「離婚なら家の頭金を返して!」
離婚の財産分与で、家の頭金についてお悩みですね。
確かに離婚では家の頭金の扱いが分かりにくく、トラブルになりがち。
特に一般的な離婚(協議離婚)では双方の合意が全てなので、間違った金額で分与する恐れも。
この記事では、離婚で頭金の計算方法について、分かりやすく図解しました。
あなたの財産分与がスムーズに終わり、スッキリと新たな人生をスタートするため、この記事がお役に立てば幸いです。
この記事のもくじ
離婚すると頭金は戻るが金額は減る
固有財産の頭金は戻るが金額は減る
結論から言うと、「固有財産から出した頭金は、戻るが金額は減る」というのが正解。
イメージは次になります。
離婚で頭金を財産分与するイメージ
計算式はこちら。
字が多くて、読む気しないよ。
まぁまぁ、後の計算例で詳しく解説するから、なんとなくイメージだけ分かればいいよ。
詳しく解説します。
売買費用と今の家の価格で頭金も変わる
頭金の金額が変わる理由は、次の2つです。
- 今の家の価格が購入時と違うから
- 購入と売却の費用がかかるから
じゃあ、頭金の金額を計算するためには、「今の家の価格」をまず知るってことだね。
そうだね。
まず今の家の価格を調べよう。
今の家の価格を知る3つの方法
今の家の価格を正確に知るためには、3つの方法があります。
- 不動産会社の無料査定←普通はこれ
- 不動産鑑定士の価格調査(有料)
- 自分で査定する(無料だが精度に難あり)
-
それぞれ解説します。
- エリアで売買実績が豊富な不動産会社を選ぶ
- 3〜6社に無料査定を依頼して、査定価格と話を聴き比べる
方法1. 不動産会社の無料査定
複数の不動産会社に無料査定を依頼し、各社の査定価格の平均をとる方法。
簡易査定なら数日で、訪問査定なら訪問当日に査定価格が分かります。
売るかどうか分からなくても、不動産会社に無料査定を依頼できるの?
将来的に売る可能性が少しでもあるなら、無料査定を依頼できるよ。
具体的な手順は、
エリアで売買実績が豊富な不動産会社の方が、査定の精度は高くなります。
また今は不動産価格が高騰しているため、不動産のプロでも査定が難しい状態。
不動産会社によって査定価格に差が出るため、1社だけでなく最低3社以上に査定を依頼しましょう。
ただし数が多すぎると対応が大変なので、多くても6社程度が現実的です。
実績が豊富な不動産会社はどこ?
都市部なら大手3社が強いね。
実績は大手3社が強い
売買仲介件数ランキング上位36社
(2024年3月)
不動産売却の実績は、大手3社に偏っています
三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルの3社は、仲介件数が2万件を超えており、大手の中でも圧倒的。
都市部で査定を依頼するなら、これら大手3社を中心に考えると良いでしょう。
大手3社は別格だね。
3社もそれぞれ特徴があるから、解説しよう。
【大手1】三井のリハウス
38年連続で売買仲介件数1位
(首都圏174、関西圏45、中部圏25、札幌9、東北6、中国9、九州9)
三井のリハウスは、38年連続で売買仲介件数1位と業界を代表する不動産会社。
独自の査定システムは精度が高く、売主の約76%がほぼ提案価格(提案の95%以上)で成約しています。
多くの購入希望者を抱えるため早く売れることも強みで、売主の65%が2ヶ月以内に成約するほど。
また担当者のレベルが高いことにも定評があり、顧客満足度は96%と高評価です。
業界を代表する会社だから、初めての売却ならまず話を聞いてみると良いよ。
他と比較する基準にもなるからね。
⇒三井のリハウス
三井のリハウスは36年連続で不動産売買の仲介件数第1位の大手不動産会社。ただし注意点もあります。あなたが家の売却を任せて大丈夫か、注意点と評判を分かりやすく解説します。
【大手2】住友不動産販売
熱心な営業スタイルに定評
- 店舗数 203店舗
(首都圏114、関西圏55、中部東海10、北海道8、東北3、中国7、九州6)
