良いの?


家博士家博士

普通の人なら、専任媒介契約が多いね。
でも最適な媒介契約は3つの条件で決まるよ

最適な媒介契約は3つの条件で決まる

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類で最適な媒介契約は、次の3つの条件で決まります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
条件1.売却を任せる不動産会社は、1社か複数か 複数可 1社のみ 1社のみ
条件2. 途中で買取に切り替えるか ×
条件3. 不動産会社のサービスを利用するか ×

それぞれ解説します。

条件1. 売却を任せる不動産会社は1社か複数か

媒介契約の種類は、まず売却を任せる不動産会社が1社か複数かで決まります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
条件1.売却を任せる不動産会社は、1社か複数か 複数可 1社のみ 1社のみ
条件2. 途中で買取に切り替えるか ×
条件3. 不動産会社のサービスを利用するか ×



ハウスハウス

1社か複数かどちらが良いの?


家博士家博士

どんな不動産をどうやって売りたいかによるね。

人気物件を適正価格で売り出すなら複数に

一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼するのは、人気物件を適正な価格で売り出す場合。

なぜなら手間をかけず簡単に売れる物件でないと、一般媒介契約で複数に依頼するメリットを活かせないため。

一般媒介契約では、他社に先を越されると不動産会社が赤字になってしまうため、手間がかかる物件は相手にしてもらえません。

詳しくは後の『一般媒介の注意点』で解説します。

人気物件とは、都心部の駅近・築浅マンションなど需要が豊富な不動産。

適正な価格とは、相場通りの価格で、複数の不動産会社に査定を依頼し平均値をとると良いでしょう。

ちなみに他の売主が売り出している価格は、ほとんどが相場より高いので、売り出し価格で判断してはいけません。

それ以外は1社に専任媒介か専属専任媒介で

人気物件を適正な価格で売り出す場合でなければ、専任媒介か専属専任媒介で1社に売却を依頼した方が良いでしょう。

特に次の場合は、専任媒介か専属専任媒介で1社に売却を依頼した方が安心です。

1社に売却を依頼した方が良いケース

  • 初めての不動産売却で、分からないことを相談しながら売りたい
  • 築古や駅から遠いなど、売りにくい不動産を売る
  • 時間をかけても良いから、相場より高値で売りたい
  • 借地権や共有名義、相続など不動産会社のアドバイスが必要
  • 建物設備保証・買取保証など、大手不動産会社のサービスを利用したい
  • 売却に手間をかけたくない、面倒なことはなるべく不動産会社にお任せしたい

条件2. 途中で買取に切り替える可能性

媒介契約の種類は、途中で買取に切り替える可能性でも決まります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
条件1.売却を任せる不動産会社は、1社か複数か 複数可 1社のみ 1社のみ
条件2. 途中で買取に切り替えるか ×
条件3. 不動産会社のサービスを利用するか ×

買取に切り替えるなら一般媒介・専任媒介

媒介契約期間(通常3ヶ月)の期間中に、急に事情が変わって『買取』で売る可能性があるなら、一般媒介か専任媒介を選びます。

なぜなら媒介契約には次の違いがあるため。

  • 一般媒介・専任媒介
     →自分で買主を見つけると仲介なし(仲介手数料が不要
  • 専属専任媒介契約
     →自分で買主を見つけても仲介あり(仲介手数料が必要

一般媒介・専任媒介契約なら、自分で見つけた買取業者へ、仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税)を払わずに買取できます。

専属専任媒介は買取でも仲介手数料がかかる

専属専任媒介契約では、自社買取する不動産会社に直接依頼できず、仲介手数料を支払って買取に切り替えることに。

なぜなら専属専任媒介では、売却を依頼した不動産会社に必ず仲介手数料を支払う契約だから。

専属専任媒介で買取するイメージ

ただし買取は安くなるので、なるべく仲介で普通に売る

ただし買取は価格が安くなるので、よほど急ぐ事情がない限り普通に仲介で売る方が良いでしょう。

自社買取の大きなメリットはこの2つ。

  • 売却に比べて内覧などの手間がかからない。
  • 最短1週間程度で確実に売れる

一方で自社買取には次の致命的なデメリットが。

  • 価格が相場の6〜8割程度に安くなる。

買取イメージ

ただし最近は買取再販業者の乱立で、買取価格が高騰傾向なので、運が良ければ相場に近い価格で売れることもあります。

自社買取を選ぶ場合は、10社20社と多くの買取業者へ査定を依頼してみましょう。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

