「2000年基準より古いと、新耐震でも売りにくい?」
戸建ての売却でお悩みですね。
確かに戸建ては2000年基準で耐震性が大きく向上したため、知識のある一部の買主は2000年基準を選ぶ傾向があります。
また将来的には2000年基準が標準となり、新耐震だと耐震診断や耐震改修工事が必要になる恐れもあります。
ただし今の段階では大きな違いはありません。
この記事では、新耐震基準と2000年基準の戸建ての違い、新耐震基準の戸建ての今後について解説します。
あなたの戸建て売却の悩みが解決するために、少しでもお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
戸建ては2000年基準で耐震性が大きく向上した
新耐震基準と2000年基準がある
建築物の耐震基準では、1981年を境に分けられる「旧耐震基準」と「新耐震基準」が有名です。
しかし一戸建てのような木造建築物では、2000年6月にも耐震基準の大きな変更がありました。
建築前の確認申請日が2000年5月までの木造戸建て住宅は、2000年基準に適合していない恐れがあります。
なんで木造が2000年6月に変更されたの?
1995年の阪神淡路大震災で、木造の新耐震が数多く倒壊したからだよ。
この2000年基準が、2016年の熊本地震をきっかけに、再び注目されているんだ。
熊本地震で被害に大きな差が
熊本地震の後、震源地に近いエリアを中心に建物の被害状況に関する調査が実施されました。
その結果、2000年基準で建てられた家が、明らかに地震に強いことが証明されたのです。
【建物の耐震基準と被害状況】
- ① 旧耐震基準(1981年5月以前)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:28.2%
無被害だった家屋:5.1% - ② 新耐震基準(1981年6月から2000年5月まで)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:8.7%
無被害だった家屋:20.4% - ③ 2000年基準(2000年6月以降)で建てられた家
- 倒壊・崩壊した家屋:2.2%
無被害だった家屋:61.4%
新耐震でも、8割が被害があったんだ!
新耐震でも安心できないね。
こんなに違いがあったことで、2000年基準が注目されているんだ。
2000年以前の木造戸建ては9割が問題あり?
新耐震(1981年6月〜2000年5月)の木造一戸建ては、9割が現行の耐震基準に不適合で耐震改修工事が必要という調査結果もあります。
(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合・木造住宅耐震診断調査データより)
9割って、相当な割合だね
そうだね。
国としても調査を進めていて、国土交通省がとりあえず2017年5月に耐震性能を検証する方法を公表している。
今のところは「推奨」だけ
国土交通省としては、何らかの対策をとる必要があったので、一般社団法人日本建築防災協会に依頼して、新しい検証法を作成しています。
国土交通省の発表では、あくまで新しい検証方法を「推奨」するだけで、義務化しているわけではありません。
国土交通省としては、既存の木造住宅について、平成12年(2000年)以前のものを中心に、リフォーム等の機会をとらえ、同年に明確化した仕様に照らして、接合部等の状況を確認することを推奨する
新しい検証法は、在来軸組工法の木造住宅を対象に、次の手順で耐震性を検証するというものです。
- 所有者がまず簡易的に耐震性を検証する。
- 問題があれば専門家に耐震診断を依頼する。
詳しい検証法はこちら
⇒一般社団法人日本建築防災協会・新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)
ただしこの検証法の推奨は、今後の住宅耐震化の布石であり、今後はさらに厳しい措置が予想されています。
2000年基準だと何が違うの?
