売り出し価格イメージ
「不動産の売り出し価格は、どうやって決めるの?」

不動産の売り出し価格についてお悩みですね。

確かに不動産の売却なんて人生でそうありませんから、売り出し価格なんて決められないのが普通です。

でもせっかく売るなら高く売りたいし、かといって高すぎて売れないと困りますね。

そんなあなたに、不動産の売り出し価格の決め方について、分かりやすく解説します。

家の売り出し価格を決めるには、まず3つの価格を決めましょう。

この3つの価格さえ決まれば、あとはあなたの事情に合わせて売却戦略を考えるだけ。

ここまでしっかり考えれば、売却結果にきっと満足できるでしょう。

あなたの不動産売却が成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。

売り出し価格の元になる3つの価格

価格イメージ
不動産の売却価格を決めるためには、次の3つの価格を順番に決めていきます。

売り出し価格の元になる3つの価格

目標価格
売れる可能性があるギリギリの高値。
通常は適正価格+10%〜+20%程度。
適正価格
あなたの家の適正な価格
通常は3ヶ月以内に売れると予想される価格。
下限価格
これ以上は値下げしない下限の価格。
通常は適正価格-20%〜-30%程度。

それぞれ解説します。

まず基本となる『適正価格』

まず適正価格を決める
家の売り出し価格を決める時に基本となるのは、『適正価格』です。

適正価格は不動産会社の査定価格

『適正価格』は不動産会社の査定価格を使います。

不動産会社の査定価格とは、『3ヶ月以内で売れると予想される価格』のこと。

不動産会社に無料査定を依頼すると、不動産会社が提示してくれます。

ただしこの査定価格には4つの注意点があります。

それぞれ解説します。

注意点1. 不動産会社によって査定価格に差がある

不動産会社によって査定価格には差があります。

査定価格の差は5%〜最大20%以上になることも。

ハウスハウス

なんで査定価格がそんなに違うの?


家博士家博士

不動産会社によって査定能力、査定方法が違うし、担当者レベルでも変わるんだ。

不動産会社によって査定能力、査定方法が違う

大手の不動産会社は自社専用の査定システムがあり、AIなどを利用して査定します。

ですから一般的に大手は査定能力が高く、担当者レベルの個人差も少ない傾向。

一方で中堅以下の不動産会社は、手作業で計算するため、査定能力は担当者の個人のスキルや経験に左右されがち。

一部の会社では、東京カンテイや不動産流通センターなどの査定システムを利用していますが、査定の能力や結果はソフトによってまちまちです。

中堅以下の不動産会社は、査定能力や結果に差が出やすいでしょう。

担当者レベルで相場感が違う

担当者レベルで査定価格に差がつく原因は、査定計算の最後に『時点修正』として、相場の変動を反映させるため。

時点修正は、担当者の相場感覚で数字を決めるため、個人差が出やすいのです。

特に最近は、不動産相場の価格変動が激しく、査定価格に差がつきやすい環境です。

今は相場の価格変動が激しい

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国202403)

不動産価格指数とは

不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。

中古マンションは約11年で89%も値上がりしています。


戸建てはあまり上昇していないように見えますが、これは都心部の戸建てが上昇している分を、地方の戸建ての値下がりが打ち消しているため。

戸建ては立地によって、価格の2極化が進んでいます。

ハウスハウス

マンションの値上がりは凄いね!