期間限定で仲介で売る買取保証もある

買取には、専属専任媒介が条件で『買取保証』という選択肢もあります。

買取保証は一定期間だけ仲介で普通に売り、売れなければ不動産会社が買取るもの。
仲介期間中は高値で売り出せることがメリットです。
買取保証イメージ

ただし買取保証はどんな物件でも使えるわけでなく、普通に売り出して3ヶ月以内に売れそうな物件しか使えません。
万が一の売れ残りに備える保険だと思ったほうが良いでしょう。

実際に例えば野村の仲介+では、買取保証(買換保証)で売り出して買取した例は、過去10年間でゼロ。(2022年10月現在)

また大手の三井のリハウス住友不動産販売は買取保証を中止しています。

買取保証について、詳しくはこちらで解説しています。


ハウスハウス

買取保証は専属専任媒介が条件なんだ。


家博士家博士

不動産会社のサービスは、専任媒介か専属専任媒介が条件になることが多いんだ。

条件3. 不動産会社のサービスを利用するか

媒介契約の種類は、不動産会社のサービスを利用するかでも決まります。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
条件1.売却を任せる不動産会社は、1社か複数か 複数可 1社のみ 1社のみ
条件2. 途中で買取に切り替えるか ×
条件3. 不動産会社のサービスを利用するか ×

売却で不動産会社のオプションサービスを利用する場合、サービスによって専任媒介・専属専任媒介が条件になります。

専属専任媒介しか利用できないサービス

次のサービスは専属専任媒介しか利用できません。

専属専任のサービス1. 買取保証(売却保証)
期間限定で売り出して、売れなければ不動産会社が買い取ってくれるサービス。
買取価格は、査定価格の最大90%などですが、売出し価格は査定価格の120%など高値を狙って売り出せます
ただしある程度売れやすい人気物件しか利用できません。
専属専任のサービス2. (買い替えの)つなぎ融資
買い替えで、家が売れるタイミングと買うタイミングがズレた場合に、資金を融資してくれるサービス。
三井のリハウス住友不動産販売など、一部の大手不動産会社しかありません。


以上の2つを利用する場合は、専属専任媒介契約を利用することになります。
ハウスハウス

どちらもスゴく便利なサービスだね!


家博士家博士

条件さえクリアすれば、利用した方が良いね。
ちなみに、専任媒介でも利用できるサービスもあるよ。

専任・専属専任の両方で利用できるサービス

専任媒介契約・専属専任媒介契約のどちらでも利用できる便利なサービスとして、次があります。

両方で利用できるサービス1. 建物保証・設備保証

建物の構造上主要な部分、雨漏り、シロアリ、各種設備などの瑕疵を、不動産会社が1〜3年保障してくれるサービス。

買主のメリットが大きいため、家が売れやすくなる効果があります。

通常は、売却後3ヶ月を『瑕疵担保期間』として売主の負担で修理し、それ以降は買主の負担で修理します。

両方で利用できるサービス2. ホームステージング

空き家で売る場合に、家具などを配置して、モデルルームのような素敵な空間を演出してくれるサービス。

競合との差別化により、家が売れやすくなる効果があります。

両方で利用できるサービス3. 最新の3D技術で広告

最新の3D技術を利用して、家の広告をしてくれるサービスです。

家の魅力が伝わりやすいため、家が売れやすくなる効果があります。

例えば次のようなものがあります。

●3Dウォークスルー
インターネットで内覧ができる、360度パノラマ映像と3D見取り図のシステム。VRを利用する不動産会社もあります。
●CGリフォーム
部屋にある荷物や家具を消して、壁紙や床をリフォームしたイメージを作成するもの。
●バーチャルステージング
3Dイメージで部屋に家具を配置して、部屋のイメージを作成するもの

