「マンションが古くなってきたけど、老後も住み続けられのだろうか…

「マンションの寿命がきたら建替えになるのか? 費用はどうなるのか?

マンションが古くなってくると、マンションの寿命や建替えが気になります。

しかしマンションの寿命と建替えには、マンションオーナーを悩ませる大きな問題があります。
廃墟マンションイメージ

1 マンション寿命と建替えの問題を3分で理解する

マンション寿命と建替えの問題をざっと理解するため、要点をまとめました。

マンション寿命と建替えの要点
  • マンションの寿命は、個々のマンションで違う。
  • 建替えできるかは、容積率と立地で決まる。
  • 建替えが難しいマンションは「解体して売却」又は「スラム化」のどちらか。

マンション毎に全く違う「マンションの寿命」

マンションの寿命は、マンションによって全く違います。

2014年時点でのマンションの平均寿命は33.4年
しかし内訳を見ると、築20年未満から築50年以上まで、マンションによって寿命に大きな差があることが分かります。

【全国のマンション建替え全事例の築年数割合】

全国のマンション建替事例の築年数比率

東京カンテイ調査/2014年時点の全国のマンション建替え事例

最も長い寿命のマンションは、日本の建築史でも有名な「同潤会アパート」
1929年完成、2013年に取り壊されるまで、84年間も住宅として利用されていました。

しかし2000年以前に建てられたマンションだと、寿命は長くても50年位が限界だと考えた方が良いでしょう。

詳しくは後ほど解説の4. マンションの寿命を決める要因とはをお読み下さい。

ハウスくんハウスくん

マンションにも寿命があるんだ…。
いつまでも永遠に住めるイメージだったけどな…。


家博士家博士

最近のマンションは比較的寿命が長くなっているけど、どうしても限界はあるんだ。
特に旧耐震設計のマンションは売ることも難しくなっているよ

建替えに大切な容積率と立地

寿命を迎えたマンションは全て建替えられると思いがちですが、現実に建替えられたマンションはごく一部だけ。

マンションは全国に約644万戸(2017年末時点)、旧耐震基準(1981年以前の基準)で建設された築35年以上のマンションは約106万戸

しかし建替えられたマンションは約3万戸(237件2018年4月時点)しかありません。
国土交通省 マンションに関する統計・データ等

ざっくり計算すると建て替えが必要な旧耐震マンションのわずか2.1%、マンション全体の0.5%しか建て替えられていません。
全国のマンション比率

ハウスくんハウスくん

なぜ一部のマンションは建て替えに成功したの?


家博士家博士

実は建替えに成功したマンションは、ある条件に恵まれていたんだ。

建替えに成功したマンションが恵まれていた条件とは…

  1. 容積率制限(土地面積に対する建物床面積の比率制限)に十分な余裕があった。又は容積率が緩和できた。
  2. 立地が比較的都心で、マンション購入希望者が大勢いた。

という2つの条件に一致していました。

だから建替えの際に

  1. マンションの戸数を大幅に増やした。
  2. 増やした戸数を新しい入居者に売却。
  3. その売却益を建替え費用に充てた。

結果として建替え費用を安くできたのです。

ハウスくんハウスくん

安い費用で、新築マンションに建て替えできたんだ!


家博士家博士

安い費用だったからこそ、住民の80%が合意できたんだよ。
住民の80%以上が合意しないと、マンションは建て替えできないからね

【例1】アトラス国領(東京都調布市)
大幅な容積率の緩和を受けた例です。

  • 建替え前: 144戸、容積率58%
  • 建替え後: 320戸(2.2倍)、容積率199.9%

アトラス国領

【例2】諏訪2丁目団地(東京都多摩市)
日本最大の建替え事例です。
大幅な容積率の緩和を受けた例です。

  • 建替え前: 640戸、容積率50%
  • 建替え後: 1,249戸(1.95倍)、容積率150%

諏訪2丁目団地

いずれの例でも、増えた戸数を新築として売ることで、建替え工事費の大部分をまかなえたのです。

しかし容積率制限に余裕のあるマンションはごくわずか。
多くのマンションは自治体と協議して、特別に容積率を緩和してもらう手続きをする必要があります。

もし容積率緩和が認められない場合、マンションの建替えには「1戸あたり2000万円を超える高額な建替え費用」が必要。

住民が高齢化している場合、この建替え費用を支払うのは難しいのが現実です。

容積率制限に余裕の無いマンションは、自治体と協議して容積率を緩和する。それができないと建替え費用が高額になり、建替えはできない。

ハウスくんハウスくん

容積率の緩和は簡単にできるの?


家博士家博士

駅の近くで、これから発展していくエリアは容積率を緩和できる可能性も高い。

建替えられないマンションはスラム化か解体

建替えができないマンションは、次第に空室が増えます。

特に2025年以降は団塊世代が75歳を超え、その多くが施設などに入居し始めることから、マンションの空室が急激に増えると予想されています。

マンション内で空室の割合が30%を超えると、マンションのスラム化・廃墟化が始まると言われます。

なぜなら空室が増えると、管理組合が機能せず、管理費や修繕積立金の滞納が増えるため。
管理組合が機能しないと、管理会社も管理や修繕ができません。

管理会社はいずれ撤退し、掃除がなくなりゴミが散乱し、照明が切れ、やがてエレベータも止まります

マンションがスラム化しても、マンションオーナーは所有権を放棄できません。
誰かに売らない限り、不動産の所有権から逃れることができないのです。

マンションを所有している限り、管理費や修繕積立金、固定資産税、都市計画税などの維持費を支払い続けることに。

スラム化したマンションを売ろうとしても、誰も買いません。
スラム化して売ることもできないという状態も、ある意味でマンションの寿命なのです。

具体例として、バブル時代に建てられた苗場スキー場の数千万円のリゾートマンション。
今は10万円で売りに出されていますが、誰も買いません。
苗場のマンション事例

ハウスくんハウスくん

10万円で売るなら、放棄した方が良いんじゃないの?


