「公簿売買と実測売買、どちらが良いの? 何が違うの?」
土地の売却で、公簿売買と実測売買のどちらにしようかお迷いでしょうか。
公簿売買と実測売買で、どちらを選んだ方が良いのか。
それぞれのメリットと注意点、ポイントがサクッと分かり、安心して選択できれば理想的ですね。
そんなあなたのために、公簿売買と実測売買の違い、売主としてどちらを選ぶべきかを分かりやすく解説します。
またこの記事では、間違いやすい『実測と境界確定の関係』についても合わせて解説しました。
あなたの土地売却がスムーズに成功するために、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
公簿売買と実測売買の違いとは
売買価格の計算根拠が違う
公簿売買と実測売買の違いはこちら。
売買価格の計算根拠が、
- 『登記記録の面積』 →公簿売買
- 『実際に測った面積』 →実測売買
どっちでも良い気がするけど、登記記録と実際の面積って違うの?
違うことが多いんだ。
特に都市部では地価が高いので、価格差が大きく、トラブルになりやすい。
地籍測量による修正も都市部は遅れている
現在、公図を正確な地図へ置き換える『地籍測量』という作業が進められています。
【参考】国土交通省・地籍調査の概要
しかし進捗は全国で52%(令和3年度末)と半分程度。
さらに地価の安い農地では71%とある程度進んでいるものの、地価の高い都市部の進捗はまだ26%程度と進んでいません。
地籍調査進捗率(令和3年度末時点)
登記面積と実際の面積は違う
地籍測量が終わっていない都市部の多くでは、明治時代に作成された「公図」が元になっており、誤差が大きくなります。
国土交通省によると、公図と現況のズレはこちら。
分類 | 比率 |
---|---|
精度の高い地域 (ズレが10cm未満) |
5.5% |
小さなズレのある地域 (ズレが10〜30cm) |
14.5% |
ズレのある地域 (ズレが30cm〜1m) |
27.7% |
大きなズレがある地域 (ズレが1〜10m) |
49.8% |
極めて大きなズレがある地域 (ズレが10m以上) |
2.5% |
【参考】国土交通省・公図と現況のずれ
ええ! こんなにずれているの?
登記面積はここまで大きく誤差はないけど、5%未満の誤差はあることが多い
公簿売買では5%未満の誤差を許容する
公簿売買では、登記記録上の地積(土地の面積のこと)を売買面積として売買代金を決定し、土地の面積は測りません。
ただし過去の判例では、実測面積と登記記録上の面積の差異が大きい場合(一般的に5%を超える差異)は、売買代金の一部返還が認められている事例もあります。
【参考】裁判所・判例結果詳細
あくまで総合的な判断になりますが、売主と買主が公簿売買の意味を正しく認識しないと、大きな誤差は許容されない恐れがあります。
【参考】公益財団法人不動産流通センター・「公簿売買」における面積の誤差によるトラブル防止法
つまり登記記録の面積を正とするけど、誤差が5%超だと修正するってこと?
あくまで一部の判例だけど、引き渡し後に売買金額の減額を請求されて、代金を一部返還させられる恐れもあるんだ。
実測売買は測量のタイミングで2種類
実測売買は実際に面積を測り、その結果をもとに売買代金を決定するもの。
実測売買には、測量のタイミングによって「精算あり」と「精算なし」の2種類があります。
『精算なし』は契約前に実測
『精算なし』は、売買契約までに実測を行い、その実測面積で契約する方法。
売買契約の時点で実測面積が判明しているので、その後の精算はありません。
『精算あり』は売買契約後、引き渡し前に実測
『精算あり』は残代金の決算までに実測を行うもの。
売買契約は登記記録上の地積で契約し、単位面積あたりの金額だけを確定します。
その後、残代金の決算までに実測を行い、その結果に基づいて売買代金を確定、精算する方法です。
なんでわざわざ精算ありにするの?
契約の前に測量した方がスッキリするのに。
契約までに測量が終わらないことも多いからだよ。
面積を測量するだけだと数日だけど、お隣との境界確定が必要だと1ヶ月以上かかるケースもあるからね。
売主として、公簿売買と実測売買はどちらが良い?
