「一戸建てリフォームのよくある失敗は?」
一戸建てのリフォーム・リノベーションでお悩みですね。
確かにリフォームは費用もそれなりにかかるから失敗はしたくないもの。
でもリフォームについて知らないと、何に注意すればいいのかも分かりません。
この記事では、戸建てのリフォーム・リノベーションでよくある失敗と失敗しない6つの注意点を解説します。
あなたの大切な家のリフォームが成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
リフォーム・リノベーションの失敗とは
増えているリフォーム・リノベーションのトラブル
リフォーム・リノベーションのトラブルは増えています。
リフォームトラブルの新規相談件数
リフォームの相談を受け付けている「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理センター」によると、リフォームによるトラブルの新規電話相談件数は、この12年で約2倍になりました。
リフォームのトラブルって、例えばどんなこと?
よくある失敗例を紹介しよう。
よくある5つの失敗
戸建てのリフォーム・リノベーションでよくある5つの失敗はこちら。
それぞれ解説します。
失敗1. 完成後にイメージが違う
リフォーム失敗のレベルとしては軽いですが、残念なのがこのパターン。
具体的にはこんな事例があります。
- 壁紙やフローリングの色、質感が思っていたイメージと違った
- 扉の開く方向が使いにくい
- 窓が大きくなったら断熱性が悪くなった
- 部屋を広くしたら、邪魔な柱が残った
- 畳からフローリングにしたら、音がうるさくなった
リフォーム完成後に思っていたイメージと違うと悲しいよね。
失敗2. 高額な費用を請求される
悪質なリフォーム会社に高額な費用を請求される失敗。
特に訪問営業で、高齢者を狙うリフォーム会社に多くあります。
悪質業者の事例として、詐欺罪や特定商取引法違反(不実の告知)で逮捕者も出ているほど。
警視庁生活経済課は6月 30 日、東京都内にあったリフォーム会社「サムニンイースト」(現リブロ)の元営業担当者ら 4 人を詐欺と特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで逮捕した。
・うその説明で高齢者らに不要な住宅リフォーム契約を結ばせ、金をだまし取った疑い。
・同社はグループ数社とともに 2002 年以降、 34 都府県の約5,400 人とリフォーム工事を契約。約3年間の売り上げは全体で約115億円に上る。同課は売り上げの大半が不要な工事だったとみて追及する。
出典:国土交通省・悪質リフォーム事件等に係る報道例
国土交通省も悪質リフォーム対策検討委員会を設置しているけど、悪質な業者の被害は続いているんだ。
失敗3. 手抜きやミスでトラブルになる
リフォーム工事のレベルが低く、手抜きやミスで完成後にトラブルになるケースです。
例として次のような事例があります。
- 給水管の接続ミスで床下が漏水していた
- 排水管の勾配ミスで水の流れが悪くなる・詰まりやすくなる。
- 換気ダクトが接続されていなかった。
- 壁の筋交いが切断されて、耐震性能不足になった。
いずれも信じられない様なトラブルですが、実際にあった事例です。
ちなみに戸建てのリフォームで多い工事トラブルはこちらです。
失敗4. 法令違反等でリフォームできない
リフォームしようとリフォーム会社へ相談したら、法令違反になるためできないと断られることも。
なぜならリフォーム・リノベーションには数多くの法令・条例が関係するためです。
具体的には、次のような法令・条例があります。
戸建てのリフォーム・リノベーションに関係する法令
建築関係法令
- 建築基準法(地方公共団体が建築基準法に付加する条例等も含む)
- 都市計画法
- 消防法
- 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)
- 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)
- バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)