家博士家博士

法律では不動産の所有権を放棄することはできない。
不動産は誰か他の人に売る(譲る)ことしかできないんだ。
所有している限り、税金、管理費、修繕積立金を払い続けることになる。


ハウスくんハウスくん

子供に相続するときはどうなるの?


家博士家博士

子供が遺産の全てを放棄した場合に限り、スラム化したマンションの所有権も放棄できる。
ただそれでも子供に管理責任は残るので、子供が管理費や修繕積立金などを支払い続けることになる。


ハウスくんハウスくん

スラム化したマンションは、子供にまで迷惑がかかるんだね。

解体して土地を売却という選択肢

マンション住民の80%が合意すれば、もう1つの選択肢があります。

それは、「建物を取り壊して更地にして売る」という方法。
土地を売却した売却代金から、解体費用を差し引いた残りを、住民で分けることができます。

築年数が古くても立地が良いマンションであれば、解体した方が価値が上がり利益が発生することもあります。
解体も必ずしも悪い話ではありません。

ハウスくんハウスくん

建て替えは難しそうだけど、取り壊して更地にするならできそうだね


家博士家博士

今後は多くのマンションが、解体して土地を売却することになると予想されているよ

2 マンション寿命のチェックリスト

マンション寿命を判断するチェックリストです。
この項目に3つ以上あてはまる場合は要注意です。

【マンション寿命のチェックリスト】
  • 前回の大規模修繕で、修繕積立金を全て使い切っている。又は修繕費の融資を受けている。
  • 長期修繕計画の計画期間が30年未満で、修繕項目に、サッシ・配管・エレベーター・機械式駐車場等の取替が含まれていない。
  • 月々の修繕積立金が、「専有面積×200円/m2」より大幅に安い。
  • 積極的に管理組合の理事長をする人がいない。
  • 住民が入れ替わらず、住民の高齢化が進んでいる。
  • マンションの容積率に余裕が無く、自治体と容積率緩和を協議する環境ではない。
  • 徒歩7分以内に、鉄道の駅や市役所などの主要公共施設が無い。

ハウスくんハウスくん

3つ以上あてはまると、どうなるの?


家博士家博士

マンションの寿命が近づいているかもしれない。
今ならまだ間に合うので、先ずはいくらで売れそうか確認してみることかな

3つ以上あてはまるなら

3つ以上あてはまる場合、今後の選択肢を考えるために「マンションがいくらで売れそうか?」を確かめましょう

今は不動産相場が高騰し、マンションの価格が高騰しています。
あなたのマンションも思わぬ高値で売れるかもしれません。

不動産価格指数(全国)

不動産価格指数(全国)2019年3月

「不動産価格指数」とは
不動産価格指数とは、純粋に不動産相場の価格変動を見ることができる指数。
国土交通省がヘドニック法という統計計算手法を利用し、年間30万件の不動産売買成約価格から築年数や立地などの余計な要素を取り除き、純粋な価格変動をまとめたものです。

マンション価格は、日銀の金融緩和発表(2013年1月)以降、約6年で45%も上昇しています。

しかし、次のように予想する専門家も増えてきました。

  • 日銀の金融緩和もそろそろ出口が近い。
  • その前に世界的な景気の悪化が来る可能性も高い

金融緩和が終わると住宅ローン金利が上昇し、マンション価格がもとの水準まで大きく下げる恐れがあります。また景気が悪化しても同じことが起きるでしょう。

家博士家博士

もう少し様子を見てから…と考えるかもしれないけれど、この先どうなるかは誰にも分からないんだ。
分かっているのは、今、マンションの価格は高騰していることだけ。

マンションをいつか売る予定なら、早めに売ったほうが良いかもしれません。

家の売却が成功するかどうかは、不動産会社選びで8割が決まるといわれます。

もし不動産会社選びで失敗すれば、売却が長期化したり、安値で家を失う恐れも。

そんな失敗を防ぐために、優秀で信頼できる不動産会社を選びましょう。

優秀で信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントは…

  • エリアで不動産売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶこと。
  • 複数(3〜6社)の不動産会社に査定を依頼し、話を聴き比べること。

もし不動産会社の心当たりが無ければ、一括査定サイトを利用すると便利です。

一括査定サイトの定番3社+1社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。

一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。

この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue

    すまいバリュー
    実績5.0
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    年間36万件
    不動産会社数:
    大手6社・全国840店舗
    運営会社:
    大手6社共同運営

    大手6社(三井不動産リアルティ・住友不動産販売・東急リバブル・野村不動産アーバンネット・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年10月に立ち上げた一括査定サイト。
    6社といっても全国840店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
    売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
    首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
    2019年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして、「すまいValue」が新定番となっています。

    管理人のコメント

    地方では大手より地域密着の中小不動産会社の方が強い場合もあるため、地方の郊外から外れたエリアではLIFULL HOME'S又はHOME4Uも確認してみたほうが良いでしょう。
    しかし都市部の方は「すまいバリュー」が現状では最強の一括査定サイトです。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。
    机上査定と訪問査定が選べる点もおすすめ。