大きな違いは3つあるよ。
新耐震基準と2000年基準の違い
木造戸建ての新耐震基準と2000年基準の具体的な違いは、主に次の3つです。
- 地盤に最適な基礎をつくる
- 接合部に金具を使いしっかり固定する
- 耐力壁をバランスよく配置する
それぞれ解説します。
ポイント1. 地盤に最適な基礎をつくる
2000年以前は地盤の強度を調べないで、地盤が弱くても強くても同じ基礎を造っていました。
基準がないため、設計者や施工者の判断で補強や地盤改良をしていたため、建物によって耐震性に大きな差ができていたのです。
しかし2000年基準では、地盤の固さ(強さ)「地耐力」を調べ、地耐力が不足していれば地盤改良工事を行うことが必須になりました。
理由は、地震時に建物が不揃いに沈む「不同沈下」を防ぐため。
やわらかい(弱い)地盤に家を建てると、地震時の不同沈下により基礎や壁、梁などにひび割れが生じたり、最悪の場合は倒壊してしまう恐れがあります。
地盤の強さは土地によって大きく違い、基礎の構造である程度カバーできますが、最低でも一定の固さ(強さ)が必要なのです。
なお2000年基準では、引き渡しから10年以内に不同沈下が起きた場合、施工者が無償で修復する義務があります。
2000年基準だと、まず基礎が全然違うんだね!
ポイント2. 接合部に金具を使いしっかり固定する
2000年基準では、筋交いや柱の頭・根元部分をしっかり固定するため、使用する金具や柱のサイズが指定されました。
なぜなら接合に適切な金具を使わなかったり、サイズが適切でないと、地震の揺れで接合部が抜ける恐れがあるためです。
以前の新耐震基準では筋交いの入った壁を増やして、揺れに強い構造にすることが定められました。
しかし接合部は施工者の自由だったため、せっかくの筋交いが効かないことも。
2000年基準では接合に使う金具を具体的に指定することで、この点を改善しています。
ポイント3. 耐力壁をバランスよく配置する
2000年基準では耐力壁のバランスが改善され、壁の質や量、配置まで考慮し、家全体での耐震性を向上しました。
具体的にはバランス計算を義務化し、偏りの度合いである「偏心率」が0.3以下に。
それまでは日当たりを考慮し、南側は窓、北側は壁が多いという家が一般的でした。
そのため揺れに強い筋交いの入った耐力壁が北側に偏り、窓の多い南側はどうしても揺れに弱い造りになりがち。
揺れに対する強さのバランスが悪くなり、阪神淡路大震災では多くの建物が「ねじれて」倒壊しました。
とりあえず耐力壁を使えうのではなくて、全体的なバランスまで考えるんだね
そう。ちなみに基準では偏心率0.3以下だけれど、実際にはより安全性を高めるために0.15以下で設計することが多いよ
今後は耐震診断・耐震改修が必要になる
今後は2000年基準に適合していないと、耐震診断・耐震改修が必要になる恐れがあります。
耐震診断および耐震改修にかかる費用の大まかな目安は次の通り。
耐震診断の費用
耐震診断の費用の目安は、木造住宅で概ね20〜50万円程度。
竣工時の図面が無い場合は図面を作成する料金が発生するため、もう少し高くなります。
なお耐震診断費用については、自治体で補助金が受けられますが、現在は旧耐震の一戸建てのみが対象。
おそらく今後の2000年基準の扱い次第で、何らかの補助が始まると予想されますが、まだ分かりません。
補助金の条件は自治体ごとに異なります。
【参考】日本建築防災協会 住宅·建築物の耐震化に関する支援制度
耐震改修工事の費用
耐震改修工事の費用は地域や規模にもよりますが、100〜150万円の工事が最も多くなっています。
耐震診断と同じく、こちらも国や自治体による助成制度の利用が可能。
【参考】地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
こうした制度を利用すれば、自己負担額はもっと少なくなります。
耐震改修工事費については、次の式を利用しておおよその費用を出すこともできます。
※耐震改修後の評点は、最低でも1.0以上とすること。
※算出される金額はあくまでも目安なので、実際の金額とは異なる場合もあります。
リフォームと合せる方が安くなる
耐震改修工事だけを実施するのではなく、リフォームに合わせて改修工事を実施する方法もあります。
実は改修工事とリフォームを別に行うより、合わせて行う方が工事費用は安く済むもの。
同時に行うのがオススメです。
所得税や固定資産税の特別減税がある
耐震改修工事を実施すると、所得税や固定資産税が減税されます。
改修工事にかかった費用の10%相当額(上限25万円)が所得税から控除。
期間は平成33年12月31日までとなっています。
控除の適用を受けるためには、自治体から「耐震改修証明書」を発行してもらう必要があります。
適用条件は以下の通り。
- 昭和56年6月以前に建築された建物(旧耐震基準の建物)
- 「木造住宅の耐震診断と補強方法」による診断で、診断結果「1.0以下」の建物を「1.0以上」に改善した工事である
- 確定申告を行う
【参考】国税庁・No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
固定資産税については、1戸当たり120平方メートル相当分まで半額に。
平成32年3月31日までの改修で、1年度分が減税されます。
なお、建築士事務所登録のある事業所で証明書を発行してもらう必要があります。
適用条件は以下の通り。
- 昭和57年1月1日以前に建築された建物
- 改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下
- 「木造住宅の耐震診断と補強方法」による診断で、診断結果「1.0以上」に改善した工事である
- 耐震改修工事が完了した日から3ヶ月以内に自治体の税務課等へ申告する
- 耐震改修工事費用が50万円以上であること
今はまだ大丈夫
今のところ、2000年基準を満たさない一戸建ての売買で、耐震診断や耐震改修工事を求められることはほとんどありません。
最近、国土交通省が推奨している中古住宅の基準『安心R住宅』でも、新耐震であれば2000年基準に適合しなくても良いことになっています。
しかし今後は、耐震診断や耐震改修が義務化される流れになるでしょう。
2000年基準を満たさない一戸建てはいずれ
- 買い手に敬遠され、売りにくくなる
- 売る場合は耐震診断と耐震改修工事が必要になる
と予想されます。
いずれ売る予定なら早い方が有利
いずれ売る予定なら、まず今の価格を確認してみるのも良いでしょう。
今は不動産価格が高騰している
今は都市部を中心に不動産価格が高騰しています。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。
