税金の滞納で家が差押えられてしまった…。
裁判所から仮処分の通知がきてしまった…。
売るつもりだった家が、差し押さえや仮処分になってしまった場合、家を売ることはできなくなるのでしょうか?
結論からいうと、家が差押えや仮処分になってしまっても、正しい手順で対応すれば、家を売ることは可能です。
ただし例外もあります。
この記事では、家が差押え・仮処分された家が売れるのか判断する方法、失敗しないための注意点をまとめました。
あなたの家のトラブルが解決して、無事に家の売却ができるために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
差押え・仮処分は3つのケースがある
家が売れるかどうかは、差押え・仮処分の種類と段階によります。
差押え・仮処分には次の3つがあります。
- 競売開始決定後の差押え
- 税金の差押え
- 処分禁止の仮処分
それぞれ解説します。
ケース1. 競売開始決定後の差押え
住宅ローンなど抵当権の付いた借入金を滞納すると、家は競売にかけられます。
差押の登記設定後は家を売れなくなる
裁判所による競売開始決定が出ると、対象となる不動産には「差押」の登記が設定。
競売では、差押の登記設定後は、自由に家を売れません。
家を売れないだけでなく、様々な制限を受けることになります。
売れない他には、どんな制限を受けるの?
家を担保にお金を借りる行為(担保権の設定)や賃借権・地上権の設定といった行為ができなくなるんだ
いずれも対象不動産の財産価値が減少してしまう行為。
財産価値を保全するために制限されることになります。
競売の流れ
競売は次のような流れで行われます。
競売の流れ
- 住宅ローン滞納
↓(約2〜3ヶ月) - 督促書・催告書通知
銀行からの督促が家に届きます。
↓(約1〜2ヶ月) - 期限の利益喪失
銀行が一括返済を要求します。
↓(数日) - 代弁決済の要求
これ以降はあなたの交渉相手が銀行から保証会社に代わります。
↓(数日) - 競売申立
保証会社が裁判所に競売を申立てします。
↓() - 不動産競売開始決定・差押登記←これ以降は売れない
裁判所が競売の開始を決定し、差押登記がされます。
↓(約1〜3ヶ月) - 現況調査・評価
裁判所から執行官と調査人が家に来て家の調査をします。
↓(約1〜2ヶ月) - 売却実施処分
↓ - 公告
あなたの家の情報が公開されます。
↓(約1ヶ月) - 開札・特別売却
1週間の入札期間があり、終了後に開札されます。買受がない場合は、早いもの勝ちの特別売却になる場合も。開札の前日が取り下げの期限
↓(約1週間) - 売却許可決定(売却許可決定期日)
↓ - 代金納付(所有権移転)
買受人が代金を納付すると、所有権が移転し、完全にあなたの所有ではなくなります。
↓ - 引渡命令
↓ - 不動産明渡執行の申立:
なんだか字がいっぱいで、読む気にならないよ。
差押登記だけ知っておくと良いよ
債権者(申立人)が取り下げれば売却可能
競売開始決定後でも債権者(申立人)が競売申立てを取り下げれば、差押登記が抹消でき、家を売ることが可能になります。
なお、競売申立ての取り下げは、開札期日の前日が実質の期限。
ルール上は開札が行われた後でも代金が支払われるまでは取り下げ可能ですが、落札者の同意が必要になります。
落札者が取り下げに同意する可能性は極めて低いので、実質的に「開札期日の前日」が期限なのです。
競売申立を取り下げてもらうためには、どうすればいいの?