- 建設業法
- 建築士法
- 宅建業法(宅地建物取引業法)
- 長期優良住宅法(長期優良住宅の普及の促進に関する法律)
- 下水道法
- 浄化槽法
住宅に関するその他法令
- 住生活基本法
- 住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
- 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)
- マンション管理適正化法(マンションの管理の適正化の促進に関する法律)
民法その他関係法令・制度
- 民法
- 消費者契約法
- 特定商取引法(特定商取引に関する法律)
- 消費生活用製品安全法
- 建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)
- 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
- 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
頭がクラクラしてきた
まぁまぁ。法律が沢山あるってことだけ分かれば良いよ
失敗5. 耐震性不足、違法建築物になる
戸建てでリフォームした結果、耐震性が不足したり、違法建築物になってしまう失敗です。
件数は少ないですが、実際にありますし、多くはきっかけがないと表面化しないため気づかずに放置されています。
耐震性が不足したり違法になってしまうと、安全という大きな問題がありますし、さらに売却することも難しくなる場合があります。
リフォームには、いろいろ落とし穴があるんだね。
リフォームで失敗しないための注意点をまとめたよ。
戸建てリフォームの6つの注意点
それぞれ解説します。
注意点1. 訪問営業・無料点検は断る
突然家に訪ねてくるリフォームの訪問営業、無料点検などは全て断りましょう。
なぜなら訪問営業・無料点検は、費用が高額なケースが多く、詐欺など犯罪のトラブルの恐れもあるため。
年間1.8万千件超のトラブル相談
国民生活センターに寄せられたトラブル相談(2022年度)は、リフォーム工事の訪問販売と点検商法で合計1万8千件以上。
【参考】国民生活センター・訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
訪問営業はリフォーム費用が割高になることが多くトラブルになりがち。
また点検商法は、無料点検として家に上がり、床下に水が貯まっているなどウソをついて本来不要な工事を提案するもの。
訪問営業や点検商法の営業マンは誘導が巧妙で、素人は騙されてしまいがちです。
訪問営業の話は一切聞かずに、始めからきっぱり断りましょう。
断れない場合は、見積書だけもらい相談窓口へ
どうしても断れない場合は、まず見積書を作成してもらい、とりあえず帰ってもらって下さい。
そして見積書の内容を、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「リフォーム見積チェックサービス」に相談します。
リフォーム見積チェックサービスでは、無料で見積書の内容をチェックし、事業者に確認すべきポイントやリフォームの注意点などをアドバイスしてもらえます。
リフォーム見積チェックサービス(住まいダイヤル)
電話番号 0570-016-100
トラブルの相談窓口
トラブルになってしまった場合は、消費生活センターへ相談して下さい。
⇒独立行政法人 国民生活センター
また地方公共団体のリフォーム相談窓口もあります。
⇒地方公共団体におけるリフォーム相談窓口のご案内
注意点2. 経験豊富なリフォーム会社を選ぶ
戸建てのリフォームを依頼するなら、経験豊富なリフォーム会社へ依頼しましょう。
最低限チェックしたい条件
経験豊富なリフォーム会社の条件として、最低限チェックしたい条件はこちら。
- 建設業許可を取得している
- 国土交通大臣登録の加入団体に加入している
- 工事件数・売上高・設立年数・従業員数・有資格者数などを明示している
- リフォーム瑕疵保険が利用できる
- メーカー保証より手厚い自社保証制度がある
- 自社で賠償責任保険・工事保険などに加入している
沢山あるね。これ全部?