家博士家博士

コロナの影響もあって、プロでも査定が難しい相場環境だよ。

少なくとも3社以上の査定価格で決める

不動産会社や担当者によって査定価格は違うため、1社だけの査定価格で適正価格を決めるのは危険です。

少なくとも3社以上の査定価格を元に適正価格を決めましょう。

注意点2. 査定価格は安くなる傾向がある

安いと早く確実に売れる

不動産会社は、基本的に査定価格を安くする傾向があります。

なぜなら安い方が、早く確実に売却でき安全だから。

そもそも不動産は、適正価格で売り出しても運が悪ければ3ヶ月以上売れないもの。

ましてや高値で査定すると、相場より高く売り出すことになり、何ヶ月も売れない恐れがあります。

そうなると会社の評判が悪くなり、担当者の社内評価も下がることに。

だから慎重な担当者ほど、査定価格を安くする傾向があるのです。

さらに不動産会社では、担当者に売却件数のノルマがあるので、多少安くても数を売ることが優先されます。

多少安くても多く売る方が不動産会社は儲かる

また不動産会社は多少安くなっても、多く売る方が儲かります。

例えば、100万円高く売っても、不動産会社の収入は3万3千円しか増えません。

一方で1件3千万円の物件を仲介すると、少なくとも105万6千円が増え、買主も見つける両手仲介ならその倍になります。

不動産会社の収入は仲介手数料で「売却価格×3%+6万円+消費税」。

高値で売れないより、安値でも早く売って件数を増やす方が不動産会社は儲かるのです。

ハウスハウス

安く査定されるのはイヤだなぁ。
どうすれば高く査定してもらえるの?


家博士家博士

複数の不動産会社に査定を依頼することだね。

複数に査定を依頼すれば、ギリギリの売れる高値になる

複数の不動産会社に無料査定を依頼すれば、不動産会社はギリギリ売れる高値で査定してくれます。

なぜなら他社より安値で査定すると、売主の印象が悪くなり媒介契約を逃す恐れがあるため。

1社だけだと安全な低めの査定になる恐れがありますが、複数に査定を依頼すれば不動産はより攻めたギリギリの売れる高値の査定になるのです。

注意点3. 売れないほど高値の査定もある

悪質な会社が売却の依頼を取るための手口

ごく一部の悪質な不動産会社は、売り出しても明らかに売れない高値で査定することがあります。

なぜなら査定価格が高い方が売主に好印象で、売却の依頼を取りやすいため。

ただし相場より明らかに高値の査定価格で売り出しても、当然売れません。

ズルズルと時間だけ過ぎてしまい、結局は値下げして相場通りかそれより安く売る結果に。

高値で査定する不動産会社もその価格で売れるとは思っておらず、いずれ値下げに誘導する予定で査定しています。

家博士家博士

高値で査定する悪質な不動産会社を選ぶと、相場よりかなり安い価格で手放す恐れもある。

囲い込みなどで大幅に安値に誘導される恐れも

明らかに高値で査定する不動産会社は、さらに囲い込みなど悪質な行為で、相場より大幅な安値に誘導する恐れがあります。

悪質な不動産会社は、提携する買取業者へ再販売の仲介を条件に売ることで、仲介手数料を最大で4倍稼げるのです。

悪質な不動産会社については、こちらで解説しています。

買取と仲介の査定価格を聞く方法もある

悪質な不動産会社の査定を見抜く方法として、買取と仲介の査定価格を聞く方法もあります。

不動産の売却方法には、買取と仲介(普通の売買)があります。

仲介と買取のイメージ

仲介と買取のイメージ

買取では不動産会社が買い取って転売するため、相場より2割以上安くなるのが一般的。

買取で高く査定すると、不動産会社が転売で損するため、買取の査定価格は相場の2割引きを超えることはありません。

一方で仲介(普通の売買)は、高値で査定しても不動産会社には責任がないので、悪質な不動産会社は仲介の査定だけ高くなるのです。

高すぎる査定価格のイメージ

悪質な会社の価格差イメージ

ハウスハウス

なるほど! 買取と仲介の査定価格が、あまりにも違うと怪しいってことだね。

複数の査定価格を比較すれば簡単に分かる

ただし悪質な不動産会社はごく一部で多くありません。

明らかに高い査定は、複数の不動産会社の査定価格を比較すれば簡単に分かります。

買取と仲介の両方で査定を依頼するのは、どうしても不安な方だけでも良いでしょう。

注意点4. 売り出し価格と成約価格は違う

査定価格は成約価格がベース

不動産会社の査定価格は、近隣の類似物件の成約価格が元になっています。

ですから今の近隣の売り出し価格より少し安めになってしまうことも。

不動産会社の査定書には、査定の根拠となった成約事例が記載されているはずなので、成約事例を確認しましょう。

ちなみに成約事例が多いほど、査定は正確になる傾向があります。

ハウスハウス

成約価格と売り出し価格はそんなに違うの?


家博士家博士

築年数によるけど1割〜3割違うね。

売り出し価格と成約価格は1割〜3割も差がある

中古マンションの売り出し価格と成約価格
(首都圏2022年・築年数別)

首都圏2022年マンション売り出し価格と成約価格の差

中古戸建ての売り出し価格と成約価格
(首都圏2022年・築年数別)

首都圏中古戸建ての築年数毎売り出し価格と成約価格2022年


ハウスハウス

なんでこんなに差があるの?