一番確実なのは、家の売却代金で債務を精算することだね。
売却代金で精算可なら売却と同時に差押登記を抹消
差押登記を抹消するためには、滞納している借金を全額支払う必要があります。
もし、売却代金で滞納分を精算できるのであれば、売却代金を支払いに充てることで差押登記の抹消ができます。
具体的な流れは次の通り。
- 買主から売買代金を全額受け取る
- 受け取った代金で税金や借金を完済する
- 債権者が差押登記を抹消する
この3つの手続きは、一般的に同時に行います。
この時には売主、買主、双方の仲介業者、司法書士のほか、債権者も同席します。
全額返済できなくても登記抹消できる任意売却
仮に全額返済できなかった場合でも、交渉して債権者が納得すれば登記抹消はできます。
いわゆる「任意売却」です。
なお、任意売却するには債権者全員の同意が必要。
開札期日の前日までに行うという期限の制限はありますが、返済方法を柔軟に対応してもらえる可能性があるなどのメリットもあります。
任意売却については、こちらで解説しています。
任意売却について、単なる宣伝ではない本当の注意点や、それでも選ぶ場合のメリット、競売との違いなどを分かりやすくまとめました。
他の借金が多いなら個人再生
住宅ローン以外に無担保ローンが多いなら個人再生で競売を止める方法もあります。
個人再生で競売を止めるためには、「住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特則」を利用します。
この特則には、次のメリットがあります。
- 住宅ローンは残したまま他の借金を圧縮できる
- 住宅ローンの返済期間を最長で10年間延長できる
ただしこちらの注意点も。
- 住宅ローンの残債そのものは減らない
- 特則の利用には条件がある。
詳しくはこちらで解説しています。
競売を止めるには2つの方法があります。利用するための条件や具体的な方法について、分かりやすく解説します。
ケース2. 税金の差押え
固定資産税などの税金を滞納した場合にも、不動産が差押えられることがあります。
この場合、国や地方自治体は裁判所の関与なしに直接差押が可能。
例えば国税なら、督促から10日以内に納付されないと、その時点で差押ができるのです。
税金じゃない民間企業だったら、裁判所の関与がなければ差押できないの?
そうだね。抵当権の設定していない無担保ローンなどの場合は、まずは債務名義と呼ばれる文書を取得して、さらに執行文と呼ばれる文書も取得。
それから民事執行の申し立てをして、ようやく差押えできるんだ
直接差押ができる税金には強力な権限があるんだね。
全額納付を求められるケースが増えている
税金の差押えでは、差押登記を抹消するために、滞納している税金の全額納付を求められるケースが増えています。
なぜなら、税金の差押えには強力な権限があり、これを担当する人(公務員)は仕事として税金の回収を優先するため。
もし債務者に譲歩しても、税金の回収が難しくなるだけで、担当者にメリットはありません。
なんとか、交渉する方法は無いの?
無益な差押えを根拠に交渉する方法がある。
禁止されている超過及び無益な差押えを根拠に交渉する
税金の差押えに対して、禁止されている『超過及び無益な差押え』を根拠に交渉する方法があります。
なぜなら、税金で差押えられた家は、すでに住宅ローンでオーバーローンとなっている場合がほとんどだから。
仮に売却しても、全額納付は難しいのです。
売却すると滞納している税金以上の価格となる財産を差押えることが『超過差押え』。
逆に売却しても税金の回収が難しい財産を差押えることが『無益な差押え』。
税金を滞納している家に、すでに住宅ローンなど税金に優先する債権があると、無益な差押えとなります。
【参考】国税庁・第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止
すでにオーバーローンだから、本来であれば「無益な差押」なのか。
でもこんなことで交渉できるの?
無益な差押は禁止されているけれど、実際には頻繁に行われているんだ。
交渉力のある不動産会社に相談してみよう。
本来は禁止されている無益な差押。
そのため、交渉力のある不動産会社なら、相手次第ですが一部納付で調整できる可能性もあります。
任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談してみましょう。
任意売却の専門業者として、例えばこちらがあります。
⇒住宅ローン滞納問題相談室
任意売却について、詳しくはこちらの別記事で解説しています。
任意売却について、単なる宣伝ではない本当の注意点や、それでも選ぶ場合のメリット、競売との違いなどを分かりやすくまとめました。
ケース3. 処分禁止の仮処分
処分禁止の仮処分の場合は、トラブル解決が必要なので、売却はかなり難しいでしょう。
処分禁止の仮処分では問題解決が必須
処分禁止の仮処分では問題解決が必須です。
例えば、あなたがAさんから土地を購入したとします。
Aさんには購入代金をきちんと支払ったのに、Aさんが所有権移転登記に応じてくれないような場合には、あなたが購入した土地を第三者に売られてしまう可能性が出てきます。
お金を払ったのに、第三者に売られたりした大変!