経験豊富なリフォーム会社なら、全部当然のことだよ。
もしこの条件を聴いても説明してくれないなら、怪しいと思ったほうが良いね。
経験不足・能力不足のリフォーム会社も多い
リフォーム会社には素人同然の会社も多くあります。
なぜならリフォーム会社は、工事金額500万円以下なら、無許可・無資格で誰でも開業できるため。
特に要注意なのは、リフォーム会社で雇われて働いていた人が独立したばかりのケース。
こういった人は工事の腕は良くても、今まで営業など他の人が担当していた法令・構造・契約には素人だったりします。
実績欲しさに法令・構造を無視する恐れも
また実績が少ないリフォーム会社では、工事実績欲しさに法令や構造を無視する恐れもあります。
例えば、依頼主の要望(デザイン優先など)に応えるために、法令的にはアウトだけどあえて無視するケース。
また設計段階では法令・構造に問題がなくても、現場で壁を解体したら問題が判明し、変更が大変なので無視するケースも。
立ち上げたばかりのリフォーム会社では、リスクを犯しても受注をとる傾向があるので注意して下さい。
経験豊富なリフォーム会社は、事前説明でトラブルを防ぐ
経験豊富なリフォーム会社は、事前の説明やアドバイスでトラブルを防ぎます。
例えば完成後にイメージと違う原因の多くは、リフォーム会社の説明不足。
壁紙やフローリングのリフォームでは、サンプルを見せるだけでなく、全面を変えるとサンプルより明るく(淡く)見えることまで説明します。
また床材やドアと壁紙の色調は基本色を合わせるなど、基本的な考え方もアドバイス。
中には専用ソフトを使って、パースや3Dイメージで説明してくれるリフォーム会社もあります。
経験豊富だと、ノウハウが蓄積されているんだね。
トラブルを避けるために、実績豊富なリフォーム会社を選ぼう。
注意点3. 3社以上の相見積もりを取る
戸建てのリフォームでは、必ず複数のリフォーム会社に相見積もりを取りましょう。
相見積もりをとる3つのメリット
複数に相見積もりをとると、次の3つのメリットがあります。
- 話を聴き比べるので、悪質な会社にダマされない。
- 相場が分かり、価格交渉にも有利。
- 各社の提案を比較して、最適な会社を選べる。
3社〜5社程度を一括査定サイトで探す
相見積もりを依頼するリフォーム会社の数は最低3社以上は欲しいところ。
ただし多いと対応が大変なので多くても5社程度が良いでしょう。
もしリフォーム会社の心当たりがなければ、一括査定サイトを利用すると便利です。
一括査定サイトはいくつかありますが、定番はホームプロ。
ホームプロは、10年連続でリフォームサイト利用者数1位(リフォーム産業新聞による)
ホームプロでは匿名で見積もりが依頼でき、最大8社を紹介。
匿名の状態で業者と商談でき、断るときもボタン一つで可能です。
⇒【公式サイト】ホームプロ
リフォーム業者の比較サイトをまとめ、おすすめ4社をピックアップ。リフォーム比較サイトなら、あなたのエリアで実績が豊富なリフォーム業者に、まとめて相見積もりを依頼できます。また見積比較や業者選びの注意点も解説しました。
注意点4. 工事前に契約書を交わす
戸建てのリフォームでは、工事前にきちんと契約書を取り交わしましょう。
契約書の内容
リフォーム契約書の内容は、次が記載されているか確認して下さい。
- 請負契約書
- 契約者、契約金額、工期、支払時期と方法など
- 請負契約約款
- 契約に関する細かい約束事。
遅延損害金や瑕か 疵し 担保責任、紛争の解決方法など。 - 見積書
- 契約金額と明細を記載。設計図書と照合し、内容、工事範囲を確認。 「工事一式」の費用のみ記載されていたら、明細を取り寄せる。
- 設計図書
- 平面図などの設計図、各部屋の内装仕上材一覧を記入した仕上表など。 打ち合わせで決めた内容が盛り込まれているか確認。
- 打合せ記録
- いつ何が決定されたかの記録。打ち合わせの都度作成。
内容をチェックするときは、次の標準契約書式と比較すると分かりやすいでしょう。
【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・標準契約書式
注意点5. リフォーム前提で購入なら事前に相談
リフォームを前提で一戸建てを購入する場合は、必ず事前にリフォーム会社へ相談しましょう。
なぜなら法令や耐震構造の制約で、できないリフォームもあるため。
例えば間取りを変えるために壁を抜くと、耐震性能に大きく影響します。
また容積率や建ぺい率の制限、耐火性能の制限など、専門家でないと判断が難しい内容も。
具体的な失敗事例は次章で紹介します。
リフォーム会社にも当たり外れがあるので、3社程度に意見を聞いたほうが安全でしょう。
注意点6. 売却前のリフォームは不動産会社に相談
一戸建てを売却する前にリフォームする予定なら、そもそもリフォームが必要か不動産会社に相談しましょう。
売却前のリフォームは費用を上乗せできず損しがち
なぜなら売却前にリフォームしても、リフォーム費用を全額上乗せできず、トータルで損しがちだから。
国土交通省の調査でも、個人売主による売却前のリフォームには失敗が多いことが分かっています。
売却前のリフォームについては、こちらの記事で解説しています。
家を売る前にリフォームは必要? 売却前のリフォームについて、国土交通省の調査結果から検証します。
実績が豊富な不動産会社3社〜6社に意見を聞く
売却実績の豊富な不動産会社3社〜6社程度に無料査定を依頼して、リフォームが必要か意見を聴き比べましょう。
売却実績の豊富な不動産会社なら、購入者の傾向をよく知っています。
ただし担当者の当たり外れもあるので、最低3社以上は意見を聞いたほうが確実。
かといって多すぎると大変なので、多くても6社程度が良いでしょう。
実績が豊富な不動産会社はどこ?