  2. 【公式サイト】すまいValue

  3. HOME4U

    HOME4Uイメージw330
    実績5.0
    不動産会社4.0
    運営会社5.0
    査定実績:
    累計35万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    1,300社
    運営会社:
    株式会社NTTデータ・スマートソーシング

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数35万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
    不動産会社は大小バランスよく登録されているため幅広く依頼ができます。

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
    ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
    あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておくと良いでしょう。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼した方がよいでしょう。

  4. 【公式サイト】HOME4U

  5. LIFULL HOME'S

    LIFULL HOMESイメージ
    実績4.5
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    非公開(サイト利用者476万人)
    不動産会社数:
    1,798社
    運営会社:
    株式会社LIFULL

    運営は、HOME'SのテレビCMでおなじみの東証1部上場 株式会社LIFULL。2008年にマンション専用でサービスを開始。2011年から戸建ても含めて売却査定ができる仕様に。参加会社数が多く、特に地元密着系の中小不動産会社が多数登録しています。

    管理人のコメント

    不動産会社を選ぶ際に、各社の特徴(買取保障、瑕疵保証制度あり、半数以上がベテランなど)がアイコンで表示されるので、選びやすいシステムです。
    訪問査定ではなく机上査定を希望する場合は、不動産会社へのメッセージ欄で伝えると良いでしょう。
    選ぶ会社の数は3社〜6社がオススメです。

  6. 【公式サイト】LIFULL HOME'S

都市部では「おうちダイレクト」を並用で

都市部では、すまいvalueと並用して「おうちダイレクト」を利用してみましょう。

おうちダイレクト

おうちダイレクトは、ネット大手のyahoo(ヤフー)とソニー不動産が運営する一括査定サービス。

登録されている不動産会社は、大手フランチャイズ系を中心に法人及び団体が9つ、合計2000店舗以上とかなりの規模。

おうちダイレクトを並用するメリットは、つぎの3種類の不動産会社へ査定依頼できること。

  1. 地域の売買情報に特化した地元密着系不動産会社
  2. ネットワーク力が強いフランチャイズ系不動産会社
  3. 片手仲介に特化したソニー不動産

このうち1〜2社だけでも意見を聴くことで、すまいvalueの大手不動産会社があなたに合っているのか、迷いなく判断できるでしょう。

エリアによっては、大企業より販売実績のある不動産会社も登録されています。

また、おうちダイレクトではyahooがネット広告をサポートするため、ネット広告力が強いことも大きなメリットといえます。

ただしサービス提供エリアは、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西圏(大阪・兵庫・京都・奈良)、札幌、そしてマンションのみ愛知県と福岡市。

これ以外のエリアは、NTTデータのHOME4Uを試してみて下さい。

おうちダイレクトの無料査定依頼はこちら
おうちダイレクト一括査定

マンション築20年以上、戸建て築15年以上ならリフォームプラン付きで売る方法も

首都圏・中部圏・近畿圏限定ですが、パナソニックが新しく始めたリフォームプラン付きの売却「Riarie(リアリエ)」なら、競合物件との価格競争を避けて、高く早く売れる可能性があります。

riarie

リアリエでは、複数のリフォームプランを3次元のコンピューターグラフィック(3DCG)で作成するため、家の魅力が大幅にアップ。

さらにリフォーム予算・補助金・減税メリットなどが明確なので、購入者の心理的ハードルが下がり、家が早く高く売れます。

パナソニックのリアリエについて詳しくはこちら
リアリエはリフォームプラン付きで家が早く売れる! 試すなら急ぐべき理由とは

リアリエの無料査定を試すならこちら
ReaRie(リアリエ)

長期的にはマンション価格は下がる

長期的には超都心部(東京都心5区など)を除くと、マンション価格は下がり続けます。

理由は、日本の世帯数が急減しているのに、新築住宅が増え続けているため。

【住宅戸数と世帯数】

住宅戸数と世帯数の変化

出典:総務省/住宅土地統計調査
総務省/国勢調査
国立社会保障・人口問題研究所/
日本の将来推計人口、日本の世帯数の将来推計

日本の人口は2004年にピークを迎え急減。
世帯数も2015年にピークを迎えて減少しています。

一方で住宅戸数は毎年90万戸の勢いで増加。
日本では新築住宅がドンドン建築されています。

2013年に820万戸だった空き家戸数も、2017年には1,000万戸以上に。

2040年には空き家率30%を超え、理論的には住宅価格が平均47%下落するという予想もあります。(シンガポール国立大学の研究による)

2025年には団塊の世代が75歳以上になり、多くの人が施設へ入居します。

そうなると空き家は一気に増加。

すでに現時点で東名阪エリアでは、65歳以上の高齢者だけが住む戸建て住宅とマンション(空き家予備軍)が336万戸あると言われています。

全国では持ち家3179万戸に対し、705万戸が65歳以上の高齢者のみの世帯。
実に22%もの住宅が「空き家予備軍」となっているのです。

これだけ空き家が増えると、家を売ろうにも供給過多で売れない可能性が高いでしょう。

家博士家博士

そもそも、今でもすでに売れないエリアがあることも事実。それも、東京に近いエリアですら、ものすごい勢いで地価が下落していたりするんだ

例えば、千葉県松戸市にある小金原団地は、1969年に整備された大規模な団地(賃貸・分譲併せておよそ3000戸)です。

築年数は49年。

建物の老朽化だけでなく高齢化も進んでおり、周辺地域の高齢化率は50%に届く勢いとなっています。

周辺エリアの地価下落率はこの10年で26%。

築40年以上の大規模団地の中でも、最大の下落率となりました。

「首都圏だから大丈夫」と、悠長なことを言っていられない状況になっているのです。

3 マンションの寿命と建替えの問題を10分でより深く理解する

もう少し深く「マンション寿命と建替えの問題」を知りたい方のため、詳しく解説します。

日本のマンションはまだ過半数が築20年未満

国土交通省が2013年におこなった「マンション総合調査」によると、日本の分譲マンションは2013年時点で全国に601万戸。
この内築20年未満が56%と過半数になります。