住友不動産販売(すみふの仲介ステップ)は、営業マンの熱心な営業スタイルに定評があります。
現在の購入希望者の登録数も公開しており、常に2万人を超える希望者が登録。
自社ホームページの月間来訪者数は300万件以上、登録物件数は2万8千件以上と十分なスケールメリットもあります。
スマートでクールな営業より人情深く熱心な営業が好みなら、他より出会える可能性が高いかも。
住友不動産販売「すみふの仲介 ステップ」は、売買仲介件数が業界2位の大手。家の売却ならぜひ候補に入れたい1社ですが、注意点もあります。住友不動産販売のメリットと注意点を分かりやすく解説、そして利用者の評判を紹介します。
【大手3】東急リバブル
東急沿線や大型案件に強み
- 店舗数 220店舗
(首都圏141、関西圏45、名古屋11、札幌10、仙台6、福岡7)
東急リバブルは東急電鉄系の不動産会社ですが、全国に店舗を持つのが特徴。
東急電鉄沿線はもちろん、法人営業や投資物件にも強みを持っています。
東急リバブルは不動産の売買実績でトップ3の1社。しかし注意点もあります。東急リバブルを利用する前に知るべき注意点・メリット、そして実際に利用した人の評判をまとめました。
大手にまとめて査定を依頼するなら「すまいValue」
大手3社にまとめて無料査定を依頼するなら、一括査定サイトの「すまいValue」が便利。
すまいValueは、大手上位6社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・小田急不動産・三菱地所の住まいリレー)が共同運営する一括査定サイトです。
⇒すまいValue
とりあえず大手3社に査定を依頼すれば良いの?
売却予定なら個人の相性もあるから、大手3社以外と比較した方が良い。
首都圏・関西圏ならエージェント制のSRE不動産(旧ソニー不動産)、それ以外なら地域で実績No.1の会社にも査定を依頼しよう。
SRE不動産(旧ソニー不動産)
売主だけを担当するエージェント制
大手と比較するならSRE不動産(旧ソニー不動産)が良いでしょう。
なぜならSRE不動産は、大手で問題になりがちな両手仲介が無いため。
(※両手仲介とは売主と買主を同じ不動産会社が担当すること。大手は顧客を多く抱えるため、自然と両手仲介が多くなる。)
SRE不動産は、業界初のエージェント制で売主だけを担当。
買主は無数にある他の不動産会社が積極的に探します。
結果として、大手にも劣らない販売力で、早く高く売れやすいことが最大のメリット。
ただし営業エリアは首都圏・関西圏限定です。
SRE不動産は業界でも両手仲介無しで知られているから、他社が競って営業してくれる。
大手と話を聴き比べて、自分に合ってる方を選ぶと良いよ。
⇒SRE不動産
SRE不動産(旧ソニー不動産)の口コミや評判、裏事情などから、あなたがソニー不動産を利用すべきなのか徹底評価しました。
その他エリアは地域No.1を探す
大手やSRE不動産の営業エリア外なら、地域で実績No.1の不動産会社を中心に選びましょう。
実績No.1の不動産会社は、実績をアピールしているのですぐに分かります。
不動産会社の心当たりがなければ、一括査定サイトをいくつか併用すると良いでしょう。
全国対応の主要な一括査定サイトとして次があります。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
方法2. 不動産鑑定士の価格調査
不動産鑑定士に価格調査を依頼する方法。
不動産鑑定士の査定には簡易的な価格調査と本格的な不動産鑑定があります。
協議離婚(2人の話し合いで決める離婚)は価格調査で十分でしょう。
裁判所が関与する裁判や納税根拠では不動産鑑定が必要です。
価格調査の費用目安はこちら。
- 一戸建て: 13万円〜
- マンション: 15万円〜
査定期間は、依頼してから通常1週間〜、ただ急ぎの場合は個別に相談可能です。
不動産鑑定士の見つけ方などは、こちらで解説しています。