都市部なら大手3社が強いね。
実績は大手3社が強い
売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。
都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。
大手3社は別格だね。
3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位
(首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。
独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。
多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。
また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。
業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。
⇒三井のリハウス
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 203店舗
(首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。
自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。
スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
住友不動産販売「すみふの仲介 ステップ」は、売買仲介件数が業界2位の大手。家の売却ならぜひ候補に入れたい1社ですが、注意点もあります。住友不動産販売のメリットと注意点を分かりやすく解説、そして利用者の評判を紹介します。
【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み
- 店舗数 220店舗
(首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)
東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。
東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」
大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。
すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・小田急不動産・三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。
⇒すまいValue
とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?
売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。
SRE不動産(旧ソニー不動産)
売主だけを担当するエージェント制
大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。
なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
(※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)
SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。
結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。
ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。
SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。
⇒SRE不動産
SRE不動産(旧ソニー不動産)の口コミや評判、裏事情などから、あなたがソニー不動産を利用すべきなのか徹底評価しました。
その他エリアは地域No.1を探す
大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。
実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
戸建てのリフォーム・リノベーションで法令違反になる例
一戸建てのリフォーム・リノベーションにおける主な法令違反の例を紹介します。
例1. 間取りを変更して部屋を広げる
間取りを変更して部屋を広げると、次の2点の法令違反の恐れがあります。
① 構造耐力上必要な壁を取り払ってしまうことによる耐力の低下
② 居室環境の悪化とシックハウス
壁が減ると地震に弱くなる
続き間になっている和室を一室にするなど、間取りを変更する際は「必要壁量が確保されているか」に要注意。