築年数が40年を超えたマンションは全体のわずか5%。
日本のマンションは、まだ歴史が浅い建築物です。
マンションの寿命と建替えの問題は、これから表面化する問題なのです。
全国のマンションの築年数比率円グラフ

マンション建替えの法律が変わった

旧耐震基準で設計されたマンションのほとんどは建替えられていません。

この問題に対して、平成26年に「改正マンション建替え円滑化法」が制定されました。

この法律では、次の2点が変わりました。

(1)「マンションを取り壊して土地を売却」という選択肢が可能になった。
従来は敷地を売却するために必要な賛成票が「住民全員」。
たったひとりの反対者がいるとダメという、ありえない選択肢でした。
これが「住民の80%以上の賛成」に緩和され、「ありえる選択肢」となりました。
(2)市街地中心部の旧耐震マンションは、建替えしやすくなった
耐震性が不足していると認定されたマンションは、地方自治体の権限で建替え後の容積率制限を緩和できることに。
中心市街地や再開発地域では、地方自治体が容積率を緩和しやすくなり、建替えが現実的になりました。

容積率制限の緩和率がどの程度進むのか、今後の事例に注目が集まります。
自治体が再開発をすすめたい地域では、旧耐震設計マンションの建て替えが進む可能性もあります。

東京都でも法改正の予定

東京都では、2019年度に老朽化マンションを連続して建て替える為の新制度を創設する予定。

不動産会社が老朽マンション1棟を買い取って、別の場所へ転居先となる新たなマンションを建設すれば、新たなマンションの容積率を積み増せる制度です。

この制度が活用されれば、不動産会社が主導で、老朽化マンションを連続的に建替えするケースが増えると予想されます。

では、なぜこの様な制度を東京都が創設しているのでしょうか。
その理由は、東京都に築40年超のマンションが急増するためです。

東京都の着工から40年以上のマンションの推移

東京都の着工から40年以上のマンションの推移

東京都内の分譲マンションは約181万戸あり、全国の約3割。

都内の分譲マンションの内、建替えを検討し始める築40年以上のマンション戸数が、
2013年 約12.6万戸
   ↓
2023年 約42.8万戸
と大幅に増加します。

この築40年以上のマンションを建て替えないと、東京全体がスラム化してしまうため、東京都も本腰を入れているのです。

ハウスくんハウスくん

じゃあ、東京都内は建替えできるから安心なの?


家博士家博士

都内でも実際に建替えできるのは、23区の中心部や、主要駅徒歩7分以内などに限られると予想されている。
東京でも急速な高齢化と人口減が進むから、郊外ニュータウンなどは建て替えても安くしか売れないからね。

マンション建替えの費用は?

マンション建替えイメージ
マンションの建替え費用はどのくらいか、ざっくりと計算してみます。
ここでは容積率に余裕が無い、建替えに不利なマンションの事例を考えます。

この場合、単純に

【建替え費用】=【既存マンション取り壊し費用】+【新マンション再建築費用】

となります。

RCマンションの解体費用は、杭残置で概ね坪単価5万円〜8万円程度(1m2当たり1.5万〜2.5万円)。
再建築費用は、時期や場所、グレードによりますが、坪単価120万円程度(1m2当たり36万円)。

66m2(20坪)のマンションの建替え費用
66m2 × (2万円/m2+36万円/m2)= 約2,500万円
1戸当たりの建替え費用負担が2,500万円になります。

建替え費用が2,500万円では、さすがに誰も建替えに賛成しません。

マンション建替えの一般的な方法

そこで一般的には1戸あたりの面積を小さくして、一部を新築として売り出し、住民の建替え費用負担を軽くします。

例えば、この様に建替えができます。

建替え前:66m2(20坪)×50戸
 ↓
建替え後:45m2(13.6坪)×73戸

新築で売却価格が、坪250万円だとすると、
250万円×13.6坪×23戸=7億8,200万
は新たに入居する住民から調達できます。

建替え費用が、
解体8,000万円+新築12億円=12億8,000万円
とすると、その差額 
12億8,000万円-7億8,200万円=4.98億円
が住民の負担になります。

これを50戸で負担しますので、
4.98億円÷50戸=約1,000万円

この方法だと、部屋は30%ほど狭くなりますが、1,000万円の負担で建替えは出来ることになります。

具体的に、一戸あたりの面積を小さくして建替え費用を抑えた例がこちら。

【例】四谷コーポラス(東京都新宿区)
初の民間分譲マンションとして、日本のマンション文化のモデルとなった。60年間の歴史を終え、2017年9月に解体。2019年7月竣工予定。
建替え前:52〜77m2:28戸

建替え後:38〜55m2:51戸(1.8倍)