こうした時にその土地を第三者に売ることを一時的に禁止するよう、裁判所に申請することができるんだ。こうした処分を「処分禁止の仮処分」というんだよ
仮処分の不動産を売却するなら、まずは問題解決の方法を弁護士に相談してみましょう。
弁護士の心当たりがなければ、法テラスを利用してみると良いでしょう。
法テラスは国が運営する法律問題の総合案内所です。
⇒法テラス
わからない場合は登記を確認してみる
差押や仮処分の不動産は、登記簿謄本で確認できます。
登記の確認方法は、こちらで解説しています。
不動産売却で「そういえば登記はどうなっていたっけ?」と思ったら。あなたが登記を確認した方が良いのか、そして登記を調べる方法、具体的にチェックすべきポイントについてまとめました。
売れるかどうかは不動産会社に相談
差押や仮処分された家は、普通に売るより大変にはなるものの、売却できないと決まったわけではありません。
まだ売れるかどうか判断するためには、まず不動産会社に相談してみましょう。
なお弁護士に相談するという方法もありますが、弁護士は法的な判断になってしまうため、実際に売れるかどうかは不動産会社に相談したほうが確実です。
任意売却などに精通した不動産会社に相談し、売却できそうな時はサポートしてもらいながら売却を進めてみてください。
色々大変かと思いますが、1日も早く解決することをお祈りしております。
一括査定サイトの定番3社
一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。 一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。 この3社以外についてはこちらにまとめています。
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おすすめ1位
すまいValue - 査定実績:
- 87万件(2016年開始)
- 不動産会社数:
- 大手6社(全国841店舗)
実績 5.0 不動産会社 4.5 運営会社 5.0 大手6社が共同で運営する一括査定サイト。6社といっても全国841店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。首都圏以外でもほとんどの都市で、三井・住友・東急の3社が実績トップを独占しています。
2024年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして定番になっています。
簡易査定を選べば郵送やメールで概算価格の査定が可能。
さらに詳しくはこちら⇒すまいValueの詳細 -
おすすめ2位
SRE不動産(旧ソニー不動産)- 査定実績:
- (2014年開始)
- 不動産会社数:
- 売主側1社(買主側多数)
- 運営会社:
- SREホールディングス(東証PRM)
実績 4.0 不動産会社 4.0 運営会社 5.0 すまいValueと合わせて利用したいのが、SRE不動産(旧ソニー不動産)。ただし利用できるエリアは首都圏と関西圏のみ。
あのソニーが始めた不動産会社で、大手で唯一のエージェント制を採用。他の不動産会社が積極的に買主を探してくれるため、高値でスムーズに売れやすいメリットがあります。またAI査定に定評があり、千社以上に技術を提供するほど。まずメールで概算価格だけ査定できます。
さらに詳しくはこちら⇒SRE不動産の詳細管理人のコメント
エージェント制は売主だけ担当し、買主は他の不動産会社が探すため、複数に売却を依頼するのに近い効果が期待できます。ただし一括査定でなく1社だけの査定なので、すまいValueとセットで利用がオススメ。
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おすすめ3位
HOME4U - 査定実績:
- 累計55万件(2001年開始)
- 不動産会社数:
- 2,300社
- 運営会社:
- NTTデータ・スマートソーシング
実績 5.0 不動産会社 4.0 運営会社 4.0 日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始から累計で査定実績55万件と実績は十分です。運営はNTTデータ(東証プライム上場)のグループ会社なので安心。
不動産会社は大小バランスよく登録されており、幅広く査定を依頼できます。机上査定を選ぶと郵送やメールで査定可能。
さらに詳しくはこちら⇒HOME4Uの詳細管理人のコメント
HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多く、自然と査定精度が高くなる仕組み。
ちなみに記入した内容は、後で不動産会社と話すときに修正できます。
あまり悩まずとりあえず現時点の希望を書いておけば問題ありません。
不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼すると良いでしょう。
【公式サイト】すまいValue
【公式サイト】SRE不動産
【公式サイト】HOME4U
各エリアで最適な組み合わせ
あなたのエリアで最適な一括査定サイトの組み合わせはこちら。