本来必要な壁を移動・撤去し必要壁量が不足すると、地震に弱い危険な家となってしまいます。
必要な耐力壁をどうしても撤去したい場合は、代わりとなる耐力壁を新設したり、筋交いを入れたりして必要壁量を確保します。
窓の面積が変わると採光面積と換気面積が不足する
居室には自然採光や換気に有効な窓などを設ける必要があります。
その基準となるのが、採光面積と換気面積。
それぞれ「必要面積」と「有効面積」が決まっているのです。
採光面積も換気面積も、有効面積が必要面積以上になるようにしなければならないとされているよ
必要面積と有効面積については、それぞれ次の通りとなっています。
- 採光面積について
- 必要採光面積は床面積の1/7、有効採光面積は窓面積×採光補正係数
- 換気面積について
- 必要換気面積は床面積の1/20、有効換気面積は外気に向かって開放できる実面積
シックハウス対策も必要
また、シックハウス対策に不備がある場合も、リフォーム等による失敗例。
シックハウス対策については、規制対象となる建材の使用制限や24時間換気を居室に設置すること、天井裏等に換気設備を設置することなどが義務付けられています。
シックハウスについては、こちらの記事でも解説しています。
シックハウスは瑕疵になるのでしょうか。判断のポイントをまとめました。
例2. 屋根裏や車庫を部屋にする
屋根裏や車庫を有効活用するため、部屋に変更するリフォームもよくあるパターン。
この場合は次に注意が必要です。
- 容積率オーバー
- 壁量不足
- 採光及び換気面積不足
多いのが容積率オーバー
容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。
用途地域や接道の状況によって最高限度(指定容積率)が決まっています。
この容積率に関しては、主に車庫を部屋に変えた場合に起こりやすい失敗の一つ。
そもそも車庫は部屋ではなく車などを駐車するスペースとして利用されるため、容積率に算入されないという緩和の対象になっています。
※正確には、その建物の延べ面積の1/5を限度として容積率に算入されないとされる。
しかし、そこを部屋にするとなると緩和の対象外となり床面積が容積率に算入されるため、容積率オーバーとなる可能性があるのです。
【参考】国土交通省・建築基準法制度概要集
部屋に変えると採光と換気、屋根裏は耐震性も
また、部屋に変えると「居室」となるため、採光面積や換気面積の基準をクリアしていることも必要。
屋根裏を部屋にする場合は、屋根裏を利用することで建物の荷重が増すため、構造耐力上必要な壁量があるかどうかもチェックしておきましょう。
例3. 出窓やバルコニーを設ける
出窓やバルコニーを新しく設置する場合は、次に注意が必要です。
- 防火性能があるか(バルコニー)
- 建ぺい率や容積率をオーバーしていないか
準防火地域は不燃材料
家が準防火地域にある場合、バルコニーは不燃材料にしなければならないという決まりがあります。
不燃材料ということは、燃えやすい木製はダメだということ?
そう。アルミなど防火性能のあるものでつくるか、覆っておく必要があるんだ
建ぺい率や容積率は構造による
建ぺい率や容積率に関しては、出窓やバルコニーの構造次第。
構造によって建築面積と床面積に算入するかどうかが変わります。
なお建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
建ぺい率も用途地域によって上限が決められているんだ。
防火地域や一定の要件を満たす角地などでは建ぺい率の緩和措置が設けられていて、実質的に『制限なし』となることもあるよ
例4. キッチンの模様替え
キッチンは「火気使用室」となるため、模様替えの際には内装材に制限があります。
キッチンとリビングが一体となっている場合(扉で区画されていない場合)は、リビングの部分も含めて天井と壁の内装を準不燃以上の不燃性能のある材料にしなければなりません。
ただしキッチンとリビングが一体となっている場合でも、50cm以上の垂れ壁で区画すればリビング部分の内装は不燃性能がなくてもOK。
垂れ壁は不燃材料でつくるか、不燃材料で覆っておく必要があります。
また、ガスコンロ周辺は不燃材料でなければいけないため、そのほかの壁と一緒にビニルクロス張りにする等はNG!
不燃材料とする範囲は市区町村の条例によっても異なるため、模様替えの際は管轄の消防署に相談しましょう。
例5. ディスポーザーを設置する
流し台の下にある排水設備に直接取り付け、生ごみを処理してくれるディスポーザー。
生ごみの嫌なニオイや害虫を防いでくれるといったメリットがあります。
その一方で、下水処理施設への負担が大きいというデメリットも。
自治体によっては条例でディスポーザーの設置を禁止しているところもあるため、自治体への確認は必須です。
設置が許可されている自治体であっても、基本的には排水処理槽などを併設した「ディスポーザー排水処理システム」としての設置が求められます。
例6. 断熱改修して外壁や窓を改修する
これは防火地域・準防火地域および法22条区域と呼ばれる特定行政庁が指定する区域で、特に注意が必要なケース。
これらの区域では外壁や軒裏に防火性能が定められています。