基本的には、実測売買の方が良い
売主としては、公簿売買と実測売買どちらの方法で売る方が良いのでしょうか。
正解は、『基本的に実測売買だが、条件次第で公簿売買もあり』です。
実測売買の方がトラブルになりにくい
基本的に、実測売買の方がトラブルになりにくいため、実測売買を選んだほうが安全です。
特に次の場合は、実測売買が良いでしょう。
- すでに境界確定図があり、実測面積も分かっている場合
→測量費用もかからないため、実測売買が良いでしょう。
(ただし登記面積とほぼ同じ場合は公簿売買とすることも可。) - 境界が怪しい、登記面積が怪しい場合
→実面積大きい場合は売主が損、5%以上小さい場合は買主から後日精算を要求される恐れがあるため、実測売買が良いでしょう
公簿売買でも良いケースもある
公簿面積と実測面積の差異が明らかに少ない土地では、公簿売買でも良いでしょう。
実際の面積が分かる図面(法務局にある地積測量図や、建築時の現況測量図)があり、差異が明らかに少ない場合です。
確定測量には費用がかかるため、売主も買主も公簿売買で了解すれば、公簿売買にすることで、お互いの費用を節約できます。
山林などは公簿売買が一般的
また山林や原野、田畑などは、公簿売買が一般的です。
なぜなら、土地の売買代金に比べて、測量費用が高額になってしまうため。
こうした土地でも公簿面積と実測面積が違うことはありますが、土地単価が安いためあまり問題になりません。
逆に面積が広い分、実測すると非常に高額な費用がかかります。
そのため、公簿売買の方が向いているのです。
山林は特殊な不動産なので、売却には山林特有の注意点があります。山林売却で知っておきたい知識、売却方法、税金の計算について、分かりやすくまとめました。
公簿売買で要注意の分割元の地番
公簿売買で問題になりやすいのは、『分割した元の地番の土地』。
分割した元の地番の土地は、登記記録上の面積と実測の面積の誤差が極端に大きくなる恐れがあります。
元の地番の面積を「元の大きな土地の面積–分筆した土地の面積の合計」で出すと、誤差が大きくなる
公簿面積1500m2(実際には1450m2)の土地を10区画に分筆した場合
公簿面積で計算すると1区画あたり150m2
→150m2の区画を9区画作る
→残った1区画(元の地番の土地)も計算上は150m2。
しかし実際は1450㎡しかないため、残った1区画の面積は
1450m2–150m2×9区画=100m2
になってしまう
こうしたケースでは、誤差が極端に大きくなる恐れもあるので、公簿売買は避けたほうが良いでしょう。
実測売買の境界確定はどこまで? 費用負担は?
実測売買のときは、官民境界・民民境界の全ての境界確定が基本ですが、売主・買主の双方が合意すれば、官民境界を省略することもあります。
役所が所有している道路や水路などの官有地と、民間が所有している民有地との境界のこと。
民民境界とは
民有地の境界のことを言います。
測量費用の負担は話し合い次第ですが、実質は売主が負担するケースが多いでしょう。
通常は売主が測量会社へ支払い、売買代金に含むと考えます。
今の売買代金に、測量費用を上乗せできるかどうかは、あくまでも話し合い次第。
境界確定と測量については、こちらで詳しく解説しています。
土地や戸建住宅の売買に必要になる測量。初心者でも分かりやすく、具体的な内容と費用、実際はどこまでするのかをまとめました。
公簿売買で知っておきたい注意点
注意点1. 境界の明示・確定は別に求められることが多い
公簿売買であっても、境界の明示・確定は別に求められることが一般的。
この場合、境界の明示・確定のために測量が必要になります。
測量って、面積を出すためだけにやるわけではないんだね
境界をハッキリさせるためにも必要だから、公簿売買でも買主の意思を確認しておいた方が良いね。
まぁ普通の不動産会社なら、きちんとヒアリングして確認してくれるから、おまかせで大丈夫だよ。
注意点2. 実測との差異が大きいと地積更正する場合も
また、公簿と実測との誤差が大きいと金融機関が担保評価してくれず、住宅ローンの審査に通りにくくなる可能性も。
この場合は、住宅ローンを借りるために地積更正(登記記録上の面積を実測面積に修正すること)が必要になります。
地積更正にかかる費用は買主が負担します。
まとめ
土地売却の公簿売買と実測売買について、境界確定との関係も含めて解説しました。
登記面積は誤差を含んでいることが多く、トラブルを避けるためには、時間や費用がかかっても実測販売の方が安心です。
ただし境界確定図や面積が推定できる書類があり、登記面積との差が少なければ、公簿売買も可能。
また山林や原野など面積が広く、売買価格に対して測量費用が高額になる場合は、公簿売買が向いています。
公簿売買の場合でも境界確定を求められることが多く、この場合は測量や隣地との確認が必要。
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実績は大手3社が強い
売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
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大手3社は別格だね。
3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位
(首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
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業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。
⇒三井のリハウス
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 203店舗
(首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
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スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
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【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み
- 店舗数 220店舗
(首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)
東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。
東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
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