これらサービスを利用するなら大手トップ4社

こういったサービスを利用するなら大手トップ4社を中心に選びましょう。

なぜならこれらのサービスは資金力のある一部の大手しか扱っていないため。

具体的には、売買仲介実績が上位の大手4社です。

売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2024年3月首都圏4社

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており圧倒的。
数多くの顧客を抱えています。

首都圏では、実績の大部分が首都圏の「野村の仲介+」も含めてトップ4社で考えると良いでしょう。

大手4社のサービス比較

三井のリハウス 住友不動産販売 東急リバブル 野村の仲介+
建物調査・保証 △OP
設備調査・保証 △OP
買取保証
(売却保証)
× ×
つなぎ融資
補修(リペア) × △OP
掃除 × △OP
3Dウォークスルー △OP
CGリフォーム △OP △OP
バーチャルホームステージング △OP
ホームステージング × △OP △OP
プロカメラマンの撮影 △OP
荷物預かり・不用品処分 × × △OP △OP
土地保証(埋設物撤去保証) × × △OP
土地保証(地盤調査保証) × × ×
擁壁調査保証 × × ×
仮測量 × ×
土地ステージング × △草刈りのみ × △OP
相続税立替 ×

※各サービスは各社で適用条件あり
※OPはオプションサービスでいずれかを選ぶ

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 277店舗
    (首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)

三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


多くの購入希望者を抱えているため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約しています。

また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

家博士家博士

業界を代表する大手だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。

三井のリハウスの無料査定はこちらから
三井のリハウス
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評

すみふの仲介ステップ

  • 店舗数 203店舗
    (首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)

住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

家博士家博士

スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み

東急リバブル

  • 店舗数 220店舗
    (首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)

東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社。

東急電鉄沿線や事業用不動産に強く、全国展開も進めています。

大手トップにまとめて無料査定を依頼するなら「すまいValue」が便利

大手トップに査定を依頼するならすまいValueが便利です。

すまいValueは、トップ4社を含む大手6社が共同運営する一括査定サイト。

大手4社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したので、大手4社にまとめて査定を依頼できるのはすまいValueしかありません。