屋根は瓦やコンクリート、れんがといった不燃材料でつくるか葺く必要あり。
外壁も防火性能か準防火性能を有する材料に制限されます。
どちらが必要かは地域によっても変わるんだ。防火性能が必要なら、軒裏も同じ性能になるよ。
窓も、樹脂素材の断熱サッシは使えません。
防火認定品サッシまたは鋼製サッシに網入りガラスを使います。
例7. サンルームの設置、小規模な増築
サンルーム設置の注意点
サンルーム設置で注意するポイントは次の2つ。
- 容積率や建ぺい率オーバー
- 斜線制限
サンルームを設置すると床面積も増えるため、容積率や建ぺい率をオーバーしないか確認する必要があります。
また道路側にサンルームを設置すると、斜線制限にかかる恐れも。
斜線制限は採光や日照、風通しの確保を目的とした制限で、道路斜線・隣地斜線・北側斜線などの制限があります。
【参考】東京都・用途地域と高さの制限
小規模な増築の注意点
小規模な増築の注意点は次の通り。
- 建築確認申請の必要性
- 防火性能
一戸建てで増改築する場合は、建築確認申請が必要になります。
建築確認申請とは、建築基準法など基準に適合しているかどうかを第三者がチェックする手続き。
普通のリフォームより時間も費用もかかり、場合によってはリフォームが認められない恐れもあります。
増改築の場合は地域区分によって建築確認申請が必要か違うんだ
- 防火地域または準防火地域内の場合
→面積に関わらず建築確認申請が必要 - 防火地域または準防火地域以外の場合
→10平方メートルを超える場合に建築確認申請が必要
また延焼の恐れのある部分は防火性能を守る義務があるため、増改築部分を既存部分と同じ材料で仕上げらない恐れもあります。
ちょっとリフォームするだけでも、色々制限があるんだね。
やっぱり実績が豊富なリフォーム会社に相談して、意見を聞くのが確実だよ。
リフォームではお得な補助・減税や安心できる保証もあるから、色々教えてもらおう。
リフォームで利用したい保険や減税制度など
リフォームでは、瑕疵保険や減税制度、融資制度、補助制度といったさまざまな制度が利用できます。
リフォーム瑕疵保険
リフォーム時の検査と保証がセットになっているリフォーム瑕疵保険。
リフォーム瑕疵保険に加入している業者に依頼すれば、工事後に万が一、欠陥が見つかっても安心です。
保険期間は工事を行った部分によって変わりますが、工事完了から1年間または5年間。
最大1,000万円まで補償してもらえます。
【参考】一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会・リフォーム瑕疵保険
減税制度について
一定の条件を満たすリフォームを行った場合に、所得税の控除や固定資産税の減額といった減税の対象となります。
【減税制度の対象となる工事】
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応(三世代同居)リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
また、条件を満たせば住宅ローン減税により所得税の控除も可能です。
その他、贈与税の非課税措置、登録免許税の特例措置、不動産取得税の特例措置などもあります。
リフォームの補助制度
住宅性能を向上させるリフォームや同居対応改修工事など、住宅の質を高めるリフォームに対しては国からの補助が受けられます。
他にも耐震診断や耐震改修に対する補助や、介護保険法にもとづく住宅改修費の支給も。
【参考】長期優良住宅化リフォーム推進事業
国が実施する補助制度以外に、地方公共団体が実施するものもあります。
リフォームの融資制度
中古住宅購入とリフォーム工事の費用をまとめた住宅ローンのほか、満60歳以上の方が対象となるリフォームローンなどがあります。
こうした支援制度の他に、リフォームの種類や進め方などを解説した「住宅リフォームガイドブック」に目を通しておくのもおすすめです。
【参考】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会・ 住宅リフォームガイドブック
まとめ
ここまで『一戸建てのリフォーム・リノベーションの失敗例と注意点まとめ』として、一戸建てのリフォーム・リノベーションについて解説してきました。
戸建てのリフォーム・リノベーションの5つの失敗はこちら
- リフォーム完成後にイメージと違い後悔する
- 明らかに高額なリフォーム費用を請求される
- 工事の手抜きやミスでトラブルになる
- 法令違反になるためリフォームできない
- 間違ったリフォームで耐震性不足、違法建築物になる
また戸建てのリフォームで失敗しないための注意点はこちら。
一戸建てのリフォームでは法令違反になる事例も多いので、不安な点はきちんと確認しましょう。
保険や減税制度も利用すると、安心です。
あなたの家のリフォームが成功することを、心よりお祈りしております!
リフォーム業者の比較サイトをまとめ、おすすめ4社をピックアップ。リフォーム比較サイトなら、あなたのエリアで実績が豊富なリフォーム業者に、まとめて相見積もりを依頼できます。また見積比較や業者選びの注意点も解説しました。