家博士家博士

売り出し物件のうち、実際に売れるのは半分以下だからだよ。

売り出しても売れるのは半数以下

最終的に売買が成立する「成約価格」は、今の売出し価格とは違います。

なぜなら中古不動産は、売り出しても全てが売れるわけでなく、実際に売れるのは半数以下だから。

売主の一部は試しに高値を狙って売り出す『売れたらラッキー』という層です。

ハウスハウス

えー!
半分以上が売れてないの!


家博士家博士

だから成約価格を元に査定するんだ。
でも成約価格は不動産会社しか見れない。

成約価格は不動産会社しか見れない

成約価格は不動産会社しか見れません。

なぜなら不動産の成約価格が登録されているレインズは、不動産会社しか利用できないため。

レインズとは
国内唯一のデータベースで、過去の不動産取引事例、現在の売り出し物件情報が登録されています。
国土交通省の指定流通機関である、不動産流通機構が運営。
不動産会社しか利用できません。
(参考)家を売るときに知っておきたい「レインズ」のこと

ハウスハウス

でも今はAI査定とか、マンション価格が簡単に分かるよね。


家博士家博士

AI査定もレインズは使えない。
仕方なく売り出し価格などの無料情報を使っているから、精度は参考程度に考えた方が良いよ。

AIなどの匿名査定はレインズを使えない

さらにレインズの規約により、AI査定などの価格診断では成約価格を利用することができません。

レインズの成約価格を不動産会社が利用できるのは、売主の不動産を査定するときに限定されているのです。

個人でも成約価格を見れるが一部だけ

一応、個人でも成約価格の一部を見れますが、詳細が隠されているため自分の物件との比較は難しいでしょう。

こちらで成約価格の一部が見れます。

  1. 国土交通省 不動産取引価格情報検索システム
  2. レインズ マーケットインフォメーション

ハウスハウス

不動産会社はレインズの成約価格で査定できるから、査定が正確なんだね。


これらの注意点を踏まえて、具体的な適正価格の決め方を解説します。

適正価格を決める手順

具体的に適正価格を決める手順は、

適正価格を決める手順

  1. エリアで売却実績が豊富な不動産会社3〜6社に無料査定を依頼する。
  2. 不安なら査定を依頼するとき、『買取』と『仲介(普通の売却)』の両方の価格を依頼する
  3. 不動産会社の査定価格を受け取ったら、話を聴き比べて次のどちらかを選ぶ。
    • 信頼できると判断した不動産会社の査定価格
    • 全ての不動産会社の平均値

まずエリアで売却実績が豊富な不動産会社の方が、査定精度は高くなります。

さらに3〜6社の複数に査定を依頼することで、査定はより正確になり、幅広い意見が聞けます。

また不動産会社が競争して、売れるギリギリの査定価格を出してくれるでしょう。

悪質な不動産会社が不安であれば、『買取」と『仲介(普通の売却)』の両方の査定価格を依頼することで、より見抜きやすくなります。

ハウスハウス

売買実績が豊富な不動産会社はどこなの?


家博士家博士

都市部なら大手3社が強いね。


実績は大手3社が強い

売買仲介件数ランキング上位35社
(2023年3月)

不動産会社の売買仲介件数ランキング2023年3月

不動産売却の実績は、大手3社に偏っています

三井のリハウス住友不動産販売東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。

都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。

ハウスハウス

大手3社は別格だね。


家博士家博士

3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。

【大手1】三井のリハウス
37年連続で売買仲介件数1位

三井のリハウス

  • 店舗数 286店舗
    (首都圏182、関西圏46、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
  • 三井のリハウスは、37年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。

    独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。


    多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。

    また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。

    家博士家博士

    業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
    他と比較する基準にもなるからね。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    【大手2】住友不動産販売
    熱心な営業スタイルに定評

    すみふの仲介ステップ

    • 店舗数 234店舗
      (首都圏136、関西圏58、中部東海15、北海道8、東北4、中国7、九州6)