すまいバリュー

すまいValueの公式サイトはこちら
すまいValue

ハウスハウス

こんなにサービスがあるなら、「大手に専任媒介契約」が良さそうだね。


家博士家博士

大手不動産会社も各社で査定価格に差があるから、複数の不動産会社に査定を依頼して、話を聞き比べると良いよ。

ここまで媒介契約の種類を決める3つの条件について解説しました。

次にそれぞれの媒介契約について、知っておきたい注意点を解説します。

一般媒介契約の5つの注意点

一般媒介契約は、3種類でもっとも自由な契約です。

一般媒介契約の注意点は次の5つ。

それぞれ解説します。

注意点1. 不動産会社のモチベーションが下がりやすい

一般媒介契約では、不動産会社のモチベーションが下がりやすくなります。

なぜなら不動産会社にとって、一般媒介契約で複数の不動産会社に売却を依頼しているお客さんは、他社に売買契約をとられるリスクがああるため。

他社が先に買主を見つけると大赤字になる

もし他社が先に買主を見つけると、不動産会社は大赤字になってしまいます。

なぜなら不動産売買の仲介手数料は、成功報酬なので家が売れなければ1円も受け取れないため。

営業の人件費と広告費が数十万円かかっても、他社に先を越されると全て赤字でムダ働きになってしまいます。

だから不動産会社は一般媒介の売主に対して、積極的に時間とお金をかけません。

不動産会社を増やすとさらに逆効果

一般媒介契約で依頼する不動産会社を増やすと、不動産会社はさらに赤字リスクが高くなり、モチベーションが下がります。

売主と不動産会社の関係もますます薄くなり、お互いに信頼関係が築けません。

不動産会社を増やすほど、一般媒介のデメリットが大きくなってしまうのです。

明らかに売れない物件は放置される

また一般媒介契約では、明らかに売れない物件は、ほとんど営業もされず放置されます。

なぜなら売れない物件を売るためには、時間と手間がかかるため。

売りにくい不動産とは、次の2つ。

  • 売り出し価格が相場より明らかに高い
  • 需要の少ない地域や物件で人気がない

もちろん媒介契約は断られませんが、契約後にネット広告だけ掲載して、あとは放置される結果に。

不動産会社から値下げのアドバイスや、売れやすくする提案もありません。

ハウスハウス

一般媒介は人気物件を売れやすい価格で売るならアリなのか。


家博士家博士

さらに顧客を多く抱える大手2〜3社に依頼すると効果が高いよ。

【対策】人気物件を適正価格で2〜3社程度に依頼する

一般媒介で複数に依頼するときに不動産会社のモチベーションを下げない対策は次の2点。

  • 人気物件を適正な価格で売り出す。
  • 不動産会社は大手を中心に2〜3社程度にする。

人気物件を適正な価格で売り出すことで、不動産会社は積極的に営業してくれます。

また一般媒介で複数に依頼するときは、顧客を多く抱える大手を中心に、2〜3社選ぶと良いでしょう。

大手ならすでに顧客を多く抱えているため、両手狙いで積極的に顧客へ営業してくれます。

一般媒介契約で複数に依頼するときは、こちらの記事も合わせてお読みください。

注意点2. 不動産会社のサポートも期待できない

一般媒介契約では、不動産会社のサポートも期待できません。

やはり他社に先を越されて赤字になるリスクを考えると、不動産会社はあまり時間と手間をかけられないのです。

不動産会社のサポートとは例えばこちら。

  • 売り出し価格や値下げのタイミングなど売却戦略の提案
  • チラシのポスティング、折込広告、オープンハウスなどの積極的な広告活動
  • 売れやすくなるためのリペア(補修)、リフォーム、建物解体の提案
  • 売るための境界確定、権利関係の整理、借地・底地の調整、相続手続きの提案や手配
  • インスペクションや耐震診断、瑕疵保険などの提案や手配
  • 最新の3D技術やバーチャル技術を使った広告作成
  • 不動産会社の建物保証、設備保証、買取保証などのサービス

これらを期待するなら1社に絞って、専任媒介・専属専任媒介で契約した方が良いでしょう。

1社に絞って契約する方が成功しやすい

不動産会社選びさえ間違えなければ、不動産会社を1社に絞って契約する方が、売却に成功する可能性は高くなります。

なぜなら契約期間3ヶ月で契約し、この期間は不動産会社にとって販売を独占できるため。

不動産会社は、なんとか3ヶ月間で売ろうと、広告費用と手間をかけて、頑張って売ってくれます。

不動産会社に相談しても、1社なら親身になって相談に乗ってくれます。

ハウスハウス

確かに1社に任せてもらった方が、頑張りがいもあるね。

注意点3. 各社との個別連絡に手間がかかる

一般媒介で複数と契約すると、各社との個別連絡に手間がかかります。

そもそも一般媒介では、不動産会社に業務処理状況を報告する義務がありません。

専任媒介では14日に1回以上、専属専任媒介では7日に1回以上の報告義務があります。

一般媒介で複数に依頼するときは、売主が積極的に不動産会社と連絡をとって、指示を出す必要があります。

【対策】各社との連絡は記録しておく

一般媒介で複数と契約するときは、各社との連絡内容を記録しておきましょう。

記録する方法は、メールなどを保存しても良いですし、ノートに内容を記録してもよいでしょう。

どの会社に何を伝えたのか、キチンと記録しないと後でトラブルになる恐れもあります。

注意点4. 明示型では通知義務に要注意

一般媒介の明示型では通知義務に注意しましょう。

一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があり、ほとんどが明示型。

「明示型」では他社と契約したことを不動産会社に通知する義務があります。

もし通知を忘れると、家が売れた場合に、通知を忘れた不動産会社から違約金を請求されることに。

違約金は広告費用や人件費など数十万円になる恐れがあります。

注意点5. 1社と一般媒介ではレインズ非掲載で囲い込まれる

一般媒介契約で1社だけと契約すると、不動産会社に囲い込まれる恐れがあります。

なぜなら一般媒介契約では、レインズに登録する義務が無いため。

レインズに登録しないと、他の不動産会社に不動産を売り出している情報が伝わりません。

その結果、売却に時間がかかったり、価格が安くなってしまう恐れがあります。

一般媒介で1社と契約する場合は、かならずレインズに登録してもらうことを条件にしましょう。

囲い込みとは
不動産会社が自社で買主を見つけるために、他社へ情報を提供しなかったり、他社の見つけた買主を勝手に断る行為。
不動産会社の目的は、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」で2倍の仲介手数料を得ること。
売主にとっては、売却期間が長くなったり、価格が安くなるデメリットしかありません。