1戸あたり負担費用:約2,000万円

【例】グランドステージ池上(東京都大田区)
逆に戸数を増やさない事例。2005年の耐震偽装事件により、地震耐力が基準の半分しかなかったため、やむなく築7年で解体・建替えた事例。
建替え前:70〜115m2:24戸

建替え後:60〜110m2:25戸(1.04倍)
建替え総事業費:7億7,250万円
ただし補助金・賠償金・1戸売却で約3億円を補填
住民の自己負担:1戸あたり約1800万円
工事期間約2年
ハウスくんハウスくん

耐震偽装の被害者なのに、建替えでローンが1800万円も増えたんだ…

マンション建替えの期間

マンション建替えには…

  • 建替え工事開始まで約2年間の協議、交渉、決議などの労力
  • 着工からマンション完成まで約2年間の仮住まい費用

と長い期間の労力と費用が必要です。

建替えの具体例を見てみましょう。

【例1】宮益坂ビルディング(東京都渋谷区)
日本最古の分譲マンション。
渋谷駅徒歩2分という立地。
竣工当時は「天国の100万円アパート」といわれたとか…
1953年築
総戸数:110戸(建替え前)→188戸(建替え後)

  • 建替え検討開始: 1990年(築後37年)
  • 建替え決議: 2003年(築後50年)
  • 計画頓挫: 2008年(築後55年)
  • 反対者の訴訟: 2012年(築後59年)
  • 建替え方針確定: 2015年(築後62年)
  • 建替え工事着工: 2016年6月(築後63年)
  • 建替え完了: 2020年5月予定(築後67年)
【例2】ビレッタ朝日(東京都墨田区)
主要幹線道路の国道6号に面していたため、耐震診断が義務化。
不合格(Is値が0.6以下)で建替えに。
1972年築
総戸数:58戸(建替え前)→90戸(建替え後)

  • 耐震診断で不合格: 2011年(築後39年)
  • 建替え決議: 2014年(築後42年)
  • 建替え工事着工: 2015年1月(築後43年)
  • 建替え完了: 2017年秋予定(築後45年)
【例3】石澄住宅(大阪府池田市)
一部を戸建て住宅用地として売却し、建替え費用にあてた。
1968年築
総戸数:184戸(建替え前)→128戸(建替え後)

  • 建替え検討開始: 2003年(築後35年)
  • 建替え決議: 2013年(築後45年)
  • 建替え工事着工: 2015年12月(築後47年)
  • 建替え完了: 2018年3月予定(築後50年)
【例4】大宮第一コーポ(大阪市)
建替え前は空き家3割、賃貸2割と半数が所有者不在。
建て替え後に戻って入居したのは21戸だけだった。
戻って入居した人の自己負担1600万円、残りは売却して建替えを行った事例。
1966年築
総戸数:98戸(建替え前)→82戸(建替え後)

  • 建替え検討開始: 2007年(築後41年)
  • 建替え推進決議: 2009年(築後43年)
  • 建替え決議: 2013年3月(築後47年)
  • 建替え工事着工: 2013年9月(築後47年)
  • 建替え完了: 2015年4月(築後49年)

マンション建替えに反対したらどうなる?

マンションの建替えは、住民の80%以上の賛成票が必要。
住民の20%が反対しても建替えできます。

法改正の影響で、建替えではなく、敷地売却(取り壊し)という選択肢も今後は増えることでしょう。

どちらにしても管理組合で一旦決議されれば、たとえ反対でも決議に従うことになります。

あなたが反対しても決議された場合、あなたの選択肢は2つ。

  • 時価で管理組合に買い取ってもらう。
  • 不動産会社や投資家に買い取ってもらう。

住み続けるという選択肢はありません。

建て替えが決まったマンションは、一般の人には売れません。
買うのは、管理組合か不動産会社、投資家になります。
価格は立地次第で高くも安くもなります。

4 マンションの寿命を決める要因とは

マンションの寿命は何で決まるのでしょうか。
マンションの寿命を決める要素はこれ。

【マンション寿命を決める要因】
  • 内装、軽設備←5〜12年サイクルで交換
  • 外壁、防水←12〜15年サイクルで交換
  • 重設備(機械式駐車場、エレベーター、給排水管等)←30〜40年サイクルで交換
  • 社会的寿命(デザイン、ニーズ、価値)←30年〜マンションによる
  • 管理体制←30年〜マンションによる
  • コンクリート躯体←60〜100年
  • 耐震性←旧耐震基準(1981年以前の基準)

これらの要素が複雑に影響し、マンションの寿命が決まります。

内装・設備

内装や設備は、5年〜12年という短いサイクルで交換が必要になります。

初めは寿命の短い鉄部の塗装が4〜6年に始まります。
8年頃から給排水ポンプなどの交換。
12年頃から自動ドア、共有部内装の交換などが必要になります。

この内装や設備の修繕・交換は、1度きりでなく繰り返し必要。
徐々に大規模修繕工事の費用が増える要因です。

外壁・防水

大規模修繕イメージ
12〜15年目頃からは屋外足場を伴った外壁や防水工事が始まります。

これは外壁の目地に使われるシーリング材の耐用年数が12〜15年であることから、シーリング材交換にあわせてタイルの浮きを調べる全面打音検査・剥離補修や各所防水の補修を行うもの。

ちなみに外壁がタイル張りのマンションでは、築10年前後に打音検査を実施することが、国土交通省の指針でも推奨されています。

【参考】国土交通省・剥落による災害防止のためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針

ハウスくんハウスくん

タワーマンションとか足場なんて組めないんじゃないの?