個人が不動産の鑑定評価(査定)を不動産鑑定士に依頼する場合、「不動産鑑定評価」と「価格調査」の2種類があります。それぞれの違い、不動産鑑定士を探す方法や費用の相場について分かりやすくまとめました。
売る予定が全く無い場合は、不動産鑑定士の方が良さそうだね。
方法3. 自分で査定する
不動産の価格を自分で査定する方法です。
ただし精度に問題があり後でトラブルになる恐れがあるので、あまりおすすめしません。
もしマンションで同じマンション内の部屋が最近売れた場合、成約価格が分かれば比較的正確に査定できる可能性があります。
ただし内装を大幅にリフォームしていたり、業者売主の場合は、相場より高く売ることが多いため参考になりません。
また事情があって売り急いでいた場合は、相場の8割などで売ることもあるため、これも注意が必要です。
具体的に査定する方法は、こちらで解説しています。
「マンションの売却価格」を自分で査定する方法を徹底解説しました。ある程度条件さえ良ければ、あなたのマンションを自分で査定することは可能です。
一戸建ての場合は、土地と建物を分けて計算するため、かなり難易度は高くなります。
一戸建ての査定方法は、こちらで解説しています。
一戸建ての査定で知っておきたい知識をまとめました。査定の3つのポイント、高く査定する4つの方法。査定前の準備や査定で何を見られるかを解説しています。
お互いに納得できれば、自分で査定というのもありだね。
後から気が変わらない様に、書面で残してサインするなどしておいたほうが良いよ。
売買費用の計算方法
売買費用は、購入時の資料があればそれを使います。
もし見つからない場合は、こちらの目安でも良いでしょう。
売却費用と購入費用の目安
- 購入費用(新築): 家の価格×4.5%
- 購入費用(中古): 家の価格×7.5%
- 売却費用: 家の価格×4%
売却する予定が無い場合は、お互いが納得すれば、売却費用を考慮しないという選択肢もあります。
費用について、細かく計算する場合は、こちらの記事を合わせてお読み下さい。
家を買う時に必要な「費用」について詳しくまとめました。
家を売るときの費用、税金を徹底解説しました! 知っておくとお得な裏技もあり。
具体的な頭金の計算方法
離婚で頭金を計算する場合の具体的な計算例です。
計算例
例として、諸費用込で4,000万円の家を、次の割合で購入したとします。
- 住宅ローン:3,000万円
- 頭金:1,000万円
査定した結果、売却価格が2,900万円、売却費用が100万円だった場合、売却後に手元に残る金額が2,800万円(購入資金の70%)だとすると、
- 共有財産:3,000万円×70%=2,100万円
- 頭金:1,000万円×70%=700万円
になります。
財産分与の計算イメージ
離婚で財産分与を考えるときは、財産を2種類に分けます。
「共有財産」と「固有財産」です。
●共有財産とは
夫婦2人が同居中に築いた財産。
離婚の財産分与では、共有財産を原則1/2で等分します。
どちらが稼いだかは関係ありません。
専業主婦でも1/2を受け取る権利があります。
●固有財産とは
同居を始める前に築いた財産や、親からもらったり相続した財産。
個人の財産なので、離婚の財産分与の対象にならない。
頭金に使った固有財産も、減価して個人が引き取る。
共有財産というだけでなく、登記の名義が共有になっている場合は、こちらも合わせてお読み下さい。
共有名義の不動産を売却する4つの方法について、それぞれコツや注意点を分かりやすくまとめました。
住宅ローンも共有財産
住宅ローンの様なマイナスの財産も、共有財産に含みます。
もし家を売っても住宅ローンが全額返済できない場合は、残ったローンを二人で等分して負担します。
住宅ローンが残る場合のイメージ
他に貯金など共有財産がある場合は、共有財産同士を相殺して、残った金額を等分します。
住宅ローンの返済が厳しい場合はこちらも合わせてお読み下さい。
家を売ってもローンの残債が全て返せない…。オーバーローンを解決するための7つの方法を解説します。