囲い込みについては、こちらで詳しく解説しています。

極秘で売るために、一般媒介でレインズに登録しない方法もある

一般媒介契約でレインズにワザと登録せず、希少性を演出する売り方もあります。

限られた買主に対して「極秘物件」として売り出すことで、価値を高めるのです。

ただしこの方法が有効なのは、居住用の住居でなく、例えば3億円を超える高額な投資用物件など、そもそも買主が限られる不動産。

普通の家であれば、レインズに載せて広く売り出すほうが、早く高く売れるでしょう。

一般媒介のまとめ

一般媒介をまとめるとこちら。

一般媒介契約のまとめ

●何社とでも契約できる
この契約だけは、同時に何社でも媒介契約を結べる。
ただし一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があり、「明示型」では他社と契約したことを不動産会社に通知する義務がある。
●自分で買主を見つけたら個人間契約できる
自分で買主を見つけたら、直接契約でき、仲介手数料を節約できる。
●報告義務なし
一般媒介契約を結んだ不動産会社は、営業状況を報告する義務がない。
●レインズへの登録義務なし
一般媒介契約では「レインズ」へ登録する義務はない。ただし個別に依頼して登録してもらうことは可能。
●契約期間は自由
一般媒介契約では契約期間に規定はありません。ただし一般的には3ヶ月にします。

(宅地建物取引業法第34条の2より)

一般媒介契約が向いている人は、次のような人です。

一般媒介契約が向いている人

  • 不動産の売買に慣れている人
  • 自分で色々調べて工夫するのが得意な人
  • 売却にかける時間が十分にある人

専任媒介・専属専任媒介契約の3つの注意点

専任媒介・専属専任媒介の注意点はこちら。

それぞれ解説します。

注意点1. 特に理由がなければ専任媒介を選ぶ

専任媒介・専属専任媒介では、特に理由がなければ専任媒介を選びましょう。

専任媒介は自分で見つけた相手と自由に契約できる

専任媒介なら自分で見つけた相手と自由に契約できます。

急に事情が変わって近隣の人が購入したり、買取したときに仲介手数料を節約できるメリットは大きいでしょう。

一方で専属専任媒介のメリットは、売主にとって次の2つだけしかありません。

  • レインズ登録が7日→5日と少し早くなる
  • 不動産会社からの連絡が14日毎→7日毎と少しマメになる

メリットを比較すると専任媒介の方が、売主には有利です。

注意点2. 両手狙いの囲い込みに注意する

専任媒介・専属専任媒介では、両手狙いの囲い込みに注意しましょう。

といっても今は囲い込みが減っているので、ごく一部の悪質な不動産会社に限られます。

囲い込みとは、売却を依頼した不動産会社が、他社が見つけた買主を売主に無断で勝手に断る行為。

不動産会社は囲い込みすることで、自社で買主を見つけて、仲介手数料を2倍稼ぐ『両手仲介』を狙います。

囲い込みは売却期間が延びて売却価格安くなるため、売主にとってデメリットしかない迷惑な行為です。

【対策】囲い込みを防ぐ3つの方法

専任媒介・専属専任媒介で囲い込みを防ぐ方法として、次の3つがあります。

方法1. 囲い込みをしない不動産会社を選ぶ

囲い込みをしない不動産会社を選びましょう。

具体的には、法令遵守(コンプライアンス)がしっかりした不動産会社です。

東証PRM上場企業や、社会的に知名度が高い不動産会社の方が安心でしょう。

もちろん中小不動産会社でも真面目な会社は多くあります。

話を聴き比べて、利益優先でイケイケの営業スタイルの会社を避けると良いでしょう。

方法2. 囲い込みできない売主だとアピールする

不動産会社に囲い込みできない売主だとアピールするのも有効です。

例えば契約前に一言『囲い込みは無いですよね。』というだけでも効果があります。

また内覧に来る検討者が同じ不動産会社だけであれば、『他社の問い合わせは来ないのですか』と牽制します。

他の売主はほとんどが囲い込みを知らないので、この程度でも十分に効果があります。

方法3. レインズの掲載をチェックする

レインズの取引状況を売主がチェックすることも大切です。

レインズの取引状況は、次の3種類に分類されています。

  • 公開中:客付業者から案内等が受けられる状態で基本的に断れません。
  • 書面による購入申込みあり:書面により購入申し込みを受けた状態
  • 売主都合で一時紹介停止中:売主の事情により一時的に物件を紹介できないとき