家博士家博士

タワーマンションでは足場でなく、特殊なゴンドラを利用することも多いね。
強風時は作業ができないから、半年以上の期間がかかるんだ。


ハウスくんハウスくん

20年ごととかに延ばせないの?


家博士家博士

シーリングの耐用年数が過ぎると、雨漏りしたり、コンクリートの中の鉄筋が腐食して取り返しのつかないことになるんだ。
また外壁タイルが落下すると、事故にもつながるよ。


平成元年11月に北九州市でマンション外壁が落下し、2名が死亡1名が重傷という痛ましい事故がありました。

外壁タイルの検査指針は、この事故がきっかけ。

ただし今でも毎年のように、外壁タイルの落下は報告されています。

【参考】国土交通省・特定行政庁より報告を受けた建築物事故の概要

国土交通省が平成26年に調査したところ、10%以上の建物が外壁落下の恐れがあるとの結果もあります。

【参考】国土交通省・既存建築物における外壁材の落下防止対策に関する調査結果

重設備の寿命

大規模修繕で問題が深刻になるのは、特に金額の大きな修繕が築30年〜36年頃に必要になること。

重設備(給排水管取替、ガス管取替、エレベーター全取替、サッシなど建具取替)には多額の修繕費用が必要です。
給排水管やガス管の取替は1戸あたりの負担が100万円以上。
エレベーター取替や機械式駐車場では、1基あたり数千万円から。
タワーマンションのエレベーターは数億円かかります。

この修繕費用は、マンション管理組合が所有者から預かり積み立てた「修繕積立金」から、本来は支払われるもの。
しかし多くのマンションでは修繕積立金が不足します。
それまでの大規模修繕で使いきってしまうのです。

そこでマンションの管理組合は次のどれかを選びます。

  • 不足した修繕費を一時金として住民から集める
  • 金融機関から借りる(今後の修繕積立金を増やして返済する)
  • 大規模修繕をあきらめる

大規模修繕については、こちらも参考に

意見がまとまらない管理体制の寿命

ここでマンションの管理組合がまとまれば良いのですが、住民が高齢化するとまとまらない場合もあります。

築30年を超えると、入居者の中には年金暮らしの人も多くなります。
80才を超える方もいます。

余命10年と思っている人と、マンションの価値を数十年間保ちたいと思っている人とでは、意見が対立します。
管理組合として、全ての住民が意見を統一して大規模修繕計画をまとめるのは難しくなります。

住民の意見をまとめる強力なリーダーが管理組合には必要なのです。

管理組合に積極的に関わるリーダーが、管理体制の寿命を左右する。

マンションの社会的寿命とは

(1)中古マンションが買われない日本

日本の不動産市場は、

  • 新築住宅が大量に建てられ続けている
  • 中古住宅は買われない。

という特徴があります。

他の先進国と比較すると、売買される住宅に占める中古住宅の割合は

  • 日本: 13.5%
  • アメリカ: 77.6%
  • イギリス: 88.8%
  • フランス: 66.4%

日本では、中古住宅を買う人が極端に少ないのです。
日米英仏の新築と中古住宅比率比較

(2)価格下落が著しく、修繕が割にあわない

なぜ日本では中古住宅を買う人が少ないのでしょうか。
これは日本の住宅事情と消費者心理が原因です。

欧米など他の先進国の場合

新築住宅を建てることが厳しく制限されいる。
  ↓
そのため売り出されている家が少ない。
  ↓
人気エリアで家を買いたい人は、中古住宅が売りに出されるのを待っている状態。
  ↓
だから中古住宅はきちんと管理・修繕されて、2代目、3代目の所有者へ再販売される。
  ↓
築年数が古くなっても中古住宅の価格は保たれる。
  ↓
資産価値があるので中古住宅を買う人が多い。

しかし日本では、住宅の規制は全くありません。

日本の場合

新築住宅を建てることに制限は無い。
  ↓
お金さえあれば簡単に新築住宅が購入できる。
  ↓
中古住宅を買う必要がない。
  ↓
中古住宅は売れないので、管理・修繕もされず、解体される。
  ↓
寿命が短いので中古住宅の価値は低い。
  ↓
資産価値が低いので、中古住宅は買われない。

日本では、このように消費者の好みが新築住宅に偏っています。
とにかく新築がいい、中古はイヤという風潮が強いのです。

このため中古住宅は買い手も少なく、売れても安い価格になる傾向があります。

中古住宅は安くしか売れないので、リフォームしても割にあわなくなります。
リフォームをされない中古住宅は、デザイン、安全性、快適性が時代遅れに。

結果として社会からのニーズが無くなり、マンションの社会的寿命を迎えます。

中古マンションの価格下落率
【マンションの築年数と価格の関係】
(2017年)

マンションの築年数と価格下落率

東日本レインズ・近畿レインズ他より

マンションは築20年〜30年までに、大きく価値が無くなることが分かります。

さらにこの価格で売れているのは、資産価値が高いマンションだけ。

実は多くのマンションは、売りに出しても希望する価格で売れず、売却をあきらめています。

多くの中古マンションは売ることをあきらめる

首都圏の中古マンションで2017年に売り出された内、実際に売れたマンションの割合がこちら。

【中古マンションが売れた割合】

マンションが売れる割合

東日本レインズ・2017年

これを見ると築25年を過ぎたマンションは、売りに出しても約15%(6戸に1戸)しか買われないことが分かります。

もちろんこの中には「試しに高値で売り出してみただけ」という方も含まれてはいますが、それにしても低い割合だといえるでしょう。

住宅ローンや税制でも不利

中古マンションが売りにくい原因として、金融機関の住宅ローンでも不利なことがあります。

旧耐震基準のマンションには融資がつきません。
新耐震基準でも築年数が古いと、融資額が減額されたり融資期間が短くなる傾向があります。

住宅ローン減税も築25年を超えるマンションは対象外になります。

(3)入居者が入れ替われず、管理組合も高齢化

中古住宅として途中から入居する若い世代が少ないことは、所有者の年齢がマンションの築年数と共に高齢化する結果に。
高齢者だらけのマンションは居住者と共に一生を終える結果にもつながりかねません。