共有財産は同居期間に蓄えた財産
共有財産は同居期間中に蓄えた財産です。
別居してから離婚するまでに支払った住宅ローンの返済は、固有財産として支払った方の持ち物になります。
ただし別居後の住宅ローンについては、元本分だけか、利息も含めるかの判断は、裁判官の裁量に任されているのが現状。
あくまで原則、裁判官の裁量次第で変わる
以上の計算は、東京家庭裁判所の判例から見た、最も一般的な計算方法。
この計算で原則正解だと考えて良いのですが、100%裁判で通るわけではありません。
一応知っておいた方が良い知識として、裁判官によっては、たまに違う計算方法を使う人もいるということ。
頭金の計算方法は、具体的に法律で決められているわけではありません。
法律で決まっていない事は、過去の判例(裁判の判決事例)から決めるのですが、判例もなぜかバラつきがあるのが現実。
頭金の計算方法は、裁判官の裁量に任されているため、裁判官によって参考にする判例が違うのです。
協議離婚ではお互いが納得したらOK
協議離婚では、二人が納得したら、財産分与は成立します。
どんなに不平等な財産分与でも、間違った財産分与でも、お互いが納得したらOK。
家の頭金についても、相手が納得すれば、減価せずにそのまま返してもらうことができます。
とりあえず、主張してみるというのもひとつの方法です。
二人の話し合いだけで決める離婚のこと。
日本の離婚の9割は、「協議離婚」。
2人だけで決まらない場合は、裁判所に間に入って話し合う「調停離婚」に。
さらにそれでも決まらない場合は、裁判により決める「裁判離婚」になります。
【参考】法務省・離婚を考えている方へ
離婚での財産分与について詳しくはこちらで解説しています。
離婚の財産分与で一番難しい不動産の財産分与。理由は、価格が明確でなく、税金や諸費用が複雑なこと。もめないための方法を解説します。
また、離婚で家を売るときはついつい急いで失敗しがち。
売却での注意点について詳しくはこちら。
離婚で家を売る前に知っておきたいことを、3つの確認ポイント、3つの売却方法に分かりやすくまとめました。正しい手順で進めれば、家の売却は必ず成功するので安心して下さい。
まとめ
離婚で家の頭金は特有財産であれば戻ります。
ただし今の家の価格に応じて、頭金の金額は変わることに。
頭金の価格を計算するためには、まず今の家の価格を確認してみましょう。
今は都市部を中心に、不動産価格が高騰しています。
不動産価格指数(全国)
不動産価格指数とは
不動産相場の価格変動が純粋に分かる指数。国土交通省がアンケートで集めた年間30万件の成約価格を元に、ヘドニック法という統計計算でまとめたもの。3ヶ月前までのデータが毎月末頃に公表される。2010年の平均を100として算出。
中古マンションは約11年で102%も値上がりしています。
一戸建ても、平均では値上がりしていないように見えますが、都市近郊は値上がりしています。
エリアによっては1年で数百万円も価格が上がっている可能性も。
家の価格を正確に知るためには、不動産会社に無料査定を依頼するのが一般的。
都市部なら大手3社(三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブル)が実績豊富。
とりあえず1社だけ査定を依頼するなら、38年連続で実績1位の三井のリハウスが良いでしょう。
⇒三井のリハウス
大手にまとめて査定を依頼するなら、大手6社が共同運営するすまいValueが便利です。
⇒すまいValue
大手と比較するなら、首都圏・関西圏は両手仲介のないSRE不動産(旧ソニー不動産)
⇒SRE不動産
首都圏・関西圏以外の都市部で大手と比較する場合や、大手の営業エリア外の地方では、一括査定サイトを利用すると良いでしょう。
全国対応の一括査定サイトとして定番はこちら。
その他、主要な一括査定サイトはこちらでまとめています。
不動産一括査定サイト、主要16社を徹底比較し、ランキングでまとめました。
あなたの不動産売却が成功することを、心よりお祈りしております!