2016年から売主が自分の物件が公開中になっていることを確認できるようになりました。

完全には囲い込みを防げませんが、囲い込みを防ぐ方法の1つとして効果はあります。

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ソニーグループのSRE不動産なら、大手で唯一のエージェント制で売主だけを担当。

両手仲介がないので、安心して売却を依頼できます。

ただし営業エリアは、首都圏と関西圏限定です。

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注意点3. 優秀で信頼できる不動産会社(担当者)を選ぶ

専任媒介・専属専任媒介では、優秀で信頼できる不動産会社(担当者)を選びましょう。

なぜなら専任媒介・専属専任媒介では、不動産会社1社だけに全てを任せることになるため。

不動産の売却活動は、ほとんどが不動産会社にお任せで、売主ができることは限られます。

家博士家博士

家の売却の成功は、不動産会社選びで8割が決まると言われているよ

優秀で信頼できる不動産会社を選ぶポイント

優秀で信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントは…

  • エリアで不動産売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶこと。
  • 複数(3〜6社)の不動産会社に査定を依頼し、話を聴き比べること。

エリアで売買実績が豊富な不動産会社は、優秀な不動産会社だといえるでしょう。

優秀な不動産会社の話を聴き比べると、自然と信頼できる不動産会社、担当者が分かります。

話を聴き比べるためには1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。

ただし数が多すぎると対応が大変なので、多くても6社程度が良いでしょう。

ハウスハウス

エリアで売買実績が豊富な不動産会社はどこなの?


家博士家博士

大手のサービスでも紹介したけど、都市部なら大手3社が強いね。

都市部は大手トップ3社(首都圏は4社)を中心に選ぶ

都市部では、大手トップ3社(三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブル)、首都圏は野村の仲介を加えて4社を中心に選ぶと良いでしょう。

売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2024年3月首都圏4社

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており圧倒的。
数多くの顧客を抱えています。

首都圏では、実績の大部分が首都圏の「野村の仲介+」も含めてトップ4社で考えると良いでしょう。

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三井のリハウス

地方では地域No1を探す

地方は大手の営業エリア外なので、地域No1の不動産会社を探します。

実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

専任と専属専任の特徴まとめ

それぞれの特徴をまとめるとこちら。

専任媒介契約の特徴

●1社としか契約できない
専任媒介契約を1社と結んだら、他の不動産会社とは媒介契約を結ぶことができません。
●自分で買主を見つけたら無料
自分で買主を見つけて売買契約をする場合は、手数料を払う必要もなく自由に契約できます。
●報告義務が2週間に1回
専任媒介契約を結んだ不動産会社は、2週間に1回以上の頻度で、営業状況を報告しなければいけません。ただし、書式や報告内容はとくに規定がありません。会社によって違います。
●レインズへの登録義務あり(7日以内)
専任媒介契約後7日以内「レインズ」へあなたの物件情報を登録しなければいけません。
●最長で3ヶ月の契約期間
専任では契約期間は最長で3ヶ月。あなたが再依頼することで、3ヶ月毎に更新できます。ただし、3ヶ月未満でも、双方が合意すれば専任媒介契約は解消できます。

(宅地建物取引業法第34条の2より)

専属専任媒介契約の特徴

●1社としか契約できない
専任媒介契約と同じで、専属専任契約を1社と結んだら、他の不動産会社とは媒介契約を結ぶことができません。
●自分で買主を見つけてもダメ
この契約だけは、自分で買主を見つけてもダメ。必ず不動産会社を通して手数料を支払う義務があります。
●報告義務が1週間に1回
専任媒介契約を結んだ不動産会社は、1週間に1回以上の頻度で、営業状況を報告しなければいけません。ただし、書式や報告内容はとくに規定がありません。会社によって違います。
●レインズへの登録義務あり(5日以内)
媒介契約後に5日以内に「レインズ」へあなたの物件情報を登録しなければいけません。
●最長で3ヶ月の契約期間
契約期間は最長で3ヶ月。あなたが再依頼することで、3ヶ月毎に更新できます。ただし、3ヶ月未満でも、双方が合意すれば契約は解消できます。