この問題は国土交通省でも認識され、様々な取り組みが始まっています。
中古マンションのリノベーションや瑕疵担保責任保険など、新しい動きも少しずつ増えています。

ただし国土交通省も、景気対策を考えると新築住宅の着工戸数を減らすことはできません。
新築マンションが続々と建てられている現状では、中古マンションを購入する人が急に増えるとは考えにくいのです。

(4)立地適正化計画で郊外は無人化

2014年に施行された「改正都市再開発特別措置法」によって、地方自治体が次々と立地適正化計画を発表しています。

立地適正化計画とは、人が住むエリアを、従来の都市計画で決めた市街化地域よりさらに狭いエリア「居住誘導地域」に集める計画。

今後の人口減少で、上下水道・ごみ収集などの公共サービス維持が困難になるため、急ピッチで計画が進められています。
コンパクトシティ構想説明図

もしあなたのマンションが、駅から遠く不便なエリアだと、もしかしたら数年後には「人が住まない区域」として無価値になる可能性もあります。

最も長い「コンクリート躯体の寿命」とは

最も長いのはコンクリート躯体の寿命。

正しい工事方法と材料で、理想的なコンクリート躯体が構築された場合、きちんとしたメンテナンスが行われると、60年〜100年以上の寿命があります。

平成28年8月に国土交通省建設産業局と住宅局が発表した資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」によると、この様な内容が示されています。

鉄筋コンクリートの耐用年数について出典
実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められた。篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川宗夫・三浦勇雄(1974)
「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」日本建築学会学術講演梗概集
実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を117年と推定。飯塚裕(1979)
「建築の維持管理」鹿島出版会
鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は、鉄筋を被覆するコンクリートの中性化速度から算定し中性化が終わったときをもって効用持続年数が尽きるものと考える。鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。大蔵省主税局(1951)
「固定資産の耐用年数の算定方式」
固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した
結果(2011年調査) RC系住宅は68年、RC系事務所は56年
小松幸夫(2013)
「建物の平均寿命実態調査」

これらを見ると、

  • 物理的には鉄筋コンクリートの寿命は50年〜100年
  • 実際は68年で取り壊されている

ということが分かります。

コンクリートの一般的な劣化メカニズムは中性化
コンクリートが酸性雨などにさらされて、外から徐々に中性化するというもの。
その影響で中の鉄筋が錆び、体積がふくらんで「爆裂」という状態が起きます。

工事の時に使用したコンクリートの材料に問題があると、「アルカリ骨材反応」や「海砂による塩分」など、別の劣化メカニズムが起こることも。
特に1960年〜70年代に建てられたマンションでは、「洗浄不足で塩分が残った海砂」による欠陥コンクリート住宅が多く、1980年頃には社会問題となりました。
その後、コンクリートの品質管理項目として、コンクリート塩分濃度が必ず測定される結果となっています。

また竣工後のメンテナンス不良でも、コンクリートの寿命は大きく変わります。
外装が補修されないと「微細なクラックからの浸水」などが起き、酸性雨がコンクリート内部に侵入して劣化(中性化)を加速するケースもあります。

こういったコンクリート躯体の劣化が進むと、外壁のタイルや塗装にも表れます。
外回りと内装の見える範囲を確認して、大きな亀裂やタイルの割れ、落下などがなければ、そこまで心配する必要はありません。
特に、ひさしやバルコニーの付け根など、力がかかりやすいところを注意して確認してみてください。

耐震設計

今存在するマンションには、大きく分けて2種類の耐震基準があります。

1981年(昭和56年)の5月31日以前に着工されたマンションは「旧耐震」、それ以降は「新耐震」と呼ばれます。

旧耐震のマンションは、今の耐震基準より弱く設計されており、震度6以上の地震では瞬間的に崩壊・倒壊する可能性があります。

新耐震のマンションは、震度6以上の地震でも、すぐには崩壊・倒壊しないように設計されています。

新耐震基準イメージ

ただし旧耐震のマンションでも、全てが新耐震より弱い訳ではありません。

一部の旧耐震のマンションでは、設計時に余裕が十分にあり、偶然新耐震の基準をクリアするものもあります。

東京都の調査(2013年)によると、耐震診断を実施した旧耐震の分譲マンション182棟のうち36.8%は、耐震性がある(Is値0.6以上)と診断されています。

このように、旧耐震のマンションが耐震性があるかどうかを判定するためには、「耐震診断」という調査をする必要があります。

耐震診断をおこなった結果、運良く新耐震基準(Is値0.6以上)を満足していれば何もする必要ありません。

しかし耐震性能が新耐震基準に不足している場合は、「耐震改修工事」をする必要があります。

耐震改修工事の工事費は、1戸あたり数十万〜数百万円かかるため、年金暮らしの高齢者には厳しい負担になります。

耐震改修工事の事例

【事例1】
耐震補強事例1
1973年築、東京都目黒区マンション、173戸
耐震改修工事費用:2億円(1戸当たり115万円)