    住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。

    現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。

    自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。

    家博士家博士

    スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。


    【大手3】東急リバブル
    東急沿線や大型案件に強み

    東急リバブル

    • 店舗数 216店舗
      (首都圏141、関西圏42、名古屋11、札幌9、仙台6、福岡7)

    東急リバブルは売却に便利なサービスが充実しています。

    例えば予定期間で売れないと査定価格の90%などで買取る「買取保証」は、買い替えで安心。

    またリフォーム込で売り出す「アクティブ売却パッケージ」は、築古マンションを売り出す方法として効果的です。

    家博士家博士

    初めての買い替えや売却で心配なら、話を聞いてみると良いね。

    東急リバブルの無料査定はこちらから
    東急リバブル

    大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」

    大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。

    すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル野村の仲介+小田急不動産三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。


    すまいValue

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    ハウスハウス

    とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?


    家博士家博士

    売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
    首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)
    売主だけを担当するエージェント制

    SRE不動産
    大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。

    なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
    (※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)

    SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
    買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。

    結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。

    ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。

    家博士家博士

    SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
    大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。

    SRE不動産(旧ソニー不動産)の公式サイトはこちら
    SRE不動産

    その他エリアは地域No.1を探す

    大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。

    実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。

    不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。

    全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    適正価格が決まれば、次に目標価格を決めます。

    次に『目標価格』を決める

    目標価格は、適正価格と競合の売り出し価格から決めます。

    『目標価格』は適正価格+10〜20%

    目標価格の目安は、適正価格に10〜20%程度の金額を上乗せするイメージ。

    ただし中古住宅の場合、タイミングさえ良ければ、相場よりもっと高くても売れます。

    特に今売り出している競合物件が少ない場合は、高く売れる可能性が高いでしょう。

    競合の売り出し価格が大きく影響する

    買主は同条件の売出し物件を比較して決める

    目標価格を決めるときは、競合の売り出し価格が大きく影響します。

    なぜなら中古住宅を購入する人は、限られたエリアで、予算・広さ・築年数などを絞って探しているため。

    この条件の中であなたの家が魅力的であれば、相場より高くても売れてしまいます。

    ですから、目標価格がどの程度まで上乗せできるかを決めるために、近隣の競合物件の販売状況を確認しましょう。

    競合物件が多いと、競合に合わせた価格帯にした方が売れやすくなります。

    逆に競合物件が少ない場合は、目標価格を適正価格から20%以上にしても売れるかもしれません。

    競合物件はポータルサイトでチェック

    競合物件は、主なポータルサイトでチェックすると分かります。

    査定時に各担当者の意見も聞いてみる

    不動産会社の査定結果を受け取り、査定根拠などをヒアリングする際に、目標価格について意見を聞くと良いでしょう。

    実績が豊富な不動産会社は、リアルタイムで購入検討者と接しているため、相場観が磨かれています。

    目標価格をどのくらいにすれば良いか、どの程度まで高値でも売れる可能性があるか、担当者の意見を聞くと参考になります。

    最後に『下限価格』

    予算の都合で、これ以上で売らないと厳しい価格を「下限価格」とします。

    あらかじめ下限価格を決めることで、

    • 購入者との値下げ交渉(指値)が円滑に進む。
    • 売却期間が延びて、時間が無くなった場合も速やかに判断できる。