中古マンションは約11年で98%も値上がりしています。
戸建ては上昇していないように見えますが、これは都市部の値上がりを田舎の値下りが打ち消しているため。
戸建ても都市部では大きく値上がりしています、。
試しに今ならいくらで売れるのか、売却価格を確認してみてはいかがでしょうか。
実績豊富な不動産会社3社以上に無料査定を依頼
不動産の価格を正確に知るためには、不動産会社の無料査定が定番です。
戸建ては査定が難しいため、売買実績が豊富な不動産会社3社以上に無料査定を依頼しましょう。
実績豊富な不動産会社はどこ?
都市部なら大手3社が強いね。
実績は大手3社が強い
売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。
都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。
大手3社は別格だね。
3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位
(首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。
独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。
多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。
また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。
業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。
⇒三井のリハウス
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 203店舗
(首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。
自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。
スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
住友不動産販売「すみふの仲介 ステップ」は、売買仲介件数が業界2位の大手。家の売却ならぜひ候補に入れたい1社ですが、注意点もあります。住友不動産販売のメリットと注意点を分かりやすく解説、そして利用者の評判を紹介します。
【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み
- 店舗数 220店舗
(首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)
東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。
東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」
大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。
すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・小田急不動産・三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。
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とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?
売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
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SRE不動産(旧ソニー不動産)
売主だけを担当するエージェント制
大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。
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(※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)
SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。
結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。
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SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。
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不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
まとめ
熊本地震をきっかけに、新耐震基準より2000年基準が重視されつつあります。
ただし影響はまだ少なく、耐震診断も推奨されているだけで義務化されていません。
とはいえ、何かのきっかけで社会問題化すれば、規制は急に整備されるもの。
新耐震基準の戸建てをいずれ売る予定なら、早いほうが安心でしょう。
幸い今は不動産が高騰しているので、今の価格を確認してみると参考になります。
都市部なら大手3社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル)が実績豊富。
とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、38年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。
⇒三井のリハウス
大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。
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大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)
⇒SRE不動産
首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
全国対応の一括査定サイトとして定番はこちら。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!