【事例2】
耐震補強事例2
1978年築、東京都豊島区マンション、126戸
耐震改修工事費用:8,000万円(1戸当たり63万円)

【事例3】
耐震補強事例3
1973年築、東京都港区マンション、45戸
耐震改修工事費用:4億円(1戸当たり889万円)

出典: 国土交通省/マンション耐震化マニュアル

今後は耐震診断が義務化される流れに

耐震改修促進法の改正(2013年11月25日施工)により、自治体が指定した緊急輸送道路の沿道のマンションには、耐震診断が義務化されました。

今後も耐震診断が義務化される流れは続き、耐震診断の結果、耐震性が不足しているマンションは、売ることが難しくなると予想されます。

もし金融機関が、耐震性不足のマンションへの住宅ローン融資を止めた場合は、その日を境に売ることができなくなる恐れもあります。

旧耐震基準のマンション売却については、こちらで解説しています。

5 売ることも考えておく

あなたのマンションの寿命に不安がある場合は、まず売却価格を確認して、今後の選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

売却したお金で、郊外の築浅マンションを購入するという選択肢もあります。
また戸建住宅であれば、庭仕事や家庭菜園などを楽しめますし、相続後は更地にして売却するという選択肢も。
もちろん子供に残すことができます。

不動産相場が高騰している今なら、あなたのマンションが意外な高値で売れる可能性もあります。

一括査定サイトの定番3社+1社

一括査定サイトは主要なものだけでも10社以上ありますが、定番はほぼ決まっています。

一括査定サイトの定番となっている3社はこちら。

この3社以外についてはこちらにまとめています。

  1. すまいValue

    すまいバリュー
    実績5.0
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    年間36万件
    不動産会社数:
    大手6社・全国840店舗
    運営会社:
    大手6社共同運営

    大手6社(三井不動産リアルティ・住友不動産販売・東急リバブル・野村不動産アーバンネット・三菱地所ハウスネット・小田急不動産)が共同で2016年10月に立ち上げた一括査定サイト。
    6社といっても全国840店舗あるため、ほぼ全ての地域をカバーしています。
    売却実績も豊富で、特に首都圏では家を売却した3人に2人がこの6社を利用しているほど。
    首都圏以外のほとんどの地方都市でも、三井・住友・東急の3社が売却実績のトップ3を独占しています。
    2019年現在、大手6社は他の一括査定サイトからほぼ撤退したため、これら大手に査定を依頼できる唯一の一括査定サイトとして、「すまいValue」が新定番となっています。

    管理人のコメント

    地方では大手より地域密着の中小不動産会社の方が強い場合もあるため、地方の郊外から外れたエリアではLIFULL HOME'S又はHOME4Uも確認してみたほうが良いでしょう。
    しかし都市部の方は「すまいバリュー」が現状では最強の一括査定サイトです。
    特に大手トップ3社(三井・住友・東急)の情報量、査定精度、販売力はやはり別格。優秀な営業マンも数多く抱えています。
    机上査定と訪問査定が選べる点もおすすめ。

  2. 【公式サイト】すまいValue

  3. HOME4U

    HOME4Uイメージw330
    実績5.0
    不動産会社4.0
    運営会社5.0
    査定実績:
    累計35万件(2001年開始)
    不動産会社数:
    1,300社
    運営会社:
    株式会社NTTデータ・スマートソーシング

    日本初の不動産一括査定サイト。2001年のサービス開始依頼、査定累計数35万件と実績も豊富。運営は東証1部上場の株式会社NTTデータのグループ会社。
    不動産会社は大小バランスよく登録されているため幅広く依頼ができます。

    管理人のコメント

    HOME4Uでは査定依頼の記入欄が多いため、自然と査定精度が高くなる仕組みになっています。
    ちなみに記入した内容はまた不動産会社と話をするときに修正できます。
    あまり真剣に悩まず、とりあえず現時点の希望を書いておくと良いでしょう。
    不動産会社はかなり絞られて紹介されるので、なるべく多くに査定を依頼した方がよいでしょう。

  4. 【公式サイト】HOME4U

  5. LIFULL HOME'S

    LIFULL HOMESイメージ
    実績4.5
    不動産会社4.5
    運営会社5.0
    査定実績:
    非公開(サイト利用者476万人)
    不動産会社数:
    1,798社
    運営会社:
    株式会社LIFULL

    運営は、HOME'SのテレビCMでおなじみの東証1部上場 株式会社LIFULL。2008年にマンション専用でサービスを開始。2011年から戸建ても含めて売却査定ができる仕様に。参加会社数が多く、特に地元密着系の中小不動産会社が多数登録しています。

    管理人のコメント

    不動産会社を選ぶ際に、各社の特徴(買取保障、瑕疵保証制度あり、半数以上がベテランなど)がアイコンで表示されるので、選びやすいシステムです。
    訪問査定ではなく机上査定を希望する場合は、不動産会社へのメッセージ欄で伝えると良いでしょう。
    選ぶ会社の数は3社〜6社がオススメです。

  6. 【公式サイト】LIFULL HOME'S

都市部では「おうちダイレクト」を並用で

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おうちダイレクト

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このうち1〜2社だけでも意見を聴くことで、すまいvalueの大手不動産会社があなたに合っているのか、迷いなく判断できるでしょう。

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