    • 売却の判断ミスを防げる。

    というメリットがあります。

    下限価格は適正価格−20〜30%

    目安としては、適正価格の20〜30%引きが一つのライン。

    なぜならそれ以下の価格であれば、どこかの不動産会社が買い取ってくれるため。

    下限価格を決めるときに、不動産会社の買取の査定価格が使えます。

    複数の不動産会社に査定を依頼する際に、買取価格もあわせて聞くと、下限価格の目安がより明確になります。

    下限価格を不動産会社に伝えるときは慎重に

    下限価格を不動産会社に伝えるときは、慎重に考えましょう。

    というのも、不動産会社が下限価格ありきで値下げ交渉を仲介する恐れがあるため。

    不動産会社は売買を成立させないと、仲介手数料が1円ももらえません。

    そのため、多少値下げしてでも売買交渉をまとめようとしがちです。

    もし売主が下限価格を宣言してしまうと、不動産会社はその下限までなら値下げOKとして買主側と下打ち合わせする恐れがあります。

    あくまでビジネスパートナーとして、手の内は全て明かさずに、上手く交渉を進めましょう。

    ここまで3つの価格が決まれば、次に売却戦略を考えます。

    売却戦略は「価格」と「期間」

    売却戦略で基本となるのは、

    • 家を売却する「価格」
    • 売却にかける「期間」

    「価格」と「期間」は不動産会社と相談しながら、売主のあなたが決めます。

    高く売るなら時間をかける

    高く売るなら、ある程度時間をかける方が良いでしょう。

    一般的に売却期間は

    • 最低で3ヶ月
    • 出来れば6ヶ月

    と考えます。

    ただし物件により差が大きく、需要が少ない物件は長く、人気物件だと短くなるもの。

    複数の不動産会社に意見を聞いてみましょう。

    早く売るなら安く売り出す

    時間が無い場合、例えば1ヶ月も待てない場合は、

    • 相場より1割程度安く売り出す
    • 不動産会社に買取ってもらう

    という選択肢の方が現実的です。

    期間の平均は2.5ヶ月〜4ヶ月程度

    マンション・戸建て・土地で違う

    ちなみに不動産の成約期間(首都圏2023年)は、

    • 中古マンション: 平均80.1日
    • 中古戸建て: 平均83.3日
    • 土地: 平均79.0日

    マンションの方が早く売れ、戸建てと土地はやや時間がかかる傾向があります。

    コロナで売り出しが減り、今は早く売れる傾向

    ただし中古マンションと戸建ては、コロナの影響で売り出しが減って、今は一時的に成約期間が短くなっています。

    中古マンションと戸建ての成約期間の推移
    (首都圏)

    売出しから成約までの日数の推移(首都圏平均2023)

    土地はあまり変化していませんが、平均は2.5ヶ月〜4ヶ月の範囲で推移しています。

    土地の成約期間の推移
    (首都圏)

    土地の成約期間の推移(2023年首都圏)

    今後は売り出しが戻ってきたので、成約期間も長くなると予想されます。

    前後に1.5ヶ月程度かかる

    ちなみに売却期間全体では、準備に半月、引き渡しまで約1ヶ月かかるので、さらに1.5ヶ月ほどかかります。
    売却期間イメージ(首都圏2023年)

    売却期間についてはこちらの記事でも解説しています。

    売却戦略の具体例

    具体的な売却戦略の例です。

    価格重視の場合

    【戦略の条件】
    査定価格が、4社平均で、2,400万円(これがベースとなる適正価格)。
    希望価格は、競合も少ないので2,800万円(これが上限)。
    下限価格は、ローン残債と手数料などから2,000万円(これが下限)。
    売却期間は6ヶ月。

    これを伝えると、不動産担当者は例えばこの様なプランを提案してくれます。
    あくまで、市場の反響を見ながら価格を下げるか判断します。
    市場の反響とは、物件確認の問い合わせと内覧の件数。
    内覧が数件あるようなら、価格は下げなくても売れる可能性があると考えられます。
    家を売却する価格戦略の例

    時間重視の場合

    【戦略の条件】
    査定価格が、3社平均で、3,200万円(これがベースとなる適正価格)。
    希望価格は、時間が少ないので適正価格と同じ3,200万円(これが上限)。
    下限価格は、ローン残債と手数料などから2,600万円(これが下限)。
    売却期間は2ヶ月。

    時間がないので、時間を重視して、適正価格で売れれば良しとした戦略です。
    これを伝えると、例えばこの様なプランを提案してくれます。
    家を売る価格戦略の例2

    まとめ

    ここまで、売り出し価格と売却戦略について解説してきました。

    売り出し価格を決めるときは、先に適正価格・目標価格・下限価格の3つを決めます。

    そのためには、まずエリアで売買実績が豊富な不動産会社3〜6社に無料査定を依頼。

    買取と仲介の査定価格を比較して、信頼できる適正価格を決めましょう。

    都市部なら大手3社(三井のリハウス住友不動産販売東急リバブル)が実績豊富。

    とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、37年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。

    三井のリハウスの無料査定はこちらから
    三井のリハウス

    大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。

    すまいValueの公式サイトはこちら
    すまいValue

    大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)

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    首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。

    全国対応の一括査定サイトとして定番はこちら。

    その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。

    あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!