(宅地建物取引業法第34条の2より)

媒介契約で知っておきたいその他知識

仲介手数料はどの契約でも同じ

媒介契約を結んだ不動産会社には、売買契約が成立したら、仲介手数料を支払います。

仲介手数料の金額は、売買価格が400万円以上の場合は、次の価格が上限です。
仲介手数料の上限=売買価格×3%+6万円+消費税

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で決まっており、3種類の媒介契約のどれでも同じです。

仲介手数料を支払うタイミングは2種類ある

仲介手数料を支払うタイミングは、不動産会社によって次の2種類があります。

  1. 売買契約時に50%、引き渡し精算時に残り50%
  2. 売買契約時に0%、引き渡し精算時に100%

どちらになっているかは、不動産会社によって違いますし、希望すれば交渉できます。

仲介手数料は無理に値切らない方が良い

仲介手数料の価格交渉は、無理にしないほうが良いでしょう。

価格交渉をする場合は、媒介契約を結ぶ前に、サラッと聞いてみる程度にした方が無難です。

なぜなら不動産の売却価格は、不動産会社の担当者の頑張り次第で、簡単に100万円単位で変わります。

一方で仲介手数料を値切ってもせいぜい10万〜30万円程度。

不動産会社の担当者との信頼関係を大切にした方が、トータルではプラスになることが多いでしょう。

契約期間は1ヶ月限定とする方法もある

媒介契約を結ぶときにどうしても不安なら、初めだけ契約期間を1ヶ月とすることも可能です。

宅建業法で決まっているのは、最長3ヶ月という上限だけなので、不動産会社に交渉すればおそらく1ヶ月でも了承してくれるでしょう。

不動産会社を替えるなら契約終了後の方が簡単

もし不動産会社と媒介契約を結んでから、違う不動産会社へ替える場合は、できれば媒介契約の期間が終了するタイミングまで待った方が良いでしょう。

なぜなら、契約期間の途中で解約すると、それまでの広告費を請求される恐れがあるため。

不動産会社に明らかなミスや失敗があれば交渉できますが、あくまでそれぞれの不動産会社によって対応は違います。

不動産会社の動きが悪い場合は、まず苦情を伝えて、それでも直らなければ担当者を変更してもらいましょう。

不動産会社には正直に全て話す

売却を依頼する不動産会社には、正直に全ての事情を話しましょう。

なぜなら、売主(あなた)が問題を隠したまま不動産を売却すると、売主の告知義務違反や説明義務違反となるため。

最悪の場合は、買主から損害賠償金を請求されたり、売買契約を破棄される恐れもあります。

個人間契約はトラブルの元

個人間で不動産の売買契約を結ぶと、トラブルの元なのでオススメできません。

なぜなら不動産売買には敷地境界や瑕疵など専門的な知識が必要だから。

不動産会社を通すと、事前にトラブルの元を調査して、売買契約で問題と責任の所在を明らかにしてくれます。

不動産会社は法的に説明責任を負うため、手を抜くこともありません。

万が一、不動産会社の調査不足で売買後トラブルになれば、不動産会社に損害賠償を請求できます。

まとめ

売却時の媒介契約

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任
媒介契約
特徴 自由な契約 一般的な契約 厳しい契約
こんなタイプの人向き 不動産の売却経験がある人 普通の人 多少損でもお任せしたい人
実際の契約数
2022年実績
33% 51%
一番多い
16%
他社との媒介契約 × ×
自分で見つけた相手との直接契約 ×
契約の有効期間 制限なし
(行政指導により3ヶ月が一般的)
最長3ヶ月 最長3ヶ月
指定流通機構(レインズ)への登録 ×
登録義務なし

契約から7日以内

契約から5日以内
業務処理状況の報告義務 規定なし 14日に1回以上 7日に1回以上

媒介契約を決める3つの条件

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
条件1.売却を任せる不動産会社は、1社か複数か 複数可 1社のみ 1社のみ
条件2. 途中で買取に切り替えるか ×
条件3. 不動産会社のサービスを利用するか ×

いずれにしても不動産会社選びが大切です。

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あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!